生活・文化 2022年11月07日
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海外進出のリスクが一番少ない国がドバイ??
Frontieer大谷です。
第2回目のコラムです。
日本人がいない変な地域専門での海外ビジネス展開支援をしているFrontieerの代表を務めています。
さて、2022年11月末から12月中旬までパキスタン、UAE(アラブ首長国連邦)に久々に出張にいく予定です。今回は、日本企業進出のための取引先候補となる企業とのリアル商談と、お世話になっている現地の方々と久々にお会いしてきます。
またしばらく、朝カレー→昼カレーチャーハン(ビリヤニ・プラオ)→夜カレーの生活です。
今回のコラムは「海外進出のリスクが一番少ない国がドバイ??」と題してお届けします。
ドバイの外食事情とは?
本題の前にドバイの外食事情についてお話しさせてください。
UAEを構成する首長国のひとつであるドバイでは、いろいろなところで日本食を食べることができますが、中国や韓国などの方が、日本風の謎な日本食らしきものを作って出しているのが実情です。
日本人が納得できるようなまともな日本食は、高級店に行かない限り満足できるものはありません。
一例ですがGoogle Mapで「 FUJIYAMA Dubai」とか「Japanese Ramen Dubai」といったワードで検索するとたくさん写真が出てきますので、ご興味のある方は面白半分で見ていただければと思います。
ただ最近は一部ではありますが、日本企業が提供している〝ちゃんとした〟ラーメンもあるようです。
そんなドバイの飲食代の相場といえば、どこも1食1,500円ほどが普通ですので、私は近くのスーパーで適当に食品を買って自炊しておりました。
普通に日本食を作って食べていましたが、近くで〝だし〟が手に入らなかったので、いろいろな魚のあらとサーモンの皮を煮詰めて作っていたものです。
中心部からちょっと離れた居住エリアの高層アパートの下には、スーパーだけでなく、ちょっとしたカレー定食屋、安いインド料理や中華料理、ハンバーガーなどが食べられるので不便はしませんが、すぐ飽きます。
いわゆるケバブ(肉を焼いたものの意味)をどこでも焼いていますので、焼き鳥的なもの、フライドポテトと鶏肉の削ったものが入っている紙の器、日本でもよく見かけるピタパン(※中近東発祥とされる平たい円形のパン)に挟んでいるサンドウィッチ的なもの…など〝違う見た目の同じ味のもの〟が、それはもう好きなだけ食べられます。
もちろん飽きます。
ちなみに居住エリアでは大体マクドナルドの店内のような匂いが漂っています。
ドバイには「(手軽に購入できる)日本の本物」がない?
改めてドバイの日本食事情をまとめると…
「日本のことをあまり知らないし、日本人もあんまりいないし、日本のものもあんまり売ってない」…という場所で、「他の国製のほどほど同じようなものが、ほどほどの金額で、いろいろなところで売っている」…というのがドバイの日本食事情です。
その一例が先ほど言及した日本食チェーンとなります。
そもそもUAEには日本人もあまりいないし、日本食として偽物でも間違っていても、それを止める人も競合する企業もいないので、ある意味、独自の進化を遂げた謎なモノをたくさん見ることができるのです。
つまり「それが日本製か、本物なのか、はどうでもいい」ということ。
もちろん日本食自体は人気です。
巨大なモールが200カ所ほどありますが、だいたいどこにも日本食レストランが存在するので、需要はあると思います。ただ、ほぼ全てが先ほど言及したような偽物です。
手軽に食べられる「日本の本物」がないんです。
また試しに買うことができる日本の商品も全然ないんです。仮にあったところで周りと比べてすごく高い。
以上のことから「(日本の商品の)購入機会に結びつきにくい」というのがドバイの現状です。
ドバイへの海外進出リスクの少なさを「海外ビジネスに重要な3つの視点」で解説
さて、ここからは本題である「海外進出のリスクが一番少ない国がドバイ??」ということについてお話しします。
過去に作った資料をもとに「海外ビジネスに重要な3つの視点」である「①経済」「②政治と軍事」「③文化」の面から解説していきます。
①「経済」から見たドバイの進出リスクの少なさ
お金持ちのイメージがあるUAEですが、実はそこまで経済規模も大きくはありません。フェラーリ販売台数で見ても、圧倒的に日本の方が多いのが実情です。
住民票で1,000万人ほどの人口、加えて出張や出稼ぎなどで住民票を持たない100万人ほどの外国人居住者がいますが、生粋のUAE人は100万人ほど。単一の国としてみると大してスゴい国ではないのです。
ちなみに、ドバイにとっての観光とは「キャッシュ作り+見栄+ハッタリ+企業誘致」です。言ってみれば〝客寄せパンダ〟です。
「石油がなくなったらどうしよう…」と考えていて、貿易と金融で稼いだお金を観光資源への投資に使っています。
UAE、特にドバイのマーケットの特徴としては、世界中の企業のBtoBショールームになっているところです。
TOTOやLIXILなどのショールームをイメージしていただければわかりやすいかと思います。
ドバイにショールームを置いて、そこでサンプルを見せて商談を行い、本格的な物流はドバイを経由しないで取引国同士、もしくはUAEの倉庫からの直接輸送をしています。
卸業者が運営しているパターンと、メーカーが直接運営しているパターンのどちらかです。
上記は海上コンテナの取り扱い数を示したグラフですが、貿易メインの割には海上コンテナを指標としてみてもそこまで取引数が多いわけではありません。
国中がそのようなシステムになっており、世界中の企業が在籍しています。
日本の幕張メッセやビックサイトで行われているEXPOのような展示会が国全体で行われている感じです。
ここで重要なのが、アメリカドル(USD)とほぼ固定のレートで経済が動いているので通過価値も安定しているということです。
貿易ルールも特別変なことも多くなく、普通です。国際標準って感じです。特に変なことも言われません。
通貨も普通、ルールも普通です。
つまり「UAEという国に対して商売をする」のではなく、「世界中の企業や人が集まっている国(小さく縮小した世界)に対して商売をしていく」ことができるのです。
②「政治と軍事」から見たドバイの進出リスクの少なさ
続いて「政治と軍事」の視点から見てみましょう。
イギリスとアメリカの影響はかなりありますが、結構普通の国です。
UAEは首長国連邦、要は王様がいる国の集まりなので、各首長国でルールは少しずつ変わりますが、多くの日本企業にとっては基本ドバイが進出先となると思います。
大きな特徴として、結構無難に喧嘩せず平等にいろいろな国と接しているというところが見えます。
今のウクライナ・ロシア間の戦争に関しての国連の安全保障関連の投票でも、棄権という形でした。
「どちらのスタンスもしない、でも攻撃自体は良くないと思う」という立ち位置です。
経済的にも、冷戦時の言い方でいう東側諸国と西側諸国、どちらの肩を持つことはないが、どちらにも平等に接するという立ち位置です。
※参照:
「米の採決直前までの説得工作実らず、UAEまで棄権…理事国の結束にはつながらず」(読売新聞)
軍事力では世界36位、人口も少ないのでそこまで強い国ではないです。
ですが、UAEはNATO軍の大きな基地がある国です。
アフガニスタンでアメリカ軍が撤退した時に自衛隊も含めた各国の軍用機が中継に使っていたのがドバイです。世界中の軍隊、特にアメリカ軍やEUの連合軍が多数集結しているところにわざわざ攻撃するような国はシリアくらいです。
※参照:
「UAE ミサイルの攻撃受け迎撃 イエメン反政府勢力 攻撃を発表」(NHKニュース)
世界中の企業や人が国内にいるので、それらがある意味人質となっており。他国から攻撃されにくくなっているのです。
③「文化」から見たドバイの進出リスクの少なさ
最後に3つめの「文化」です。
イスラムの文化が強くありますが、比較的ドバイはそこまででもないです。
隣のシャルジャやアブダビだと厳しいので、細かいルールはたくさんありますが。
ハラルやアルコール関係は厳しいですが、ハラルは世界的にも標準になりつつあるのでそこまで難しい問題として認識はされていません。
世界中の人がいるので、それが常識という定義はあまりなく、普通の道徳的なところ+イスラムルールという感じです。
普通ではあるのですが「こういう時はこういうルールでいいよね?」といった、お互いの常識を確認し合うことはよくあります。
ビジネスは早くかつシンプル、toBだと取引単位が大きいことが多いのでミニマムスタートしたい日本人にとっては結構難航しやすいです。
最初はすごく高額な見積もりを出して儲けようとすることもないわけではないですが、今のところ私が関わった案件ではそこまで極端なことはありませんでした。
ただ断り見積もりのようなことは数回経験があります。
結論
ここまで長々と書きましたが「海外進出のリスクが一番少ない国」というのは…
① 外交的な懸念事項が少ないこと
② 東側西側関係なく世界中の人・企業が集まっているので、同時に多くの国へアプローチできる
③ 通貨がUSD
④ 貿易ルールが普通
⑤ 文化的にも普通
…という5つの大きなメリットがあるのが特徴です。
ここまで読んでいただいた方ならおわかりのように、この5つのメリットを持っているのがドバイです。
実は世界を見渡すとこの5つを全て満たす国はかなり少ないのです。つまりドバイという国は「貿易をしやすい国づくりを行っている特殊な場所」と言えます。
前回のコラム「海外に売れるものって?」でお伝えしたように、日本の商品・サービスの魅力と価値をしっかり伝えることができれば、多くの国にアプローチするきっかけを作ることができるので、かなりのビジネスの発展を見込めます。
そんな現実的な夢のある場所が「ドバイ」なのです。
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