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海外ビジネス コラム

市場動向 2012年10月20日

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『現場・現物・現実で考える ミャンマー進出の視点』独占的シェアの作りやすい市場の魅力

木村 嘉男(株式会社PeaceTime)

皆さま初めまして。株式会社ピースタイムの木村嘉男です。

Digimaでの初コラムとなる今回から数回にわたり、まずは皆さまに小売マーケットを中心としたミャンマーのリアルな姿をお伝えしたいと思います。

ご存じの方も多いかと思いますが、ミャンマーは法整備やインフラ含め、ビジネス環境が整っているとはなかなか言えません。
しかし同時に、市内を道行く人には活気が溢れ「アジア最後のフロンティア」と言われるエネルギーを感じさせてくれる国でもあります。

新興国進出の第一ステップは、やはり『現地を知る』でしょう。まずはミャンマー、そしてミャンマー人という素晴らしい「人」についてもお伝えできるようにしたいと考えています。
この国を取り巻くマーケットの現状とともに、ミャンマー人が何を求めているかも知って頂くことで、皆さまがビジネス進出を考えるきっかけとなれば幸いです。

よろしくお付き合いお願いいたします。

 

さて、早速ですがこの画像をご覧ください。これはヤンゴン市内、ストリートマーケットの様子です。

 

並んでいる(積み上げられている)のはオーディオ製品や、様々な家電製品のパーツ。
日本のリサイクルショップでも「ジャンク品と呼ばれるようなモノばかりです。

ヤンゴン市内では午後3時以降、大通り沿いの歩道を埋め尽くす勢いで、こういった露店が現れます。
流通ルートは中国・タイから陸路で来るものも多く、中には中古換気扇の羽だけを売る店、そして扇風機・ミキサーを分解して取り出したモーターを並べている店もあります。
ヤンゴン市民は、この中からまだ使えるモノを探しだして買って行くのです。

「新品を買うお金が無い」、そして「モノが無い」という現実を目の当たりにする光景ですが、困窮した貧しさというより、先進国が失ってしまったであろうたくましいエネルギーを感じます。

当然のことながら、今のミャンマーでは日本の小売業のように「業態」や「商品カテゴリ」の細分化・複雑化はしていません。
しかし、あえて整理すると露店を中心に以下のようになります。

 

【 業態の整理 (家電・衣類・雑貨など) 】

1.   露店:ストリートマーケット、市内で多数見られる。インド人も多い。
2.   商店:店舗としていちおうの体裁はある。変圧器、中古ミシン専門など単一ジャンルに特化。
3.   専門店①:看板もあり店舗の体裁は整っている。タイ・中国など独自の仕入れルートを持つ店も多い。
4.   専門店②:中国・韓国系オーナーが多く、品揃えは豊富。チェーン店は一握り。

特徴的な点として、露店でも商店でも、ある程度、単一の商品ジャンル(商品カテゴリ)に特化しています。
例えばジャンク品の露店であっても、電動ハンド工具専門といった風です。
これは当然ながら仕入・調達ルートが限られているためであり、露店レベルの商店主たちは、ほぼ同じ問屋街で商品を調達しています。

専門店①のクラスになると、タイ・中国などからの独自の仕入ルートを持つ店舗も現れます。
ここでは少しずつ品揃えの幅も広がって来ますが、テレビとスピーカー専門といったように、取扱いの幅は多くても3~5カテゴリといったところでしょう。
ちなみに家電・アパレルなどは、正規品でない、もしくは本物であっても正規流通ルートを経ていないものも多いようです。

ここから見えてくるのは、消費欲の高まりが在りながら商品供給のルートが十分ではないというミャンマーの姿でしょう。
嗜好の幅は日本と比べ物にならないくらい狭いものとはいえ、今のミャンマー小売業の大多数は「手に入るモノ、在るモノを売っている」状態だと言えます。

しかしこの「手に入るモノ、在るモノを売っている」状態は、結果的にではありますが、日本から見ればうらやましい限りの事例を生み出したりもします。

例えば、あるミャンマー内資の新品カー用品販売店では、商品の取扱ブランドが2種類、サイズは5タイプ程度しかないのにもかかわらず、ヤンゴン市内の一店舗(60坪程度のガレージ型)で日本円にして1億円以上もの年商を上げているそうです。
現地通貨チャットは、ざっくり日本円の10分の1であることを考えるとミャンマーでは超優良企業です。(※企業への直接ヒアリングより調査)

これは嗜好が成熟していないマーケットで、ひとつの商品・ひとつのカテゴリに集中し、「あそこにしか無い」というポジションと市場シェアを獲った結果でしょう。「在れば売れる」独占状態を作り出すことに成功しているのです。

この事例企業の場合、すでに独占的な販売シェアは取っているため、今後は関連カテゴリでの取扱いアイテムをプラスして行くことで、さらに売上を伸ばしてゆくことも可能でしょう。

そもそも様々な商品カテゴリにおいて、まだまだ絶対的ブランドと言えるモノがない国であり、購買経験も少ない人々です。
いきなり手を広げる必要も無く『単品(単一カテゴリ)集中』し、まずは市場シェアを獲ること。これは成長の入り口にある新興国ビジネスの大きなヒントではないでしょうか。

さて、次回も同じく現地小売業の状況から、ミャンマーでの新しいブランドづくりといったテーマにも触れてみましょう。

【今回のポイント整理】

嗜好が成熟していない新興国市場では、単品(単一カテゴリ)でも独占的な販売シェアを獲れる可能性がある。

 

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木村 嘉男

(株式会社PeaceTime)

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