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海外ビジネス コラム

市場動向 2012年11月15日

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日中関係悪化に伴う中国経済減速の一例

堀 明則(Hopewill Group)

中国の内需をささえる大切な産業が自動車産業です。
そしてその自動車産業を支えるのが日本メーカーの自動車の販売です。
日本車の不買、買い控えは、鉄鋼産業に陰を落としました。
日本車の販売台数の減少を、中国車、欧米車で補うことができなかったと言うわけです。

中国側からの先手の制裁が、思わぬ形でブーメラン効果として中国経済に打撃を与える結果となりました。

今では中国政府も「両国の穏やかな関係を希望する」との発言が目立ちます。
もちろん「すべての責任は日本にある」の一文つきではありますが・・。

この日中関係の悪化に伴う中国産業への悪影響の事例を2012年10月25日付けの日経新聞記事で見つけましたので、今回はこの記事を紹介させていただきます。

++++++++++++++++++

「レアアース生産停止 需要急減」
「中国大手など今年半減」

中国のレアアース最大手、内蒙古包鋼希土高科技は24日までに一部工場の稼動を休止した。
1ヶ月間、停止する。
2010年の沖縄県・尖閣諸島をめぐる日中対立で中国当局がレアアースの対日輸出を止めたことから、日本企業が代替品の開発を進め、需要が急減した。
中国のレアアース生産量はピーク時の06年に16万トンあったが、今年は半減する見通しだ。
中国は経済カードを切って日本に譲歩を迫ったが、かえって損失を被った形だ。
稼動停止は包鋼希土の関係者が明らかにした。
同社は中国南部のレアアース産地、江西省かん州で製造子会社を2社運営。
ハイブリッド車(HV)に組み込む高性能のモーターや電池を使うジスプロシウムやネオジウムなどを精製し、加工していた。
中国のレアアース会社は約300社にのぼる。
業界関係者によると、精製・加工企業の約25%が稼動を停止し、操業中の企業でも稼働率は3~4割に低迷している。
江西省の企業幹部は
「日本からの引き合いの激減と世界経済の低迷で需要が減り、経営破たんした企業も出た」
と明かす。

10年秋の日中対立で中国当局がレアアース輸出を事実上停止し、レアアース価格は11年夏のピーク時には10年夏の約10倍に高騰した。
世界貿易機関(WTO)でも中国の輸出制限は問題になった。
ただ日本企業が技術開発で使用量を減らし、調達先も広げたため、直近の価格はピーク時の約3割に急落。
包鋼希土の7~9月期の純利益は前年同期比9割減となり、レアアース関連の磁石メーカーの業績悪化も続く。

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「中国、政治利用が誤算」
「レアアース生産停止」
「管理強化、市場原理ゆがめる」

(中略)

日中対立を受け中国政府は10年秋にレアアースの管理を強化した。
高性能磁石の製造に使うジスプロシウムなどが入手できなければハイブリッド車(HV)用のモーターも作れなくなる。
当時、日本企業は9割以上のレアアースを中国に依存しており、輸出停止で動揺が広がった。
中国政府は日本企業の動揺を見て、外交カードとして利用できると判断した。

(中略)

供給を絞ったためにレアアース価格の急騰を引き起こした。
日本企業は代替品の開発で使用量を削減し、オーストラリアや米国など調達先の拡大にも動いた。
この結果、中国産の需要が急減。
11年夏をピークに価格が下落に転じた。
中国政府は価格てこ入れを狙って12年4月に業界団体を立ち上げて管理を強化。
8月には国内生産能力を2割削減する措置を発表した。
しかし、需要減は止まらず、1~6月期の中国のレアアース輸出量は前年同期比で約4割減った。
日本のレアアース業界関係者は
「今年の対日輸出領は11年の1万8000トンから1万トン程度まで減少し、過去10年間で最低水準となる見通し」
との見方を示す。

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外交問題に基づく両国の経済機会損失の大きさを危惧すると共に、やはり日本が持つ基礎技術分野、基礎科学分野の底堅さを実感します。
幾度となく大不況を乗り越えて鍛え上げられてきた日本の製造業の底力は健在ですね。
しかし政治不安が技術革新をおし進める結果になるとは、つくづく皮肉なものだと感じる次第です。

皆さんはいかが思われますか?

このコラムの著者

堀 明則

堀 明則ほり あきのり

(Hopewill Group)

幅広い事業範囲を武器に

日本企業、個人に対し、香港・シンガポールをハブとした、『日本からア

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