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海外ビジネス コラム

ネットビジネス 2018年11月13日

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越境ECに大きな影響 中国のEC法が可決!

大塚 孝二(株式会社デジタルスタジオ)

近年、中国のEC市場、越境ECは、ますます拡大しているようだ。そのような中、8月31日に開催された全国人民代表大会(中国の国会)では「中華人民共和国電子商務法」が可決され、2019年1月1日より実施されることとなった。

この法律により、来年1月1日より中国向け越境ECで販売する場合、CFDA登録やCCC認証を取得していない製品、商品は税関を通過できなくなるという可能性が出てきた。

今回は1月1日より実施される「中華人民共和国電子商務法」の内容と、この法律が越境ECで販売しているどのような製品に影響するのか、また、認可されるには何が必要かなど調べてみた。

 

越境ECに影響を与える条文は何?

中国のEC法とも呼ばれる「中華人民共和国電子商取引法」が来年1月1日より実施となった。この法律は、中国のEコマース分野の総合的法律として機能し、電子商取引き(EC)の合法的権利を規定し、Eコマースを利用する中国消費者を法律で保護しようとしたものである。

この法律の中で、日本やアメリカ、韓国など中国消費者を対象に商品を販売している越境EC事業者がもっとも影響を受ける条文は「中華人民共和国電子商務法 第26条」である。

26条

第26条は『「電子商務経営者」が越境ECを行う際は、輸出入監督管理などの関連法律・法規を順守する義務を負う。』という内容である。つまり、日本、アメリカ、韓国など越境EC事業者は、中国の輸出入監督管理などの関連法律・法規を順守する義務を負わなければならないというものである。

具体的には、越境ECで販売する商品・製品も一般貿易扱いになり、商品・製品には必要な申請や認証の取得が義務付けられようになる。ここで必要になってくるのが、中国のCFDA登録やCCC認証などの取得で、それぞれ製品内容や申請・取得の方法が異なっている。

CFDA登録やCCC認証などの取得が必要な商品を取り扱っている企業や、まだ認証を取得してない商品を中国向けに越境ECを通じて販売している、または、販売計画を立てている企業は、来年1月以降、越境ECであっても商品が通関できなくなる可能性が高い。

このCFDA登録やCCC認証には、4~6ヶ月以上の期間を要すると言われており、中国向け越境ECで商品を販売している企業は早急に対応が必要である。それでは、CFDA登録とCCC認証とはどういったものだろう。その内容を整理した。

 

CFDAに関する製品の申請、認可までの流れ

「2019年の1月からEMS発送の場合もCFDA認可を必須とする。」と中国政府が発表している。CFDAとは、「China Food and Drug Administration」の略称であり、中国の「國家食品藥品監督管理總局」で、この機関の認可が必要となるのである。

中国でCFDA登録が必要なアイテムは化粧品、医薬品、医療機器、保健食品となっており、1月1日より、この登録の無いCFDA関連商品は通関できない。CFDAの申請から認可登録までには、製品成分チェック、検査資料などの提出、中国における検査など、さまざまな手続きが必要であり、時間も費用もかかる。

下記に化粧品を例にその流れをまとめた。

 

● 化粧品の場合のCFDA申請、許可までの流れ

化粧品は特殊化粧品と非特殊化粧品に分類され、特殊化粧品には、日焼け止め類、シミ取り・除臭類、除毛類、ヘアカラー類、パーマ類、ボディービル類、バーストアップ類、育毛・養毛剤など、非特殊化粧品にはメイクアップ、ケア、芳香剤などがある。

特殊化粧品の場合は、申請から承認までは、約6~8ヵ月程度必要で、費用も60~120万円程度必要だ。非特殊化粧品の場合は、申請から承認までは、約3〜4ヵ月程度必要で費用も40~50万円程度、必要である。申請から登録のまでの流れは下記のような手順で行われる。

 

  1.  1. 中国本土におけるCFDA備案申請
  2.  2. 化粧品の成分チェック
  3.  3. 中国国境内責任会社との契約(中国法人持っている企業は必要ない)
  4.  4. 中国国境内責任会社(又は中国法人)の登録を行う
  5.  5. 書類作成と整理
  6.  6. サンプルを中国へ発送、検査
  7.  7. CFDAへ提出、専門家と審査官により審査
  8.  8. 承認されれば、許可書が発行され、中国販売が可能となる

 

2019年1月1日より、日本から化粧品や医薬品などを中国に販売する場合は、CFDA認可は避けて通れない手続きであり、認可資料がないと通関できなくなる。認可の必要な製品は早急な対応が必要だ。

 

CCC認証に関わる製品の申請から認証までの流れ

中国にはCCC制度という、中国国内に輸入される電気・電子製品などにはCCC認証が無いと輸入、販売が許可されないという制度がある。この制度で輸入、販売が許可されるのは、CCC認証された製品のみであり、 製品は中国の技術標準・規格に適合し認証されれば、CCCマークを表示する必要がある。

CCCマーク

CCC認証の対象となる製品は、中国政府の「国家品質監督検験検疫総局(AQSIQ)」及び「国家認証認可監督管理委員会(CNCA)」から定期的に発表されており、現在は20カテゴリー158品目が対象となっている。20の製品カテゴリーは下記の内容となっている。

 

  1.  1. 電線ケーブル類
  2.  2. 電気回路スイッチ及び保護又は接続用の電気機器装置
  3.  3. 低圧電気機器
  4.  4. 小電力モーター
  5.  5. 電動工具
  6.  6. 電気溶接機
  7.  7. 家庭用及びこれに類する用途の設備
  8.  8. オーディオ・ビデオ設備類
  9.  9. 情報技術設備
  10.  10. 照明機器
  11.  11. 自動車製品及び車部品
  12.  12. タイヤ製品
  13.  13. 強化ガラス製品
  14.  14. 農機製品
  15.  15. 通信端末類製品
  16.  16. 消防製品
  17.  17. 防犯製品
  18.  18. 無線 LAN 製品
  19.  19. 装飾内装製品
  20.  20. 玩具類製品

 

● 認証申請から継続工場審査までのステップ

ステップ01
申請人は中国へ輸出しようとする製品の認証取得のため、実施規則に基づき、製品の説明書面(図面、材料特性、製造方法、主要部品のメーカー等)と生産(予定)工場の設備、検査・試験機器、品質保証体制の書面及び中国での型式試験用サンプル品をもって、認証機関CQC(China Quality Certification Centre)へ申請する。

ステップ02
認証機関CQCは申請された書面の審査及び送付されたサンプル品を中国国内の試験機関において、中国国家標準(GB)に基づき、型式試験を実施し、合否を判定する。

ステップ03
申請書面とサンプル品の型式試験が合格と判断された後、CQC審査員は生産(予定)工場にて、サンプル品と同等の製品を生産し、保証する能力があることを確認するため工場に来日し、初回の工場審査を実施し、合否を判定する。

ステップ05
申請書面審査、製品型式試験及び初回工場審査に合格するとCQCから認証書が発行される。認証工場はCCCマークを付けた認証製品の生産を開始し、中国へ出荷することができる。認証書発行以降は、その製品内容を変更しようとする場合は、必要に応じて変更申請が必要となる。認定書の有効期間は5年間となっている。

ステップ05
CQC任務書に基づき、審査員による部品は1日間、タイヤ/ガラスは2日間、自動車本体などは工場継続審査実施(原則1回/年)が行われ、合否が判定され、報告書を作成しCQCへ提出される。CQCの認定不合格の場合は改善処置が認められるまで、認証書の有効性が制限されることがある。

 

まとめ

2019年1月1日から、T-MALL国際、JDモール、タオバオなのの中国ECモールでの商品販売、または、独立系越境ECサイトで中国消費者に向けて商品を販売している越境EC事業者は、CFDA登録、CCC認定されていない製品・商品は中国通関できなくなる。当然、保税倉庫を活用した物流もその対象となるので注意が必要だ。CFDA申請、CCC認定の必要な製品は、中国税関で没収されないためにも、一刻も早く手続きを開始する必要がある。

このコラムの著者

大塚 孝二

大塚 孝二

(株式会社デジタルスタジオ)

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