技能実習と特定技能の違いを徹底比較|2027年廃止前に押さえるポイント
「技能実習と特定技能、何が違うのか正直よくわからない」——外国人採用を検討し始めた人事担当者や経営者から、こうした声をよく耳にします。似て非なる2つの制度は、目的・在留期間・転籍の自由度・対応業種・採用コストのすべてにおいて異なる仕組みを持っています。
2024年6月、技能実習制度を廃止し新たに「育成就労制度」を創設する改正法が成立し、2027年4月の施行が予定されています。制度移行まで残り1年余りとなったいま、現行2制度を正確に理解することは中長期の採用戦略を立てるうえで不可欠です。
本記事では、技能実習と特定技能の違いを5つの観点から徹底比較し、2027年以降の制度変更への対応ポイントも解説します。外国人採用を初めて検討する方も、採用体制を見直したい方もぜひ最後までお読みください。
この記事でわかること
- ・技能実習制度と特定技能制度それぞれの目的と仕組みの基本
- ・在留期間・転籍可否・採用コストなど5つの観点での違い
- ・2027年施行の育成就労制度への移行ポイントと自社への影響
▼目次
1. 技能実習制度とは
設立目的と対象者
技能実習制度は1993年に設けられた制度で、「日本で培われた技能・技術・知識を発展途上国等へ移転し、その国の経済発展に寄与する」ことを公式の目的としています。開発途上国の若者が日本企業で実際に働きながら技術を習得し、帰国後にそれを活かすという「技術協力」の枠組みとして設計されました。
受け入れ対象者は18歳以上の外国人で、原則として日本に在留経験のない方が対象です。2023年末時点の在留技能実習生数は約40万人に上ります(出典:出入国在留管理庁「在留外国人統計」2023年)。
受け入れ方法は、監理団体(事業協同組合などの非営利団体)を介する「団体監理型」と、企業が直接送出機関と契約する「企業単独型」の2つがありますが、実態としては団体監理型が9割以上を占めています。技能実習については長年「安価な労働力の確保手段」という批判も根強く、こうした問題を受けて政府が抜本的な制度見直しに踏み切ることになりました。
対応職種・在留期間
技能実習が認められる職種は農業・漁業・建設・食品製造・繊維・機械・電気電子など多岐にわたり、2024年時点で88職種・161作業が対象となっています(出典:外国人技能実習機構「技能実習制度の概要」2024年)。
在留期間は段階別に定められており、技能実習1号(最長1年)→技能実習2号(最長2年)→技能実習3号(最長2年)という順で進み、合計で最長5年間の在留が可能です。ただし2号から3号への移行は、優良な監理団体・実習実施者の要件を満たした場合に限られます。
また技能実習は転籍(他企業への移動)が原則禁止されており、在留期間中は基本的に受け入れ企業のもとで勤務し続けることが求められます。このルールが特定技能との決定的な違いであり、制度全体の課題としても広く認識されています。
2. 特定技能制度とは
設立目的と対象者
特定技能制度は2019年4月に創設された比較的新しい在留資格です。技能実習が「技術協力」を名目とするのに対し、特定技能は「深刻な人手不足が生じている特定の産業分野において、即戦力となる外国人材を確保する」ことを正面から目的に掲げています。
対象者は、日本語試験と職種別の技能試験の両方に合格した外国人です(技能実習2号修了者は試験免除)。「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)N4」以上が求められるため、一定のコミュニケーション能力が保証されています。
受け入れ企業は「登録支援機関」に生活支援・行政手続き補助などを委託することも可能です。技能実習の監理団体とは異なり、委託は義務ではなく自社で対応できれば不要です。
2024年の16分野拡大(最新情報)
特定技能は創設当初12分野が対象でしたが、2024年3月に「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野を追加し、計16分野へ拡大することが閣議決定されました(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度の概要」2024年3月)。これにより物流・運輸・林業関係の企業でも活用が可能となっています。
在留資格は特定技能1号と特定技能2号の2種類があります。1号は通算5年まで在留可能、2号は在留期間の上限がなく家族帯同も認められます。2号への移行には実技試験等の合格が必要で、長期・安定的な就労を可能にする仕組みが整いつつあります。
3. 技能実習と特定技能の5つの違い
① 制度の目的
最も根本的な違いは制度の設計思想にあります。技能実習は「国際貢献・技術移転」を名目として設けられた制度で、帰国後の活用を前提とした技能習得の場として位置づけられています。そのため在留中の活動範囲が限定され、転籍や職種変更に厳しい制約が課されます。
これに対し特定技能は、日本国内の人手不足解消を直接の目的とした実務的な在留資格です。即戦力となる外国人材の受け入れを明示しており、日本社会への定着・長期就労も想定されています。「即戦力として長く働いてほしい」なら特定技能が、「一定期間集中的に技能を習得させたい」なら技能実習(または今後の育成就労)が適しています。
② 在留期間・更新可否
技能実習の在留期間は最長5年間(1号1年+2号2年+3号2年)が上限で、それ以上の延長は原則できません。
特定技能1号は通算5年まで在留可能で、同一分野であれば企業をまたいで更新し続けられます。特定技能2号へ移行した場合は在留期間の上限がなく、家族帯同も認められます。
技能実習2号または3号の修了者は試験免除で特定技能1号に移行できるため、技能実習→特定技能1号→特定技能2号という流れで長期就労・定住につながる道筋を描くことも可能です。
③ 転籍・転職の自由度
技能実習は原則として転籍禁止です。特別な事情(実習実施者の倒産・重大な人権侵害など)がない限り、在留期間中は受け入れ企業での勤務継続が求められます。企業側からすれば「採用した人材が途中でいなくなるリスクが低い」というメリットがあります。
特定技能は同一の業務区分内であれば転職が可能です。労働者の自由度が高まる一方、企業側には「育てた人材が転職してしまう可能性」があります。定着率向上のために給与水準・職場環境・キャリアパスの整備が重要です。
2024年の法改正(育成就労制度)では転籍禁止が一定要件のもとで緩和される方向が示されており、2027年施行後はルール全体が見直される見込みです。
④ 対応業種・職種
技能実習は88職種・161作業と対象範囲が広い一方、職種ごとに細かい「作業区分」が定められており、受け入れ企業はその区分内の業務しか従事させることができません。製造業・農業・漁業などが中心となります。
特定技能は現在16分野で受け入れ可能で、分野内であれば幅広い業務に対応できる柔軟性があります。介護・外食業・宿泊業など幅広いサービス業も対象としており、サービス業での活用に向いているのが特定技能の特徴です。
どちらの制度も対応していない業種(IT・金融・士業など)での外国人採用には、「技術・人文知識・国際業務」などの別の在留資格を検討する必要があります。
⑤ 採用コスト・手続き
技能実習の採用では、送出機関への費用・監理団体への管理費(月額2〜5万円程度)・入国前の日本語研修費などが発生します。送出機関費用は国や機関によって差がありますが数十万〜100万円を超えるケースも珍しくなく、初期費用が高額になりやすい構造です(費用は企業負担が義務で本人への転嫁は禁止)。
特定技能の採用では登録支援機関への委託費(月額2〜3万円程度)が中心となり、送出機関費用が不要なため初期コストは相対的に抑えられる傾向があります。ただし国籍・職種・エージェント利用有無で大きく変わるため、複数社に見積もりを取ることが重要です。
4. 2027年の制度改正:育成就労への移行点
育成就労制度の概要
2024年6月、「技能実習制度及び特定技能制度の適正化並びに特定技能制度の整備に関する法律」が成立しました。この改正により、技能実習制度は廃止され、新たに「育成就労制度」が2027年4月に施行される予定です(施行時期は政令で定められるため前後する可能性があります)。
育成就労制度の特徴は、制度目的を「国際貢献」から「人材の育成と確保」へと転換した点にあります。在留期間は原則3年間で、修了後は特定技能1号への移行が想定されています。また転籍についても、一定要件(同一業務区分内・一定期間の就労実績など)を満たした場合に認める方向で、外国人労働者の権利保護が強化されることが期待されています。
今の技能実習・特定技能はどうなる?
2027年4月の施行時点で在籍中の技能実習生には経過措置が設けられ、従来の制度が引き続き適用されます。新規の技能実習での入国受け入れは施行後に終了し、以降は育成就労制度での受け入れとなります。
一方、特定技能制度は廃止されず存続します。今回の改正は技能実習の廃止・育成就労への移行が中心であり、特定技能の枠組み自体は維持されます。2027年以降は「育成就労→特定技能」というキャリアパスが標準ルートとなるため、採用計画を立てるにあたっては出入国在留管理庁の公式情報を継続的にウォッチすることが重要です。
5. 自社にはどちらが向いている?判断基準
制度選択の判断ポイント
技能実習と特定技能のどちらが自社に向いているかは、「採用目的」「受け入れ期間」「転籍リスクへの許容度」「業種・職種の適合性」「予算」の5点で判断するのが基本です。
特定技能が向いているケース:即戦力として採用したい・長期雇用を見据えている・サービス業や運輸・林業など新分野で活用したい・初期コストを抑えたい、という場合です。特定技能2号への移行を視野に入れれば、長期的かつ安定した雇用関係を築くことができます。
技能実習(今後は育成就労)が向いているケース:製造業・農業・漁業など対象職種に自社業種が含まれており、一定期間集中的に技能を習得させたい・転籍リスクをできるだけ抑えたい場合です。ただし2027年以降は育成就労への移行が必要なため、移行タイミングを慎重に計画することが求められます。
いずれの制度でも、社内の受け入れ体制の整備が採用成功の鍵です。初めて外国人採用に取り組む企業は、採用支援の専門企業や登録支援機関のサポートを積極的に活用することをおすすめします。
6. よくある質問(FAQ)
Q1. 技能実習と特定技能は同時に利用できますか?
同時利用はできませんが、技能実習2号または3号修了者は特定技能1号に無試験で移行できます。技能実習修了後も継続雇用したい場合に有効なルートです。
Q2. 特定技能1号と2号の違いは何ですか?
1号は通算5年まで在留可能で家族帯同は原則不可です。2号は在留期間の上限がなく家族帯同も認められています。2号への移行には実技試験等の合格が必要で、対象分野は1号より限られています。
Q3. 技能実習制度はいつ廃止されますか?
2024年6月に改正法が成立し、2027年4月に施行される予定です(施行日は政令で定められ前後する可能性あり)。施行後は新規の技能実習での入国受け入れが終了し、育成就労制度に移行します。
Q4. 技能実習と特定技能では採用コストはどちらが低いですか?
一般的に特定技能のほうが低い傾向があります。技能実習は送出機関費用が数十万〜70万円程になるケースもある一方、特定技能は登録支援機関への費用が中心で比較的抑えられます。国籍・職種・エージェント利用有無によって異なるため、個別に見積もりを取ることが重要です。
Q5. 特定技能の対象分野は現在何分野ありますか?
2024年3月の閣議決定により、従来の12分野から16分野に拡大されました。追加された4分野は「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」です。建設・介護・農業など幅広い業種で活用されています。
7. まとめ
本記事では、技能実習と特定技能の違いを5つの観点(目的・在留期間・転籍の自由度・対応業種・採用コスト)から比較し、2027年の育成就労制度への移行ポイントについて解説しました。
技能実習は「技術移転・国際貢献」を名目とした制度で在留最長5年・転籍禁止・製造業や一次産業が中心である一方、特定技能は「即戦力の人手不足解消」を目的とし、1号最長5年・2号は上限なし・16分野に対応しているのが最大の違いです。
2027年以降は「育成就労→特定技能」というキャリアパスが主流となります。自社の業種・採用目的・予算に合った制度を選び、出入国在留管理庁の公式情報と専門家のサポートを活用しながら準備を進めることをおすすめします。
8. 優良な外国人採用支援企業をご紹介
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参考文献
・出入国在留管理庁「在留外国人統計」(2023年)
https://www.moj.go.jp/isa/policies/statistics/toukei_ichiran_touroku.html
・外国人技能実習機構「技能実習制度の概要」(2024年)
https://www.otit.go.jp/files/user/230106-11.pdf
・出入国在留管理庁「特定技能制度の概要」(2024年3月)
https://www.moj.go.jp/isa/content/001335263.pdf
・法務省「育成就労制度の創設等のための関係法律の整備に関する法律」(2024年6月)
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri06_00149.html
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