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【保存版】2017年の海外ビジネス「7大予測」、日本企業への影響は?

掲載日:2016年12月30日

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photo by Kevin M. Gill on flickr

海外進出を図る日本企業にとって、世界経済動向を知ることは重要です。現地でビジネスをする上では、その国の経済動向を無視することはできません。さらに、その国の経済動向は世界の経済動向から絶えず影響を受けています。

予期し得ぬことが起こった2016年の世界経済。迎える2017年は、さらなる変化が予測されます。その変化を知り、対応することが海外市場で生き残る手段の一つとなります。本記事では、2017年の世界経済予測をするとともに、それらが海外進出を目指す日本企業へと与える影響を予測していきます。2017年、海外進出への一助となれば幸いです。

大きく動いた2016年の世界経済

2016年6月26日の英国のEU離脱交渉決定、11月9日の米国次期大統領選での共和党ドナルド・トランプ氏の勝利に、日本だけではなく世界中から驚きの声が上がりました。こうした出来事により、世界情勢は今後大きな変化が予測されます。事実、EU離脱よって世界の投資家は不安をつのらせ、英ポンドは急落しました。EU離脱が実行されれば今までかからなかった関税や、手続きが増えることになるでしょう。また、「アメリカ第一主義」という思想のもと、国内の雇用創出や大型インフラ投資を掲げる「トランプ・アメリカ」の政策には期待が集まり、新興国から投資マネーがアメリカへと流入しました。特にマレーシアなどでは通貨安が深刻で、政府は対策を取らざる負えない状況となりました。

そういった影響はもちろん日本企業にも出てきています。円安が進み輸出産業の追い風となるかと思えば、トランプ次期大統領が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)からの離脱や、北米自由貿易(NAFTA)の見直しを検討していることもあり、最大の輸出国家であるアメリカに進出する日本企業への影響も危惧されています。

もちろん、EU離脱やトランプ大統領といったことだけではなく、多くの出来事が日本企業の海外ビジネスに影響を与えるでしょう。そこで、2016年までの経済動向を踏まえた上で、2017年に控える世界経済の変化を7つ予測しました。それらが日本企業へと与える影響も含め、解説していきたいと思います。

予測1:「パリ協定」の影響から環境産業の商機が拡大する

2016年11月4日、2020年以降の地球温暖化対策「パリ協定」が発効することが決まりました。「パリ協定」は、2015年12月のCOP21で採択されました。その後米中、インド、EUなど、既定数の55か国以上が批准し、発効に至りました。今後、世界が厳しい対策を取らなければ、地球の平均気温は2100年には最大4.8度上昇し、大規模な被害が世界中で起こると言われています。深刻化する地球温暖化に対して世界中の国が、行動を始めることになりました。

その中で、日本の経済産業省は、海外に向け政府開発援助(ODA)や国際協力銀行(JBIC)の融資などを行い、日本国内の温暖化ガス排出量(15年度で約13億トン)を上回るガス削減に向けた貢献をする計画を発表しています。低炭素技術やノウハウを世界での排出削減に生かすことで、日本の技術による削減効果を世界に訴え、今後の環境ブームでの日本技術の輸出を狙っています。

また、先行するドイツなどの洋上風力発電設備や、太陽光発電といった再生可能エネルギー分野に投資する企業が増えることが予測されます。先進技術に投資し、そのノウハウや実績を得ることで、発展途上でありながら経済成長によりエネルギー需要の高まる東南アジアなどで経済活動を広げていく日本企業の動きが予測されます。

予測2:ロシアやミャンマーでの投資が拡大する

2016年、安倍首相によって、日露経済交流の促進に向けた8項目の経済協力プランが発表されました。エネルギー分野や都市開発を中心に、食品や医薬産業でも投資拡大が進められていきます。また、2016年12月16日にロシアのプーチン大統領が来日した際は、経済協力に関する合意文書を交わし、2017年以降に日本企業進出の商機が拡大することを予期させました。2016年は、三井物産や丸紅といった大手企業のロシア進出が目立ちましたが、今後中小企業のロシア進出にも期待が高まります。

そして2016年10月、アウン・サン・スー・チー氏の活躍もあり、米政府が旧軍事政権に協力的だったミャンマー企業に対する経済制裁を解除しました。それにより、制裁に縛られていた現地有力企業が飛躍する契機になるほか、今後米企業や外資企業からのミャンマー投資も拡大する見通しとなりました。輸出業の成長などで国内産業が発展すれば、課題であるインフラ改善が進み、ミャンマー進出にも大きなメリットをもたらします。その中で、アウン・サン・スー・チー氏は日本企業への積極的な投資を呼びかけていることもあり、「アジア最後のフロンティア」と言われるミャンマーに進出する日本企業は今後、増加することが予測されます。

このように、2017年には、今まであまり進出の進んでいなかった未開拓の国への進出が期待できます。

予測3:インバウンド市場は成長し続ける

訪日観光客がここ数年、急増し続けています。2015年の訪日外国人観光客の数は1973万人と、前年度比47.1%増で過去最高値を記録していました。しかし、2016年10月時点で訪日外国人観光客数が、2015年度を上回る2011万人に達したと観光局が発表しています。最終的にその数は2400万人前後に伸び、2017年はさらなる拡大が予期されます。一方で、中国経済の低迷などによる「爆買い終了」も叫ばれており、ブランド品から生活用品へとニーズが移ったりするなど、消費額は落ち込みをみせていました。

2017年インバウンド事業においても、そうした変化への対応が求められます。生活必需品や、観光資源に商機が拡大することが予測され、日本企業のインバウンドビジネス戦略に注目が集まります。

予測4:越境EC市場が拡大、注目はインドネシア市場

国際電気通信連合(ITU)によって発表された2016年の世界インターネット普及率は47%でした。一方、先進国は80%となっております。新興国では今まさに急速に普及が進んでおり、2017年さらにインターネット市場は拡大していくと予測されています。例えば2016年、中国ではモバイル端末の急速な普及により、インターネット人口も急増しました。未だ利用率が50%であるにも関わらず、そのインターネット人口は日本の5倍にもなります。当然、EC市場も急速に拡大しています。拡大し続けるインバウンド市場も後押しし、「日本製品」の人気がさらに高まるとともに、越境EC市場の拡大も予測されます。

その中で注目したいのはインドネシアです。ジョコ・ウィトド大統領は「2020年までに、国内EC産業の規模を1,300億米ドル(約13兆8,741億円)にすると掲げています。インドネシアは、世界4位の人口数を誇る一方、まだまだインターネットの普及率が約22%と高くありません。しかしそれでもなお、5000万人以上の人がインターネットを使っており、かつ成長余地が大きくなっています。親日国であり元々日本商品の人気は高いため、2017年での更なるインターネットの普及とともに越境EC市場での日本商品の販売拡大が期待できます。

予測5:AIやIoT技術の発達により、世界的に無人化・ロボット化が進む

世界的にロボットや人工知能(AI)、あらゆるものをインターネットとつなげる「IoT」への投資が進んでいます。

2016年12月、米アマゾン・ドット・コムは無人化されたコンビニエンスストアを展開することを発表しました。センサーやカメラを張り巡らせてレジや警備を無人化し、入店時に客がゲートにスマートフォン(スマホ)をかざすと本人確認します。センサーなどが商品を認識し、退店時にスマホを通じて自動決済するシステムです。

また、自動運転普及に向けて民間最大の「世界連合」が結成されることも発表されています。日本企業からはトヨタ自動車や日産自動車、SOMPOホールディングスが参加し、独フォルクスワーゲンやBMW、米ウーバーテクノロジーズも参加し、本格普及に向け世界が動き出します。

2017年、日本政府、そして日本企業はこうした動きに対応することが求められます。仕事はどんどん自動化されていき、それに伴い失われていく仕事も増えていきます。ロボットやAI、IoTへの投資が進んでいく中で、人間の行う仕事を見つめ直す1年にもなるのではないでしょうか。

予測6:揺れる欧州、急がれるEPA合意

2017年、欧州の政治面では、各国で反EUの動きが勢力を強める可能性があります。2016年の英国EU離脱交渉決定や、米国で過激発言を繰り返していたドナルド・トランプ氏の米次期大統領就任が決定したことが、2017年3月にオランダで、5月にフランスで、9月にドイツで行われる国政選挙に影響を与えることが懸念されています。反EUの動きが強まればEU統合の流れが停滞し、EUの国際的地位も低下することが考えられます。また、こうした事態への懸念から投資家がリスク回避志向を強め、重債務国を中心に信用不安が再燃する危険性もあります。

世界経済の成長が下振れすれば、日本企業の輸出も悪化を余儀なくされるのは間違いありありません。関税や通関手続きに関する懸念も、イギリスなどに拠点を置くトヨタなど日本車メーカーへの影響は少なくないでしょう。日産自動車、トヨタ自動車、ホンダの3社は、去年1年間にイギリス国内で合わせて78万台余りの自動車を生産しました。これはイギリス国内の全生産台数の半数近くに上っています。その中の多くがEU各国に輸出されていて、関税などの影響は甚大なのです。

その中で、日本政府と欧州連合(EU)は、経済協定(EPA)交渉の2017年早期での大筋合意を目指すことで一致しています。大規模な選挙が相次ぐ前に結論を出してしまおうというわけです。EPAでは、自動車部品にかける関税のうち8割前後が即時撤廃される見通しとなっています。実現すれば日本企業にとっては大きなメリットとなるでしょう。とにもかくにも、2017年の欧州各国の動きに日本企業が影響されることは間違いなさそうです。

予測7:2017年1月20日、ドナルド・トランプ大統領誕生へ

2016年11月9日、米次期大統領選挙の結果、共和党ドナルド・トランプ氏が次期大統領に就任することが決定しました。2017年1月20日に正式就任した後、TPP離脱やNAFTAの見直しが進みそうな気配です。そうしますと、NAFTAの恩恵をうけるため、メキシコに米国への輸出拠点を設けているトヨタなどの日本企業にとっては大打撃となります。

その一方で、米国国内進出へのメリットは高まると予測されます。雇用創出と大型インフラ投資を掲げる「トランプ・アメリカ」はその政策に協力的意向を見せる日本企業の進出は歓迎しています。2016年、ソフトバンクは米国での「5万人の雇用創出」を発表しました。トランプ氏は孫社長を歓迎しています。また、三井住友銀行は、トランプ氏の政策である積極的な財政出動でインフラ投資が増えれば、物流需要の拡大につながると考え、米国の貨車リース事業を買収しました。

2017年、いまだTPPやNAFTAの今後に不透明感が残る中、トランプ氏の政策に基づいた米国への進出に日本企業の商機が広がっています。

まとめ

トランプ氏の就任や欧州の大規模な選挙を控える中、2017年日本企業に求められるのは「対応力」です。人口減少などによる国内市場の縮小はもちろん、インバウンド事業の拡大や、高まる国外からの日本需要へ、より多くの日本企業が対応していくことになるでしょう。その中で、各国の文化・人・経済などに合わせて「日本式」をアピールしていくことが、2017年に日本企業が求められていくことだと考えています。2017年の日本企業の世界での活躍に期待します。

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