【2025年度版】Z世代の心をつかめ！台湾の若年層に刺さるマーケティング＆ブランディング戦略とは？

掲載日：2025年06月24日

ワールド・モード・ホールディングス株式会社

2025年3月11日発売の日経MOOK「中堅・中小企業のASEAN進出」2025年版にて、ワールド・モード・ホールディングス（WMH）の海外進出支援に関する取り組みが紹介されました。本誌は、日本企業がASEAN市場へ進出する際に必要な基礎知識や、各分野での成功事例をまとめた一冊です。WMHは、海外での人材採用支援や店舗運営サポートなどを通じた ASEAN地域での実績・事例を中心に、見開き2ページにわたって掲載されています。 ASEAN市場への展開を検討されている企業様にとって、実践的なヒントやパートナー選びの参考として、ぜひご一読ください。

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台湾のZ世代は、情報感度が非常に高く、ブランドを選ぶ際に単なる「おしゃれさ」や「流行」だけでなく、その背景にあるストーリーや価値観に強く共感できることを重視します。多様性、サステナビリティ、社会貢献といったキーワードは、この世代にとってブランド選びの重要な基準です。そのため、日本ブランドが台湾市場でZ世代の支持を得るには、商品力だけでなく、ブランドの在り方や発信の仕方においても徹底したローカル適応が求められます。

本記事では、台湾のZ世代の価値観をひも解き、どのようにブランドを設計し、どのようなチャネルで彼らの心に届くマーケティングを展開すべきかを詳しく解説します。台湾市場への進出や戦略見直しを検討される企業様に、現地で支持を得るための実践的なヒントをお届けします。

▼ 【2025年度版】Z世代の心をつかめ！台湾の若年層に刺さるマーケティング＆ブランディング戦略とは？

1.台湾のZ世代を理解する3つのキーワード
2.Z世代に響くブランドづくりの3原則
3.チャネル別アプローチ戦略
4.Z世代に刺さった日本ブランドの事例
5. 台湾Z世代市場で成功するための実務ポイント
6.まとめ：Z世代に響くのは“カッコよさ”ではなく“共感とストーリー”

1.台湾のZ世代を理解する3つのキーワード

キーワード1：共感消費

台湾のZ世代は、ただモノを手に入れるだけの消費では満足しません。購入という行為を通じて、自分自身の価値観やスタンスを表現したいと考える人が多いのが特徴です。サステナビリティ、多様性、ジェンダーフリー、社会貢献といったテーマを明確に打ち出しているブランドが強く支持されます。これは、彼らが消費行動そのものを「社会とのつながり」や「自分の信念の表明」ととらえているためです。単なる機能やデザインだけでなく、ブランドが何を信じ、どんな未来を描こうとしているのか、その背景にある物語が重視されています。

キーワード2：自己表現の延長としての消費

台湾のZ世代にとって、コスメやファッション、雑貨などの購買は、自己表現の手段のひとつです。周囲と同じものではなく、「自分らしさ」を表現できるモノやブランドに惹かれる傾向が強くあります。そのため、カスタマイズ性や限定性、ストーリーのある製品が歓迎されます。InstagramやXiaoHongShuなどのSNSに「自分のスタイル」として投稿しやすいかどうかも、購買を決める重要な要素となっています。商品そのものだけでなく、購入後の体験までが自己表現の一部として消費されています。

キーワード3：SNS・動画ネイティブ

台湾のZ世代は、生まれた時からインターネットやスマホ、SNSに慣れ親しんでいるデジタルネイティブ世代です。特にTikTok、Instagram、XiaoHongShuといったビジュアル重視のSNSでの情報収集・購買判断が当たり前となっています。文字情報よりも動画や画像で感じ取る“雰囲気”や“世界観”を重視するため、ブランド側はビジュアルコンテンツの質と統一感に注力する必要があります。SNS上で自然に拡散される工夫や、参加型キャンペーンなどが彼らの心を動かす鍵です。

2.Z世代に響くブランドづくりの3原則

① 意図のあるストーリーテリング

台湾のZ世代は、単なる商品説明やスペックだけでは動かされません。ブランドや製品が「なぜこの世に生まれたのか」「どんな社会的意義を持っているのか」といった意図やストーリーに強く共感します。特に社会課題への姿勢や、創業者の想い、開発者の理念といった背景が語られているブランドは、Z世代からの信頼を得やすい傾向にあります。このため、PR素材やSNS投稿、店頭での説明においても、どの場面でも一貫してストーリーを発信し続けることが重要です。共感は、物語の共有から始まります。

② ブランドの“透明性”と誠実さ

台湾のZ世代は、ブランドの「裏側」にも目を光らせています。どこで、誰が、どのように作ったのか、成分や原料はどこから来たのか、価格の理由は何か。こうした情報が積極的に開示されているブランドに安心感と信頼感を抱きます。さらに、SNSでの双方向コミュニケーションや、ライブ配信での直接的な対話も、誠実さを伝える有効な手段です。企業としての姿勢が、透明で誠実であること。それがZ世代に選ばれる大前提となります。

③ 見た目と体験を“バズらせる”工夫

台湾のZ世代はSNSを通じて「体験をシェアすること」そのものを楽しんでいます。そのため、製品やブランドの世界観が、自然と写真や動画に収めたくなるものであることが重要です。映えるパッケージデザイン、限定アイテム、SNS投稿したくなるイベント、使い方動画など、拡散される仕掛けをあらゆる接点に組み込みましょう。Z世代は、見た目や体験に共感し、共感したものを自ら拡散するパワーを持つ世代です。

3.チャネル別アプローチ戦略

SNS（Instagram / TikTok）

台湾のZ世代は、InstagramやTikTokといったビジュアル中心のSNSを情報収集や購買判断の主要な場として活用しています。そのため、SNS戦略では見た目の統一感、ブランド世界観の一貫性が不可欠です。投稿写真・動画・ストーリーなど、すべてのコンテンツで「ブランドらしさ」が感じ取れるデザインやトーンを意識する必要があります。さらに、#マイベストルックなどユーザー生成コンテンツを促進するハッシュタグ施策や、フォロワー数だけでなく「共感力」を持つKOLとのコラボが拡散力を高めます。SNSは、Z世代の共感の起点です。

ECモール（Shopee / Pinkoiなど）

台湾のZ世代にとって、ECモールでの購買は日常の一部です。Shopee、Pinkoiといった現地モールでは、モール内のランキングやレビュー表示が購買決定に直結します。レビューが充実していること、写真付きのリアルな評価があることが安心感につながるため、ローンチ時からUGC（ユーザー生成コンテンツ）を増やす工夫が求められます。また、双11や父の日など、台湾特有の商戦イベントに合わせたプロモーション設計も売上拡大の鍵です。言語は繁体字・英語・日本語を併記し、観光客層の取り込みも意識します。

ポップアップ・イベント

Z世代は体験型のマーケティングに強く反応します。ポップアップやリアルイベントは、ブランドの世界観を直接感じてもらう絶好の機会です。インスタ映えするフォトブース、限定ノベルティ、AR演出など、体験を「自分ごと化」できる仕掛けがあると自然な拡散が期待できます。開催場所は、感度の高い若者が集まる華山、信義エリアなどが最適です。イベントとSNS、ECを連動させ、「体験→投稿→購入」までの一貫した導線を作ることが成功のカギとなります。

4.Z世代に刺さった日本ブランドの事例

■ A社（メンズ・ユニセックスアパレル）

“着ることで自分らしさを表現できる”というコンセプトを訴求。台湾現地でZ世代のKOLを起用したキャンペーンが話題を呼び、XiaoHongShuで投稿が拡散。

■ B社（カラーメイクブランド）

台湾の若年層向けに“自己表現カラー診断”を展開し、限定カラーをEC販売。TikTokの使用動画がバズり、初回在庫が即完売。

■ C社（スキンケアブランド）

ライブ配信で開発者が直接製品解説を行い、“誠実さ”と“親しみやすさ”を強調。コメント対応を丁寧に行い、若年層からの支持を着実に獲得。

5. 台湾Z世代市場で成功するための実務ポイント

ローカルパートナー選びの重要性

台湾市場でZ世代にリーチするには、信頼できる現地パートナーの存在が欠かせません。たとえば、現地KOLとのマッチングを得意とするPR会社、台湾独自のSNS文化に精通したデジタルマーケティング企業などと組むことで、プロモーションの精度が格段に高まります。日本語対応可能なパートナーを選ぶことも、進行のスムーズさや誤解を防ぐうえで重要です。また、パートナー選定時には「Z世代視点での実績があるか」「ブランドの価値観と方向性が合うか」を必ず確認し、単なるアウトソーシングに終わらせない協働体制を築くことが成功のカギです。

レビュー・UGCのマネジメント

台湾のZ世代は、商品の詳細情報よりも「実際に使っている人の声」に強く影響を受けます。そのため、レビューやSNSでのUGC（ユーザー生成コンテンツ）を戦略的に増やす取り組みが必要です。初期段階ではサンプル配布や限定特典を通じて投稿を促し、ポジティブな口コミの土壌を作りましょう。一方で、ネガティブレビューへの対応も見逃せません。迅速で誠実な対応が、Z世代の信頼感を高めることにつながります。UGCは“放置するもの”ではなく、ブランド価値を高める資産と位置づけ、能動的にマネジメントしていく姿勢が求められます。

ローンチ後のPDCAを徹底する

台湾のZ世代市場では、マーケティング施策は一度打って終わりではなく、データをもとにした改善のサイクルが成否を分けます。SNSのエンゲージメント率、ECでの成約率、口コミやレビューの内容、イベント集客データなどを逐次集計し、どの施策がどの反応を生んだのかを明確に検証することが重要です。特にZ世代は流行やトレンドの移り変わりが早いため、仮説と検証を小さな単位で繰り返すことで、マーケティングの精度とスピードを高める必要があります。データドリブンでPDCAを徹底することが、持続的なブランド支持を獲得する近道です。