【2026年最新】台湾での会社設立ガイド|法人形態・手続き・費用・必要書類をわかりやすく解説
台湾は日本から地理的に近く、親日的なビジネス環境が整っていることから、海外進出先として高い人気を誇ります。2025年時点で日系企業約3,000社が台湾に拠点を構えており、IT・製造業・飲食業を中心に進出が続いています。
しかし、台湾で会社を設立するには、法人形態の選択、投資審議委員会への申請、商業登記など複数のステップがあり、日本とは異なる手続きも少なくありません。本記事では、台湾での会社設立に必要な法人形態の種類、設立手続きの流れ、費用・資本金の目安、注意点を2026年最新情報でわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- ・台湾の法人形態は主に4種類。有限公司と股份有限公司が外国企業に多い選択肢
- ・設立には投資審議委員会の許可が必須。手続き全体で2〜3ヶ月が目安
- ・費用は専門家への代行費用を含め30万〜80万円程度。資本金は就労ビザ取得のため50万台湾ドル以上が推奨
▼台湾での会社設立ガイド
1. 台湾での法人形態の種類と特徴
台湾で外国企業が選択できる法人形態は、主に以下の4種類です。それぞれの特徴を理解し、事業の規模や目的に合った形態を選びましょう。
有限公司(合同会社に相当)
有限公司は、台湾で日系企業が最も多く採用する法人形態です。出資者(社員)全員が有限責任を負い、出資額を限度とした責任範囲で事業を行います。
主な特徴:
- ・出資者は1名以上でOK(法人・個人どちらでも可)
- ・株式の発行が不要で、設立手続きが比較的シンプル
- ・取締役会の設置義務がなく、運営の自由度が高い
- ・定款変更には出資者全員の同意が必要
中小規模の事業や、日本の親会社が100%出資する子会社として設立する場合に適しています。
股份有限公司(株式会社に相当)
股份有限公司は、日本の株式会社に近い法人形態です。株式を発行でき、将来的な資金調達や上場を視野に入れる場合に選ばれます。
主な特徴:
- ・発起人は2名以上(ただし政府・法人が株主の場合は1名でも可)
- ・取締役3名以上、監察人1名以上の選任が必要
- ・株式譲渡が比較的自由で、出資者の追加・変更がしやすい
- ・台湾証券取引所への上場が可能
大規模な事業展開や、台湾での資金調達を計画している場合に適した形態です。
支店(分公司)
支店は、日本の本社の一部として台湾で営業活動を行う形態です。台湾で独立した法人格を持たず、本社が台湾での活動に対して全責任を負います。
主な特徴:
- ・独立した法人格がなく、本社と一体とみなされる
- ・台湾で得た利益は本社に直接帰属する
- ・登記には本社の登記簿謄本(認証済み)が必要
- ・在台責任者の選任が必要
台湾市場の調査を兼ねた営業活動を行う場合や、本社と一体で管理したい場合に選ばれます。
駐在員事務所(代表人辦事處)
駐在員事務所は、台湾での営利活動が認められない拠点形態です。市場調査、情報収集、連絡業務などに限定されます。
主な特徴:
- ・営利活動(販売・契約締結など)は不可
- ・市場調査・情報収集・連絡業務のみ可能
- ・設立手続きが最もシンプルで、資本金の払い込みが不要
- ・台湾での売上計上ができないため、法人税の課税対象外
台湾市場への本格進出前の情報収集フェーズで活用されることが多い形態です。
2. 会社設立の手続き・流れ
台湾で外国企業が会社を設立する際の基本的な手続きの流れを、ステップバイステップで解説します。ここでは最も一般的な有限公司・股份有限公司の設立を想定しています。
ステップ1:会社名称の予約
まず、経済部商業司に会社名称の予約申請を行います。希望する会社名が既存の企業と重複していないか確認し、予約します。申請はオンラインでも可能で、審査は通常1〜3営業日で完了します。予約した名称の有効期限は6ヶ月です。
ステップ2:投資審議委員会(投審会)への投資許可申請
外国人・外国企業が台湾で会社を設立する場合、経済部投資審議委員会(投審会、現:投資審議司)への投資許可申請が必須です。申請書類には投資計画書、出資者の身分証明、日本側の会社登記簿謄本(認証済み)などが含まれます。審査期間は通常2〜4週間です。
ステップ3:資本金の送金・払い込み
投資許可を取得したら、台湾の銀行に開設した準備口座(筹備处帐户)に資本金を海外送金します。送金後、銀行から資本金払込証明書を取得します。この証明書は商業登記の必須書類となります。
ステップ4:資本金の検査(会計士による査定)
台湾の公認会計士(CPA)に依頼し、払い込まれた資本金の検査報告書を作成してもらいます。この検査は会社法で義務付けられており、省略はできません。
ステップ5:商業登記(会社設立登記)の申請
経済部商業司に商業登記を申請します。主な提出書類は、定款、取締役・監察人の就任承諾書、資本金検査報告書、会社所在地の使用同意書などです。審査期間は通常5〜10営業日です。
ステップ6:投審会への設立完了届出
商業登記が完了したら、投審会に設立完了の届出を行います。これにより外資投資の事後管理が開始されます。届出は設立登記完了後、所定の期間内に行う必要があります。
ステップ7:税務登記・営業届出
管轄の国税局に税籍登記(統一編号の取得)を申請します。統一編号は台湾での全ての商取引に使用される事業者番号です。あわせて営業届出を行い、営業人としての登録を完了させます。
ステップ8:銀行口座開設・労働保険加入
設立登記完了後、会社名義の銀行口座を開設します。また、従業員を雇用する場合は労工保険(労災保険に相当)と全民健康保険への加入手続きを行います。従業員5名以上の事業所は加入が義務付けられています。
3. 会社設立にかかる費用・資本金の目安
設立手続きにかかる公的費用
台湾での会社設立に必要な公的費用の主な内訳は以下のとおりです(2026年時点の目安)。
- ・会社名称予約:約150〜300台湾ドル(約700〜1,400円)
- ・商業登記費用:資本金額の4/10,000(最低1,000台湾ドル)
- ・会計士による資本金検査:10,000〜30,000台湾ドル(約4.5万〜14万円)
- ・定款の公証費用:5,000〜10,000台湾ドル(約2.3万〜4.5万円)
- ・日本語書類の翻訳・認証費用:案件により異なるが5万〜15万円程度
専門家への代行費用
台湾での会社設立手続きは、現地の会計事務所や法律事務所、会社設立代行業者に依頼するのが一般的です。代行費用の目安は以下のとおりです。
- ・会計事務所への設立代行:50,000〜150,000台湾ドル(約23万〜68万円)
- ・法律事務所への依頼:100,000〜300,000台湾ドル(約45万〜136万円)
代行費用は業者や対応範囲によって幅がありますが、公的費用と合わせて総額30万〜80万円程度が一般的な目安です。
資本金の目安
台湾の会社法上、有限公司・股份有限公司ともに法定最低資本金の定めはありません。ただし、以下の点を考慮して資本金を設定する必要があります。
- ・就労ビザ(工作許可)の取得:外国人が台湾で就労ビザを取得するには、一般的に資本金50万台湾ドル(約230万円)以上が求められます
- ・業種別の最低資本金要件:人材派遣業(500万台湾ドル以上)、旅行業(一定額以上)など、業種によって最低資本金が定められている場合があります
- ・事業運営上の実務的な目安:小規模な事業でも、オフィス賃料・人件費などの初期運転資金として100万〜200万台湾ドル(約450万〜910万円)程度を確保するケースが多いです
4. 会社設立時の注意点
外資規制(ネガティブリスト)の確認
台湾では「外国人投資条例」に基づき、外資の参入が禁止または制限されている業種があります。これをネガティブリストと呼び、経済部が定期的に更新しています。
- ・禁止業種:外国人の投資が認められない業種(例:一部の通信業、公共交通など)
- ・制限業種:外国人の出資比率に上限がある業種(例:一部のメディア関連事業など)
ネガティブリストに該当しない業種であれば、外国企業が100%出資で会社を設立できます。事前に最新のネガティブリストを確認し、自社の事業が該当しないことを確認しましょう。
投資審議委員会(投審会)の審査
外国企業が台湾で会社を設立するには、投資審議委員会(2023年に「投資審議司」に改組)の事前許可が必要です。審査では、投資計画の内容、事業の適法性、資金の出所などが確認されます。
申請書類に不備があると差し戻しとなり、設立スケジュールが大幅に遅れることがあります。書類は中国語で作成する必要があるため、台湾の専門家に依頼するのが確実です。
中国語(繁体字)での書類作成
台湾での会社設立手続きにおいて、提出書類は原則として中国語(繁体字)で作成する必要があります。日本語の書類(登記簿謄本、定款など)は、台湾で認められた翻訳者による中国語翻訳と、公証人による認証が求められます。
また、日本で作成した書類を台湾で使用するには、日本の公証役場での公証、外務省でのアポスティーユ(または認証)、台北駐日経済文化代表処での認証という手続きが必要な場合があります。
登記住所と責任者の選任
台湾での会社登記には、台湾国内の登記住所が必須です。レンタルオフィスやバーチャルオフィスの住所でも登記は可能ですが、実際の事業活動を行うための物理的なオフィスを求められる業種もあります。
また、有限公司の場合は「董事(取締役)」を最低1名、股份有限公司の場合は取締役3名以上と監察人1名以上を選任する必要があります。取締役は台湾居住者でなくても就任可能ですが、少なくとも1名の在台責任者を置くことが求められます。
台湾の税制の理解
台湾で事業を行う場合、以下の主な税金を理解しておく必要があります。
- ・営利事業所得税(法人税):税率20%(課税所得12万台湾ドル以下は免税)
- ・営業税(付加価値税):標準税率5%
- ・源泉徴収税:外国法人への配当送金時に21%(日台租税協定適用で10%に軽減可能)
日本と台湾の間には「日台租税協定」(2017年発効)があり、二重課税の回避や源泉徴収税率の軽減が可能です。設立前に税務の専門家に相談することをおすすめします。
5. よくある質問(FAQ)
Q1. 台湾で会社を設立するにはどのような法人形態がありますか?
外国企業が選択できる主な法人形態は、有限公司(合同会社に相当)、股份有限公司(株式会社に相当)、支店(分公司)、駐在員事務所(代表人辦事處)の4種類です。小〜中規模事業には有限公司、大規模事業や将来の上場を見据える場合は股份有限公司が選ばれることが多いです。
Q2. 台湾での会社設立にかかる費用はどのくらいですか?
公的費用と専門家への代行費用を合わせて、総額30万〜80万円程度が一般的な目安です。主な内訳は、会社名称予約(約300台湾ドル)、商業登記費用(資本金額の4/10,000)、会計士による資本金検査(1万〜3万台湾ドル)、設立代行費用(5万〜15万台湾ドル)などです。
Q3. 台湾での会社設立にはどのくらいの期間がかかりますか?
投資許可申請から営業開始まで、通常2〜3ヶ月程度を要します。投審会の審査に2〜4週間、商業登記の審査に5〜10営業日が目安です。書類の不備や修正があると追加の期間が必要になるため、余裕を持ったスケジュールを組むことをおすすめします。
Q4. 外国人でも台湾で100%出資の会社を設立できますか?
はい、ネガティブリスト(投資制限業種リスト)に該当しない業種であれば、外国人・外国企業が100%出資で会社を設立できます。多くの業種でネガティブリストに該当しないため、実務上は大半の事業で100%外資による設立が可能です。
Q5. 資本金の最低額はいくらですか?
台湾の会社法では法定最低資本金の定めはありません。ただし、外国人が就労ビザ(工作許可)を取得するには資本金50万台湾ドル(約230万円)以上が実務上の目安とされています。業種によっては別途最低資本金要件がある場合もあるため、事前の確認が必要です。
Q6. 台湾で会社設立時に日本語の書類はそのまま使えますか?
日本語の書類はそのまま使用できません。中国語(繁体字)への翻訳と、公証人による認証が必要です。日本の登記簿謄本などは、日本の公証役場での公証、台北駐日経済文化代表処での認証を経て使用します。
Q7. 駐在員事務所と支店の違いは何ですか?
駐在員事務所は営利活動(販売・契約締結など)ができず、市場調査や情報収集などの非営利活動のみが認められます。一方、支店は本社と同じ事業内容で営利活動を行えますが、本社が台湾での活動に対して全責任を負います。台湾で売上を計上したい場合は支店以上の形態が必要です。
Q8. 会社設立後に法人形態を変更することはできますか?
可能です。例えば有限公司から股份有限公司への組織変更は、台湾の会社法に定められた手続きに従って行えます。ただし、定款変更、登記変更、投審会への届出などが必要で、一定の費用と期間がかかります。事業の成長を見据えて、設立時に適切な形態を選択することが重要です。
6. まとめ
台湾での会社設立は、法人形態の選択から投資許可の取得、商業登記、税務登記まで複数のステップがあります。特に外国企業の場合は、投資審議委員会への申請が必須であり、書類は中国語(繁体字)で作成する必要がある点に注意が必要です。
設立にかかる期間は2〜3ヶ月、費用は30万〜80万円程度が目安ですが、業種や事業規模によって異なります。外資規制(ネガティブリスト)の確認や、就労ビザ取得のための資本金設定など、台湾特有の要件を事前に把握しておくことが、スムーズな設立のポイントです。
手続きの複雑さや言語の壁を考えると、台湾での会社設立経験が豊富な専門家のサポートを受けることを強くおすすめします。
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