ベトナムの高所得者層を狙え！日本食品に注がれる信頼とプレミアム市場の最前線

掲載日：2025年08月19日

（株）スター・コンサルティング・ジャパン

泥臭く結果を出してきた"自社の食品ビジネスが”最大の強みです。我々は単なるコンサルティングやビジネスマッチングに留まらず、自社のビジネス経験や現地のリソース・ネットワークをフル活用し皆様のベトナム進出を”結果が出るまで”伴走して支援いたします。・2013年よりベトナム・ホーチミンにてクッキング教室、洋菓子の製造・販売、カフェ運営をベトナム人顧客をメインとして事業として行ってきました。・結果としてベトナム初の日系百貨店ホーチミン高島屋のオープンより店舗を構え、さらにはスターバックスコーヒーやセブンイレブンなど各種コンビニエンスチェーンと取引しています。・その後自社の経営ノウハウや知見を活かし、官公庁、自治体、上場企業から中小企業まで食品関連企業（食品、消費財、調理機器など）に特化してベトナム進出を支援しています。・情報収集、営業・テスト販売、その後のフォローアップを通した販路拡大までの一気通貫したサービスを提供し、継続的な販路拡大を支援します。

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急速に経済発展を遂げるベトナム。その成長の中心にいるのが、ホーチミンやハノイなど都市部に台頭する高所得者層です。可処分所得の増加に伴い、彼らの生活様式はより洗練され、“食”への関心も「安価で手軽」から「安全・高品質でブランド価値があるもの」へとシフトしています。特に日本の食品は、品質の信頼性やヘルシー志向との親和性から高い評価を得ており、富裕層の間でプレミアムな選択肢として定着しつつあります。

本記事では、ベトナムの高所得者層の構造と食品に対するニーズの変化を掘り下げるとともに、彼らが求める商品カテゴリーや購買チャネル、プロモーション手法までを具体的に解説します。また、富裕層を対象にマーケティングを行ううえでのポイントや注意点、日本企業にとっての可能性と課題についても考察し、現地市場への理解と戦略立案に役立つ情報を提供いたします。今後のASEAN市場開拓を考えるうえで、“ベトナム富裕層市場”は無視できないターゲットなのです。是非、参考にしてください。

1. ベトナム高所得者層の台頭とその影響

ホーチミン・ハノイに集中する新興富裕層

ベトナムの高所得者層となる月収3,000ドル以上の都市部富裕層は、経済の中心であるホーチミン市とハノイ市に集中しており、中でも、不動産・金融・外資系勤務などに従事しています。

このような層は、生活の質にこだわり、輸入品やブランド商品、オーガニック食品などへの支出を惜しみません。SNSで情報収集し、自分のライフスタイルを表現する手段として「食」を位置づけている点も特徴です。そのため、日本ブランドの食品や飲料が「安心」「ヘルシー」「洗練されたライフスタイルの象徴」として高い関心を集めています。

経済発展が生んだ「食」への新しい価値観

ベトナムでは経済発展とともに、消費者の価値観も変化しています。特に高所得者層は、「価格の安さ」ではなく「品質」や「安全性」「体験価値」といった観点で商品を選ぶようになってきました。これは単に所得の増加による購買力の上昇だけでなく、教育水準の向上やグローバルな生活スタイルへの志向が背景にあります。

たとえば、高級レストランでの食事や自宅でのヘルシーな料理、子ども向けに安心して与えられる食品など、食に対しての意識は極めて高くなっています。日本製食品に対しては、「添加物が少ない」「安心して子どもに食べさせられる」「美味しいだけでなく体にも良い」といったポジティブなイメージが定着しており、彼らの“信頼できる選択肢”となっています。

富裕層の購買行動が食品市場を牽引する

ベトナムの食品市場において、富裕層が選ぶ商品は、たとえ高価格でも「質が良い」と認識され、憧れられます。一方で、ベトナムにおいては、富裕層と中間層以下の消費スタイルに明確な隔たりがあるため、富裕層向けに人気が出た商品が自動的に一般層へ広がるとは限りません。むしろ、それぞれに異なる訴求戦略が求められる点に留意が必要です。ただし、将来的に広がっていく可能性は高いでしょう。

また、彼らは商品の購入に際し、店頭での試食やSNS上のレビュー、インフルエンサーの推薦などを重視しており、ブランドストーリーや製造背景といった情報への関心も強く示します。こうした動きは、市場に新たな価値基準をもたらし、中価格帯以下の消費者層にも影響を与えています。つまり、ベトナム富裕層を押さえることは、食品市場全体の流れを先取りすることにつながるのです。

2. 高所得者層が求める食品ニーズと変化する嗜好

安心・安全への関心とオーガニック志向の高まり

ベトナムの高所得者層は、食の安全性に非常に敏感です。これは、過去に相次いだ食品衛生問題や輸入品の品質不安が背景にあり、日常の食卓において「安心できる食品を選びたい」という強いニーズが定着していることを示しています。特に子育て世代や健康志向の高い層では、農薬不使用・無添加・有機栽培などの表示がある食品に高い信頼を寄せています。また、原材料の産地や製造過程が明示されていることが購買の判断基準となる傾向が強く、商品のパッケージや説明文には、安心・安全を裏付ける要素が求められます。

日本ブランドや食文化への関心

ベトナムの高所得層の間では、日本の食文化やブランドに対する関心が徐々に高まりつつあります。料理教室や日本食イベントなどの体験型マーケティングも高所得層に有効で、日本の食文化そのものに触れることで、商品の価値をより深く理解し、リピーターになる傾向があります。こうした層は、日本の「世界観」や「美意識」に共鳴する傾向も強く、単なる商品訴求ではなく、ブランド全体の物語性を意識した展開が効果を発揮します。

3. 富裕層にリーチするプロモーションチャネルと販路設計

高島屋ホーチミンなどの高級百貨店での展開

富裕層向けのプロモーションチャネルとして、ホーチミン市の高島屋をはじめとする高級百貨店は欠かせない存在です。高島屋は、ベトナムにおいて日本品質を象徴する商業施設のひとつであり、来店者の多くは中間層〜高所得層の都市部住民です。日本ブランドが集積するフロアや食品売場では、すでに一定の信頼と認知が形成されており、日本産商品を「価値あるもの」として受け入れる土壌が整っています。

ただし、日本ブランドは“安心・安全”というイメージを持たれやすい一方で、その信頼がそのまま購買行動には直結していないのが現実です。価格の高さ、使用方法の分かりづらさ、ベトナム人の食習慣との乖離などが購買の障壁となっており、価値を「理解させる仕掛け」がなければ高級品として定着しにくい傾向があります。

また、高島屋のような日系百貨店に加え、Annam Gourmet、Nam An Marketといった現地系の高級食品店も、富裕層が日常的に訪れるチャネルです。こうした店舗では「高品質で安心できる輸入食品」という切り口が有効ですが、日本製品のシェアは限定的であり、訴求には工夫が求められます。

SNS・インフルエンサーによるデジタル戦略の活用

都市部の富裕層、とくに30〜40代の女性を中心とした層では、情報収集や購買の意思決定においてSNSが大きな役割を果たしています。とりわけFacebook、Instagram、TikTokなどのプラットフォームは、ブランドの世界観を訴求するうえで非常に効果的です。実際、料理系・ライフスタイル系のインフルエンサーが紹介した日本製食品が、瞬く間に人気商品となるケースも少なくありません。

ここで重要なのは、単なる広告ではなく「共感型の発信」を行うことです。商品の魅力を日常のシーンに溶け込ませながら紹介し、使い方や楽しみ方を提案することで、高所得層のライフスタイルに自然に入り込むことができます。また、インフルエンサーと連携した料理教室や試食会などのリアルイベントとSNS投稿を組み合わせることで、より強い信頼と関心を生む仕組みが構築されます。

リピートにつながる販売チャネルと導線設計

高所得者層への販売は、単発の購入に終わらせず、継続的な関係構築へとつなげる導線設計が不可欠です。たとえば、オンライン販売サイトとリアル店舗の連携により「知った瞬間に買える」「体験した後にすぐ注文できる」体制を整えることは、機会損失を防ぐうえで重要です。QRコードを活用したオンライン誘導、SNS公式アカウントでの販売情報の発信なども効果的です。

また、ギフト需要を取り込むためのギフトボックス展開や法人向け販路も視野に入れると、より多面的な売上の拡大が期待できます。高所得層は商品に対する期待値も高いため、アフターサービスや問い合わせ対応を丁寧に行うことも、ブランド信頼度の維持に直結します。特に旧正月（Tết）や中秋節（Tết Trung Thu）は、ベトナム国内における贈答需要が最も高まる時期です。この時期には、企業から従業員・取引先への贈答や、家族・親族間でのギフト交換が活発に行われます。日本食品ブランドも、この時期に合わせたギフトボックスや期間限定商品の展開を行うことで、法人・個人双方からの需要を取り込むチャンスとなります。

4. ベトナム富裕層を動かすマーケティング実践のヒント

「体験価値」が購買の決め手に

ベトナムの富裕層、とりわけ都市部に住むミドル・アッパー層の購買行動においては、「価格」や「機能性」以上に「体験」が重視される傾向があります。ただ商品を売るのではなく、どのような価値観を提供できるかが問われているのです。たとえば、日本の発酵食品やグルテンフリー商品といった“健康”を意識した商品群は、単なる食材ではなく「ウェルネスライフスタイルの一部」として認識されることで、より高い評価と価格帯で受け入れられます。

このような背景から、試食会や料理教室、テイスティングイベントといったリアルな体験を重視したプロモーションは、高所得層の心を掴む有効な手段です。特にホーチミン市やハノイ市では、こうしたイベントに高い関心を持つ層が多く、ブランドとの関係性を深める好機となります。

「機能性・価格に見合った価値・目新しさ」の3点がブランド形成の核

ベトナムの高所得層は、食に関してはストーリー性やブランドの“世界観”よりも、実際の「機能性」や「価格に見合った価値」に注目する傾向が強いです。たとえば「日本で有名な商品かどうか」「ベトナムでは手に入らない珍しいものかどうか」が重視されやすく、物語よりも“実利的な希少性”が評価される市場です。

商品の物語やストーリー性が消費行動に影響を与える傾向は、シンガポールなど成熟した市場では見られますが、ベトナムでは限定的です。特に食品においては「価格に見合う機能性」や「目新しさ」「日本で有名かどうか」といった実用的な価値が重視される傾向にあります。

また、ベトナムでは食品の「安全性」への関心が非常に高く、どれだけ信頼できるかという要素も重要です。「日本製」であること自体が一種のブランド力ではあるものの、それに慢心せず、品質管理や輸送体制、保存方法に関する丁寧な説明も消費者の安心感につながります。共感・世界観・信頼。この3点を意識したブランド構築が、長期的なロイヤルカスタマーの獲得を後押しします。

5. まとめ｜富裕層市場を味方に、ベトナム展開を成功に導くには

ベトナム市場は、急成長する中間層とともに、明確な購買力を持つ高所得者層の存在感が日増しに高まっています。彼らは「本物志向」「健康志向」「体験志向」といったキーワードに敏感であり、日本食品が持つ“安全・高品質・文化性”という価値が、まさに彼らのニーズと強く共鳴しています。

特にホーチミンやハノイといった都市圏では、SNSや口コミによってトレンドが加速度的に拡散され、成功すれば短期間でブランドが浸透する可能性を秘めています。一方で、ただ日本から商品を持ち込むだけでは、価格競争に巻き込まれるか、ローカルとのギャップに悩まされる恐れもあります。だからこそ、“誰に”“どのような価値で”“どんなストーリーで届けるか”という視点が、富裕層マーケティングでは極めて重要なのです。

スター・コンサルティング・ジャパンでは、ベトナムの富裕層向け市場に特化したリサーチやプロモーション企画、日本食品ブランドの現地展開支援などを行っています。現地料理教室や購買層インタビューなどを通じて、生活者の「本音」を知るところから、貴社商品の戦略的ローカライズをサポートします。

ベトナムという可能性に満ちた市場で、高付加価値ブランドとしてのポジションを築くために、今こそ富裕層マーケティングを本格的に始めてみませんか？

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