【2026年最新】ベトナム進出ガイド|市場の魅力・進出手順・成功のポイントを徹底解説
ベトナム進出は、いま日本企業にとって最も注目度の高い海外展開先の一つです。人口約1億人、平均年齢28歳という若く豊富な労働力を擁し、GDP成長率は年6〜7%台を維持。日本との外交関係も極めて良好で、CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)や日越EPAによる関税優遇も活用できます。
一方で、高い離職率やインフラの未整備、法規制の頻繁な変更といったリスクも存在します。ベトナム進出を成功させるには、これらのメリットとリスクの双方を正確に理解し、自社に合った進出形態と拠点を選ぶことが重要です。
本記事では、ベトナム市場の基本情報から進出のメリット・リスク、具体的な進出手順、日系企業の最新動向まで、ベトナム進出に必要な情報を網羅的に解説します。Digima〜出島〜は27,000件を超える海外進出相談の実績を持つプラットフォームとして、多くの企業様のベトナム進出をサポートしてまいりました。その知見も交えながら、実践的なガイドをお届けします。
この記事でわかること
- ・ベトナム市場の最新動向と日本企業にとっての魅力
- ・ベトナム進出の具体的なメリット6つとリスク・注意点6つ(対策付き)
- ・進出形態の種類と選び方(独資・合弁・駐在員事務所・越境EC)
- ・北部ハノイ・南部ホーチミン・中部ダナンの地域比較と拠点選びのポイント
- ・日系企業約2,400社の進出動向とチャイナプラスワンの最新トレンド
- ・会社設立の費用・期間・手続きの流れ
▼ベトナム進出ガイド
1. ベトナムの基本情報と市場概況
人口約1億人・平均年齢28歳の成長市場
ベトナムは東南アジアのインドシナ半島東部に位置し、南北に細長いS字型の国土を持つ社会主義共和国です。人口は約1億人に達し、ASEAN加盟国の中ではインドネシア、フィリピンに次ぐ第3位の規模を誇ります。特筆すべきは平均年齢が約28歳という若さで、生産年齢人口(15〜64歳)が全体の約70%を占める「人口ボーナス期」の真っただ中にあります。
GDP成長率は2020年のコロナ禍でも2.9%のプラス成長を維持し、その後も年6〜7%台の高い成長を続けています。一人当たりGDPは約4,300ドル(2025年時点)に達し、中間所得層の拡大に伴い国内消費市場も急速に成長しています。世界銀行はベトナムを「低中所得国から上位中所得国への移行期にある有望な経済」と位置づけており、2030年代前半には上位中所得国入りを果たすとの見方が有力です。
主要産業と経済構造
ベトナムの産業構造は、過去20年で大きく変化してきました。かつては農林水産業が中心でしたが、現在は製造業がGDPの約25%を占め、経済の屋台骨となっています。特にサムスンやインテルをはじめとする外資系企業の大規模な投資を受け、電子機器・スマートフォンの組立製造ではアジア有数の集積地に成長しました。
加えて、近年急成長しているのがIT・ソフトウェア産業です。ベトナム政府はIT人材育成を国策として推進しており、年間約5万人のIT系卒業生を輩出しています。日本企業からのオフショア開発需要も年々拡大し、ベトナムはインドに次ぐオフショア開発先として定着しつつあります。
農林水産業も依然として重要な産業であり、コーヒー(世界第2位の輸出量)、コメ、水産物などが主要な輸出品です。観光業もコロナ前には年間約1,800万人の外国人観光客を受け入れるまでに成長し、サービス業全体の発展を牽引しています。
日本とベトナムの関係
日本とベトナムは「包括的戦略的パートナーシップ」を締結しており、政治・経済の両面で極めて緊密な関係にあります。日本はベトナムにとって最大のODA(政府開発援助)供与国であり、道路や橋梁、発電所などのインフラ整備に長年にわたり貢献してきました。この歴史的な関係もあり、ベトナム国民の対日感情は非常に良好です。
経済面では、2009年に発効した日越EPA(経済連携協定)に加え、2019年に発効したCPTPP(旧TPP11)により、両国間の貿易・投資はさらに活発化しています。日本からベトナムへの直接投資累計額はASEAN域内でもトップクラスであり、ベトナムにとって日本は最も重要な投資国の一つです。
地理的にも、ベトナムはASEAN地域の中心に位置し、中国、ラオス、カンボジアと国境を接しています。北部のハノイと南部のホーチミンシティという二大経済圏を擁し、それぞれが異なる産業特性を持つことで、多様な業種の日本企業にとって受け皿となっています。
2. ベトナム進出のメリット・魅力
若く豊富な労働力(人口約1億人・平均年齢28歳)
ベトナム進出の最大のメリットは、なんといっても若く豊富な労働力です。人口約1億人のうち、生産年齢人口が約70%を占め、労働力の供給に当面の不安がありません。平均年齢28歳という数字は、少子高齢化が進む日本(平均年齢約49歳)や中国(約39歳)、タイ(約40歳)と比較しても際立って若く、これからまさに経済の担い手となる世代が厚い層を形成しています。
ベトナム人の国民性として、勤勉で手先が器用、学習意欲が高いという特徴があり、日本企業の品質要求にも柔軟に対応できる素養を持っています。識字率は約95%と東南アジア諸国の中でも高水準にあり、基礎教育の質の高さが労働力の質に直結しています。製造業における精密な作業から、IT分野での高度なプログラミングまで、幅広い分野で人材を確保しやすい環境が整っています。
日本の5分の1〜10分の1の人件費
ベトナムの人件費は依然として国際的に見て競争力があります。製造業のワーカーの月額賃金は約300〜500ドル程度で、日本と比較すると5分の1から10分の1の水準です。ASEAN域内で比較しても、タイやマレーシアより低く、カンボジアやミャンマーと並ぶ水準にあります。
ただし、近年は毎年6〜8%程度の最低賃金引き上げが行われており、「安い」という理由だけでの進出は中長期的にはリスクがあります。重要なのは、人件費の「安さ」だけでなく、労働者の「質」と「コストパフォーマンス」を総合的に評価することです。ベトナム人エンジニアのスキルと給与水準を考慮すると、特にIT分野では世界的に見ても非常に高いコストパフォーマンスを発揮します。
年6〜7%台の高いGDP成長率
ベトナムのGDP成長率は過去10年にわたり6〜7%台を安定的に維持しており、ASEAN諸国の中でもトップクラスの成長速度を誇ります。2020年のコロナ禍においても2.9%のプラス成長を達成した数少ない国の一つであり、経済のレジリエンス(回復力)の高さが証明されました。
この高い成長率は、外国直接投資(FDI)の堅調な流入、輸出の拡大、そして国内消費市場の成長という三つのエンジンに支えられています。一人当たりGDPの上昇に伴い、中間所得層は年々拡大しており、消費財やサービス業にとっても有望な市場となりつつあります。進出企業にとっては、「生産拠点」としてだけでなく「消費市場」としてもベトナムを捉えることができる時代に入っています。
CPTPP・EPAによる関税優遇
ベトナムはCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)と日越EPAの双方に加盟しており、日本企業にとって大きな関税メリットがあります。CPTPPにより、多くの工業製品や農産品の関税が段階的に撤廃されており、日本からベトナムへの輸出、ベトナムから日本への輸出の双方でコスト削減が可能です。
さらに重要なのは、ベトナムを製造拠点として活用し、CPTPP加盟国やEU(ベトナムはEUとのFTA「EVFTA」も締結済み)に輸出する際にも関税優遇を受けられるという点です。つまり、ベトナムは単なる「安い製造拠点」ではなく、世界市場に向けた「輸出のハブ」としてのポジションを確立しつつあります。日本企業がベトナムに生産拠点を設け、そこからアジア・欧州・環太平洋地域に製品を輸出するという戦略は、関税面でも合理的な選択肢です。
親日的な国民性とビジネス環境
ベトナムは世界でも有数の親日国として知られています。日本のODAによるインフラ整備への貢献、文化的な親和性(儒教的価値観の共有、勤勉さへの評価)、そして在日ベトナム人コミュニティの拡大などを背景に、日本および日本企業に対する信頼感は非常に高い水準にあります。
この親日感情は、ビジネスの現場でも大きなアドバンテージとなります。取引先との交渉、従業員の採用・定着、行政手続きにおいて、「日本企業」であることがプラスに作用する場面は少なくありません。日本語学習者も約17万人と東南アジアではトップクラスの規模であり、日本語が話せるベトナム人スタッフの採用も比較的容易です。ベトナム人技能実習生として日本で働いた経験のある人材が帰国後に日系企業で活躍するケースも増えており、日越間の人的なつながりはますます強化されています。
IT・オフショア開発のハブとしての成長
ベトナムはIT・ソフトウェア開発の分野で急速に存在感を高めています。政府がSTEM教育やIT人材育成を国策として推進し、ハノイ工科大学やホーチミン市工科大学など有力な理工系大学が年間約5万人のIT卒業生を送り出しています。
日本企業にとって特にメリットが大きいのが、オフショア開発の活用です。ベトナム人ITエンジニアの技術力は年々向上しており、単純なコーディングだけでなく、設計や要件定義にまで対応できる高度人材も増えています。日本とベトナムの時差はわずか2時間であり、リアルタイムでのコミュニケーションが取りやすいことも大きなメリットです。大手IT企業からスタートアップまで、ベトナムのIT人材を活用する日本企業は年々増加しており、ベトナムは「アジアのシリコンバレー」とも称されるようになってきました。
3. ベトナム進出のリスク・注意点
インフラの未整備(電力不足・物流課題)
ベトナムのインフラは急速に改善されつつあるものの、日本の水準と比較するとまだ課題が残っています。特に電力供給については、経済成長に伴う需要増加に供給が追いつかず、乾季を中心に計画停電が発生することがあります。製造業にとっては生産スケジュールに直接影響するリスクです。
物流面でも、主要都市間の高速道路整備は進んでいるものの、港湾の処理能力や国内輸送のリードタイムにはまだ改善の余地があります。ホーチミン市では慢性的な交通渋滞も課題です。
対策としては、工業団地内に自家発電設備を備えた拠点を選ぶ、UPS(無停電電源装置)を導入する、物流パートナーの選定を慎重に行う、といった方法が有効です。また、日系の物流企業も多数進出しており、これらのパートナーを活用することで物流リスクを軽減できます。
高い離職率(平均約19%)
ベトナムの離職率は平均約19%と高水準にあり、日本企業にとっては人材マネジメント上の大きな課題です。特にワーカー層では、月給がわずかに高い他社へ転職するケースが頻繁に見られます。ベトナムでは「転職=ステップアップ」という価値観が根強く、一つの会社に長く勤めることが美徳とはされていません。
しかし、離職率の高さは裏を返せば、適切な対策を講じている企業とそうでない企業で大きな差がつくポイントでもあります。離職率を下げるために有効な施策として、明確なキャリアパスの提示、定期的な研修やスキルアップ機会の提供、福利厚生の充実(社員旅行・食事補助・テト(旧正月)ボーナス)、定期的な1on1ミーティングによる不満の早期把握、そして市場相場に見合った給与水準の維持があります。実際に、これらの施策を実践している日系企業では離職率を10%以下に抑えることに成功している事例もあります。
法規制の不透明さと頻繁な変更
ベトナムの法規制は頻繁に改正され、その解釈も省庁や地方によって異なることがあります。特に外国投資に関する規制、税務処理、労務関連の法令は改正頻度が高く、最新の情報をキャッチアップし続ける必要があります。法律の条文と実際の運用に乖離があるケースも珍しくなく、書面上は問題ないはずの手続きが現場レベルで滞ることもあります。
対策としては、現地の法律事務所やコンサルタントと長期的な顧問契約を結び、法改正の情報をタイムリーに入手できる体制を構築することが重要です。また、JETROハノイ・ホーチミン事務所も法規制に関するセミナーや情報提供を行っており、これらを積極的に活用するとよいでしょう。Digima〜出島〜でも、ベトナムの法務・税務に精通した専門家をご紹介しており、「法改正に追いつけない」というご相談に対応しています。
上昇傾向にある人件費
ベトナムの人件費は「安い」というイメージが強いものの、近年は毎年6〜8%程度のペースで最低賃金が引き上げられています。2024年7月にも最低賃金の改定が行われ、ハノイやホーチミンなどの第1地域では月額496万ベトナムドン(約3万円)に達しました。このペースが続けば、数年後にはタイや中国の内陸部に近い水準になる可能性もあります。
対策としては、人件費の「安さ」に依存するビジネスモデルではなく、人材の「質」と「生産性」を重視した事業設計が必要です。自動化や業務効率化への投資を進め、一人当たりの付加価値を高めていく発想が求められます。また、進出時の事業計画では、年6〜8%の人件費上昇を織り込んだ中長期的なコストシミュレーションを行うことが不可欠です。
知的財産保護の課題
ベトナムでは知的財産権の法的な枠組みは整備されつつあるものの、実際の保護・執行の面ではまだ課題が残っています。模倣品やコピー製品の流通は依然として一定規模で存在しており、ブランドや技術を持つ日本企業にとっては看過できないリスクです。
対策としては、ベトナム進出前に商標・特許を現地で事前登録しておくことが極めて重要です。ベトナムは「先願主義」を採用しているため、他者に先に商標を登録されてしまうリスクがあります。また、重要な技術情報の管理体制を整備し、従業員との間で秘密保持契約(NDA)を締結することも必要です。知的財産に関する問題が発生した際に迅速に対応できるよう、現地の知財専門弁護士とのリレーションを構築しておくことをお勧めします。
商慣習と文化的な違い
ベトナムでのビジネスでは、日本との商慣習や文化の違いに戸惑うことも少なくありません。たとえば、ベトナムでは「面子(メンツ)」を重視する文化があり、人前で叱責することは大きなタブーとされています。日本式の「厳しい指導」がパワハラと受け取られ、従業員の一斉退職につながった事例もあります。
また、時間に対する感覚の違い、報告・連絡・相談(ホウレンソウ)の習慣がないこと、契約よりも人間関係を重視する傾向なども、日本企業がつまずきやすいポイントです。
対策としては、日本のやり方をそのまま持ち込むのではなく、ベトナムの文化を理解した上でローカライズする姿勢が大切です。現地の管理職を育成し、日本人駐在員とベトナム人スタッフの橋渡し役を担ってもらうことが効果的です。異文化理解研修を赴任前に実施することも、摩擦を減らす有効な手段です。
4. ベトナムへの進出方法と拠点選びのポイント
進出形態の選び方
ベトナムへの進出形態は、事業の目的や規模、業種によって最適な選択肢が異なります。主な進出形態は以下の4つです。
100%外資企業(独資)は、外国企業が全額出資して設立する現地法人です。経営の自由度が最も高く、意思決定のスピードも速いのがメリットです。ベトナムは2007年のWTO加盟以降、多くの業種で100%外資での進出を認めており、日系企業の進出形態としても最も一般的です。ただし、小売業や教育など一部の業種では外資比率に制限がある場合があります。
合弁企業(ジョイントベンチャー)は、ベトナム現地企業と共同で出資して設立する法人です。現地パートナーの販売網や人脈、行政との関係を活用できる点がメリットです。一方で、経営方針の対立やパートナー選定の失敗がリスクとなります。合弁を選ぶ場合は、パートナー企業のデューデリジェンス(事前調査)を徹底することが不可欠です。
駐在員事務所は、市場調査や連絡業務を目的として設置される拠点で、直接的な営業活動や売上の計上はできません。ベトナム市場の可能性を見極める「テスト」としては有効ですが、ビジネスを本格展開する場合には現地法人への切り替えが必要です。設立手続きは比較的簡便で、期間も1〜2ヶ月程度です。
越境ECは、現地法人を設立せずにベトナム市場へアプローチする方法です。ShopeeやLazadaなどのECプラットフォームを活用すれば、初期投資を抑えつつ市場の反応を確認できます。特に日本の化粧品、食品、日用品などは「Made in Japan」のブランド力が高く、越境ECとの相性が良い分野です。ただし、本格的な事業展開を見据える場合は、いずれ現地法人の設立が必要になるケースがほとんどです。
北部ハノイ vs 南部ホーチミン vs 中部ダナン
ベトナムは南北に約1,650kmと長い国土を持ち、北部・中部・南部で経済特性や文化が大きく異なります。進出先の選定は事業の成否に直結するため、各エリアの特徴を正しく理解することが重要です。
北部(ハノイ周辺)は、首都であり政府機関が集中する政治の中心地です。日系の製造業が多く集積しており、キヤノン、パナソニック、ブリヂストンなど大手メーカーの工場が立地しています。中国の広東省・広西チワン族自治区と陸路でつながっているため、サプライチェーンの観点から中国との連携がしやすいのもメリットです。気質としてはやや保守的で、規律を重んじる傾向があり、日本企業の管理スタイルとの親和性が高いとされています。
南部(ホーチミンシティ周辺)は、ベトナム最大の経済都市であり、商業・サービス業の中心です。GDPの約3分の1を占める経済規模を持ち、外資系企業の進出も最も活発なエリアです。人口約900万人(周辺都市含めると約1,300万人)の巨大な消費市場を擁し、小売・飲食・サービス業での進出に適しています。南部の人々は一般に開放的で起業家精神が旺盛とされ、ビジネスのダイナミズムがあります。
中部(ダナン周辺)は、近年「第三の都市」として急速に存在感を高めているエリアです。ベトナム政府が「ITパーク構想」を推進しており、ITやBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)分野の企業誘致に力を入れています。ハノイやホーチミンと比較して人件費が2〜3割安く、人材の定着率も高い傾向にあります。リゾート都市としても知られ、駐在員の生活環境の良さも魅力の一つです。
Digima〜出島〜にも「ベトナムに製造拠点を設けたいが、北部と南部どちらが適しているか」というご相談がよく寄せられます。ある部品メーカー様は、Digimaを通じて現地に精通したコンサルタントに相談し、サプライチェーンの観点から北部ハノイ近郊の工業団地を選定。進出から2年で黒字化を達成されました。
工業団地の活用
ベトナムには全国で400ヶ所以上の工業団地が整備されており、製造業を中心に多くの外資系企業が入居しています。工業団地を利用するメリットは、電力・水道・排水処理などのインフラが整備されていること、税制優遇(法人税の減免や輸入関税の免除)が受けられるケースがあること、そして行政手続きがワンストップで対応できる場合があることです。
日系企業に人気の工業団地としては、北部ではタンロン工業団地(ハノイ)、ノイバイ工業団地、南部ではアマタシティ・ビエンホア、ロンドウック工業団地などがあります。特にタンロン工業団地は日系企業による開発・運営で、日本語での対応が可能なため、初めてベトナムに進出する企業にとって安心感があります。
工業団地の選定に際しては、レンタル料、インフラの質、主要港や空港までのアクセス、周辺の労働力確保のしやすさ、既に入居している企業の顔ぶれ(サプライチェーンの形成可能性)などを総合的に検討する必要があります。
5. ベトナムに進出している日本企業の動向
日系企業約2,400社の業種構成
ベトナムに進出している日本企業は約2,400社に達しており、ASEAN域内ではタイに次ぐ規模の日系企業コミュニティが形成されています。業種別の構成を見ると、製造業が約26%と最も多く、次いで卸売・小売業が約24%を占めています。この二つの業種で全体の約半数を占めており、ベトナムが「製造と販売の両面で機能する市場」であることを示しています。
製造業の内訳としては、自動車部品、電子部品、精密機械、食品加工、繊維・アパレルなど多岐にわたります。近年は、大手メーカーだけでなく中小企業の製造業進出も増加しており、大手企業のサプライチェーンに組み込まれる形で進出するケースが目立っています。
サービス業の分野でも、外食チェーン、コンビニエンスストア、教育、人材紹介、不動産など、多様な業種の日本企業がベトナム市場に参入しています。中間所得層の拡大に伴い、「日本品質」のサービスへの需要は今後も成長が見込まれます。
チャイナプラスワンの加速
ベトナムへの日本企業の進出を後押ししている最大のトレンドが、チャイナプラスワン(China Plus One)戦略です。米中貿易摩擦の長期化、中国でのゼロコロナ政策の経験、そして地政学的リスクの高まりを受けて、中国に集中していた生産拠点を他国に分散させる動きが加速しています。その最有力の受け皿がベトナムです。
日本政府も「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」など、生産拠点の多元化を支援する施策を打ち出しており、制度的な後押しもあります。特に電子部品、自動車部品、医療機器などの分野で、中国からベトナムへの生産移管が進んでいます。
ベトナムが「チャイナプラスワン」の最有力候補とされる理由は、中国の広東省・広西チワン族自治区と陸路で接しているため既存のサプライチェーンとの連携がしやすいこと、労働力の質と量が確保できること、そしてCPTPPなどの通商協定による関税メリットがあることです。
IT・オフショア開発分野の成長
日系企業のベトナム進出で近年最も伸びているのが、IT・オフショア開発分野です。ベトナムのIT人材は英語力や技術力の面で年々レベルアップしており、かつてオフショア開発の主流だったインドや中国に比べて時差が小さく、コミュニケーションが取りやすいという利点もあります。
日本の大手IT企業やSIerの多くがベトナムに開発拠点を持ち、日本国内の人材不足を補う形でベトナム人エンジニアを活用しています。FPTソフトウェア、CMCグローバルといったベトナムの大手IT企業も日本市場に特化したサービスを展開しており、日越IT連携のエコシステムが形成されています。
Digima〜出島〜への相談でも、ベトナムは常にASEAN諸国の中でトップクラスの相談件数を誇っています。特に「チャイナプラスワンとしてベトナムに生産拠点を移したい」「ベトナム人のITエンジニアを活用したい」といった相談が増えています。
6. よくある質問(FAQ)
Q. ベトナム進出のメリットは何ですか?
ベトナム進出の主なメリットは、人口約1億人・平均年齢28歳の若く豊富な労働力、日本の5分の1から10分の1という低い人件費、年6〜7%台の高いGDP成長率、CPTPPやEPAによる関税優遇、親日的な国民性、そしてIT・ソフトウェア開発のハブとしての成長が挙げられます。生産拠点としてだけでなく、中間所得層の拡大により消費市場としての魅力も高まっています。
Q. ベトナム進出のリスクや注意点は?
主なリスクとして、電力不足や物流インフラの未整備、約19%と高い離職率、法規制の不透明さと頻繁な変更、上昇傾向にある人件費、知的財産保護の課題、商慣習の文化的な違いが挙げられます。いずれも深刻なリスクではありますが、事前に適切な対策を講じ、信頼できる現地パートナーやコンサルタントを活用することで十分に対応可能です。
Q. ベトナムに進出している日本企業は何社ですか?
ベトナムに進出している日本企業は約2,400社です。業種別では製造業が約26%、卸売・小売業が約24%を占めています。ASEAN域内ではタイに次ぐ規模の日系企業コミュニティが形成されており、近年はチャイナプラスワンの流れを受けて進出企業数は増加傾向にあります。特にIT・ソフトウェア分野の進出が急増しています。
Q. 北部(ハノイ)と南部(ホーチミン)、どちらに進出すべき?
業種やビジネスモデルによって最適なエリアは異なります。北部ハノイ周辺は政府機関が集中し、製造業の集積地として日系企業との親和性が高いエリアです。南部ホーチミン周辺は商業・サービス業の中心で、ベトナム最大の消費市場を擁しています。製造業であれば北部、サービス業や小売であれば南部が一般的ですが、サプライチェーンや顧客の所在地に応じた判断が必要です。中部ダナンもITやBPO分野で注目されています。
Q. ベトナムの高い離職率にはどう対策すべき?
ベトナムの平均離職率は約19%と高水準ですが、適切な施策を実施している企業では10%以下に抑えている事例もあります。効果的な対策として、明確なキャリアパスの提示、定期的な研修やスキルアップ機会の提供、福利厚生の充実(社員旅行・食事補助・テトボーナスなど)、1on1ミーティングによる不満の早期把握、市場相場に見合った給与水準の維持が挙げられます。ベトナム人は「成長できる環境」を重視する傾向があるため、研修制度の充実は特に効果的です。
Q. ベトナムでの会社設立にかかる費用と期間は?
ベトナムでの会社設立にかかる期間は、投資登録証明書(IRC)と企業登録証明書(ERC)の取得に通常2〜3ヶ月程度です。オフィスの準備や人材採用まで含めると4〜6ヶ月を見込んでおくとよいでしょう。費用は業種や規模により大きく異なりますが、初期費用として数百万円から数千万円が目安です。コンサルタントや法律事務所への手数料、オフィスの保証金、初期の運転資金なども含めた資金計画が必要です。
Q. CPTPPによるベトナム進出のメリットは?
CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)により、日本からベトナムへの輸出品の多くで関税が段階的に撤廃されています。工業製品や農産品において関税優遇を受けられるほか、ベトナムを製造拠点としてCPTPP加盟国へ輸出する際にも関税メリットがあります。さらに、ベトナムはEUとのFTA(EVFTA)も締結しているため、欧州市場への輸出拠点としても活用できます。
Q. ベトナム進出で利用できる支援制度はありますか?
JETROの海外展開支援サービス、JBICやNEXIによる金融支援・保険制度、中小企業基盤整備機構の海外展開支援事業など、公的な支援制度が複数利用可能です。また、Digima〜出島〜のようなプラットフォームを通じて、ベトナム進出に精通したコンサルタントや法律事務所、会計事務所、人材紹介会社などの民間の専門家に相談することもできます。27,000件を超える海外進出相談の実績から、御社に最適な支援企業をご紹介しています。
7. まとめ:ベトナム進出を成功させるために
ベトナムは、人口約1億人・平均年齢28歳の若い労働力、年6〜7%台の高いGDP成長率、CPTPPやEPAによる関税優遇、親日的な国民性など、日本企業にとって極めて魅力的な進出先です。チャイナプラスワンの最有力候補として、製造業からIT、サービス業まで幅広い業種の日本企業がベトナムに拠点を構えています。
一方で、高い離職率やインフラの課題、法規制の不透明さ、上昇する人件費といったリスクも存在します。これらのリスクは、事前の十分な調査と適切な対策により管理可能ですが、現地の事情に精通したパートナーの存在が成功の鍵を握ります。
ベトナム進出を成功させるためのポイントをあらためて整理すると、自社の事業特性に合った進出形態と拠点を選ぶこと、中長期的な人件費上昇を織り込んだ事業計画を策定すること、現地の法務・税務の専門家との関係を構築すること、そしてベトナムの文化や商慣習を理解し尊重する姿勢を持つことが挙げられます。
Digima〜出島〜は、27,000件を超える海外進出相談実績を持つプラットフォームとして、ベトナム進出に関するあらゆるご相談に対応しています。「まだ具体的な計画はないが、ベトナムの可能性を知りたい」という段階から、「進出先のエリアや工業団地の選定で悩んでいる」「信頼できる現地パートナーを見つけたい」といった具体的なご相談まで、御社のフェーズに合わせた最適なサポートをご提供いたします。
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↳アジア②(日本・香港・シンガポール・台湾・韓国)
↳アジア③(ドバイ・サウジアラビア・インドバングラデシュ・モンゴル・ミャンマー)
↳欧米(アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ)
※サポート内容により、対応の可否や得意・不得意な分野はあります。
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■対応施策ラインナップ
①"市場把握"サポート
目的は"海外現地を理解し、事業の成功可能性を上げる"こと。
(以下、含まれる施策)
↳市場概況・規制調査
↳競合調査
↳企業信用調査
↳現地視察企画・アテンド
②"集客活動"サポート
目的は"海外現地で売れるためのマーケティング活動を確立"すること。
↳多言語サイト制作
↳EC運用
↳SNS運用
↳広告運用(Google/Metaなど)
↳インフルエンサー施策
↳画像・動画コンテンツ制作
③"販路構築"サポート
目的は"海外現地で最適な海外パートナーとの取引を創出"すること。
↳商談向け資料制作
↳企業リストアップ
↳アポイント取得
↳商談創出・交渉サポート
↳契約サポート
④"体制構築"サポート
目的は"海外現地で活動するために必要な土台"をつくること。
↳会社設立(登記・銀行口座)
↳ビザ申請サポート
↳不動産探索(オフィス・倉庫・店舗・住居)
↳店舗開業パッケージ(許認可・内装・採用・集客)
↳人材採用支援(現地スタッフ採用支援)
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合同会社サウスポイント
世界と日本をつなぐ架け橋「沖縄」から海外展開を支援しています
2017年7月日本・沖縄と海外の万国津梁の架け橋を目指して、企業の海外展開支援を目的として沖縄・那覇で設立。アジア・欧州を中心に沖縄県内・沖縄県外企業の海外進出・国際展開のサポートを実施しています。2022年7月には観光産業の伸びの著しい石垣市に八重山事務所を開設しております。
沖縄をハブに、台湾・中国・香港・ベトナム・タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシア・オーストラリア・ニュージーランド・イギリス・ドイツ・ブラジル各国にパートナーエージェントを配置し、アメリカ合衆国・インドは提携先を設けていますので、現地でも情報収集、視察等も直接支援可能、幅広く皆様の海外展開とインバウンド事業をサポートしております。 -
GLOBAL ANGLE Pte. Ltd.
70か国/90都市以上での現地に立脚したフィールド調査
GLOBAL ANGLEは海外進出・事業推進に必要な市場・産業調査サービス、デジタルマーケティングサービスを提供しています。70か国90都市以上にローカルリサーチャーを有し、現地の言語で、現地の人により、現地市場を調べることで生きた情報を抽出することを強みとしています。自社オンラインプラットホームで現地調査員管理・プロジェクト管理を行うことでスムーズなプロジェクト進行を実現しています。シンガポール本部プロジェクトマネージメントチームは海外事業コンサルタント/リサーチャーで形成されており、現地から取得した情報を分析・フォーマット化し、事業に活きる情報としてお届けしております。
実績:
東アジア(中国、韓国、台湾、香港等)
東南アジア(マレーシア、インドネシア、ベトナム、タイ等)
南アジア(インド、パキスタン、バングラディッシュ等)
北米(USA、メキシコ、カナダ)、南米(ブラジル、チリ等)
中東(トルコ、サウジアラビア等)
ヨーロッパ(イタリア、ドイツ、フランス、スペイン等)
アフリカ(南アフリカ、ケニア、エジプト、エチオピア、ナイジェリア等) -
株式会社東京コンサルティングファーム
【26ヵ国39拠点】各国日本人駐在員が現地にてサポートいたします。
弊社は、会計事務所を母体とした26ヵ国39拠点に展開するグローバルコンサルティングファームです。
2007年に日本の会計事務所として初めてインドに進出し、翌年ASEAN一帯、中南米等にも進出しました。歴が長く、実績・ノウハウも豊富にございます。
海外進出から海外子会社管理、クロスボーダーM&A、事業戦略再構築など国際ビジネスをトータルにサポートしています。
当社のサービスは、“ワンストップ”での サービスを提供できる環境を各国で整えており、特に会計・税務・法務・労務・人事の専門家を各国で有し、お客様のお困りごとに寄り添ったサービスを提供いたします。
<主要サービス>
・海外進出支援
進出相談から登記等の各種代行、進出後の継続サポートも行っています。月額8万円~の進出支援(GEO)もご用意しています。また、撤退時のサポートも行っています。
・クロスボーダーM&A(海外M&A)
海外企業の買収・売却による進出・撤退を支援しています。
・国際税務、監査、労務等
各国の税務・会計、監査や労務まで進出時に必要な業務を幅広く行っています。
・現地企業マッチングサポート
海外販路拡大、提携先のリストアップ、代理店のリストアップ、合弁パートナー探し等を行うことができます。TCGは現地に拠点・駐在員がいるため現地企業とのコネクションがあり、スピーディーに提携先のリストアップなどを行うことができます。































