EOR(雇用代行)サービスの導入フローと特徴別おすすめEOR事業者6選
近年、欧米諸国で外国人人材の活方手法として注目されているEmployer of Record (EOR / 雇用代行)サービスですが、日本ではまだ一般的ではないため、名前すら聞いたことない人も多いのではないでしょうか。
本記事ではEOR(雇用代行)について理解を深めてもらった上で、導入までの流れと、EOR(雇用代行)がおすすめな企業とその理由について丁寧に解説いたします。さらに、特徴別のおすすめEOR事業者をご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
▼ EOR(雇用代行)サービスの導入フローと特徴別おすすめEOR事業者6選
1. EOR(雇用代行)とは?
EOR(Employer of Record)とは、直訳すると「記録上の雇用主」となり、国外で外国人人材を雇用したい企業の代わりに、当該国において、従業員を代理で雇用し、給与支払い、その他人事労務管理等を企業に代わって行うサービスのことです。EORを利用することにより、企業は、国外に居住する外国人人材を合法的に雇用することが可能になります。また、企業はEORを利用して雇用した外国人人材に対して直接、業務指示を出すことができるため、雇用している従業員と同じ働き方を求めることが可能となります。
つまり、EORを利用することで、企業は海外拠点の有無を問わず、法的に不可能だった外国人人材の現地雇用が合法的に可能になります。これにより、世界中の人材をターゲットとして採用活動を行うことができるようになります。
2. EORの税制について
企業はEORを利用して雇用した人材の所得税や社会保険料等の現地税制について把握する必要はありません。EOR事業者は常に最新の現地税制を把握しており、企業が人材に対して支払う給与から所得税等を源泉徴収し、企業に代わって納税します。
ただし、EORで雇用した人材に、現地で実際の営業活動を行ってもらう場合は注意が必要です。営業活動により収益が生じた場合、国によっては課税される場合があります。EOR事業者によっては、現地での営業活動で生じた課税に対してもサポートを行っている会社があるため、事前に確認しておく必要があるでしょう。どのような課税リスクがあるのかについても、EOR事業者に対して相談しておくことをお勧めします。
3. EOR導入までの流れ
本来海外で人材を雇用するとなると、現地に事業所や法人を設立するだけでなく、人材を採用するための法的な手筈を整える必要があります。自社でやるにはかなり手間やコストのかかる外国人人材の現地採用ですが、EORはたった5ステップで導入が完了し、外国人人材の現地雇用を可能にします。
- クライアント:求める人材の要件を定義し、人材を見つける
- クライアントとEOR事業者:EORサービス契約を結ぶ
- クライアントとEOR事業者:業務範囲/労働条件をまとめた個別契約の締結
- EOR事業者:人材との雇用契約の作成・締結する
- リモート環境での勤務開始
4. どんな会社におすすめ?
企業にとって、自社がEORを使うのに適している会社なのかを知っておく必要があります。EORサービスはどのような企業におすすめなのか。また、なぜおすすめできるのかを企業別にご紹介します。
- 海外に事業を拡大したい企業
- 外国人人材の採用を検討している企業
- 即戦力人材の採用が上手くいっていない企業
- 柔軟に人員拡大を行いたい企業
- ソフトウェア受託開発(ラボ型、請負型)を検討/利用している企業
海外に事業を拡大したい企業
海外に事業を拡大するには、現地での人材採用は必要不可欠です。しかし、現地人材を雇用するには、現地法人を設立、現地在住の人材を発掘、現地の法律に基づいた労務・人事管理など複雑な業務を全て行う必要があります。また、それには多くの時間やコストがかかります。
そこで、EORサービスを利用することで、現地法人を設立せずに現地の人材を雇用することができます。また、採用した人材への雇用契約や給与支払いの代行、現地の人事労務の法律に則った労務管理のサポートも行います。これにより、現地で自社サービスの市場調査を簡単に行うことができます。
本来かかる時間やコストを一切かけることなく、海外への事業拡大が実現できるという観点から、EORはコロナ禍によるオンラインワークの普及に伴い、欧米をはじめとする先進国では人気の人材雇用手法となっています。
外国人人材の採用を検討している企業
社内のグローバル化や、海外市場への展開、人材不足の解消のために外国人人材を採用することは有用な手段です。しかし、外国人人材を採用するとなると以下のような不安が付きまといます。
- どうやって人材を探せばいいのだろうか
- 採用がうまく行ったとしても、コミュニケーションやパフォーマンス等に不安が残る
- マネジメントをうまくする事ができるのだろうか
- 日本に招聘する場合、ビザや住宅手配等の手続きが面倒
このような理由から、外国人採用を進められていない企業も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、EORサービスを活用することにより、それらの不安を解決に導くことが可能です。
EORサービスを利用すると、企業は日本国外に居住する外国人人材をリモートで雇用する事ができるため、社内のグローバル化や海外市場への展開を短期間で進めることができます。また、外国人人材を日本へ招聘し正規雇用することを検討している場合も、スキルや企業文化への適合性を、現地での雇用を通じて確認することができるため、日本へ招聘した際のミスマッチを減らすこともできます。
そして、EOR事業者によっては、人材紹介サービスや現地でのマネジメントサポートを提供している場合もあるため、外国人人材を探す手間を省くだけでなく、相手の見えないリモートワーク環境下でも安定した勤務パフォーマンスを実現することも可能です。このように日本国内でいきなり外国人人材の正規雇用を行うよりもリスクやコストを抑えながら、柔軟に外国人人材の雇用を進めることができます。
即戦力人材の採用が上手くいっていない企業
近年、日本では人材不足が叫ばれています。IT業界が特にですが、それ以外の業界も人材不足は深刻な問題となっており、それは日本だけにとどまらず、海外の先進国も同じ問題に悩まされています。
特に即戦力人材となると、見つけることすら難しく、たとえ見つける事ができたとしても、複数企業で取り合うことになるため、自社に興味をもってもらい採用まで辿り着くのはかなり難易度が高いと言えます。
即戦力人材の採用は今後の人材不足の加速と共にさらに高難易度の事業課題となり得るでしょう。
そこで、EORサービスを利用すると、人材のフィールドを日本国内から世界中に広げることが可能となります。優秀なIT人材の供給力が高い国などあらゆる国から即戦力人材を自社の社員として迎える事ができます。
また、現地で人材を採用するため、給与水準も現地の水準が適応されます。日本より給与水準が安い国の優秀な人材を現地採用すると、人材不足を解消するだけでなく、人件費の削減も同時に行うことが可能です。
柔軟に人員拡大を行いたい企業
企業によっては、対応案件の拡大や、事業拡大・新規事業の意思決定により、急遽人員拡大が求められるケースがあります。
その際に、自社の要件に合う人材がすぐに見つかるとは限りません。さらにIT人材となると、日本におけるIT人材不足が、突発的な人員採用の難易度をさらに高くしていると言えるでしょう。
EORサービスを利用すると、全世界に採用する人材の範囲を広げることができるため、世界中の必要要件を満たした人材をターゲットとして採用活動を行うことができます。
また、EOR事業者の中には、要件にあった即採用可能人材のマッチングサービスを行っている企業もあり、人材を探す手間すら省く事ができるので、短期間での人員拡大の実現が容易となります。
ソフトウェア受託開発(ラボ型、請負型)を検討/利用している企業
一見EORとは関係のないように思うかもしれませんが、受託開発会社とEORのビジネスモデルと開発体制の違いからEORサービスは受託開発に比べ、開発費を削減や急な仕様変更への柔軟な対応、社内開発ノウハウの蓄積に大きく貢献する事ができます。
- ビジネスモデルの違いによる安さの実現
受託開発企業は受注金額から人件費・オフィス代等を引いた金額が利益となるビジネスモデルを提供しており、同時に納品までのプロジェクトマネジメント業務も一挙に引き受けます。そのため企業は利益を最大化するために、プロジェクトマネジメント業務費用や多少の納期遅延による稼働工数の増加等に備えた余剰費用も加味し、受注金額(人月単価)を高く見積もる傾向にあります。
対して、EORのビジネスモデルは月額サービス料×稼働人数が企業の売上となるため、請求金額自体が明瞭です。またプロジェクトマネジメント等が費用に含まれず、追加業務に備えた予備費用も含まれないため、受託開発事業者に発注するよりも、開発にかかる費用(人件費)を削減する事ができます。
- 急な仕様変更への柔軟な対応と社内開発ノウハウの蓄積に貢献
請負型の受託開発では、外部に案件を依頼し完成品を納品してもらうモデルなので、開発要件が完全に固まっており、納品後のサポートも依頼しない場合は受託開発がおすすめです。
しかし、開発中に仕様の変更が発生したり、納品後も継続的に保守・運用を行う必要がある場合、追加費用がかかり結果的に高額になるだけでなく、継続的な開発に必要なノウハウ・知見が社内に蓄積されません。
対して、EORサービスを利用すると、自社開発チームの一員として外国人人材を採用する事が可能なので、急な仕様変更にも追加費用なく対応することができます。さらに、保守・運用全てを社内で開発する事ができるため、継続的に開発を行うためのノウハウや知見を社内に蓄積する事ができます。
5. EORサービスは大きく分けて2タイプ
EORは大きく分けて2つのタイプがあります。
- 多国展開型EOR
- サービス特化型EOR
以下にそれぞれの違いについてご紹介いたします。
6. おすすめの多国展開型EOR事業者
① Deel
■特徴・強み
世界100ヶ国前後の国々でグローバル人材の採用が可能です。Deel独自で提供しているプラットフォームを利用すると、入社手続きから書類管理、給与支払い、福利厚生などあらゆる人事業務をすべて1つのプラットフォームで完結することができます。
もちろん企業は全ての国で同じレベルのサービスを受けることが可能なので、人材の所在国に悩まされることなく全世界で採用を行えます
また、24時間365日アプリ内でのチャットサポートが使えるため、どのタイムゾーンでの困った時にはいつでも相談が可能です。
■サービス対象国
100カ国前後
■設立年
2019年
② Globalization Partners
■特徴・強み
世界約180ヶ国を超える国以上でグローバル人材の採用が可能です。Globalization Parntersは独自のプラットフォームを提供しており、プランによって使える機能をカスタマイズする事ができます。入社・退社手続き、書類管理、給与支払い、福利厚生などあらゆる人事業務をすべて1つのプラットフォームで完結することができ、それらのレポーティングも確認する事ができます。
プラットフォーム内ではAIのバーチャルアシスタントに24時間365日質問できるだけでなく、プランによっては、専任のサクセスマネージャーに相談することも可能です
■サービス対象国
約180ヶ国
■設立年
2012年
③ Remote
■特徴・強み
75を超える国でグローバル人材の採用が可能です。Remoteは独自プラットフォームを提供しており、モバイルアプリにも対応しています。また、見やすいユーザーインターフェースが特徴的で、有給休暇の申請、経費精算、給与計算など、従業員や契約社員を簡単に管理することができます。
さらに、システム間で従業員データを移行するためのAPIも備えているため、企業の使用するアプリとの連携や柔軟なカスタマイズも可能です。
Remoteは全ての対象国において、100%自社所有モデルとなっており、それにより企業は負担やリスク、コストをかけずにグローバルな事業展開が可能になります。
■サービス対象国
約75ヶ国
■設立年
2019年
7. おすすめのサービス特化型EOR事業者
① PLUS TALENT
■特徴・強み
途上国のフルリモートワーク可能な人材のEOR(雇用代行)サービスに特化した日系EOR事業者。一般的な多国展開型EOR事業者が提供する雇用契約や給与支払いの代行、現地の法律を遵守した複雑な問題への対応に加え、以下のようなサービスを受ける事ができます。
- 商談から最短3営業日での勤務開始が可能
商談後最短3営業日で要件に合う人材とのマッチング、面接のアレンジ、採用決定まで行うことができます。採用決定後はすぐに人材との現地法律を遵守した契約の締結、勤務開始日の決定など、勤務開始までに必要な手続き全てのサポートを受ける事ができます。
- リーズナブルなジュニア ~ ミドルクラス人材から、高技能即戦力なハイクラス人材まで幅広く対応
独自の人材データベースを活用し、企業の多様なニーズに応じた最適な人材とのマッチングサービスを提供します。「最先端の技術を持つ人材を採用したい」「コーディングスキルを持つ人材をコスト効率よく採用したい」など、企業のあらゆる要求を満たす人材が揃っています。企業は必要な人材を自ら探す手間なく、理想の人材と出会うことが可能です。
- 日本人によるサポートや、勤務場所提供を通じた業務パフォーマンスの最大化
外国人をリモートで採用するとなった際によくある不安要素として、「コミュニケーションコストが高い」「在宅勤務環境下での業務パフォーマンス維持が困難」などが挙げられます。
PLUS TALENTを通じて採用した人材は、就労環境の整ったオフィスにて働いてもらうことができます。これにより、些細なことでも問題が生じた際、現地常駐のスタッフが問題を解決し、リモート環境下でのパフォーマンスを最大化させることが可能です。
■サービス対象国
非開示
■設立年
2019年
② Remunance
■特徴・強み
インドに特化してEORを含む人事アウトソーシングサービスや子会社設立支援などを行なっているEOR事業者。一般的なEORサービス事業者が提供する雇用契約や給与支払いの代行、現地の法律を遵守した複雑な問題への対応に加え、以下のようなサービスを受ける事ができます。
- 人材採用のサポート
莫大な人口を誇るインドの現地求人サイトなどから、適切な人材を採用する具体的な方法を提供し、採用のサポートを行います。
- ITインフラの構築サポート
IT機材の購入代行や貸し出し、タグ付けや追跡によるハードウェア管理、リモートデスクトップサポートなど、リモートワークを成功させるために必要なITハードウェアの構築サポートを行います
- オフィススペースの提供
雇用した人材は、提携しているレンタルスペースやコワーキングスペースで働いてもらうことが可能です。規模の大小を問わず必要とするオフィススペースを迅速かつ安価に提供します。
■サービス対象国
1カ国
■設立年
2004年
③ Remotify
■特徴・強み
フィリピンに特化してEORを含む人事アウトソーシングサービスや子会社設立支援などを行なっているEOR事業者。一般的なEORサービス事業者が提供する雇用契約や給与支払いの代行、現地の法律を遵守した複雑な問題への対応に加え、以下のようなサービスを受ける事ができます。
- 人材採用のサポート
企業の求める人材の役割分析や職務仕様のお手伝いし、候補者の選定サポートを行います。また、候補者とのミスマッチ無くすため、採用前に候補者の包括的なバックグラウンドの確認を行います。過去の経歴から犯罪歴まで、全ての経歴をご提供します。
- IT機器購入サポート
従業員のためのノートパソコンの購入において、エンドツーエンドのサポートを提供します。調達から、説明書類の確保、機器の引き渡しの手配まで。また、従業員が退職する際には、ノートパソコンの返却も承ります。
- チームエンゲージメント向上プログラム
チームエンゲージメント向上のための独自プログラムを用意しており、従業員には毎週そのプログラムに参加していただけます。また、四半期ごとの幸福度分析も行っています。
- サイバーセキュリティトレーニング
オプションサービスで企業のチームに対するサイバーセキュリティとGDPRのトレーニングを支援し、その進捗状況を貴社に報告することができます。
■サービス対象国
1カ国
■設立年
2021年
8. EORならPLUS TALENT(プラスタレント)におまかせください
EOR(雇用代行)の導入フローとおすすめEOR事業者についてご紹介しました。EORサービスは、海外進出やグローバル人材の採用を検討している企業だけでなく、即戦力人材を求める企業や柔軟に人員拡大をしたい企業、その他あらゆる企業にとっても強力なツールとなり得ます。
複数あるEOR事業者の中でも、それぞれの特徴や強みを理解した上で自社に最適なパートナーを選ぶことが重要です。DeelやGlobalization Partners、Remoteなどの多国展開型事業者は複数カ国での採用を可能にし、PLUS TALENTやRemunance、Remotifyのようなサービス特化型事業者は、人材発掘からその後のマネジメントサポートまで幅広くサービスを提供しています。
自社の課題感を把握した上で、適切なEORサービスを選定し、グローバルな人材戦略を効果的に進めましょう。
現地在住の日本人スタッフが貴社の外国人採用の成功をサポート
私たちPLUS IMPACTは、EOR(海外人材雇用代行)サービスである「PLUS TALENT(プラスタレント)」を運営しております。
PLUS TALENTのEORサービスでは、雇用契約の締結や給与支払いの代行だけでなく、以下サービスも行っています。
・弊社人材データベースから企業の要件にあう人材のマッチング
・海外人材へのオフィススペースの提供
・勤務開始後のマネジメントサポート
・現地日本人スタッフのサポート
現地在住の日本人スタッフが、採用前〜採用後全てのフェーズにおいて、あらゆるサポートを行い、貴社の外国人採用の成功を手助けいたします。
ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
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