フィリピン進出、どこから始める?最適な進出形態を徹底解説!
フィリピン進出、どこから始めたらいいかわからない方も多いのではないでしょうか?進出形態はそれぞれに特徴があり、選択によって、事業展開のスピードやリスク、コストなどが大きく変わってきます。
そこで本記事では、現地法人、支店、駐在員事務所など、主要な進出形態を比較し、それぞれの進出形態についても詳しく解説していきます。
各企業様にとって最適なフィリピン進出形態を見つけるためのヒントになれば幸いです。
▼ フィリピン進出、どこから始める?最適な進出形態を徹底解説!
1.フィリピンの進出形態の選択肢
フィリピンで事業を展開する場合、一般的には以下の3つの形態が考えられます。
- 現地法人: フィリピン国内で法人格を持つ独立した会社
- 支店: 本社の機能の一部をフィリピンに移転させたような形態
- 駐在員事務所: 主に情報収集や顧客対応を行うための拠点
それぞれの形態によって、許される活動範囲、責任の所在、税務処理などが大きく異なります。
特に重要なのが、外資の出資比率が40%を超えるかどうかです。この比率を超える場合、通常の現地法人とは異なる扱いとなり、最低資本金や土地所有の制限を受けることがあります。
2.外資比率と規制
2019年の会社法改正により、フィリピンの最低払込資本金が撤廃されました。多くの企業にとって、設立にかかる費用が削減されました。しかし、すべての企業が最低資本金を気にしなくて良いわけではありません。 建設業許可・人材紹介等の一部の業種や、外資比率が40%を超える企業については、依然として最低資本金に関する規制が残されています。
3.現地法人での進出形態(株式会社)
フィリピンへ進出する日本企業にとって、株式会社は最も馴染み深く、多く採用されている法人形態です。
株式会社とは、出資者である株主が、会社への出資額を限度とした責任を負う(有限責任)という特徴を持つ会社形態です。株式は、会社を構成する最小単位であり、株主は持っている株式の数に応じて会社の経営に参加する権利を持ちます。
株式会社は 株主数、定款の規定に応じて公開会社と非公開会社に区分されます。
①非公開会社と公開会社
フィリピンにおける会社は、大きく分けて非公開会社と公開会社に分類されます。それぞれの形態には、設立条件、株式の譲渡制限、情報公開の義務など、様々な違いがあります。
非公開会社とは?
非公開会社は、その定款に以下の3つの制限が盛り込まれている会社です(96条)。
- 株主数の制限: 全ての発行済み株式が、20名以下の特定数の株主によって保有されていること。
- 株式譲渡制限: 全ての発行済み株式に譲渡制限が適用されており、その制限が定款や株券に記載されていること。
- 上場禁止: いずれの証券取引所においても、会社の上場や株式公開ができないこと。
非公開会社を選ぶメリットはいくつか考えられますが、公開会社に比べて、経営に関する規制が比較的少なく、柔軟な経営が可能である点や、プライバシー保護の観点から、財務情報などの公開義務が少なく、企業の機密性を保ちやすいなどの利点が挙げられます。
日本企業が進出するにあたって、フィリピン市場での上場を目指す会社以外は、 公開会社を選択するメリットは少なく、ほとんどの日系企業は非公開会社を選択しています。
一方で、資金調達が難しかったり、株式の譲渡が制限されているため、株主が自由に株式を売却することができないなどのデメリットもあります。
公開会社とは?
公開会社の定義は特段ないため、非公開会社で挙げた3つの制限がない会社が公開会社となります。
非公開会社として設立ができない業種が一定数あるため、そのような業種に当てはまる場合は公開会社として設立しなければなりません。例えば公共の利益に資すると判断される会社、採掘 または石油会社、証券取引会社、銀行、保険会社、公共会社、教育機関などが、当てはまります。
公開会社を選ぶメリットとしては、上場企業かつ経営に関する情報が広く公開される分、投資家からの資金調達が比較的容易であるため、大規模な事業展開が可能になります。また、上場することで企業の信用力や知名度が向上し、ブランディングにもつながりうると言えます。
デメリットとしては、上場企業だからこそより厳格な会計基準や情報公開義務を遵守することや、企業の機密性が損なわれないよう注意が必要であることが挙げられます。
どちらの形態を選ぶかは、企業の規模、事業内容、将来の成長戦略など、様々な要因によって異なります。
②非株式会社
非株式会社(Non-Stock Corporations)は、会社法において、営利を目的とせず、社会福祉、教育、文化、宗教、学術、またはその他の公益に貢献することを目的として設立される法人と定義されています。このため、株主が存在せず、配当もありません。あくまでも、社会問題の解決や、文化的な価値の創造など、社会全体の利益に貢献することが主な目的です。
3.現地法人以外の進出の形態
現地法人を設立せずに拠点を設置する場合、支店もしくは駐在員事務所という方法で拠点設置することができます。
①支店の概要
支店は、本店から遠隔地にある地域に設置され、本店と同様の営業活動を展開する事務所です。現地法人と異なり、支店は本店と同一の法人格を持つため、本店が負う債務を支店も負うという特徴があります。
支店設立の手続き
フィリピンに支店を設立する際には、以下の手続きが必要となります。
1.証券取引委員会(SEC)への登録: 本店の財務状態を開示し、SECに登録を行います。
2.事業ライセンスの取得: SECから事業ライセンス(License To Transact Business in the Philippines)を取得します。
そもそも支店と現地法人の違いとは?
現地法人は、親会社から独立した法人であるのに対して、支店は現地法人と異なり、本店と一体の法人となります。そのため、支店の債務は最終的に本店が責任を負うことになります。つまり、本店の資産は、支店に関する債権者の請求の対象となる可能性があるため、注意が必要です。
支店の責任及び活動範囲
支店は、本店と同様の営業活動を行うため、フィリピン事業から所得を稼得することが認められています。支店は外資規制において外資 100%出資の会社と同様に扱われるため、外国投資法に従い、ネガティブリストに記載されている事業活動には、従事することができません。
支店の最低資本金額
支店の最低資本金は、以下の通りです。
- 先端技術を使用せず、50人以上の直接雇用をしない場合: 20万USドル相当以上
- 先端技術を使用している、もしくは50人以上の直接雇用をする場合: 10万USドル相当以上
- 60%以上の売上が外国に対して輸出する製造業社、加工業社、サービス業社型などの企業の場合: 最低資本金額の対象外
支店の代表者
支店には、居住代理人(Resident Agent)を選任する必要があります。居住代理人は、会社法のコンプライアンスを守る責任や、支店に送達される召喚状を受領する責任を担います。居住代理人は外国人でも問題ありませんが、フィリピン居住者である事が必要です。居住者の要件は、SECの実務上は1年以上有効に滞在できるビザを持っている者ということになっています。
支店の活動と日本本店の財務諸表
支店は、本店と同様の営業活動を行い、フィリピン事業から所得を稼得することができます。支店の財務諸表は、本店が作成する財務諸表と合算されます。
従って、支店での経費が本店の損金としてみなされる点が、現地法人と異なります。即ち、支店が赤字の場合には、本店の所得と支店の赤字を通算する事により、本店の納税額を軽減できることになります。ただし、フィリピン支店の業務が軌道に乗り、利益が生じるようになると、そのメリットは減少します。
②駐在員事務所
駐在員事務所は、主に情報収集や宣伝活動を行うための事務所です。フィリピンで直接製品を販売することはできませんが、市場調査や顧客との連絡など、ビジネス展開のための準備を行います。駐在員事務所は、本店から送金された資金で運営され、所得を得ることはできません。ただし、収益が発生した場合や、恒久的施設とみなされた場合は、課税の対象となる可能性があります。
また、駐在員事務所の利用方法で多いのが、製造業等の外国企業が現地の委託企業の品質管理を行う場合です。ビジネス慣習の違いや技術的な問題によって委託企業に対して品質管理を行う必要がある場合、駐在員事務所を設置して現地から直接納期の管理、技術的な助言、検品を行うケースがあります。このような駐在員事務所の利用方法も外国企業の中で一般的となっています。
駐在員事務所の資金
駐在員事務所は、営利目的ではないため、収益を生み出すことはできません。そのため、事務所の運営に必要な経費はすべて、本店から送金される資金で賄われます。設立の際には、最低3万USドル相当の資金を証券取引委員会(SEC)への登録申請前に送金する必要があります。
駐在員事務所の税務申告
駐在員事務所は、営利目的ではないため、原則として利益を得ることはできません。しかし、銀行の利息など、わずかな収入が生じる場合があります。このような収入がある場合でも、法人所得税の申告が必要となります。また、駐在員事務所が本来の業務範囲を超えて、商品を販売したり、サービスを提供したりするような活動を行っているとみなされると、恒久的施設(PE)とみなされ、特別な税金が課される可能性があります。
4.その他の進出形態
個人事業
個人事業(Sole Proprietorship)は、法人格を持たない事業形態であり、事業主の個人責任が非常に大きい点が特徴です。事業主の資産と事業の資産は区別されず、事業の債務は事業主の私的な資産をもってして返済しなければならないため、事業の失敗によるリスクが非常に高いです。フィリピンにおいて、外国人が個人事業を営むためには、貿易産業省(DTI)への登録が義務付けられており、一定額の資本金が求められます。
パートナーシップ(業務提携)
パートナーシップ(Partnership)とは、「利益を確保する目的で2人以上の者が結合し、共同事業体を形成するための契約である」と定義されており、サービス業など(弁護士事務所、会計事務所など)で 利用される形態です。
出資者がパートナーシップの負担する支払義務について無限に責任を負う無限パートナーシップと、出資者の責任が、その出資額を限度とする有限パートナーシップに分けられます(民法1767~1867 条)。
3,000ペソ以上を資本金とするパートナーシップは、SECへの登録が義務付けられており、SECが規定する各種義務を遵守しなければなりません。
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今回は「フィリピンの進出形態」について解説しました。
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本稿で解説した、フィリピンの進出形態に関するご相談はもちろん、海外進出から海外子会社管理、クロスボーダーM&A、事業戦略再構築など、海外進出に関する課題がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
※本記事は、フィリピンに関する一般的な情報提供のみを目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません
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