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世界の最低賃金ランキング | 先進国で最低・アジアでトップの「日本の最低賃金」

掲載日:2019年06月18日

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「世界&アジア諸国の最低賃金ランキング」(時給換算)と、海外ビジネスにおける「最低賃金という指標」の重要性、さらには先進国で最低・アジアでトップの「日本の最低賃金」について解説します。

結論から言えば、世界的に「最低賃金の引き上げ」は常識になりつつあります。ただ、日系企業がアジア諸国に海外展開するメリットとして、人件費や原材料費などの生産コストを削減できるという利点は、いまだに大きなインセンティブになっています。

つまり、日本企業が自社の事業を海外展開する上で「最低賃金」というファクターは重要な指標となるということです。

しかし先述のように、グローバル化が進み各途上国が経済発展することによって、世界の最低賃金は軒並み上昇傾向にあります。つまり「アジアなら人件費を抑えられる」というメリットは次第に薄れつつあるのが現状でもあるのです。

とはいうものの日本企業の海外進出の目的も多様化が進んでいます。具体的に言えば、所得の多い国を魅力的な市場としてとらえた「販路拡大のための進出」も増えているのです。なぜなら人々の年収がアップすれば、その分彼らの消費も拡大していくからです。

つまり「最低賃金」という指標は、従来の「人件費の節約」という目的に加えて、「新たな消費市場のリサーチ」という目的においても重要な指標となるということです。

本テキストでは、そんな新たな世界的な潮流を踏まえた上で、『世界の最低賃金ランキング』を、日本企業が海外進出する際の指標となる「人件費の節約」と「新たな消費市場の開拓」という2つのファクターで解説していきます。

1. 世界の最低賃金ランキング

先進国では最低レベルながら、アジアではトップの日本の最低賃金

さっそく「世界の最低賃金ランキング」から見ていきましょう。下記の2つの表は、OECD(経済協力開発機構)が発表している、「実質最低賃金(real minimum wage)のランキング(2016年)」(左)と、「アジア諸国における最低賃金の傾向」(右)になります。

最低賃金_01 (5)

出典(左表): OECD 「Real minimum wages」
出典(右表): BTMU Global Business Insight 臨時増刊号 AREA Report 472 『アジアの最低賃金動向(2017 年 4 月)』
※右表は出典データを元に編集部が時給として概算

まず左の「世界の実質最低賃金ランキング」のデータから見ていくと、上位3ヵ国には、1位:フランス(11.2ドル)、2位:オーストラリア(11.1ドル)、3位:ルクセンブルク(11.0ドル)という、いわゆる“世界の賃金ランキングトップの常連国”が顔を並べているのが分かります。

日本(7.4ドル)は11位で、続く12位がアメリカ(7.2ドル)というランキングとなっています。アジアでは首位となった日本ですが、先進国としては、アメリカをほんの少し上回ることで、なんとか最下位を免れることができた結果となりました。

続いて、右の「アジア諸国における最低賃金の傾向」を見てみましょう。国単位で見ると、中国の最低賃金の高さが目につきます(上海:2.2ドル 深セン:2.0ドル)。またタイ(バンコク:1.7ドル)、インドネシア(ジャカルタ特別州:1.6ドル)、フィリピン(マニラ首都圏:1.6ドル)の3ヵ国が拮抗していることにも注目です。

ちなみに、東京都の最低賃金時間額は958円となっています(平成29年10月1日改訂)。結局のところ、確かに先進国においては最下位クラスの日本の最低賃金ですが、アジア諸国の中ではトップであることが、お分かりいただけたと思います。

実質最低賃金とは?

ここで、実質最低賃金について補足しておきます。実質最低賃金とは、消費者価格指標と購買力平価説をもとに算出されており、各国の物価や賃金の変動を考慮した“実質的な労働報酬”として測定されているものです。(※ちなみに今回引用したデータは、各国の最低賃金としての「時給」を米ドルに換算したものになります)

つまり、実質賃金とは、その国の景気と連動したもので、各国の賃金額を物価指数で割った値であり、その国ならではの賃金の持つ本来の値打ちを表しています。ですから、単純に賃金額だけで、その国が豊かである、あるいは貧しいなどと一概には判断できないことをご了承ください。

2. アジア各国の賃金比較(時給換算)

毎年最低賃金のベースアップが続くアジア諸国

では、ここからは、アジア各国の賃金比較を見ていきましょう。

下記の表は、アジア・オセアニア各国の「製造業の一般工の平均月額賃金の比較」となっています。

【 アジア各国の一般工の米ドル建て月額賃金の比較 】

出典:BTMU Global Business Insight臨時増刊号 AREA Report 432 『アジア・オセアニア各国の賃金比較 (2016年5月)』

近年の高い経済成長を背景に、アジア各国の都市で賃金の上昇が続いていることは、多くのメディアで伝えられていますが、それらのアジア諸国と比較した場合、当然ながら日本(データでは横浜)の平均月収(2,588ドル)は、群を抜いて高いことが分かります。

また、前項のデータ同様に、オーストラリアがトップ(3,608ドル)となっており、横浜に続いて、2位がソウル(韓国)(1,895ドル)で、3位が香港(1,889ドル)、4位がシンガポール(1,608ドル)となっており、それら5ヵ国に続いて6位が台北(台湾)(1,010ドル)となっています。

また、ランキングの上位ではないものの、近年中国の各都市では、法定賃金の引き上げが続いており、当然ながらベトナムやインドネシアやカンボジアなどでも、最低賃金のベースアップが毎年行われているのが現状です。

例えば、ベトナムでは、2017年1月1日から、法定最低賃金を平均で7.3%増することが決められています。

また、インドネシア政府は、2018年の最低賃金について、17年と比較して8.71%増としています。

さらに、アパレル縫製業の発展が著しいカンボジアでは、被服業及び製靴業に従事する労働者の月額最低賃金を、前年の153ドルから170ドルへと11.1%上昇することが発表されました。

アジアランキングで上位に位置する香港やシンガポールですが、例えば香港では2年に一度最低賃金の見直しが行われており、2017年5月より、それまでの時給32.5香港ドル(約464円)から34.5香港ドル(約493円)に変更されています。

シンガポールでは、それまでの月額1,000Sドル(約80,700円)の最低賃金が、2017年7月より1,100Sドルにアップされていましたが、さらに2018年7月からは1,200Sドルに引き上げられることが発表されています。

3. 「従業員の賃金上昇」という問題に悩む日系進出企業

上昇傾向にある途上国の給与昇給率

下記は、JETROによる『2016年度 アジア・オセアニア進出日系企業実態調査』からの「賃金の前年比昇給率(2016年度→2017年度)」と、「経営上の問題点」に関するアンケート調査からの抜粋になります。

スクリーンショット

出典:2016年度 アジア・オセアニア進出日系企業実態調査 『8. 賃金(1) 前年比昇給率』

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出典:2016年度 アジア・オセアニア進出日系企業実態調査 『3. 経営上の問題点(1)』

ご覧の通り、途上国ほど前年からの給与昇給率が高くなっているのが分かります。また、海外進出をしている日系企業が経営上の問題点として挙げているのは、「従業員の賃金上昇」が65.3%ともっとも多い割合となっています。

調査の対象となった日系企業の進出先は、アジア全域及びオセアニアの計20ヵ国ですが、上記の「従業員の賃金上昇」を問題点に挙げた進出国別の内訳としては、インドネシア(82.2%)が中国(77.8%)を上回り、この2ヵ国にベトナム(75.5%)、ミャンマー(75.3%)を加えた計4ヵ国で7割を超える結果となりました。


4. 「最低賃金」から読み取れる海外ビジネスのチャンスとは?

「最低賃金」の上昇は海外ビジネスにおいて必ずしもマイナスではない

上記のように、「最低賃金」の上昇に悩む日系企業が多いのも事実です。そうした企業は、製造業やIT業などに多く、海外で製品やソフトウェアを「安く」製造することによって利益を増やそうとしているからです。

しかし、小売業やサービス業、飲食業などといった、現地の市場を対象とした海外ビジネスにおいては、「最低賃金」の上昇は必ずしもマイナスではありません。視点をずらせば、むしろメリットともとらえることが可能なのです。なぜなら現地従業員の所得が増えるということは、現地の消費力の強化に繋がり、小売業やサービス業、飲食業といった業種の顧客単価の増加に繋がります。

このことから…

・「最低賃金が低く、かつ上昇率も高くない国は、生産拠点への進出に有望」
・「最低賃金の上昇率が大きい国は、販路拡大先として有望」

…ということが言えるのです。

もし、海外ビジネスを検討されている企業で、進出先を選定しようとしているならば、上記のランキングを参考に「最低賃金」という指標を検討のファクターとして加えてみることを強くオススメします。

7. 優良な海外進出サポート企業をご紹介

御社にピッタリの海外進出サポート企業をご紹介します

今回は「世界&アジア諸国の最低賃金ランキング」(時給換算)と、海外ビジネスにおける「最低賃金という指標」の重要性、さらには先進国で最低・アジアでトップの「日本の最低賃金」について解説しました。

「Digima〜出島〜」には、厳選な審査を通過した優良な海外進出サポート企業が多数登録しています。当然、複数の企業の比較検討も可能です。「海外進出の戦略についてサポートしてほしい」「海外での事業計画立案のアドバイスがほしい」「海外に進出したいが何から始めていいのかわからない」…といった、多岐に渡る海外進出におけるご質問・ご相談を承っています。

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この記事を書いた人

SukegawaTakashi

助川 貴

株式会社Resorz

「Digima〜出島〜」編集部・コンテンツディレクター。 雑誌編集・書籍編集・WEB編集を経て現職。 これまでに、アメリカ・イギリス・インド・中国・香港・台湾・ベトナム・ミャンマー・カンボジア・マレーシア・シンガポール・インドネシア・エジプトなどの国・地域へ渡航。趣味は、音楽・スノーボード・サーフィン・ドローンほか。

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