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世界の最低賃金ランキング | 先進国で最低・アジアでトップの日本の最低賃金

掲載日:2020年03月11日

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「世界の最低賃金ランキング」をメインテーマに、「日本の最低賃金」が先進国で最低&アジアでトップという事実と、日本企業が海外進出した際の「最低賃金という指標」の重要性について、さらにはベースアップを続ける「東南アジア諸国の最低賃金の最新情報」についても解説します。

結論から言うと、本テキストの重要ポイントは、日本企業が自社のサービス・商品を海外展開する上で、その国の「最低賃金」というファクターが重要な指標になるということです。

ご存じのように世界的に「最低賃金の引き上げ」は常識になりつつあります。ただ、日系企業がアジア諸国に海外展開するメリットとして、人件費や原材料費などの生産コストを削減できるという利点は、いまだに大きなインセンティブになっています。

しかしグローバル化が進み、各途上国が経済発展することによって、先述のように、世界の最低賃金は軒並み上昇傾向にあります。つまり「アジアなどの途上国なら人件費を抑えられる」というメリットは、次第に薄れつつあるのが21世紀における海外ビジネスの常識なのです。

しかし従来どおりの「単なるコスト削減」ではなく、所得が増えている途上国を魅力的な市場としてとらえた「販路拡大のための進出」も増えています。なぜなら人々の年収がアップすれば、その消費も拡大し、人々が住む国・地域が魅力的なマーケットとして成長していくからです。

つまり「最低賃金」という指標は、「人件費の節約」という従来の目的に加えて、「新たな消費市場のリサーチ&事業展開」においても重要な指標となるということです。

本テキストでは、そんな新たな世界の潮流を踏まえた上で、『世界の最低賃金ランキング』を、日本企業が海外進出する際の指標となる「人件費の節約」と「新たな消費市場の開拓」という2つのファクターで考察していきます。

Photo by Christine Roy on Unsplash

1. 世界の最低賃金ランキング

先進国では最低レベルの日本の最低賃金

では、さっそく「世界の最低賃金ランキング」を解説していきます。まずは、OECD(経済協力開発機構)が発表している、「実質最低賃金(real minimum wage)のランキング(2018年)」のデータから見ていきましょう。

世界の最低賃金ランキング_01

出典: OECD 「Real minimum wages」

ちなみにOECD(経済協力開発機構)とは、ヨーロッパ諸国を中心に、日本アメリカを含めた35ヵ国の先進国が加盟している国際機関です。(※中国などは加盟していないので、アジア諸国の最低賃金に関しては後項にて別データで考察していきます)

OECD加盟国における最低賃金ランキング(時給換算)のトップ5ヵ国には…

■1位:オーストラリア(12.1ドル)
■2位:ルクセンブルク(11.8ドル)
■3位:ドイツ(10.9ドル)
■4位:オランダ(10.4ドル)
■4位:ベルギー(10.4ドル)


…という、いわゆる“世界の賃金ランキングトップの常連国”が顔を並べています。

ちなみに日本(8.1ドル ※2017年のデータ)は11位で、続く12位が韓国(7.9ドル)というランキングとなっています。

OECDに加盟しているアジア諸国では首位となった日本ですが(※1)先進国(※2)としては、韓国およびアメリカを少し上回ることで、なんとか最下位を免れた結果となっています。

※1.
2020年現在、東京都の最低賃金時間額は1,013円(2019年10月1日改訂)


※2.
先進国の定義は複数あるが、本テキストでは、世界銀行によって「高所得国」に分類される国々(2016年時点の一人当たり国民所得(GNI)が12,235米ドル以上の国々)とする

アジア諸国ではトップの日本の最低賃金

続いては、「アジア諸国における最低賃金の動向(月給)」を見てみましょう。

アジアにおける最低賃金のdoukou_2018.12 (1)

出典: MUGF BK Global Business Insight 臨時増刊号 AREA Report 507 『アジアの最低賃金動向(2018年12月)

国単位で見ると、やはり中国の最低賃金の高さが目にとまります(上海(市内):367ドル、深セン:333ドル)。

さらにタイ(バンコク:282ドル)、マレーシア(262ドル)、インドネシア(ジャカルタ特別州:259ドル)、フィリピン(マニラ首都圏:249ドル)の3ヵ国が拮抗しています。

それら3ヵ国に続いて、カンボジア(182ドル)、ベトナム(ハノイ・ホーチミン・ハイフォンの都市部:179ドル)の2ヵ国が追随しており、少し遅れてミャンマー(101ドル)が続く形となっています。

結局のところ、確かに先進国においては最下位クラスの日本の最低賃金ですが、アジア諸国の中ではトップであることが、お分かりいただけたと思います。

実質最低賃金とは?

ここで改めて「実質最低賃金」について補足しておきます。実質最低賃金とは、消費者価格指標と購買力平価説をもとに算出されており、各国の物価や賃金の変動を考慮した“実質的な労働報酬”として測定されているものです。(※ちなみに今回引用したデータは、各国の最低賃金としての「時給および月給」を米ドルに換算したものになります)

つまり、実質賃金とは、その国の景気と連動したもので、各国の賃金額を物価指数で割った値であり、その国ならではの賃金の持つ本来の値打ちを表しています。ですから、単純に賃金額だけで、その国が豊かである、あるいは貧しいなどと一概には判断できないことをご了承ください。

2. アジア・オセアニア各国の最低賃金を比較

アジア・オセアニア各国の最低賃金を比較した結果は…?

では、このセクションからは、改めてアジア各国の賃金比較を見ていきましょう。

下記の表は、アジア・オセアニア各国の「製造業の一般工の平均月額賃金の比較」となっています。

アジア・オセアニア各国の一般工の月額賃金(ドル)

出典: MUFG BK Global Business Insight臨時増刊号 AREA Report 5145 『アジア・オセアニア各国の賃金比較 (2019年5月8日)』

近年の高い経済成長を背景に、アジア各国の都市で賃金の上昇が続いていることは、多くのメディアで伝えられていますが、それらのアジア諸国と比較した場合、当然ながら日本(データでは横浜)の平均月収(2,834ドル)は、群を抜いて高いことが分かります。

また、前項のデータ同様に、シドニー(オーストラリア)がトップの3,637ドル。2位がオークランド(ニュージーランド)で3,003ドル。

3位の横浜(日本)に続いて、4位がソウル(韓国)で2,208ドル。5位が香港で2,212ドル。6位がシンガポールで1,946ドル。7位が台北(台湾)で1,097ドルとなっており、その他8位以降は1,00ドル以下という結果となりました。

3. アジア諸国の最低賃金の最新情報

毎年最低賃金のベースアップが続くアジア各国

ランキングの上位ではないものの、近年アジアの各都市では、法定賃金の引き上げが続いており、当然ながらタイやベトナムやインドネシアやカンボジアといったアジア諸国でも、最低賃金のベースアップが毎年実施されています。

このセクションでは、毎年毎年最低賃金のベースアップが続くアジア各国の最新情報を見ていきます。

タイの最低賃金の最新動向

タイ政府は、2019年1月よりバンコクの最低賃金を1.8%引き上げ、日額331バーツ(約1,200円)となりました。

タイの最低賃金は2017年から改定が続いており、タイ政府は4年間かけて段階的に引き上げる方針としています。

ベトナムの最低賃金の最新動向

2016年まで毎年10%以上の賃金上昇が続いていたベトナム。

2017年1月1日より法定最低賃金を平均で7.3%増することが決められていましたが、2018年に最低賃金に関する協議が行われ、2019年の最低賃金を5.3%に引き上げることで合意。

2020年1月からは、ハノイやホーチミンなどの主要都市では5.7%引き上げとなっており、月額442万ドン(約21,000円)となっています。

インドネシアの最低賃金の最新動向

インドネシア政府は、2018年の最低賃金について、17年と比較して8.71%増としていましたが、2019年1月には8%の引き上げを実施。

2020年1月からは、ジャカルタで8.5%の引き上げで月額約428万ルピア(約34,000円)となっており、近年は8%台の上昇率となっています。

カンボジアの最低賃金の最新動向

アパレル縫製業の発展が著しいカンボジアですが、2018年10月に、被服業及び製靴業に従事する労働者の月額最低賃金を月額182ドルとする旨を政府が発表。

カンボジアの法廷最低賃金は、2016年140ドル、2017年153ドル、2018年170ドル、2019年182ドルと急激な引き上げが実施されています。

また2018年7月に全産業に適用する法廷最低賃金法が施行された、これまで縫製業にのみ適用されていた法定最低賃金が、労働者保護のため、全産業に適用されていく見込みです。

ミャンマーの最低賃金の最新動向

2018年5月、ミャンマー政府は、全国一律日額3,600チャット(約3.4ドル)の法定最低賃金を4,800チャットに引き上げました。

フィリピンの最低賃金の最新動向

2018年11月、フィリピンの労働雇用省は、マニラ首都圏の日額最低賃金(非農業部門)を25ペソ引き上げた537ペソ(10.6ドル)とすることを決定しています。

中国の最低賃金の最新動向

2018年4月1日、上海の法定最低賃金が、これまでの2,300元から2,420元(348.75ドル)に引き上げられました。

香港の最低賃金の最新動向

これまで2年に一度最低賃金の見直しが行われており、2017年5月より、それまでの時給32.5香港ドル(約464円)から34.5香港ドル(約493円)に変更。

2019年5月1日からは、時給34.5香港ドル(約497円)から37.5香港ドル(約540円)に引き上げられました。

シンガポールの最低賃金の最新動向

それまで月額1,000Sドル(約77,421円)だった最低賃金が、2017年7月より1,100Sドル(約85,163円)にアップ。

さらに2018年7月から1,200Sドル(約9,2905円)に引き上げられています。

4. 「従業員の賃金上昇」という問題に悩む日系進出企業

上昇傾向にある途上国の給与昇給率

ここまで読んでいただければ、日本企業が多数進出を果たしてるアジア各国の最低賃金が軒並み上昇を続けていることが充分にご理解いただけたと思います。

下記は、JETROによる『2019年度 アジア・オセアニア進出日系企業実態調査』からの「賃金の前年比昇給率(2019年度→2020年度)」と、「経営上の問題点」に関するアンケート調査からの抜粋になりますが、本稿のテーマである「最低賃金の上昇」が、海外展開時の大きな問題として存在していることが分かります。

賃金の前年比昇給率

出典:2019年度 アジア・オセアニア進出日系企業実態調査 『8. 賃金(1) 前年比昇給率』

最低賃金_経営上の問題点について

出典:2019年度 アジア・オセアニア進出日系企業実態調査 『3. 経営上の問題点(1)』

ご覧の通り、途上国ほど前年からの給与昇給率が高くなっているのが分かります。また、海外進出をしている日系企業が経営上の問題点として挙げているのは、2019・2018年ともに「従業員の賃金上昇」が65.8%・65.9%ともっとも多い割合となっています。

掲載した調査の対象となった日系企業の進出先は、アジア全域及びオセアニアの計20ヵ国ですが、上記の「従業員の賃金上昇」を問題点に挙げた進出国別の内訳としては、インドネシア(84.0%)が最多で、カンボジア(75.7%)、中国(73.7%)と続いています

5. 「最低賃金」から読み取れる海外ビジネスのチャンスとは?

「最低賃金」の上昇は海外ビジネスにおいて必ずしもマイナスではない

前項で解説したように「最低賃金」の上昇に悩む日系企業が多いのは事実です。そうした企業は、製造業やIT業などに多く、海外で製品やソフトウェアを「安く」製造することによって利益を増やそうとしています。

しかし、小売業やサービス業、飲食業などといった、現地の市場を対象とした海外ビジネスにおいては、「最低賃金」の上昇は必ずしもマイナスではありません。 視点をずらせば、むしろメリットともとらえることが可能なのです。 なぜなら現地従業員の所得が増えるということは、現地の消費力を強化し、将来的に、小売業やサービス業、飲食業といった業種の顧客単価の増加に繋がっていくからです。

このことから…

・「最低賃金が低く、かつ上昇率も高くない国は、生産拠点への進出に有望」
・「最低賃金の上昇率が大きい国は、販路拡大先として有望」

…ということが言えます。

もし、あなたが海外ビジネスを検討していて、自社の進出先の選定を考慮しているならば、今回掲載した「世界の最低賃金ランキング」を参考に、この「最低賃金」というファクターを、自社の商品およびサービスを海外展開する際の指標として加えてみることを強くオススメします。

6. 優良な海外進出サポート企業をご紹介

御社にピッタリの海外進出サポート企業をご紹介します

今回は「世界&アジア諸国の最低賃金ランキング」と、海外ビジネスにおける「最低賃金という指標」の重要性、先進国で最低・アジアでトップの「日本の最低賃金」と、年々ベースアップを続けるアジア諸国の最低賃金の現状について解説しました。

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この記事を書いた人

SukegawaTakashi

助川 貴

株式会社Resorz

「Digima〜出島〜」編集部・コンテンツディレクター。 雑誌編集・書籍編集・WEB編集を経て現職。 これまでに、アメリカ・イギリス・インド・中国・香港・台湾・ベトナム・ミャンマー・カンボジア・マレーシア・シンガポール・インドネシア・フィリピン・エジプトなどの国・地域へ渡航。趣味は、音楽・スノーボード・サーフィン・ドローンほか。

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