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貿易用語のEPAとは? | FTAとの違いやメリット・デメリットを解説

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「EPA」とは経済連携協定(Economic Partnership Agreement)が正式名称で、特定の国や地域間の貿易や投資を促進するための条約です。

結論から言ってしまえば、日本企業がEPAを活用すれば、国や商品によっては輸出入時の関税が削減されるケースが多々あります。

本テキストでは、EPAの基礎知識として、「EPAとは何か」「EPAが誕生した背景」といった基本情報に加えて、「貿易におけるEPAの目的と活用法」「EPAのメリット・デメリット」、さらには「日本が海外の国・地域と締結しているEPAの現状」「EPAを利用する際の確認方法」についてもわかりやすく解説します。

1. EPAとは?

EPAとは経済連携協定のこと

「EPA」の正式名称は経済連携協定で「Economic Partnership Agreement」の略です。特定の国や地域間の貿易や投資を促進するための条約のことを指します。

特定の国や地域間の輸出入にかかる関税の撤廃や削減等を定めた国際協定としては「FTA(Free Trade Agreement/自由貿易協定)」が有名ですが、EPAはFTAの内容に加えて、物品やサービスの流通だけでなく、人の移動や知的財産権の保護、また、投資・競争政策などさまざまな分野で連携することで、特定の国または地域間での親密な関係強化を目指す協定です。

つまり…「EPAの中にFTAが含まれている」と理解しておくとよいでしょう。

EPAを活用することで関税が無税になる!?

次項以降にて詳しく解説しますが、まずはEPAを知ることのメリットについて解説します。結論から言ってしまえば、日本企業がEPAを活用すれば、国や商品によっては関税が無税になるケースがあります。

関税がなくなることで進出国における価格競争力がアップするので、小規模な企業・事業であっても、自社商品の海外展開が可能になります。

それこそ外国の商品にかかる関税も軽減されるので、モノを安く輸入することも可能です。

つまりEPAを知ること、さらにEPAを活用することは、あなたの輸出入ビジネスにおいて重要事項と言えるのです。

2. EPAが誕生した背景 / EPAとWTO・FTAとの関係性

EPAの基本情報として、まずはEAPが生まれた経緯について、さらにはEPAとWTO(World Trade Organizatio/世界貿易機関)・FTA(Free Trade Agreement/自由貿易協定)との関係についてそれぞれ見ていきましょう。

EPAが誕生した背景

WTO(世界貿易機関)とは、多国間通商交渉「ウルグアイ・ラウンド」において1994年に設立が合意された国際機関のことです。設立は1995年。WTOが世界の貿易ルールを決める際には、161の国と地域の全会一致が原則ですが、先進国と途上国の対立により、交渉が停滞してしまうという事態が起きました。

そのため、交渉が停滞しないよう「二国間での交渉」を行うことになり、FTA(自由貿易協定)とEPA(経済連携協定)が生まれました。この二国間での交渉がその後主流となり、現在では世界全体で200を超える協定があります。

EPAとWTOとの関係

WTOは世界中の国家間で貿易の自由化を目指した取り組みを行っている国際機関で、ほぼ全世界と言える数の国が加盟し、貿易に関するルール等を取り決めています。多国間通商交渉を通じ、貿易障壁となる関税などの削減や撤廃を目指しています。

EPAの誕生した背景でも説明したとおり、以前は、関税の削減や貿易の自由化によって国と国の間の物品のやり取りを活発化することはWTOを中心として行われていました。

しかし、加盟国が多くなると、利害がぶつかり合うことが多くなり、また100を超える国すべてが特定の品目について一律に関税を撤廃させるのも難しくなってきたため、EPAやFTAといった個別貿易協定の交渉が進むようになったのです。

先述したように「EPAの中にFTAが含まれている」と理解しておくとよいでしょう。

EPAとFTAとの関係

FTAは「Free Trade Agreement」の略称。日本語では「自由貿易協定」と呼ばれることもあります。

EPAとFTAはどちらも個別貿易協定ですが、FTAが国・地域間の貿易にかかる関税の撤廃・削減などを定めた国際協定であるのに対し、EPAはFTAの内容に加えて、投資やビジネス環境の整備、知的財産保護の強化などを含む、さらに範囲の広い包括的な協定です。

3. 貿易におけるEPAの目的と活用法

EPAの誕生を巡る背景に続いては、いよいよ貿易におけるEPAの目的と活用法について解説していきます。

貿易におけるEPAの目的

まずEPAの目的としては、先述した関税の引き下げ・撤廃といった、輸出入の関税の障壁を撤廃すること以外にも、輸出入手続きの簡素化や規格・検疫相互認証といった関税以外の障壁を撤廃することがあります。 それをまとめるとおもに下記の2つになります。

・関税を減免・撤廃し、貿易の自由化をはかること
・投資や人の行き来をスムーズにし、各国間の経済の結び付きを強めること

貿易におけるEPAの活用法

皮革製品など、通常20%の関税がかかる製品も、EPAを活用することで無税となります。関税がかからなければその分商品の価格を安くすることができるので、現地での売上アップにもつながるでしょう。

日本はメキシコ、シンガポール、タイ、インドネシアなどの国々とEPAを締結していますが、それによって「日本企業が海外進出しやすくなる」「輸入先が増えるため、食料やエネルギーの確保、供給が安定する」「個別交渉を行うことで、二国間関係が発展する(経済分野の相互依存関係が深まる)」などを実現することができるからです。

4. EPAのメリット・デメリット

EPAの目的と活用法に続いては、さらに具体的なEPAのメリットとデメリットについて確認していきましょう。

EPAのメリット

EPAの締結によって、国が得られるメリットは以下の4つにまとめることができます。

■関税を減免したり撤廃したりできる
関税が安ければ安いほど、輸出国は輸出先の国において現地企業と対等に競争することができます。逆に関税が高ければどうでしょうか?

輸出国の販売する商品やサービスは高くなり、輸出先の国において、現地の製品よりも価格の面で不利になってしまうことも。関税の減免や撤廃は、製品がただ安くなるだけではなく、市場の公平な競争に貢献するものでもあるのです。

■輸入規制を撤廃できる
例えば…輸入できる国に制限があったり容量制限があったりといった、輸入に厳しい規制が設けられており、輸入がなかなかできないという状態では、貿易以前の問題です。

そのような輸入規制が撤廃されれば、他国においての商品やサービスの流通や販売がスムーズに行くようになります。

■貿易を円滑にすすめることができる
貿易にはさまざまな手続きが存在します。もちろん安全や安心のために手続きは必要ですが、たくさんの手続きに追われて、なかなか輸出入が進まない……となると、時間やコストも余分にかかってしまいます。手続きを必要最低限にすることによって、輸出入にかかる時間やコストをおさえることができます。

■投資が促進される
国同士の貿易がスムーズになり、市場においてフェアで自由な取引がなされるようになると、市場が活性化し、それに伴い、投資も促進されます。

国同士の貿易がスムーズになり、市場においてフェアで自由な取引がなされるようになると、市場が活性化し、それに伴い、投資も促進されます。

EPAのデメリット

ここからはEPAのデメリットについて見ていきましょう。

■商品の安全性が担保されなくなる危険性がある
EPAの大きなデメリットとしては、EPAによって簡略化された手続きにより、商品の安全性が担保されなくなる危険性があります。

具体的には食器や食品などは、それぞれの国の検査機関で安全性を確認する必要がありますが、EPAによって検査の有効期限や回数が簡略化されると、危険性の高い商品が流通する可能性が高まってしまうというデメリットがあることは心に留めておきましょう。

5. 日本が海外の国・地域と締結しているEPAの現状

日本のEPAの現状

このセクションでは、日本と海外の国・地域間のEPAの現状について見ていきます。

結論から言えば、日本は2020年2月現在、21の国・地域とEPAを締結しています。

日本の貿易総額において、国・地域の貿易額が占める割合は、EPA発効済みの相手国が51.6%と半数を超えています。EPAを交渉中の国も含めると86.2%と、かなり高い割合となっています。

日本とEPAを締結している国・地域

日本とEPAを締結している国・地域は下記の通りです。

EPA

出典:「我が国の経済連携協定(EPA/FTA)の取組」外務省

EU・ スイス・ モンゴル・ インド・ ASEAN・ ラオス・ カンボジア・ ミャンマー・ フィリピン・ タイ・ インドネシア・ ベトナム・ マレーシア・ ブルネイ・ シンガポール・ ニュージーランド・ オランダ・ カナダ・ メキシコ・ ペルー・ チリ

日本とEPA締結を交渉中の国・地域は以下になります。

トルコ・ GCC・ 中国・ 韓国・ コロンビア

6. EPAを利用するための確認方法の流れ

EPAの基礎知識の最終セクションとして、自社の輸出入ビジネスにおいて、EPAを利用できるか否かの確認方法について簡潔に解説します。

以下より、「日本から輸出するケース」「日本へ輸入するケース」の双方の確認方法の流れについて見ていきましょう。

日本から輸出するケース

日本から輸出する際の流れは下記の5つのステップに分かれます。

1. 輸出相手国がEPAを利用できるかどうか確認する
2. HSコード(輸出入の際に商品を分類するための番号)を特定
3. 関税率を確認
4. 原産地規則の確認
5. 特定原産地証明書を用意する

日本へ輸入するケース

日本へ輸入する際の流れは大きく分けて下記の4つのステップになります。

1. 輸入先がEPAを利用できる国か確認する
2. HSコード(輸出入の際に商品を分類するための番号)を特定する
3. 関税率を確認
4. 輸出者に対して、特定原産地証明書を用意してもらうよう依頼

上記はあくまで簡潔にステップをピックアップしたものです。輸出入それぞれのステップにおいて、さらに細分化された手順がありますので、詳細は下記の経済産業省のサイトを参考にてしてみてください。

https://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/process/index.html

7. 優良な海外進出サポート企業をご紹介

御社にピッタリの海外進出サポート企業をご紹介します

今回は「EPAの基礎知識」として、「EPAとは何か」「EPAが誕生した背景」「貿易におけるEPAの目的と活用法」「EPAのメリット・デメリット」「日本が海外の国・地域と締結しているEPAの現状」…などについて解説しました。

通常20%かかる関税をなくすことができる……そんな夢のようなことが可能になるのがEPAですが、EPAを活用するには知識が必要です。そもそも、それぞれの国や商品についてのEPAをすべて調べ上げるのは決して簡単なことではないでしょう。

「Digima〜出島〜」には、厳選な審査を通過した優良な海外進出サポート企業が多数登録しています。当然、複数の企業の比較検討も可能です。

「自社製品の輸出でEPAを活用する場合、どの国が最適なのか知りたい」「進出したい国のEPAについて詳しく知りたい」「海外展開したいがどうすればいいのかわからない」「海外ビジネスの事業計画を一緒に立てて欲しい」…といった、EPAに関わらず、多岐に渡る海外進出に関するご質問・ご相談を承っています。

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