【2024年9月版】日本企業の海外進出実態調査レポート

本レポートは「Digima〜出島〜」に寄せられた海外進出に関する相談内容を基に、海外進出検討企業の「業種別割合」「規模別割合」「進出国・エリア別の増減」「相談内容別の増減」の4つの項目を解説していきます。
2024年9月の総相談件数は、前月の8月と比較して9.33%の増加となりました。前月比としては、業種では「卸売・小売」、企業の規模別では「従業員10名以下」、進出国としては「インド」が、それぞれもっとも大きく増加し、各項目でも1位を記録しました。
本文内では、上記の内容を実際の相談内容と併せてより詳しく解説していきます。
※プライバシー保護のため、相談内容の一部を改編して掲載しています
▼【2024年9月版】日本企業の海外進出実態調査レポート
- 1. 2024年9月に「Digima〜出島〜」に寄せられた相談全体の概要
- 2. 海外進出検討企業の「業種別割合」
- 3. 海外進出検討企業の「規模別割合」
- 4. 海外進出検討企業の「進出国・エリア別の増減」
- 5. 海外進出検討企業の「相談内容別の増減」
▼アナタの海外ビジネスを成功させるために
1. 2024年9月に「Digima〜出島〜」に寄せられた相談全体の概要
2024年9月の「Digima〜出島〜」への海外進出に関する相談件数は、8月と比較して9.33%の増加となりました。8月はお盆休みなど季節的な要因によって、ビジネス活動が一時的に減速する時期であったため、9月にはその反動で相談件数が増加したと考えられます。
卸売・小売業の相談件数が1位に
9月の大きな特徴として「卸売・小売業」からの相談件数の増加があります。後項にて詳述しますが、前月比で27.97%のアップ。全体の割合においても1.7ポイントの増加を記録しています。
これは後述する「販路拡大(営業代行・販売代理店探し)」の相談件数の増加にも密接に関係しています。卸売・小売業は、特に海外市場での新規販路の開拓や、現地パートナーとの連携強化を求めている企業が多く、そのニーズが急速に高まっていることが背景にあるとうかがえます。
インド・台湾・ヨーロッパへの進出検討企業が増加
また、進出検討国としては「インド」を筆頭に「その他アジア」「台湾」「ヨーロッパ」の相談件数も前月比で大きくアップしています。インドは世界最大の人口を抱える成長市場であり、台湾は親日的なビジネス環境と先進的な技術力、ヨーロッパは洗練された消費市場と高い購買力を誇ることから、これらの国・地域への進出を検討する日本企業が増加していることがうかがえます。
海外市場に向けた「販路拡大」の増加の背景
さらに、先述した〝卸売・小売業の相談件数の増加〟と並行して、相談内容においては「販路拡大(営業代行・販売代理店探し)」が、1ヵ月ぶりに相談件数トップに返り咲きました。
そもそも日本企業の海外進出には主に2つの目的が存在します。1つはコスト削減を目的にした生産拠点の確保であり、もう1つは成長が期待される海外市場に向けた「販路拡大」です。
後者である「販路拡大」が増加している背景には、グローバル化の進展により、日本国内市場の成長が停滞する一方、海外市場における新たなビジネスチャンスへの期待が急速に高まっていることを示しています。欧米はもちろんアジア地域でも、消費者の購買力が向上し、需要が拡大しています。それに比例するように、今後も「販路拡大」に関する相談が増加していくことが予測されます。
以降では、ここで示した相談内容の全体傾向を、「Digima〜出島〜」の相談窓口に寄せられた具体的な相談事例を通じて、より詳細に解説していきます。
2. 海外進出検討企業の「業種別割合」

まずは海外進出検討企業の「業種別割合」を見ていきましょう。
卸売・小売の相談件数が+27.97%のアップ。全体の割合でも1.7ポイントの増加
9月と8月の「業種別割合」を比較した際、問い合わせ件数がもっとも増加したのが「卸売・小売」でした。前月比で27.97%のアップ。全体の割合においても1.7ポイントの増加を記録しました。
21世紀に入り海外進出の新たな可能性を見いだした「卸売・小売」業
日本の小売業は、国内市場に依存する「ドメスティック産業」として長らく海外進出が難しいとされてきました。その理由は、異なる文化、経済、商習慣に加え、小売業特有の流通構造や販売方法が各国で大きく異なるため、日本での経験が海外でそのまま活かせないことにあります。
しかし、21世紀に入り、ウォルマートやアマゾンといったグローバルリテーラーが国際市場で大成功を収め、小売業の海外進出に新たな可能性が見出されました。
日本企業もその流れに乗り、セブンイレブンやユニクロ、無印良品などが現地市場へのローカライズ戦略を徹底し、成功を収めています。
以下に、今月「Digima〜出島〜」の相談窓口に寄せられた「卸売・小売業を営む企業」からのご相談をご紹介します。
美容商材の海外販路開拓に向けたコンサルティング(小売業/関西地方)
弊社は現在、アジア地域にて美容関連商材の小売業を運営しており、海外市場に向けた販路開拓を検討しております。今回、弊社の美容関連商材をBtoB向けに展開する方法について、情報収集およびご相談をさせていただきたく、お問い合わせいたしました。
具体的な進出エリアとして、北米、ヨーロッパ、中国を候補にしておりますが、他にも適したエリアや展開方法がございましたら、ぜひご提案いただければ幸いです。
中古車の海外販売代理店探し(小売業/関東地方)
中古自動車の輸出・販売を行う小売業を営んでおり、東アフリカを中心に多くの実績を持っています。
これまでに北米地域からもお問い合わせをいただき、販売実績がある中で、今後はさらに同地域での販路拡大を目指しております。そのため、弊社の現地販売代理店となっていただける企業様を探しており、販路開拓に関するご相談をさせていただきたく、お問い合わせいたしました。
今回採りあげた「美容商材の販路拡大」「中古車の現地販売代理店の選定」といった事例からは、各企業が海外現地の消費者のニーズや流通網に対応した事業戦略を検討していることがうかがえます。
これは卸業・小売業に限らずですが、進出国の市場特性を充分に理解した上で、国内市場での成功体験に固執せず、現地市場ならではの特性に柔軟かつ的確に対応することが、海外事業の成功の近道であることは言うまでもありません。
3. 海外進出検討企業の「規模別割合」

続いては、海外進出を検討している企業の規模別割合について見ていきましょう。
「従業員10名以下の企業」が全体の割合および相談件数において大幅に増加
9月の「規模別割合」で着目すべきは「従業員10名以下の企業」の問い合わせの増加です。
まず全体の割合で見ると、8月の30%から、9月は50.8%と、20.8ポイントのアップ。問い合わせ件数においても、7つの規模別カテゴリーの中でもトップで、前月からの増加率が121.43%という大幅な増加を記録しました
以下より「従業員10名以下の企業」からの相談内容をご紹介します。
■ 従業員10名以下の企業 ①
アルコールの輸入代行及びライセンス取得サポート(卸売・小売業/中部地方)
弊社では輸入・国内卸売事業を展開しておりますが、新たに特定の海外市場へのアルコール(日本酒など)の輸出事業を進めております。そのため、該当市場における輸入代行ライセンスをお持ちの企業様のリストアップおよび、アルコール輸入・販売に関するライセンス取得のサポートをお願いしたく、お問い合わせいたしました。
初めての輸出事業となるため、ライセンス取得のプロセスについても知見のある企業様にご協力をお願いしたい次第です。また、補助金に関するサポートも併せてご提案いただければ幸いです。
■ 従業員10名以下の企業 ②
海外販路拡大に伴う補助金申請のサポート(製造業・小売業/関西地方)
弊社は食品ブランドメーカーとして、海外で製造した食品を国内で販売しており、スーパーマーケットなどに卸しております。この度、海外市場への販路拡大を検討しており、国内における補助金の申請を行うためのサポートをお願いしたく、お問い合わせいたしました。
具体的には、弊社に合った補助金の選定や申請手続き、書類作成のサポートをお願いしたいと考えております。また、補助金確定後の手続きやその後のフォローアップについても併せてご相談させていただきたく存じます。
上記2つの相談事例で共通しているのは、初めての輸出事業や海外販路開拓に向けた、補助金の申請という実践的なサポートです。特に「従業員10名以下の企業」にとって、資金面や手続きの複雑さは大きなハードルであり、これらをクリアするための専門家からのサポートは重要な役割を果たします。
海外進出はすべての企業にとって大きな成長のチャンスですが、それには適切な支援とリソースが欠かせません。今後も「Digima〜出島〜」では、各企業の規模やニーズに応じた最適な海外進出支援を提案し、それぞれの目標達成に向けたサポートを提供してまいります。
4. 海外進出検討企業の「進出国・エリア別の増減」

続いては、海外進出を検討している企業の「進出国・エリア別の増減」になります。
「インド」「台湾」「ヨーロッパ」の増加に注目
8月はお盆休みなど季節的な要因によって、多くの国・地域が減少しましたが、9月は全体の8割以上の国・地域が増加しました。
特に上位にランクインしている4つの国・地域である「インド」「その他アジア」「台湾」「ヨーロッパ」が顕著な動き(※)を見せています。
※
インド:増加率 150%
その他アジア:増加率 120%
台湾:増加率 250%
ヨーロッパ:増加率 133%
今回は、それら上位に位置する「インド」「台湾」「ヨーロッパ」に関するご相談を以下にご紹介します。
■ インド進出検討企業
ヘアケア用品のインドへの販路開拓と商品登録(小売業/関東地方)
弊社は無添加のヘアケア商品を販売しており、これまで北米や中東、オセアニアなどの海外市場にも販路を広げております。この度、インド市場への本格的な進出を検討しており、販路開拓や進出に伴う相談とサポートをお願いしたく、お問い合わせいたしました。
インドでの販路開拓に関する相談やサポート、商品登録(認可申請)の代行、越境ECサイトでの販売方法に加えて、化粧品輸出に伴う規制や商品登録手続きについてもご相談させていただきたいと思っております。
■ 台湾進出検討企業
台湾への冷凍加工食品の販路開拓(製造業・小売業/関東地方)
弊社は冷凍加工食品の製造・販売を行っており、今回、台湾市場への展開を検討しております。現地での販路開拓やパートナー契約に伴うサポートをいただける企業様を探しており、ご相談させていただきたく存じます。
主な進出エリアは台湾で、現地での卸先を探し、日本食を取り扱うデパートなどをアプローチ先として考えております。販路開拓に伴う全般的なサポート、特に現地でのパートナー契約の締結までをご支援いただければ幸いです。
■ ヨーロッパ進出検討企業
特殊な素材を使用したバッグのヨーロッパ販路開拓と越境EC展開(アパレル業/関東地方)
弊社は特殊な素材を使用したバッグの製造・販売を行っており、今回、ヨーロッパ、もしくはアメリカへの販路拡大を検討しております。現地での実卸販売や越境ECでの展開に関するサポートをいただける企業様を探しており、情報収集およびご相談をさせていただきたく存じます。
主な進出エリアとしてはヨーロッパ及びアメリカを想定しておりますが、越境ECにおける出品代行や、最適な販売方法に関するご提案も併せてお願いしたい次第です。
インド、台湾、ヨーロッパは、それぞれ独自の魅力を持つ進出先として、多くの企業にとって有望な市場となっています。
インドは世界一の人口を抱える国として、巨大な消費市場および生産拠点としての大きな可能性があります。台湾は親日的な文化を背景に、日本企業にとってビジネスがしやすい環境が整っていることが魅力となっています。ヨーロッパ市場は、洗練された消費者をターゲットにした、品質の高い製品を求める傾向があります。
そもそも日本企業の海外進出は大きく分けて2つの目的があります。1つは、低コストの生産拠点を求めての進出であり、もう1つは成長市場をターゲットにした販売市場の拡大を狙うものです。インド、台湾、ヨーロッパの各市場は、この両方のニーズに応じた魅力的な進出先として、多様なビジネス戦略に対応できる可能性を秘めていると言えるでしょう。
5. 海外進出検討企業の「相談内容別の増減」

最後は、海外進出検討企業の「相談内容別の増減」を見ていきます。
「販路拡大」を筆頭に13ジャンルが増加
「相談内容別の増減」に関しても、他の項目同様に、前月よりも相談件数が増えたことで、「販路拡大(営業代行・販売代理店探し)」を筆頭に13ジャンルが増加しました。
トップ3としては「販路拡大(営業代行・販売代理店探し)」「海外市場調査・マーケティング」「海外向けECサイト構築」の3ジャンルがランクイン。
特に「販路拡大(営業代行・販売代理店探し)」は、毎月常に相談件数の上位に位置するジャンルですが、8月は「海外会社設立・登記代行」「輸出入・貿易・通関」に続く3位だったため、1ヵ月ぶりの相談件数トップとなりました。
以下は「Digima〜出島〜」の相談窓口に寄せられた、そんな「販路拡大(営業代行・販売代理店探し)」に関するご相談となります。
タイでのリユース商品の卸販売による販路拡大(サービス業/関西地方)
弊社は出張買取事業を展開しており、この度、リユース商品のタイ市場への実卸販売を検討しております。
進出エリアとしてはタイを想定しておりますが、現地の状況に応じた適切なアプローチや販売方法についてご提案をいただければ幸いです。まずはスモールスタートでの展開を考えており、初期段階でのリスクを抑えつつ、徐々に拡大を目指していく計画です。
販路開拓や現地パートナーとの連携、必要な手続きや費用感についてのアドバイスをお願いしたいと考えております。
クラウドファンディングを活用した日本茶の販路拡大(製造業・卸売業/関西地方)
弊社は日本茶の製造および卸売小売販売を行っており、この度、アメリカや東南アジア市場への販路拡大を検討しております。そのため、クラウドファンディングを活用した資金調達を計画しており、サポートをいただける企業様を探しております。
クラウドファンディングの選定や立ち上げに伴うサポート、費用感についてのアドバイス、販路拡大の具体的なステップや最適なクラウドファンディングの選定についてご提案をいただければ幸いです。
リユースビジネスのように環境意識の高まりや持続可能性に応えるビジネスモデルや、クラウドファンディングのようなデジタル時代に適応した新しい施策は、近年の海外市場への販路拡大において、極めて効果的なツールとなっています。
リユースビジネスは、環境意識の高い市場で特に競争力を発揮しますが、現地のローカルパートナーとの連携が不可欠です。ローカルパートナーの協力を得ることで、現地の消費者ニーズや市場の特性に適応し、スムーズな市場参入とビジネス展開が可能になるからです。
また、販路拡大のためにクラウドファンディングを活用することで、単なる資金調達に留まらず、消費者のニーズをリアルタイムで分析し、プロダクトマーケットフィットを検証することができます。
「販路拡大」と一言で言っても、その施策には多様なアプローチがあります。だからこそ、国内市場の常識や慣習にとらわれない試行錯誤こそが重要なのです。
6. 優良な海外進出サポート企業をご紹介
貴社にピッタリの海外進出サポート企業をご紹介します
海外進出は日本企業にとって大きなチャンスである一方、国選びや市場分析などの準備が重要です。そこで、海外進出サポート企業や専門家の支援を受けることで、成功の確率を高めることができます。
「Digima〜出島〜」には、厳正な審査を通過した優良な海外進出サポート企業が3,000社以上登録しています。海外進出サポート企業を探すには、1社だけに絞るのではなく、複数のサポート企業を「比較する」ことがポイントです。
海外進出サポート企業は、豊富な経験と専門知識を活かし、進出先の選定から現地でのビジネス展開まで要望に沿った支援をしています。各国の最新のビジネス環境を把握し、海外展開を一歩を進めてくれるパートナーになってくれるでしょう。
海外進出を考えている企業の皆様は、ぜひ信頼できるサポート企業に相談し、海外ビジネス成功への第一歩を踏み出してください。
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