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D-U-N-Sナンバーとは?海外取引先の実在確認・与信調査で使う方法をプロが解説

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海外企業との取引を始めようとしたとき、取引先から「D-U-N-Sナンバーを教えてほしい」と求められた経験はないでしょうか。あるいは逆に、これから取引する海外企業が本当に実在するのかを確かめたい、という場面もあるはずです。

D-U-N-Sナンバーは、世界6億件超の企業に付与されている国際的な企業識別コードです。ただしこの番号を「相手が信用できる証拠」と受け取ってしまうと、思わぬ落とし穴があります。

本記事では、D-U-N-Sナンバーの基礎知識から、取引先を調べる側としての具体的な使い方、そして番号だけでは確認できない領域までを整理します。

D-U-N-Sナンバーとは|世界6億件超の企業を識別する9桁のコード

D&Bが1963年に開発した世界標準の企業識別コード

D-U-N-Sナンバー(Data Universal Numbering System)は、米国のダン・アンド・ブラッドストリート社(D&B)が1963年に開発した9桁の企業識別コードです。全世界6億件を超える企業・事業所に付与されており、国や言語をまたいで企業を一意に識別できます。

日本国内の企業については、D&Bと業務提携する株式会社東京商工リサーチ(TSR)が、国内に所在する拠点の発番・管理を行っています。国内の主要な企業には、自社が意識していなくてもすでに番号が振られていると考えてよいでしょう。

なお、9桁の数字はランダムに割り当てられており、番号自体に国や業種といった意味は含まれていません。あくまで「識別のための背番号」と理解しておくと混乱がありません。

法人番号や各国の企業番号との違い

日本国内で企業を識別する番号といえば法人番号ですが、D-U-N-Sナンバーとは性質が異なります。

また、D-U-N-Sナンバーは日本の法人番号のほか、EUのVAT番号、英国のCompanies Houseの登記番号(CRN)、フランスのSIREN、ドイツの登記番号など、各国の企業識別番号とも連携しています。国ごとにバラバラの番号体系を橋渡しする役割を持っている点が、このコードの本質的な価値です。

「企業単位」ではなく「事業所単位」で発番される

実務で最も誤解されやすいのが、発番の単位です。D-U-N-Sナンバーは法人単位ではなく、本社・支社・工場・店舗といった事業所ごとに個別の番号が割り当てられます。

たとえば本社に加えて5つの拠点を持つ企業であれば、合計6つの番号が存在することになります。「取引相手から提示された番号と、自社が調べた番号が一致しない」というトラブルは、この仕組みを知らないことから起こります。

一方で、これらの番号は「Family Tree Linkage」という方式で親子・系列関係が紐づけられており、企業グループ全体の構造を俯瞰できるという利点もあります。

D-U-N-Sナンバーでわかること・わからないこと

わかること①:企業の実在性

D&Bは、直接取材や登記簿等の確認によって存在が確認できた組織に対してD-U-N-Sナンバーを発番しています。つまり番号が付与されている企業は、少なくとも「発番の時点でD&Bが登記などで確認したうえで発番している」ことになります。

米国の州・地方政府との契約や補助金申請、Apple Developer Programへの登録などでD-U-N-Sナンバーが求められるのは、この実在性の担保が理由です。ただし、自社からの申請にもとづいて発番されるケースもあるため、番号があること自体が実在を保証するものではない点には注意が必要です。なお、米国の連邦政府調達については、2022年4月にD-U-N-SナンバーからUEI(Unique Entity Identifier)へ移行しています。

わかること②:親子関係・系列関係

前述のFamily Tree Linkageにより、取引しようとしている相手が大手グループの現地子会社なのか、資本関係のない独立企業なのかを判別できます。

海外では、有名企業と似た社名を掲げる無関係の企業も珍しくありません。「あの企業のグループ会社です」という相手の説明を裏取りする手段として有効です。

わからないこと:財務健全性・支払能力・制裁該当・現在の稼働状況

一方で、D-U-N-Sナンバーが示すのは「その事業所が存在する(した)」ことだけです。次の情報は、番号そのものからは一切わかりません。

  • 財務内容や支払能力(代金をきちんと支払えるのか)
  • 制裁リストやPEPへの該当(そもそも取引してよい相手なのか)
  • 現在も事業を継続しているか(発番後に休眠・倒産していても番号は残る)
  • 実際の生産能力や在庫、商流の実態

番号の有無は取引可否を判断する材料の一つにすぎず、それ単体で結論を出せるものではありません。この点は本記事で最もお伝えしたいポイントです。

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D-U-N-Sナンバーの調べ方・取得方法と費用

◆【調べる側】海外取引先の番号を確認する

国内企業を調べる:株式会社東京商工リサーチのD-U-N-S® Number検索サイト

日本国内に所在する企業・事業所であれば、株式会社東京商工リサーチが運営する「D-U-N-S® Number検索サイト」で確認できます。企業名や住所を入力して該当企業が存在するかを検索するところまでは、登録不要・無料で利用できます。

検索結果に企業名が表示されれば、すでに番号が付与されていることを意味します。表示されない場合は未発番です。番号そのものの照会からは有料となります。

海外企業を調べる:D&Bの現地オフィス/D&B Hoovers

ここで注意が必要なのは、TSRが管理しているのは日本国内に所在する拠点のD-U-N-Sナンバーに限られるという点です。海外の事業所については、各国のD&B現地オフィスが発番・管理を行っています。

海外企業を横断的に調べたい場合は、D&Bが提供する海外企業検索サイト「D&B Hoovers」を利用する方法があります。企業概要ページから番号を確認できるほか、業界分析やリスト作成にも活用できます。

費用・納期の目安

出典:東京商工リサーチ公式サイト(2026年10月時点)。D-U-N-Sナンバーは拠点ごとに申し込みが必要です。

番号が見つからない場合に考えられる3つの理由

検索しても該当企業が出てこない場合、次の3つが考えられます。

  1. 未発番:新興国の地場企業や小規模事業者では、そもそも登録されていないケースがあります
  2. 表記の不一致:現地語表記と英語表記が異なる、住所表記に揺れがあるなどの理由で検索に引っかかっていない
  3. 事業実体がない:そもそも実在を確認できない企業である

「番号が見つからない=取引すべきでない」と即断するのは早計です。まず1と2の可能性を潰したうえで判断する必要があります。

東南アジアでも、シンガポールやマレーシアのように登記情報が電子化され、日本からも取得しやすい国がある一方で、地場の中小企業の多くが未発番という国もあります。また、発番済みの企業でも、住所移転や代表者の交代、増資といった登記の変更がD-U-N-Sの登録情報にすぐ反映されるとは限りません。照会結果はあくまで出発点とし、最新の状態は各国の登記で確かめることをおすすめします。とくにベトナム、タイ、中国、インドネシアなど、登記が主に現地語で公開されている国では、英語の社名で見つからない企業が、現地語の社名でなら登記に見つかることがあります。

◆【求められる側】自社の番号を取得する

取得が必要になる代表的な場面

自社のD-U-N-Sナンバーが求められるのは、主に次のような場面です。

  • 米国の州・地方政府との契約入札、補助金申請
  • Apple Developer Program/Apple Developer Enterprise Programへの登録
  • 米国FDAの外国供給者検証プログラム(2022年より輸入業者の識別に必須化)
  • TARGETなど米国大手小売のサプライヤー登録
  • EV SSL証明書の取得(審査で使われることがある)

このほか、世界税関機構(WCO)は税関データモデルの認定IDとして、国連は荷受人IDとしてD-U-N-Sナンバーを採用しています。輸出入の実務でも、今後求められる場面は増えていくと考えられます。

申請手順と費用、登録情報の更新

自社の番号はTSRの検索サイトから申請できます。納期を30営業日(約1カ月半)で選択した場合は無償(簡易な通知書での納品)、7営業日で急ぐ場合は15,000円(税別)です。急ぎの事情がなければ、費用をかけずに取得できます。

見落とされがちなのが、登録情報の更新です。住所や代表者、売上高が古い情報のまま照会されると、取引先の審査で不利に働くことがあります。変更手続き自体は無料なので、定期的に確認しておくことをおすすめします。

D-U-N-Sナンバーだけでは足りない|海外与信調査の4つの確認レイヤー

海外取引先の調査は、「実在するか」から「取引してよいか」まで、確認する深さによって4つのレイヤーに整理できます。自社の取引がどこまでの確認を必要とするのかを見極めることが、コストとリスクのバランスを取る鍵になります。

レイヤー1:実在性 ─ D-U-N-Sナンバー・商業登記

その企業が法的に存在しているかを確認する段階です。D-U-N-Sナンバーの照会と、後述する各国の商業登記情報の確認がこれにあたります。コストも時間も最小で済みますが、確認できるのは「箱」の存在までです。

レイヤー2:財務・支払能力 ─ 信用調査レポート、Bank Reference/Trade Reference

代金をきちんと回収できるかを判断する段階です。海外調査に強い信用調査会社のレポートを取得すれば、財務データ、経営陣の経歴、過去の支払実績、推奨与信限度額などを網羅的に把握できます。

古典的ですが有効な手法として、取引銀行への信用照会(Bank Reference)や、同業者への照会(Trade Reference)もあります。相手が「取引実績がある」と説明する企業に直接確認するだけでも、得られる情報は少なくありません。

レイヤー3:コンプライアンス ─ 制裁リスト・PEP(海外版の反社チェック)

国内の反社チェックは暴力団排除条例への対応が中心ですが、海外取引では確認する対象がそもそも異なります。中心となるのは経済制裁リストと、AML/KYC(マネーロンダリング対策・本人確認)の枠組みです。

代表的なものが、米国財務省OFACのSDNリスト(特別指定国民・ブロック対象者リスト)です。1万件を超える個人・企業・船舶・団体が指定されています。ほかに国連、EU、英国の制裁リストがあり、それぞれ対象が異なります。

これらのリストは週に複数回、情勢によっては連日更新されるため、一度確認して終わりにはできません。リスト照合自体はツールで自動化できますが、同名人物の判別、実質的支配者の特定、現地報道の確認といった部分は、最終的に人の判断が必要になります。

レイヤー4:実態 ─ 現地での稼働状況・従業員・商流の確認

書類上の情報がすべて揃っていても、実際に工場が稼働しているか、提示された生産能力が本当にあるか、想定した流通経路が機能しているかは、現地を確認しなければわかりません。

登記も財務諸表も整っている一方で、住所を訪ねると看板だけしかない、従業員数が申告と大きく異なる、といったケースは実際に起こります。取引金額が大きい場合や、製造委託・独占販売権の付与など長期的な関係を結ぶ場合には、この段階の確認が欠かせません。

海外企業の登記情報を国別に調べる方法

主要国の登記情報照会先

多くの国では、企業の商業登記情報を公的機関がオンラインで公開しています。D-U-N-Sナンバーと併せて確認することで、実在性の確認精度が上がります。

無料で閲覧できる範囲、有料となる範囲、日本から利用できるかどうかは国ごとに異なります。

現地語表記・名寄せの落とし穴

登記情報を調べる際につまずきやすいのが、表記の問題です。

  • 英語表記と現地語表記が異なり、同一企業を別会社と誤認する
  • 同名・類似名の企業が多数存在し、対象を特定できない
  • 住所の表記ルールが日本と異なり、照合できない

英語版のサマリーや海外の企業データベースは、各国の登記の一部を英訳・要約したものです。事業目的の全文、株主や出資比率の変更の経緯、行政処分の記録などは、現地語の原本にしか載っていないことが少なくありません。たとえば中国の国家企業信用情報公示系統では、行政処罰や経営異常名簿への掲載の有無を確認できますが、表示は中国語のみです。取引の判断に関わる情報ほど、現地語の原本で確認することが欠かせません。

まとめ|自社で調べるか、専門会社に依頼するかの判断軸

判断軸は「取引金額・対象国・取引の継続性」

どこまで調べるべきかは、リスクの大きさに比例させて決めるのが基本です。

  • 取引金額が小さく、単発の取引 → レイヤー1〜2で足りる場合が多い
  • 継続的な取引、代理店契約、製造委託 → レイヤー3〜4まで確認する
  • 情報インフラが整っていない国、初めて取引する国 → 現地確認の必要性が上がる

すべての取引先に最大限の調査を行うのは現実的ではありません。逆に、大型の取引で実態確認を省略すれば、失うものは調査費用の比ではなくなります。

発注前チェックリスト

海外取引先との契約前に、以下を確認しておくと安心です。

□ 相手企業のD-U-N-Sナンバーを照会したか
□ 商業登記で法人格・設立年・代表者を確認したか
□ 提示された社名・住所と登記情報が一致しているか
□ 資本関係・親会社に関する説明に裏付けがあるか
□ 直近の財務情報を入手したか
□ 支払条件に見合う与信限度額を設定したか
□ OFAC・国連・EU・英国の制裁リストを照合したか
□ 実質的支配者まで遡って確認したか
□ 現地の事業所・工場を第三者が確認したか
□ 現地語の情報源まで確認したか

D-U-N-Sナンバーの確認は、海外取引先を見極めるための「入口」です。番号があることは実在の裏付けにはなりますが、それが取引の可否を決める「結論」にはなりません。取引の規模とリスクに応じて、どのレイヤーまで確認するかを判断してください。

なお、株式会社アットグローバルでは、約60か国・地域に200名以上の調査員のネットワークを持ち、各国の登記や公開情報を現地語の原本で確認し、日本語でご報告しています。英語の情報だけでは判断がつかない取引先について、どこまで確認すべきかも含めてご相談ください。

よくある質問

Q. D-U-N-Sナンバーは無料で取得できますか?

A. 自社の番号については、納期を30営業日(約1カ月半)で選択すれば無償で発番されます。ただし簡易な通知書での納品となります。7営業日で急ぐ場合は15,000円(税別)です。他社の番号を照会する場合は、いずれも有料となります。

Q. 取引先のD-U-N-Sナンバーを勝手に調べてもよいのですか?

A. 問題ありません。D-U-N-Sナンバーは企業を識別するための公開性の高いコードであり、TSRの検索サイトでも他社の照会サービスが用意されています。取引前の確認手段として一般的に利用されています。

Q. D-U-N-Sナンバーがない海外企業とは取引しない方がよいですか?

A. 一概にそうとは言えません。新興国の地場企業や小規模事業者では未発番のケースも多くあります。番号がないこと自体をリスクと捉えるのではなく、商業登記など他の手段で実在性を確認できるかどうかで判断してください。

Q. 法人番号があればD-U-N-Sナンバーは不要ですか?

A. 国内取引のみであれば法人番号で足ります。ただし法人番号は日本で登記・届出のある法人等にしか付与されず、海外企業との照合や親子・系列関係の把握はできません。海外取引がある場合はD-U-N-Sナンバーの活用が有効です。

出典:東京商工リサーチ公式サイト(D-U-N-S® Number)ほか公開情報(2026年10月時点)

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