後払い決済「BNPL(バイナウ、ペイレーター)」とは?海外進出との関係性やメリット・デメリット、規制を解説!

最近注目されている「BNPL(バイナウ・ペイレーター)」という後払いサービスをご存じですか?海外では日常で利用している消費者が多く、海外進出を検討する日本企業には重要な情報となるでしょう。
異文化の理解や現地の法律や規制の遵守、そして消費者の購買行動の分析など、海外ビジネスには多岐にわたる要素が関係します。
その中で、消費者の支払い方法に関するニーズは非常に重要です。特に、近年はキャッシュレス決済が浸透しつつある中で、クレジットカードや電子マネーなどの支払い方法が多様化しています。
そこで、本記事では「BNPL(バイナウ・ペイレーター)」について詳しく解説していきます。
▼ 後払い決済「BNPL(バイナウ、ペイレーター)」とは?海外進出との関係性やメリット・デメリット、規制を解説!
1. BNPL(バイナウ・ペイレーター)とは?
BNPL(バイナウ・ペイレーター)とは、Buy Now, Pay Later(今買って、後で支払う)の略で「後払い決済」のサービスのことです。
このBNPL(バイナウ・ペイレーター)は、購入時に全額を支払わずに分割で支払うことができます。
ここからは、BNPL(バイナウ・ペイレーター)の「仕組み」「日本における市場や規制」「世界の市場(アメリカ編)」について解説していきます。
BNPLの仕組み「クレジットカードや分割払いの違い」
BNPLの仕組みはシンプルで、消費者が購入時に支払いを分割し、一定期間内に分割で支払うというものです。
また、簡単な審査プロセスや与信審査がない場合が多いため、若年層やクレジットカードを持たない消費者に人気があります。特に高価な買い物をする場合に利用されることが多いでしょう。
ここがクレジットカードや分割払いとの違いで、審査の有無・合否が関係しています。
- BNPLを利用した場合の流れ「消費者、BNPL事業者、販売店」
- 消費者が販売店で商品を選び、BNPLオプションを選択
- BNPL事業者が消費者の信用状況を評価し、分割払いプランを承認
- BNPL事業者が販売店に対して購入金額の全額を即時に支払い
- 消費者は商品をすぐに受け取る
- 消費者はBNPL事業者に対し、指定された期間内に分割して支払う
- 消費者が全額を支払い終えるまで、BNPL事業者が管理する
日本のBNPL市場と法規制
日本国内におけるBNPLの市場シェアはまだ限定的ですが、今後の成長は期待できます。例えば、PayPay株式会社やGMOペイメントゲートウェイ株式会社、BASE株式会社などの企業がサービスを提供しています。
日本では、直接的なBNPLに関する法規制はありません。しかし、「割賦販売法」という法律が適用される可能性があります。これからの市場拡大に伴い、BNPLに関する法規制が制定される可能性はあるため、今後の動向を十分に確認しておきましょう。
世界のBNPL市場「アメリカなど欧米の先進国で急増」
BNPLのグローバル市場規模は年々増加しており、Statista Japanに発表された調査結果では、
2026年に約5,000億ドルに達すると予想されています。
これは日本の自動車産業「約56兆円(約5,000億ドル)」規模と同等であり、トヨタや日産、ホンダなどの主要自動車メーカーの総売上高に匹敵するほどです。
また、近年のオンラインショッピングの普及と消費者の支払い柔軟性に対する需要の高まりによる影響もあるでしょう。特に、新型コロナウイルスのパンデミックにより、オンラインショッピングが急増したことで、BNPLの需要も一層高まったと思われます。
出展:2019年~2026年 Eコマースにおける後払い決済(BNPL)の世界流通取引総額と2022年から2026年までの予測値(単位:10億米ドル)(Statista Japan)
2. BNPLと海外進出の関係性
海外でこれほど需要の高いBNPL(バイナウ・ペイレーター)は、日本企業が海外進出を検討する際に支払い方法の一つとして視野に入れるべきです。
現地の購入方法に適応することで、消費者の購買意欲を高めることができます。また、新規顧客の獲得や既存顧客のロイヤルティ向上に繋がり、競争優位性を強化する要素となります。
例えば、消費者は高額商品にも手が届きやすくなり、購買意欲の向上が期待できるでしょう。
3. BNPLを導入するメリット・デメリット「消費者と企業」
BNPLは多くのメリットをある一方で、いくつかのデメリットも抱えています。BNPLを導入する際には、メリットとデメリットのバランスを考え、リスク管理を徹底することを意識しましょう
ここでは、BNPLを導入するメリット・デメリットを「消費者と企業」に分けて解説します。
BNPL(後払い決済サービス)を導入するメリット
BNPLを導入する消費者にとってのメリットは、購入ハードルが下がることです。商品を購入する際に即時に支払う必要がなく、分割払いで支払えるため、高額な商品でも購入しやすくなります。
これにより、消費者は購入の負担を軽減でき、必要な商品をすぐに手に入れることができるでしょう。
次に企業にとってのメリットは、売り上げアップです。BNPLを導入することで、消費者の購買意欲が高まり、売上が増加する傾向があります。
また、BNPL事業者が消費者の代わりに即座に全額を支払うため、企業はキャッシュフローの安定化が図れるでしょう。海外進出では資金繰りがスムーズになり、事業運営が円滑に進むという点はとても重要です。
BNPL(後払い決済サービス)を導入するデメリット
消費者にとってのデメリットは、過度な利用促進です。分割払いの便利さが過剰な消費を促すことで、支払いが困難になり、経済的な負担が増えるリスクが考えられるでしょう。
企業にとってのデメリットは、想定以上の出費です。BNPLの決済手数料はクレジットカードよりも高く、企業側が負担するのが一般的です。
また、貸し倒れのリスクもあるため、おもわぬ支出が膨れる可能性はあるでしょう。
4. 海外のBNPL(後払い決済サービス)企業「オーストラリア・スウェーデン・アメリカ」
BNPL(後払い決済サービス)は、海外で多くの企業がマーケットに登場しています。
ここでは、Afterpay(オーストラリア)、Klarna(スウェーデン)、Affirm(アメリカ)の3社をご紹介します。
Afterpay(オーストラリア)「アクティブユーザー数は約1,500万人以上」
Afterpayはオーストラリア発のBNPL企業で、2014年に設立されました。2021年のアクティブユーザー数は約1,500万人を超え、さらに約300億でアメリカの決済大手「Square(スクエア)」に買収されています。
現在、日本でAfterpayを利用することはできませんが、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカカナダ、スペイン、イタリアなどの国で利用可能です。
Klarna(スウェーデン)「世界45カ国に加盟店を持つ」
Klarnaはスウェーデン発のBNPL企業で、2005年に設立されました。Klarna Groupのエンドカスタマー総数は「1.5億人」で、ヨーロッパで規模の大きい銀行としても有名です。
東京都港区赤坂に日本法人を持っていますが、日本では利用できません。しかし、世界45カ国に加盟店を有しているため、アメリカやヨーロッパ、アジア、オセアニアなどの広いエリアでサービスが展開されていることが分かります。
出展:Klarna Japan
Affirm(アメリカ)
Affirmはアメリカ発のBNPL企業で、あの有名なオンライン決済・送金サービス大手のPayPalの共同創業者であるマックス・レブチンCEOが2012年に設立しました。
アクティブユーザー数は「約1,700万」以上で、Reinforz Insight社が発表した「2023年最新版:世界の後払い決済(BNPL)会社ランキング時価総額TOP13」では、Affirm Holdings Incが第5位にランクインしています。
出展:Affirm
出展:2023年最新版:世界の後払い決済(BNPL)会社ランキング時価総額TOP13(Reinforz Insight)
5. 後払い決済「BNPL(バイナウ・ペイレーター)」の市場動向をチェックする!
BNPL(バイナウ・ペイレーター)は消費者にとって購入ハードルを下げ、高額な商品でも分割で支払える便利なサービスです。
また、企業にとっては売上増加やキャッシュフローの安定化といった大きなメリットがあります。しかし、一方で過剰な消費を促すリスクや、高い決済手数料、貸し倒れリスクなどの課題も忘れてはいけません。
世界的にBNPL市場は急成長しており、特にアメリカやヨーロッパでの拡大が顕著であることをお伝えしました。日本市場でも今後の成長が期待されており、法規制の動向に注目が集まっています。
日本企業が海外進出を考える際には、現地の消費者ニーズに応えるためにBNPLの導入が効果的なケースは多いでしょう。新たな顧客層を開拓し、海外市場での競争力を強化することが可能です。
現地の消費者を深く理解することで、海外ビジネスの成功率を高めることができるでしょう。
「市場調査をしたい」「現地の情報がほしい」「海外視察で実際に体験したい」などのご相談がありましたら、ぜひDigima〜出島〜までお問い合わせください。
この記事が役に立つ!と思った方はシェア
海外進出相談数
27000
件突破!!
最適サポート企業を無料紹介
コンシェルジュに無料相談