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急増するベトナム人技能実習生 | 外国人材を受け入れる日本企業が知っておくべきこと

掲載日:2019年03月14日

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急増する外国人材のなかでも、いまや最大の“送り出し国”となったベトナムからの技能実習生。ベトナムの技能実習生を受け入れるにあたって、日本企業が知っておくべきことと、外国人材を受け入れるメリットについて、2017年11月より施行された「外国人技能実習制度」と、2019年4月より施行される「入管法改正(改正入国管理法)」を軸に、詳しく解説していきます。

数多くのベトナム人の若者が日本で働いている中で、様々な問題も報じられています。日本におけるベトナム人の技能実習生の失踪者数はワースト1位(2017年で約3,700人)となっており、失踪者数全体(約7,000人)の半数以上をベトナム人が占めているとの調査結果もあります。

もちろん、そこには「技能実習制度」を取り巻く複雑な状況が起因しています。大前提として、決して忘れてはいけないのは、彼らベトナム人の若者たちが「夢」を抱いて技能実習生として日本に来ているということです。さらに認識していただきたいのは、彼らベトナム人を含む技能実習生を受け入れることで日本企業にも大きなメリットがあるということです。

1. なぜ外国人材受入れを拡大するのか?

日本国内で人材不足の業界が増える

2018年6月に法務省が発表した日本に在留する外国人の数は263万人。その内訳を、国籍・地域別に見てみると、中国がもっとも多く74万1,656人。続いて韓国が45万2,701人、さらにベトナムが29万1,494人、そしてフィリピンが26万6,803人となっており、ブラジルが19万6,781人と続いています。

年々増加傾向にある在留外国人数と比例して、技能実習生の人数も加しており、法務省統計によると、2010年末時点で約10万人であったのが、2017年末には約27万4,000人が在留。出身国別に見ると、長年にわたって中国が大半を占めていましたが、近年はベトナムが急増。2016年末は約8万8,000人、2017年末は12万4,000人に達しています。

近年急増するベトナムからの技能実習生の実情を知る前に、なぜ日本が外国人材を必要としているのかを、まずは、2018年末に施行された「入管法改正(「改正入国管理法」)」を巡る背景から解説します。

さる2018年12月8日未明、外国人に対するこれまでの在留資格にさらに2つの資格を新設する、「改正出入国管理法」が参議院本会議で可決・成立しました。きたる2019年4月1日には、外国人材の受入れ拡大を目指す改正出入国管理法が施行される予定です。これは将来的に不足する日本の人材不足を補うための施策で、2023年までに14分野で145万5,000人を受け入れるとされています。

日本国内で、少子高齢化により人材不足が叫ばれているのはご存じの通りです。日本では、2007年に65歳以上の人口が全人口の21%を占める超高齢社会に既に突入しており、今後も増加すると言われています。2025年には、高齢者人口が3,500万人とおおよそ日本の約3分の1の人口を占めると予想され、日本社会全体で労働者不足が予測されます(2025年問題)。

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このような背景から、政府は外国人材の受入れ拡大の意向を示しました。その具体的な施策のひとつが、2016年11月より公布された「外国人技能実習制度」になります。次項では、ベトナムを始め、海外から多くの人々が活用している「外国人技能実習制度」について解説します。

2. 外国人技能実習制度とは?

技能実習生を受け入れる機関は大きく分けて2つ

厚生労働省は「外国人技能実習制度」についてHPにて以下のように明記しています。

外国人技能実習制度は、我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としております。
平成28年11月28日に公布され、平成29年11月1日に施行された外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成28年法律第89号)に基づいて、新しい技能実習制度が実施されています。

日本における海外からの技能実習生を受け入れる機関は、「企業単独型」と「団体管理型」の2つにわけることができます。

【企業単独型】 日本の企業などが海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する。

【団体管理型】 非営利の監理団体(事業協同組合、商工会など)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業などで技能実習を実施する。

両者の割合としては、2017年の時点で、前者の「企業単独型の受入れ」が3.6%、後者の「団体監理型の受入れ」が96.4%(技能実習での在留者数ベース)という状況です。実習生を受け入れたい日本企業は、その多くが監理団体を通して、その団体が契約している海外の「送り出し機関」に在籍する労働者と雇用契約を結ぶという形になっています。

その目的は「発展途上国への技術や知識」の移転

もともと「外国人技能実習制度」とは、1951年に施行された「出入国管理及び難民認定法(入管法)」を根拠に実施されたことを発端に、その後も何度も改正を繰り返してきた制度です。先述したように、2017年11月に技能実習法が施行されたことで、以前より「入管法」で定められていた項目を、技能実習法によって規定し直しています。

外国人技能実習制度には、「技能実習は労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」と明記されていますが、先述のような背景を踏まえると、技能実習制度とは、外国人労働者の受け入れを実質的な目的として発展してきたことは否めないでしょう。

ただ、外国人労働者を日本に受け入れるにあたって、そのような背景を理解しつつも、その本来の目的である「外国への技術や知識の移転」を決して忘れてはいけません。

昨今、国会などでも、技能実習制度によって来日した多くの外国人労働者を取り巻く劣悪な労働環境が問題視されていますが、その問題の根幹には、上記のようなダブルスタンダードの“捻れ”が存在していると言えます。

ベトナム人技能実習生を取り巻く現状

しかし、日本で働く技能実習生は増加の一途を辿っています。2017年末の時点で約27万人が在留している中で、急増しているベトナム人技能実習生は、12万4,000人に達しています。

そもそも多くのベトナムの若者は自国の日本語研修施設での厳しい実習を経て日本にやってきます。調査報道によると、先述の「企業単独型」と「団体管理型」の2つからなる「送り出し機関」に、ときに100万円以上もの手数料を払ってまで、日本に来る実習生も存在します。

外国人技能実習制度を含む外国人材受け入れ制度の総合支援機関である「国際研修協力機構(JITCO)」によると、ベトナム人を含む実習生の時給は「714~800円」が全体の3/1以上を占めています。ちなみに、平成30年10月1日から、東京都の最低賃金 ( 地域別最低賃金 ) は985円となっていますが、それらのデータから海外実習生の月収は約15万円前後と推測できます。

参照:「2017年度 技能実習生の労働条件等に係る自主点検実施結果の取りまとめ」2-2 実習実施機関の実施体制について :JITCO

将来への夢と希望を抱いて来日するベトナム人技能実習生

そんな状況でも、多くのベトナム人の若者がここ日本を目指すのには理由があります。端的に言ってしまえば、たとえ多額の借金を背負っても、「外国人技能実習生」として日本で働くことは、彼らにとって大きなメリットがあるからです。

ベトナム政府は、国内における各地域の生活水準に基づき、毎年の最低賃金を決定しています。2019 年3月現在、ベトナム内資企業および外資系企業に適用される最低賃金は以下のように規定されています。

【ベトナムの各地域の最低賃金】
第1地域(ハノイ市、ハイフォン市、ホーチミン市など):418万ドン(約20,107円) / 月
第2地域(ダナン市、バクニン省など):371万ドン(約17,846円) / 月
第3地域(ハナム省など):325万ドン(約15,634円) / 月
第4地域(地域1~3以外):292万ドン(約14,046円) / 月


日本に技能実習生として来るベトナム人の多くが若者で、ホーチミンやハノイといった都会ではなく、地方の出身者とされていますが、彼らの最低賃金は月収約14,000円です。またベトナムにおける大卒者の初任給は5万円ほどでも高額とされています。

単純に賃金だけで見ても、ベトナムの地方の若者が日本を目指す理由は明白です。仮に送り出し機関から多額の借金をしても、節約に努めながら順調に働くことができれば、3年ほどで返済することも、大変ではあっても必ずしも不可能ではなく、さらにベトナムで普通に働いては得ることのできない多額のお金を携えて母国に帰ることもできるからです。

また、賃金だけでなく、日本での就労経験があれば、ベトナムに帰国した後も、現地企業より給与が高いベトナム現地の日系企業で働ける可能性が拡がるというメリットもあります。なんの比喩でもなく、彼らベトナム人の若者は、将来への夢と希望を抱いて、ここ日本にやってくるのです。

参照:『なぜベトナムの若者は日本の技能実習生になるのか――ハノイで見た「それでも」行く理由』Yahooニュース

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3. 外国人材受入れ拡大で重要な改正出入国管理法とは?

新在留資格制度である「特定技能」

先述したように、国会などでも、技能実習制度によって来日した多くの外国人労働者を取り巻く劣悪な労働環境が問題視されています。その根底には、彼らが日本に来る前の時点で背負ってしまった、送り出し機関に支払うための多額な借金を、劣悪な労働条件および技能実習制度ならではの限定された就労期間などによって、当初の計画通りに返金ができなかった…などがあります。

しかし、それらの諸問題を解決するための新しい制度が先頃可決されました。

それが新在留資格制度の「特定技能」になります。

もともと「技能実習制度」とは、日本を訪れる発展途上国の人材育成のために、日本での技術や技能や知識の習得が目的の研修です。よって、技能実習生は帰国することが前提であり、任期は最長5年となっており、期間が満了した場合には帰国することになっています。

しかし新在留資格制度の「特定技能」とは、就労する分野や業界の知識、経験、技能、日本語のレベルが一定レベルを超えていれば、より長い期間に渡って日本での就労が認められる資格です。また、同業種間の転職が可能となっており、すでに3年間の経験がある技能実習生は、試験を受けずに特定技能へ在留資格を変更することも可能となっています。

「特定技能」としての在留資格は1号と2号の2つがある

2018年12月に衆議院で可決された「改正出入国管理法」では、既存の在留資格に加えて、「特定技能」と呼ばれる在留資格を新たに創設しました。この「特定技能」在留資格は、1号と2号の2つに分かれています。

1号は業界知識を有する外国人、2号は、熟練した技能を持った外国人といった区別がされており、一部報道では「特定技能外国人」 とも呼ばれています。 1号では、在留期間は5年と定められており、家族の帯同ができません。一方、2号の在留資格では、在留期間は無制限で家族の帯同が可能になります。

「特定技能」資格を持っている外国人材は、最初は基本的に1号のみ在留資格の取得が認められています。2号は、1号の在留資格を持っており、試験を受けて合格する必要があります。

この改正出入国管理法では、人材不足が懸念されている特定の14分野で外国人材を受け入れます。この14分野は、特定技能1号を持った外国人労働者に適用されます。検討されている分野は以下の通りです。

・外食業
・宿泊業
・介護業
・農業
・漁業
・飲料食品製造業
・素形材産業
・産業機械製造業
・電気・電子情報関連産業
・建設業
・造船・舶用工業
・自動車整備業
・航空業

一方、2号では、今のところ建設業と造船・舶用工業の2分野のみを検討しています。今後、2号での対応分野は広がると予想されます。

また、外国人材受け入れにあたって、国としての支援も検討されています。例えば、生活や行政に関する相談や医療や災害時等での多言語対応、日本語教育や外国人生徒の教育の拡大、在留資格の新設、そして労働基準監督署・ハローワーク、外国人技能実習機構の体制強化などが挙げられています。

さらに、日本語ができる外国人材を増やすため、現地での日本語教育機関の拡大や支援も県とされています。

参照:首相官邸「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(案)

4. 外国人材受入れのメリットとは?

グローバル化の対応が可能

ここからは、外国人材を受け入れることで、海外進出を検討している日本企業にとってのメリットについて解説します。

そのメリットを端的に言えば、現地に詳しい人材の採用も可能になるため、進出を予定している国が決まっていれば、その国出身の外国人材を採用するということです。また、海外進出を目下のところ検討していない場合でも、きたるべきグローバル展開を想定した場合、外国人材採用がプラスに働くケースも想定できます。

厚生労働省がまとめたレポートでは、外国人材採用を行った企業の取り組みを紹介しています。例えば、採用にあたっては企業がどのような人材を求めているのか、入社後のキャリアプラン・キャリアパスを明確に提示することで、リクルートに成功している例が見られます。さらに英語が堪能な外国人社員に英語教室を開いてもらうことで、日本人の英語能力の向上や海外進出へのモチベーションの向上を促すことができます。

このように外国人材を採用することで、社内に良い雰囲気を与えるケースが多々見受けられます。

若い労働力の確保

外国人材採用のさらなるメリットとしては、若く優秀な労働力が確保できる点です。今後日本では、若年層の労働者が大幅に減少すると予測されています。そのため、日本人労働者に代わる若い外国人材を採用することで、人材不足の解決の一助になるとされています。

外国人材を採用している企業では、優秀な人材を確保するために働き続けてもらえるような環境を整備しています。例えばある企業では、入社前に現地の日本語学校で日本語研修を行ったり、日本人社員と同様に役員登用のチャンスがあったりなど、外国人社員にとっても働きやすい環境整備を行っている企業も見られます。

今後外国人材の受入れ拡大により、多くの企業が環境整備に追われる可能性があるため、先に受入れを成功させた企業の取り組みを参考にするのは有効なはずです。

5. 外国人材受入れ拡大における問題とは…?

受入れ体制が整っていない業界・企業も多い…

外国人材の受入れについては、受入れ態勢が整備されていない業界・企業も多く見られます。

政府は2023年までに外国人材を145万5,000人受け入れる予定ですが、外国人採用を行っている事業所は194,901社となっており、約560万の事業所があるとされる日本企業では、まだ外国人材の採用が進んでいないと言えます。

外国人採用を行うには、言語の壁やビジネス環境の違い等について対処する必要がありますが、大半の企業は、日本語能力を有していることを募集要項として掲げています(日本語能力検定でN1-N3程度)。

外国人材の採用・受入れを検討している企業は、現場が混乱しないような配慮や日本語能力などの基準を設けることで、一定の水準に達した外国人材を採用できると考えられます。

「労働差別」

最近では、多くの企業で受入れている「外国人技能実習生」の賃金や勤務時間等での待遇の悪さが見られ、日本人労働者との「労働差別」問題が露呈しています。中には、技能実習期間でも母国に帰ってしまったり、自殺してしまったりするケースも見られています。

そのため、外国人材を受入れる際には、日本人労働者と同様の労働条件・待遇を設定し、単なる「労働力」として見るのではなく、「一人の人間」としての視点を持つ必要があることは言うまでもありません。

6. 海外ビジネスに貢献してくれる外国人材

日本人採用では得られないメリットとは…?

ベトナム人技能実習生に加えて、今後もさらなる増加が見込まれる外国人材ですが、メディアでの報道ではデメリットばかりが多く採りあげられ、そのメリットに関する言説は少ないのが現状です。特に最近では、“技能実習生の待遇の悪さについてしばしば議論されています。

しかし、海外進出を検討している場合でもしていない場合でも外国人材は力強い存在となります。

海外進出を検討している場では、やはり英語が堪能であり、進出予定国について詳しい人材を採用することで、海外進出を加速することができます。一方海外進出を検討していない場合でも外国人材を採用することで、社内の鬱蒼とした雰囲気からの脱却や社内の活性化など、日本人採用では得られないメリットもあります。

7. 優良な外国人材採用・育成サポート企業をご紹介

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(参照文献)
・法務省(2018)「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律(出入国管理及び難民認定法の一部改正)
・厚生労働省(2006)「今後の高齢化の進展~2025年の超高齢社会像~
・厚生労働省(2017)「外国人の採用や雇用管理を考える事業主・人事担当者の方々へ 外国人の活用好事例集 ~外国人と上手く協働していくために~
・首相官邸(2018)「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(案)
・首相官邸(2018)「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針について
・首相官邸(2018)「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針について

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この記事を書いた人

健太七海

七海 健太

株式会社Resorz

「Digima〜出島〜」編集部・ライター。大学時代はロシア語を専門。ロシア留学(ウラジオストク)も1年間経験。趣味は能楽鑑賞で、実際に狂言(和泉流)も嗜む。現在、能楽をはじめとした古典芸能を世界に発信すべく日々格闘中。

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