【EPAとFTAの違い】メリット・デメリットや貿易で得する4つの理由をわかりやすく解説
本テキストでは「海外輸出貿易でEPA・FTAを知っておくとトクする理由」と銘打って、EPAとFTAの違いやそれぞれのメリット・デメリット、日本が海外の国・地域と締結しているEPAの現状とFTAの件数…などをわかりやすく丁寧に解説していきます。
「EPA」とは経済連携協定(Economic Partnership Agreement)が正式名称で、特定の国や地域間の貿易や投資を促進するための条約です。
「FTA(= Free Trade Agreement)」とは、日本語で「自由貿易協定」と呼ばれるもので、2ヵ国以上の特定の国・地域の間で、貿易自由化のために締結する協定を指します。
日本企業がEPAを活用すれば、国や商品によっては輸出入時の関税が削減されるケースが多々あります。FTAには「関税の軽減・免除」というメリットがあり、日本がFTAを締結している国との貿易においては、協定の内容および交渉によって、段階的な関税の軽減・免除が可能になるのです。
▼海外貿易でEPA・FTAを知っておくとトクする理由 / EPAとFTAの違い・メリット&デメリット…ほか
- 1. 輸出入貿易においてEPA・FTAを知っておくとトクする理由
- 2. EPAとFTAの違いとは?
- 3. なぜ外資規制が必要なのか??
- 4. なぜ台湾ビジネスにおいて外資規制・規制緩和に着目すべきなのか?
- 5. 台湾の外資規制(ネガティブリスト)
▼アナタの海外ビジネスを成功させるために
1. 輸出入貿易においてEPA・FTAを知っておくとトクする4つの理由
EPA(経済連携協定)・FTA(自由貿易協定)とは関税や投資規制の撤廃によって世界経済を発展させるべく特定の国との間に締結される協定
このセクションではズバリ「EPA・FTAを知っておくと、海外との輸出入貿易においてトクする4つの理由」について解説します。
次項より詳しく説明しますが…
「EPA」とは経済連携協定(Economic Partnership Agreement)が正式名称で、特定の国や地域間の貿易や投資を促進するための条約
「FTA(= Free Trade Agreement)」とは、日本語で「自由貿易協定」と呼ばれるもので、2ヵ国以上の特定の国・地域の間で、貿易自由化のために締結する協定のことを指します。
EPA(経済連携協定)、FTA(自由貿易協定)はそれぞれ関税や投資規制の撤廃によって世界経済を発展させるという目的のもと、特定の国との間に締結される協定です。そのため、これらを活用することによって貿易が円滑に進み、コストも削減することができるのです。
以下より具体的な4つのトクする理由について見ていきましょう。
EPA・FTAでトクする理由①: より安く商品を輸出入することができる
貿易において関税は品物のコストを上げる厄介者ですが(もちろん自国の産業を保護するという大きな目的があります…)、EPA・FTAを活用することで、関税が減免されます。そのため、輸出入貿易のコストを削減でき、より安く製品や原料などを輸出入することが可能となります。
EPA・FTAでトクする理由②: より多くの商品・サービスを海外で販売することができる
EPA・FTAを活用することで輸出入にかかわる規制が免除となり、より多くの商品やサービスを海外に流通させることが可能になります。
EPA・FTAでトクする理由③: より円滑かつスムーズな貿易が可能になる
輸出入にかかわる手続きは国によって異なり、中には非常に煩雑なものも。そんな時もEPA・FTAを活用すれば、原産地証明書の取得手続きなど貿易に関わる諸手続を簡略化することができ、輸出入にかかる期間やコストを削減することができます。
EPA・FTAでトクする理由④: より安全な海外投資が可能になる
EPA・FTAには海外に投資を行う企業を保護する規定があり、これによって送金の自由が保障されるなど、より安全かつ安心な投資が可能になるのです。
2. EPAとFTAの違いとは?
EPAはFTAより幅広い分野での共通ルールを定めた協定
海外との輸出入貿易で、「EPA・FTA」を知っておくとトクする理由に続いては、EPAとFTAの違いについて見ていきましょう。
FTAが関税の撤廃によって貿易の自由化をすすめていく協定であるのに対して、EPAは投資規制の撤廃や知的財産の保護、人的交流などの共通ルールを定めており、FTAよりも広い範囲をカバーする協定となっています。
つまり、FTAとはEPAに含まれるもので、FTAが「関税の撤廃・削減を定める」のに対して、EPAは「関税だけでなく知的財産の保護や投資ルール、さらには人的交流の拡大なども網羅」したものになります。
つまり…
■FTA:
特定の国・地域間での関税やサービス貿易の障壁などを削減・撤廃するルールを定めた協定
■EPA:
投資規制の撤廃、知的財産制度の保護、人的交流など、FTAと比較してより幅広い分野での共通ルールを定めた協定
…ということになります。
いずれにせよ、FTAもEPAのいずれもが、世界の国・地域間での自由貿易を活性化し、世界経済を発展させていくという目的を掲げていることは共通しています。
3. EPAのメリット&デメリット
EPAとFTAの違いに続いては、改めてそれぞれの概要と、メリットとデメリットについてみていきましょう。まずはEPAからです。
EPAとは
EPAとは「Economic Partnership Agreement:経済連携協定」のことであり、複数の特定の国・地域間で締結される、貿易や投資を促進するための条約です。前述したとおり、次項で説明するFTAよりも広い範囲をカバーする内容となっており、EPAの中にFTAが含まれている、と理解するとわかりやすいでしょう。
EPAのメリットとは
関税や輸入規制を撤廃することにより、貿易の自由化が促進されます。輸出入にかかっていた煩雑な手続きをスキップすることができれば時間やコストを削減できるため、貿易を円滑にすすめることにつながります。
EPAの目的は「関税を減免し貿易の自由化をはかること」「投資や人の行き来をスムーズにし、国・地域間の経済の結び付きを強めること」です。EPAによってさまざまな国の経済連携が進み、経済が発展していくというメリットがあります。
EPAのデメリットとは
EPAによって貿易の手続きが簡略化されることによって、輸入品の安全が担保されなくなる恐れがあるため、各国が自国の検査で安全性を担保するために法整備などが必要となるケースもあるでしょう。
4. FTAのメリット&デメリット
EPAに続いてはFTAについて見ていきましょう。
FTAとは
FTAとは「Free Trade Agreement:自由貿易協定」のことであり、複数の特定の国・地域間において貿易自由化のために締結する協定です。
関税など、貿易の障壁となる制度を削減・撤廃することを目的としています。FTAを締結した国・地域は、双方の輸入品に課せられる関税や非関税障壁(輸入数量制限など、関税以外の方法で自由貿易の妨げとなる手段や制度のこと)の撤廃を約束します。
FTAのメリットとは
関税が減免されることがFTAを締結する大きなメリットであり、貿易の自由化により双方の国・地域の経済活性化が見込めます。
FTAのデメリットとは
関税はもともと、安価な外国産の製品が出回ることで自国の産業が衰退することを防ぐためのもの。それを撤廃するということは、国内の産業に悪影響を及ぼす可能性もあります。
5. 海外輸出入貿易においてEPA・FTAを活用してトクする方法とは
EPA・FTAを海外貿易で活用してトクする5つのステップ
ここまで読んでいただければ、EPAとFTAについての大枠はご理解いただけたと思います。
このセクションでは、そんなEPA・FTAを海外貿易で活用してトクする方法について解説します。
海外貿易において、EPAやFTAを利用するためには、まず関税率を調べることが必要です。そのための方法を簡潔にまとめたのが以下の5つのステップです。
STEP①: EPA・FTAを利用できる輸出入相手国を調べる
EPAやFTAは、当然ですが締結している国・地域との間でしか利用できません。まずは相手国と自国の間にEPAやFTAが締結されているかどうかを調べる必要があります。
・輸出の場合:輸出先がEPA・FTAを利用できる国かどうかを確認する
・輸入の場合:輸入元がEPA・FTAを利用できる国かどうかを確認する
STEP②: 輸出入する商品のHSコードを調べる
相手国との間に締結されているEPA・FTAがあれば、次は取引する製品・商品のHSコードを調べます。HSコードとは、世界共通の商品分類番号のことです。
・輸出の場合:輸出する物品のHSコードを調べる
・輸入の場合:輸入する物品のHSコードを調べる
STEP③: 関税率を確認する
通常の輸出入で適用される税率よりも、EPA・FTAによって適用される税率が低いかどうかを確認しましょう。
・輸出の場合:輸出する物品の関税率を調べる
・輸入の場合:輸入する物品の関税率を調べる
STEP④:
EPA・FTAの適用を受けるためには、協定を締結している国の物品であることを証明する必要があります。輸入品の原産地を証明するのが特定原産地証明書であり、物品の国籍を定めるルールが原産地規則です。近年、原材料は別の国ですが製造は自国で行うというケースも多いため、原産地の確認は必ず必要な手続きとなります。
・輸出の場合:原産地規則を確認する
・輸入の場合:輸出者に特定原産地証明書の準備を依頼する
STEP⑤(輸出の場合のみ):
特定原産地証明書は、輸出者が準備する必要があります。したがって、輸入の場合は輸出者に準備を依頼すればよいのですが、輸出の場合はこちらが準備しなければなりません。
・輸出の場合:特定原産地証明書を準備する
これらの手続きが終われば、晴れてEPA・FTAの適用を受けることができます。
6. 日本が海外の国・地域と締結しているEPAの現状と世界におけるFTAの現状とは?
このセクションでは、日本と海外の国・地域間で締結しているEPAの現状と世界におけるFTAの件数について見ていきます。
日本におけるEPAの現状
まずは日本におけるEPAの現状についてです。
日本は現在、21の国・地域とEPAを締結しており、具体的な国・地域は以下のとおりです。(2020年2月時点)
EU・ スイス・ モンゴル・ インド・ ASEAN・ ラオス・ カンボジア・ ミャンマー・ フィリピン・ タイ・ インドネシア・ ベトナム・ マレーシア・ ブルネイ・ シンガポール・ ニュージーランド・ オランダ・ カナダ・ メキシコ・ ペルー・ チリ
また、日本とEPA締結を交渉中の国・地域は以下のとおりです。
トルコ・ コロンビア・日中韓
以前交渉国に含まれていたGCC、韓国、カナダは現在交渉が中断しています。
日本の貿易総額に対して国・地域別で貿易額が占める割合を見てみると、EPAを締結している国との貿易額が51.6%と半数を超えています。EPA交渉中の国も含めると86.2%となっており、ここからも経済発展にEPAが役立っていることが伺えます。
世界におけるFTAの件数
続いては、世界におけるFTAの状況です。
下記はJETROが2019年に調査した、世界におけるFTAの状況です。FTAの進展度合いによって4つに分類されています。
【発効済、暫定適用】320件
【署名済、交渉妥結】49件
署名済、交渉妥結とは、政府間交渉は終了しており、まだ批准が済んでいないもの、および協定文の確定作業段階にあるものを言います。
【交渉中、交渉開始合意】93件
交渉中、交渉開始合意とは、現在交渉が行われているものや交渉開始に合意したもの、交渉中断となったものを言います。
【構想・検討段階、政府間予備協議など】24件
構想・検討段階、政府間予備協議などとは、交渉開始検討中のものや共同研究・構想段階のものを言います。
2019年12月時点で、486件のFTAが確認されています。
6. 優良な海外進出サポート企業をご紹介
御社にピッタリの海外進出サポート企業をご紹介します
今回は「海外貿易でEPA・FTAを知っておくとトクする理由」として、EPAとFTAの違いやそれぞれのメリット・デメリット、日本が海外の国・地域と締結しているEPAの現状とFTAの件数…などについて解説しました。
世界各国の経済関係の強化を目的として貿易自由化の手助けをするEPAやFTA。うまく活用すれば、企業にとっても時間やコストを削減し、海外での売上を増加させることができます。
自由貿易の促進が進んできた現代において、近年アメリカと中国の覇権争いが激化し、各国が外資規制を見直し始めているのは貿易の自由化にとって向かい風ではありますが、特定の国・地域同士が締結するEPA・FTAについては、その国同士の関係が友好的であれば、引き続き適用されるため、今後も積極的に利用していきたいところです。
輸出入の際の手続きは、EPA・FTAでかなり簡略化されたとしても、取り扱う物品や相手国の数が多ければ多いほどなかなか大変なものですし、慣れていない場合はなおさら難しいものです。そもそも、それぞれの国や商品についてのEPAやFTAをすべて調べ上げるのは決して簡単なことではないでしょう。
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