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人権デューデリジェンスの基礎知識 | 欧米に遅れをとる日本の人権DD / 海外における法制化と義務化の現状…ほか

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「人権デューデリジェンス」とは「企業が事業活動を行う中で、社内や取引先における人権侵害リスクを把握し、その軽減や予防を行うこと」を指す言葉です。言い換えれば、すべての企業は人権を重視した中で事業活動を行うべきだとするものです。

近年、中国の新疆ウイグル自治区における人権弾圧が国際社会で問題となっている背景には、欧米各国に深く浸透している「人権デューデリジェンス」の存在があります。

2021年4月には、フランス国内の人権NGOなどが、中国新疆ウイグル自治区での人権侵害を巡り、ユニクロのフランス法人など4社を、強制労働や人道に対する罪を隠匿している疑いで刑事告発したことが話題となりました。

本テキストでは「人権デューデリジェンスの基礎知識」として、人権デューデリジェンスが世界に広まったきっかけや背景、海外主要国における人権デューデリジェンスの法制化と義務化について、海外の人権デューデリジェンス事情から、日本の取り組みや日系企業が人権デューデリジェンスに対してとるべき姿勢…などについて解説します。

近年、世界的に人権に対する意識がますます高まっており、先述のユニクロのように、企業の社会的責任が問われる現在において、人権デューデリジェンスの価値観は世界中でさらに広まりつつあります。これからの海外ビジネスにおいて必ず意識すべき「人権デューデリジェンス」について解説します。

1. 人権デューデリジェンスとは?

人権デューデリジェンスの意味とは?

「人権デューデリジェンス」とはアメリカの国際政治学者ジョン・ラギー氏が提唱した言葉であり、「企業が事業活動を行う中で、社内や取引先における人権侵害リスクを把握し、その軽減や予防を行うこと」を指します。

言い換えれば、すべての企業は人権を重視した中で事業活動を行うべきだとするものです。そのなかには当然企業のサプライチェーン(供給網)における強制労働や児童労働の排除も含まれます。

もともとデューデリジェンス(Due Diligence)とは、投資の際に投資対象の企業や投資先の価値やリスクなどを調査することを意味しており、「人権デューデリジェンス」を「人権DD」と表記することもあります。

企業による人権問題は利益に直結する重要な問題

人権デューデリジェンスは2008年に作られた比較的新しい言葉ではありますが、企業による人権問題はそれより前から存在しています。

1990年代にはナイキが東南アジアの工場において劣悪な環境において現地の人材に強制労働させていることが発覚し、大きな問題となりました。ナイキの不買運動も起こり、経済的にも企業イメージ的にも大打撃を受けたナイキは、その後CSRに真摯に取り組み、現在では高い評価を得ています。

企業が人権問題に取り組むことは、売り上げにもかかわる非常に重要な戦略でもあるのです。

2. 人権デューデリジェンスが世界で広まったきっかけと背景

このセクションでは、従来から存在した人権デューデリジェンスという価値観が、近年世界中で急速に広まったきっかけと背景について解説します。

中国の新疆ウイグル自治区における人権問題が日本企業に与えた影響

日本企業が人権デューデリジェンスを意識しなければならなくなったもっとも大きな要因は、中国の新疆ウイグル自治区における人権問題です。

中国の新疆ウイグル自治区においてウイグル族が強制労働などの人権侵害を受けているとして、アメリカやイギリスなどが経済的な制裁措置を発動したのは2021年3月のことでした。

ファストファッション大手のH&Mや大手スポーツメーカのナイキ、アディダスなどが新疆ウイグル自治区で生産された綿花を使わないと発表し、中国国内では不買運動などの反発によって売り上げが激減しました。

日本では無印良品とユニクロが新疆綿を使っているとして、SNSでも大きな話題になりました。ミズノは新疆綿を使わないことを発表していますが、無印良品は「法令または弊社の行動規範に対する重大な違反は確認していない」と述べるにとどまり、新疆綿についてそれ以上の言及は避けました。

海外展開を大々的に行っているユニクロは、新疆綿を使用した製品がアメリカで輸入差し止めとなっています。フランスにおいては人道に対する罪に加担した疑いがあるとしてフランス検察当局の捜査対象となる事態に。

また、新疆ウイグル自治区で生産されているのは綿だけではありません。大手総合メーカーのカゴメは新疆ウイグル産のトマトを使用しないことを明らかにしました。

このように欧米では人権デューデリジェンスがすでに深く浸透しており、日本企業だからと無関心ではいられない時代となっています。

欧米に足並みを揃えようとすると中国から反発を買い、売り上げが下がるというのは企業にとって頭の痛い状況ではありますが、国際社会において人権デューデリジェンスが非常に重要なものとなっていることは忘れてはいけません。

人権デューデリジェンスが世界に広まったきっかけとは?

人権デューデリジェンスはアメリカの国際政治学者ジョン・ラギー氏が提唱した言葉であることは先述したとおりですが、ジョン・ラギー氏は2005年、企業と人権に関する国連事務総長特別代表に就任している人物であり、2008年には国連人権委員会に「人権の保護・尊重・救済のフレームワーク(ラギー報告)」を、2011年には「ビジネスと人権に関する指導原則(ラギー原則)」を公表しています。

これによって、これまでは工場などで人権侵害や環境破壊が行われていてもサプライヤーの責任にすることが可能だった状況が一変しました。ラギー原則において人権保護は国だけでなく企業にも責任があると指摘されたことで、企業は現場のせいにして見て見ぬ振りをすることができなくなったのです。

ヨーロッパではもともと環境や労働に対する国民の意識が高く、EUもさまざまな基準を用意しており、人権尊重の基礎となる考え方がすでに浸透していました。その延長線上にある人権デューデリジェンスがすんなりと受け入れられたのもそのせいでしょう。

アメリカにおいては、企業が人権の保護に対して責任を持つという考え方は、1990年代の後半から2000年代にかけてCSR(企業の社会的責任)が問われるようになった頃から高まりを見せており、それが人権デューデリジェンスへとつながる流れとなったようです。

3. 海外主要国における人権デューデリジェンスの法制化と義務化の現状

前述したとおり、欧米各国は人権デューデリジェンスに対する意識が高く、すでに国としての法令化や義務化が実施されています。

この項では、海外主要国における人権デューデリジェンスの法制化と義務化について見ていきましょう。

米・カリフォルニア州「サプライチェーンの透明性に関する法律」(2012年施行)

全世界における売上高が1億ドルを超える、カリフォルニア州で事業を行う小売業者または製造業者を対象とした法律であり、監査の実施や法令を遵守していることを証明することが定められており、報告義務のみが課されます。

イギリス「英国現代奴隷法」(2015年施行)

イギリスで事業活動を行う売上高が年間3600万ポンド以上の営利団体・企業を対象とした法律であり、奴隷労働と人身取引に対する取組みについて報告義務が課されます。

フランス「フランス人権デューデリジェンス法」(2017年制定)

自社とサプライチェーンに対する人権デューデリジェンスを義務付けるこの法律の対象となるのは、自社とフランス領域内の子会社を合わせた従業員数が5,000人である企業、もしくは自社と全世界の子会社を合わせた従業員数が10,000人以上の企業です。

オーストラリア「現代奴隷法」(2019年施行)

サプライチェーンにおける現代奴隷に関するリスクなどの報告義務が課せられる法律であり、連結収益高が1億オーストラリアドル以上のオーストラリア企業もしくはオーストラリアで事業を行う企業が対象です。今のところは罰則は定められていませんが、今後の罰則追加が検討されています。

オランダ「児童労働デューデリジェンス法」(2019年制定、2022年施行予定)

オランダでは2019年、児童労働にかかわる人権デューデリジェンスを義務付ける法律が制定されました。施行は2022年を予定しています。違反の罰則は罰金だけでなく刑事責任が課せられることもあるのだとか。

カナダ「現代奴隷法」(審議中)

カナダで事業を行う企業に対してサプライチェーンにおける強制労働または児童労働に関する報告義務を課す法律であり、審議中となっています。

ドイツ「ドイツサプライチェーン法案」(2023年施行予定)

ドイツに本社があり、一定以上の従業員数を満たした企業が対象となります。強制労働などのリスクに関する人権デューデリジェンスを義務付ける内容で、罰則は罰金や公共調達への参加の制限などが予定されています。

EU「コーポレート・デューデリジェンスおよびコーポレート・アカウンタビリティに関する指令」(2021年の夏以降に法案提出予定)

「ビジネスと人権に関する指導原則(ラギー原則)」の考え方に沿った内容となっているようです。加盟国すべてが同じ基準で規制を行うことを目的としているため、施行には少し時間がかかりそうです。

4. 日本の人権デューデリジェンスに対する取り組み&日系企業が人権デューデリジェンスに対してとるべき姿勢

日本の人権デューデリジェンスに対する取り組みは遅れている

前項で見てきた欧米の意識の高さに対して、日本の取り組みはどのようなものなのでしょうか?

結論から言えば、日本の人権デューデリジェンスに対する取り組みは、欧米諸国に比べるとかなり遅れています。2019年、経団連が人権デューデリジェンスを「直ちに義務化すべきではない」と表明したことが要因だと言われています。

2020年に企業の人権対応について策定した「行動計画」には強制力はありません。

もちろん一企業として人権デューデリジェンスにすでに取り組んでいる企業もあるものの、具体的にどのように実施していけばよいのかわからないという企業も多いのが日本の現状です。

人権デューデリジェンスの意識が高い国へ進出する際には、人権デューデリジェンスを遵守しなければユニクロのように製品の輸出が認められない可能性があります。輸出できないだけでなく、現地の法律に違反しているとして罰則を受けることもあるため、早急に対策する必要があるでしょう。

5. 優良な海外進出サポート企業をご紹介

御社にピッタリの海外進出サポート企業をご紹介します

今回は「人権デューデリジェンスの基礎知識」として、人権デューデリジェンスが世界に広まったきっかけや背景、海外主要国における人権デューデリジェンスの法制化と義務化について、海外の人権デューデリジェンス事情から、日本の取り組みや日系企業が人権デューデリジェンスに対してとるべき姿勢…などについて解説しました。

人権に対する意識が世界的に高まっており、時代の変化によって企業の社会的責任の範囲も拡大している今、企業による人権侵害はあってはならないことであり、企業イメージ、ひいては売り上げにも影響する重要な問題です。日本の人権デューデリジェンスに対する取り組みは欧米諸国に比べかなり遅れていますが、だからこそいち早く対策を講じることが必要です。

海外進出を考える上では、人権デューデリジェンスを始め、さまざまな政治的な背景や具体的な協定などについて知っておくべきでしょう。進出先の風習や最新の流行など、調査すべき項目はたくさんあることも事実です。

「Digima〜出島〜」には、厳正な審査を通過した優良な海外進出サポート企業が多数登録しています。当然、複数の企業の比較検討も可能です。

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