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海外ビジネスにはいくら必要? 「予算」の立て方とその意義を教えます!

掲載日:2017年02月01日

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海外ビジネスをこれからスタートさせようという際に、「そもそもどうやって予算を組んだらよいのやら…」と途方に暮れてしまう方もいるでしょう。国内での事業はもちろんのこと、それを新たに海外で立ち上げるのであればなおのこと。

海外進出を成功させる際のカギとしては… ①「進出の目的をクリアにして、心構えを明確にする」 ②「事前準備・調査を用意周到に行う」 ③「ビジネスを成功させるための戦略を立案する」 …といったことが挙げられます。
上記の事項は、絶えず実践を繰り返しながら、その都度修正を加えていくことが必要ですが、それらを決定するにあたって、その根本に位置する重要要素があります。

それが【予算】です。

今回は、「海外ビジネスにおける予算の立て方とその意義」について解説します。

そもそも「予算」とは何か知っていますか?

まず結論から言うと、「予算」とは、「事業の将来を踏まえた経営ビジョンをもとに、具体的な目標を数字として表現したもの」になります。
タイトルからもおわかりのように、本稿のテーマは【海外進出する際の予算の立て方を知る】ことです。
しかし、ここで確認です。

あなたは「事業における予算とは何なのか」をご存じでしょうか?

あえて乱暴に言ってしまえば、たとえ国内でも海外でも、「ビジネスにおいて予算を立てる目的と意義」は、根本的には変わりありません。 もっとも大切なのは「事業における予算とは何を意味するのか」を明確に理解することです。

まずは「予算」について深く知ることから始めていきましょう。

海外ビジネスにおける予算の種類

一口に「予算」といっても、それぞれの種類があります。以下はおもな予算の種類になります。

① 売上予算
売上高の予算になります。最初に自社サービスや商品の販売数量の目標を立てて、さらに希望する販売単価をかけ合わせることで決定します。 海外ビジネスの場合は、国内事業での過去の実績や、事前リサーチで導き出した売上予測、さらには、その海外事業を回す際の目標値も考慮するとよいでしょう。

② 原価予算
自社サービスを成立させるための費用、製品の製造や商品の仕入れに必要となる売上原価(コスト)の予算を指します。実際の売上と連動性が高く、原材料費・人件費に基づいて、標準原価(予測単価)を導き出し、売上予算の根拠となる販売数量とかけ合わせます。 特に海外ビジネスにおいては、海外市場ならではの景気動向や、原材料価格や為替レートの変動などにも注意が必要です。

③ 経費予算
実際の売上には連動しない、いわゆる固定費としてのコスト(販管費=販売費及び一般管理費)になります。 これは海外ビジネスに限ったことではないですが、それぞれの事業計画項目で、細かい根拠に基づいた費用を設定する必要があります。費用の支出目的別(雑費・交通費・修繕費など…)に管理するため、支出部門が複数にまたがることも多々あります。

予算を立てる目的と、その意義とは?

そもそも「予算を立てる」目的とは何でしょうか? 「予算を組むという行為」を、生産管理や品質管理の業務を円滑に進めるための手法として知られる「PDCA」に置き換えた場合、その最初の〝P〟にあたる、もっとも重要な要素になります。

PDCAとは、「Plan・Do・Check・Action」という4つの頭文字を並べたワードですが…

Plan:計画を立てる
Do:(計画を)実践する
Check:(計画を再度)確認する
Action:(以上を踏まえて、計画を)改善する

という4つのテーマにもとづいて、随時P→D→C→Aの順番で回していくことで、計画を継続的に改善していくフレームワークを指したものです。

「予算」とは、それら4つのなかでも最初に決定すべき事項であり、いわば「予算=行動計画」と置き換えることもできます。
逆を言えば、予算を立てずに事業をスタートさせることは不可能…ではないにしても、ある種の無謀な行為であることは言うまでもありません。ビジネスの現場が、国内ではなく、未開の海外市場というフィールドならばなおのことです。

予算を立てるメリットについて

予算を立てるメリットは、それこそ様々なものが存在しますが、あえてひとつに絞るなら、「やるべきことが明確になる」、これに尽きます。
自らが志した海外事業での目標を達成するために「何を・どのように・どれくらい」実行すればいいのかがクリアになると同時に、仮に達成できなかった場合は、それらを改善するための検証も可能になります。

単純なようですが、これは重要です。

ビジネスとは「具体的な数値目標=予算」が存在するからこそドライブしていきます。
もちろん、「この海外ビジネスを成功させるぞ!」といった情熱やモチベーションは必要不可欠です。
しかし、それらはいわば燃料のようなもので、「予算」という目的地がなければ、どこにも辿り着くことはできません。ただ闇雲に走り続けるだけでは意味がないだけでなく、最後には当初の目的地をも見失い、路頭に迷うことにもなりかねません。

海外ビジネスの形態の違いを理解する

海外ビジネスと一口に言っても、様々な事業形態が存在します。当然ながら、あなたが志向する海外ビジネスの形によって、それぞれの「予算の立て方」は異なります。

海外進出をするにあたっての基本となるステップは、まずは難易度が低いとされている、輸出入貿易からスタートすることがセオリーとされています。 たとえ利益が少なくても、まずはリスクの低いビジネス形態から始めて、それから徐々にハイリスク・ハイリターンの事業形態へと移行していくのが一般的です。

「予算とは何か」を理解した後は、あなたが手がける海外事業の形態を見定めましょう。そのビジネススタイルは、大きく分けて下記の2つになります。

① 輸出入貿易


最初から現地進出を図る前に、まずは自社の製品を輸出したり、海外の製品を輸入するといった「輸出入貿易」からトライする方法があります。

1. 間接貿易
初めての海外ビジネスとしてオススメは「間接貿易」です。
自社製品と同じ業界で、あなたがターゲットとしている輸出先地域に強い、国内の貿易事業を手がける企業に、ターゲット国のエンドユーザーに向けた販売を間接輸出してもらう。あるいは同じように自社商品と同じ業界のネットワークに長けている貿易会社を経由して、間接輸入を依頼する、といったスタイルになります。

2. 直接貿易
もうひとつの輸出入貿易の形態としては、自社としてターゲット選定した海外のエンドユーザーに対して直に販売する。あるいは、海外の生産者や仕入れ先から直接商品を購入する「直接貿易」というスタイルがあります。

それぞれのメリットとしては、まず「間接貿易」の場合だと、海外に広域のマーケットを構築している貿易商社と組むことで、商品の売り先や仕入れ先を探しやすくなることはもちろん、ターゲット国ならではの特殊な取引習慣や貿易業務についても不安要素が少なくなるというメリットがあります。

「直接貿易」は、当然マージンも発生せず、輸入業務ならば、その分安い価格で仕入れることが可能になりますし、輸出業務なら、より自社の利益を意識した価格で販売することができます。さらに、自ら直接海外の製造業者及びエンドユーザーと接することで、より踏み込んだ製品開発や市場開拓が可能になります。

対するデメリットは、「間接貿易」は、自社商品のターゲットと直接交渉ができないことが挙げられます。貿易商社に委託する部分が大きい分、事業におけるリスクは減少できるものの、マーケットを開拓するという部分においては難しい面があります。 また「直接貿易」のデメリットとしては、貿易で発生するすべてのリスクを自己負担することがもっとも大きな要素になります。



上記を踏まえると、「予算の立て方」というアングルで見た場合、同じ「輸出入貿易」といっても、「直接貿易」と「間接貿易」では、大きく異なることがイメージできるはずです。

当然ながら「直接貿易」を選択した場合、自社だけで、その販路を拡大するためのネットワークを構築するには、時間も費用もかかります。新しい取引先を探すための貿易担当部署を設けたら、その分の人件費も上乗せされます。

また「間接貿易」の場合は、委託する貿易会社のマージンが発生するので、もちろん商品の仕入れ価格を考慮する必要がありますし、それを輸出・販売する際も、マージンを意識した価格設定をしなければなりません。



② 現地進出


「輸出入貿易」の経験と実績を積むことで、海外市場や仕入れ先地域について、より深く知ることができます。現地進出をプランニングするのは、このタイミングがベターです。ここでは「現地進出」におけるビジネス形態をご紹介します。

1. 駐在員事務所の設営
本格進出前の現地パートナー探しや、市場調査といった活動が可能になります。ただし、その業務内容には限りがあり、直接的なビジネス活動の当事者にはなることはできません。

2. 海外支店の設置
駐在員事務所とは異なり、現地支店の代表者名で、継続的なビジネス活動が可能になります。輸出入貿易においても、現地企業との踏み込んだ交渉もできます。

3. 海外現地法人・生産拠点の設立
現地法人とは、進出先の国内会社となることです。その形態には、自社が100%のシェアを持つ子会社形態から、現地企業と資本を提供し合う合弁形態があります。
「現地進出」という枠組みのなかでも、それぞれの事業計画によって形態が異なり、各形態によってメリット&デメリットが存在します。当然「予算を立てる」場合も、どの状態で進出を果たすかを見定めた上で、それらを策定する必要があります。
まずは「予算を立てる」前に、自分がイメージしている海外ビジネスの形態について明確なビジョンを確立させることが先決です。

海外ビジネスの開始までに必要な費用は?

自分がトライする海外ビジネス形態のイメージがつかめたら、次はそのビジネスプランを実際にスタートさせたと想定して、プランにおけるそれぞれの段階別にかかってくる予算を策定してみましょう。

先述したように、進出する国の政治・経済的背景や、選択した事業形態によって、具体的なプランニングの順番及び内容、さらにはそれぞれの段階に必要となる予算の金額も異なります。 しかし、その基本となるステップは、ひとつの起業ととらえれば、さほど大きな違いはありません。もちろん海外にて事業展開するからには、国内とは異なるステップも存在します。

以下に(大まかではありますが)海外進出におけるビジネスプランの順番を記載しましたので、それぞれのステップで必要となる予算感をイメージしてみてください。

① 事前調査
自らがターゲットとしている業界の動向や市場調査、競合各社の状況などはもちろんのこと、事業とは直接関わってはこないものの、進出国の政治や法規制といった社会的な環境も含めての調査となります。
そのすべてを自社でまかなうのは現実的ではないので、海外進出を専門とする調査機関やコンサル会社に依頼をするのがベターでしょう。
当然ながらその際には、調査費用やコンサルフィーの予算が必要となります。これらの調査は、「輸出入貿易」「現地進出」に関わらず、海外で事業を起こす際のマストなステップとなります。

② 法人登記
綿密な事前調査を経て、法人登記となります。国によっては、事業計画さえ存在していれば資本金が必要がないケースもありますし、それこそ非移住者でも法人登記が可能だったりもします。
もちろん登録以前の必要事項として、申請書の作成や投資庁・税関などへの手続きも重要な事項です。 これらの諸手続を委託する際は、登録料に加えた各種マージンも計上する必要があります。

③ 駐在員事務所・子会社・支店の設立
現地法人とは、進出先の国内会社となることです。その形態には、自社が100%のシェアを持つ子会社形態から、現地企業と資本本格的に現地でのビジネスをスタートさせる前に、現地での調査や宣伝活動を実施したい場合の選択肢として、「駐在員事務所」の設立があります。
また、本社としてではなく、「子会社」や「海外支店」として進出する方法もあります。 いずれにせよ、現地駐在員orスタッフへの給与や家賃の負担はもちろん、事業所の地代や各種インフラ料金、当然ながら営業費や宣伝活動費など、テナントに付随する保険など、現地運営に関するさまざまな費用が必要となってきます。

④ 現地パートナー&コンサル費用
これらは、各ステップに関係してくることですが、見知らぬ土地でビジネスを始めるのならば、もちろん現地の内情に精通した信頼できるパートナーorコンサルタントが必要です。業種によっては、事前調査はもちろん、会社設立や現地の各施設の運営など、そのほとんどをパートナーorコンサルタントに委託する必要があるケースもあるかもしれません。
その場合、各業務及び手続きにかかる費用に加えて、より高額な手数料が加算されていくことは言うまでもありません。

⑤ 不測の事態に備える
誤解を恐れずに言えば、いまだ新興国と称される国々では、上記のような手続きを円滑に進めるために、公共機関にも関わらず、本来の正規料金とは異なるマージンを請求されるケースがままあります。
そのような事態に関わらず、政情不安や経済が安定していない国々では、いわゆる〝不測の事態〟が起こる可能性は多々あるので、それらのトラブルに随時対応できるような資金を確保しておくことも重要です。

海外ビジネスの予算を立てる際の注意点

大まかに言えば、ビジネスにおける利益は、その売上から経費を引くことで導き出されます。いわば「予算を立てる」とは、その利益を達成するために、売上をいくらにするのか、さらには経費をいくらにするのか…といったことを決定する作業です。

それにはまず、中長期的な達成目標を策定した上で、それらを〝いつまでに〟〝どのように〟〝どのくらい〟達成するのかといったプランを立てます。 それこそが「予算計画」になります。

海外ビジネスをスタートするにあたって、「なにがなんでも10億円達成するまであきらめない!」という目標を設定する方はいないでしょう。

前述の中長期計画にもとづいて、年間の予算計画を立て、仮に年度が終わってみたら売上が達成できなかった…となったら、次年度の予算計画を見直す必要がでてきます。

そういった事態を避けるためにも、予算計画は、「年間の目標・月次の目標・週次の目標・日次の目標」と、基準となる数量に比例した割合でブレイクダウンさせていくのが望ましいのです。

ビジネスモデルによっては、日次で売上が発生しないケースも多々あることでしょう。しかし「経費」は毎日発生しています。 特に海外ビジネスの場合は、日々かなりのコストがかかります。仮に年間において、売上が数回のみ発生するような事業形態でも、人件費を始めとする日々の経費は積み重なっていきます。そのような地道な毎日のビジネス活動によって、すべての売上は成り立っているのです。

そういった意味でも、予算の日次進捗を把握していれば、何かトラブルがあった場合でも、比較的容易に経営の舵を取ることができます。不確定要素が多い海外進出においてはなおのことです。

予算とは「目的」に過ぎない

「海外進出の際の予算の立て方」と言っても、本質的には国内ビジネスのそれと大きな違いはありません。しかし、進出先の市場調査や、自社ビジネスの現状分析、さらにはビジネス形態の選択にもとづく戦略策定といった、事業を成功させる上での基本的なプランニングを怠っては、そもそも予算など立てられませんし、その意味もありません。

もちろん、進出先のカントリーリスクも充分に事前調査を行うことも重要です。 その国の政治・経済・社会情勢はどうなっているのか? 外貨についての政策や法規制や税の仕組みは? 労働事情や賃金制度のありかたは? …etc.と、市場調査に加えて、その調査項目は多岐に渡ります。

もちろん、何よりも「自分はこの海外ビジネスを成功させる!」という強い思いが重要であることは言うまでもありません。
先述したように、車に例えた場合、予算とは「目的」であり、それはあくまで「燃料」に過ぎません。それをドライブさせるのは、ビジネスの当事者である「あなた自身の強い意思」にほかならないのです。

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