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【2019年版】世界の法人税率ランキング | アメリカ法人税21%引下げが日本に与える影響

掲載日:2019年08月08日

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「世界の法人税率ランキング」と「アメリカ法人税率引き下げが日本に与える影響」、さらには「アメリカと世界の法人税の最新動向」について解説します。

2019年8月現在、日本の法人税率は23.20%となっています。またこれまでのアメリカの法人税は35.0%で、OECD加盟国を対象とした主要国ランキングでトップでした。

しかし、2017年12月に現トランプ政権下において、21%の減税を含む税制改革法案が上院にて可決されたことで、「アメリカの法人税引き下げ」が実現。トランプ税制改革が実施されたのです。

結論から言えば、世界的なトレンドとして法人税率は低下傾向にあります。このままだと日本の税制は、グローバルスタンダードからさらに乖離していき、将来的な国内の財政赤字も懸念されています。

しかし、全ての物事には二面性があり、現状の「世界的な法人税率の低下」は、海外進出を画策する日系企業にとっては、大きなチャンスともとらえることができます。本稿では「世界の法人税率ランキング」を元に、アメリカと日本を含む世界の法人税の現状について解説していきます。

1. アメリカ&世界各国の法人税をめぐる最新動向

アメリカを筆頭に世界の法人税率は引き下げ傾向

2017年12月、アメリカのトランプ大統領によって、大幅な法人税減税を盛り込んだ税制改革法が成立。減税に関してトランプ大統領は「企業や中間層や労働者にとても役に立つ」という旨を述べています。

減税策の具体的な内容としては、法人税率を35%から21%へ引き下げ。個人の所得税の最高税率が39.6%から37%になっています。今回の減税策でもっとも注目されているのが〝トランプ税制改正〟と称される「法人税の大幅な引き下げ」となります。

現在もなお続く米中貿易戦争は2018年の始めに勃発しましたが、トランプ大統領が「史上最大」と豪語する「アメリカ法人税引き下げ」は、世界各国の税制に様々な影響を及ぼしています。

アメリカ国内では、このたびの減税を受けて、アップルやウォルマートといった大手企業が、アメリカ国内の設備投資や賃上げを発表したことが話題となりました。

また、2019年現在、景気が減速気味にある中国でも、研究開発における税制控除を拡大したり、自国の中小企業への優遇税制などを実施し始めています。

さらにEU離脱で揺れるイギリスは、離脱前から減税が決定しており、2019年時点で19%の法人税を、2020年4月以降に17%にするとしています。そしてフランスでは、2019年時点で33.33%の法人税(実効税率)を、2020年には25%にするとしています(中小企業には15%の軽減税率)。

2019年の世界経済をめぐるトレンドキーワードは「ピークアウト」と囁かれてはいますが、世界各国の法人税率は、おおむね引き下げ傾向にあることは間違いありません。

2. 世界の法人税トップの座をアメリカがフランスに譲る

アメリカがTOPから陥落。日本は14位

まずは、OECD(経済協力開発機構)加盟国における法人税率の国際比較から見ていきましょう。

世界の法人税率ランキング(OECD加盟国)

出典:OECD TAX DATABASE Table II.1. Statutory corporate income tax rate

結論から言いますと、1位はフランスで32.00%。同率2位がメキシコとポルトガルとオーストラリアで30.00 %、5位がベルギーで29.00%となっています。

気になる日本は14位で23.20%。そしてアメリカが20位で21.00%となっています。

さて、今回14位となったアメリカですが、これまでの世界のOECD加盟国における法人税率No.1の座をフランスに譲っています。

現トランプ大統領は、そもそも選挙期間中から、法人税の減税を訴えていました。大統領就任後の4月には、35%の法人税を15%まで下げるように指示、その後9月には妥協した21%の減税案を提出し、米下院にて減税法案が可決されました。

そして2017年12月、その21%の減税を含む税制改革法案が上院にて可決。両院協議会を経た後、大統領の署名がなされたことで、いよいよ〝トランプ税制改革〟と称される「法人税を35%から21%に引き下げる税制改革法案」が成立したのです。

また、アメリカで現在法案が可決されたことを受けて、フランスでもマクロン大統領が、2018年から減税実施を推し進める方針であることが伝えられています。具体的には、基本実効税率の33.33%を段階的に引き下げ、2020年には25%とするとされています。

ちなみに、OECDに非加盟国の中でも、もっとも気になる中国の法人税率ですが、2019年現在、日本の法人税にあたる企業所得税は25%となっています。しかし、企業への優遇政策もとられていますし、中国には贈与税や相続税に該当する制度も存在しません。

そもそも、アジア諸国の法人税率は、中国と同様にマレーシア・インドネシアが25%、韓国が22%、タイ・台湾が20%、シンガポールが17%、香港が16.5%(課税所得200万香港ドル(約2,800万円)までは税率8.25%)と、年々低くなっていく傾向があります。フィリピンが30%となっていますが、アジア諸国において、日本の法人税は依然として決して低いとは言えません。

つまり、これらの事実が何を意味するかといいますと、世界各国が法人税の減税傾向にある中で、このまま日本の法人税率がさらに下がらないままだと、国際競争において、日本企業が不利になる可能性が高まっていくということを表します。

3. 世界の法人税率が高い国ランキング

中東・アフリカ・北米地域の国々がランクイン

「日本の法人税率が、OECD加盟国や近隣のアジアにおいて“高い”というのはわかった。でも世界を見渡したらどうなの?」とお思いの方もいらっしゃると思います。

ここからは、アメリカのシンクタンクである「Tax Foundation」が発表しているレポートを引用して、世界全体から見た法人税率について触れていきます。

まずは「法人税率が高い国ランキング」から見てみましょう。

法人税率が高い国ランキング

出典:Tax Foundation 「Corporate Tax Rates Around the World, 2018」

当たり前ですが、OECDという枠組みがなくなっただけで、改めて世界は広いということを実感されたと思います。普通の生活を送っている日本人にはあまり馴染みのない国名が多いかもしれませんが、主要国トップのフランスを抜いて、中東やアフリカ、北米地域といったエリアの国々がランキングしていることに注目です。

またアメリカ・中国に並ぶ大国であるインドも、意外に(?)に法人税率が高めであることがわかります。

また、租税回避地(タックスヘイブン)として有名なアラブ首長国連邦が、ランキング1位となっていますが、法人税という制度自体は存在しているものの、実際には一部の業種を除いて、法人税は徴収されていないのが現状です。ただ、今後は法人税の課税対象の拡大が検討されています。


4. 世界の法人税率が低い国ランキング

注目されるタックスヘイブン国家

前項に続いて、ここでは「法人税率が低い国ランキング」をご紹介します。

法人税率が低い国ランキング

出典:Tax Foundation 「Corporate Tax Rates Around the World, 2018」

法人税率を下げることで、世界各国の企業を誘致することを「タックスヘイブン政策」といいますが、言い換えれば、「タックスヘイブン政策」とは、自国の産業に乏しい国が、グローバル経済の影響下でサバイバルするための国家戦略にほかなりません。

いわゆる「タックスヘイブン国家」が注目されていることと、上記の表にランキングされている国の多くが小国であることには、密接な関係があるのです。


5. 世界的な「法人税率の低下傾向」は大きなチャンス

日本の法人税率は依然として高い…?

近年、世界各国において法人税率は低下の傾向にあります。かつての1990年において、日本の法人税率は最大50%となっていました。ただ、当時はフランスやイタリアといった欧州各国も法人税率が40%超で、特にドイツは最大で54.5%まで上がった時もあったのです。

しかし、グローバル経済が世界の隅々にまで浸透した結果、世界中の企業がより税率の低い国に登記することで、コストダウンする企業戦略を選択するようになりました。

それらの戦略は先述したように「タックスヘイブン政策」と呼ばれており、ルクセンブルグやアイルランド、F1の開催地として有名なモナコ公国やサンマリノ、カリブ海地域のバミューダ諸島やケイマン諸島、中近東のドバイ(アラブ首長国連邦)やバーレーン、アジアでは香港やマカオやシンガポールなどが、タックスヘイブン国家として知られています。

世界各国の企業や政治家や著名人が、そのタックスヘイブンを利用して租税回避を行っている情報をリークした「パナマ文書」や「パラダイス文書」の存在も世界的な話題となりました。

また、そのようなタックスヘイブン政策を掲げる国家が増加したことで、先進諸国の法人税率が軒並み低下傾向にあることはすでに説明しましたが、これもまた多くの国々が頭を抱えている問題でもあります。

法人税を下げることで、その分の国家財源が減少し、国の財政を圧迫します。だからといって所得税率を上げれば、企業と同様に、国内の富裕層もタックスヘイブンへと流れていってしまうからです。その結果、もっとも確実に税収が期待できる「消費税の増税」がうながされるという構造が指摘されています。

ただ、誤解を恐れずに言えば、日本企業の海外進出において、タックスヘイブンを含めた、「世界的な法人税率の低下傾向」は、大きなチャンスでもあります。

海外で事業を拡大するならば、海外のタックスヘイブンに拠点を移して節税をし、関連会社を設立して投資や取引を実行することは、グローバル経済において極めて有効な手段なのです。

例えば、アジアの新興地域へ進出するにあたって、その統括拠点として、低税率として知られる香港やシンガポールを活用することは、至極まっとうな選択肢であり、タックスヘイブン対策税制の上でも非常に効果的です。

いずれにせよ、海外への事業展開に際しては、進出国の税務上の影響を常に注意しなければなりません。その国ならではの優遇処置の存在や、日本に配当を行う際はどのくらいのパーセンテージなのか…といった諸々のことにも気を配る必要があります。そして、本稿のメインテーマである法人税率の留意については、言うまでもありません。

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この記事を書いた人

SukegawaTakashi

助川 貴

株式会社Resorz

「Digima〜出島〜」編集部・コンテンツディレクター。 雑誌編集・書籍編集・WEB編集を経て現職。 これまでに、アメリカ・イギリス・インド・中国・香港・台湾・ベトナム・ミャンマー・カンボジア・マレーシア・シンガポール・インドネシア・フィリピン・エジプトなどの国・地域へ渡航。趣味は、音楽・スノーボード・サーフィン・ドローンほか。

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