【2026年最新】サンリオの海外進出戦略に学ぶ|海外売上比率4割・130カ国展開を実現した3つの戦略を解説
ハローキティでおなじみのサンリオは、2026年3月期第3四半期累計で海外売上高が全体の約4割を占めるまでになりました。欧州事業は前年同期比128.3%増、アジア事業も同57.6%増と、海外が業績全体を押し上げる構図が鮮明になっています。
かつて米国に直営店を出して商品を売っていたキャラクター商品メーカーが、なぜ130カ国・地域でライセンス事業を展開するグローバルIPカンパニーへと変わることができたのでしょうか。直営店中心の海外展開から転換した判断には、どのような戦略があったのでしょうか——海外展開を検討する経営者・海外事業担当者にとって、気になるところです。
本記事では、サンリオの最新の決算データと海外進出の歴史をもとに、海外事業を伸ばした3つの戦略と、日本企業が学べるポイントを解説します。
この記事でわかること
- ・サンリオの海外売上比率・地域別の最新業績データ
- ・1976年の米国進出からライセンス事業へ転換した歴史
- ・直営店モデルから脱却した海外事業の仕組み
- ・海外進出を支えた3つの戦略
- ・サンリオの事例から中堅・中小企業が学べるポイント
▼【2026年最新】サンリオの海外進出戦略に学ぶ|海外売上比率4割・130カ国展開を実現した3つの戦略を解説
1. サンリオとは|キャラクター商品メーカーから「IPカンパニー」へ
サンリオ(正式社名:株式会社サンリオ)の前身は、1960年8月に辻信太郎氏が設立した株式会社山梨シルクセンターです。ギフト用品の企画・販売からスタートし、1973年4月に社名を現在の「サンリオ」に改め、国際的に通用するブランド名へと衣替えしました。
同社の代表キャラクターであるハローキティは1974年に誕生し、以後ポムポムプリンやシナモロールなど複数のキャラクターを抱える企業へと成長しています。2026年3月期第3四半期累計の連結売上高は1,431億9,400万円(前年同期比36.7%増)、営業利益は623億9,800万円(同51.8%増)と大幅な増収増益を続けており、通期の業績予想も売上高1,906億円・営業利益751億円へ上方修正されています。かつては国内のキャラクター商品メーカーという印象が強かった同社ですが、いまや業績の伸びをけん引しているのは海外事業です。
2. サンリオの海外進出の歴史|1976年の米国進出からライセンス事業への転換へ
サンリオの海外進出は、1974年12月に米国ロサンゼルスへ映画製作・配給子会社「Sanrio Film Corporation of America」を設立したことに始まります。続いて1976年5月には米国サンノゼに現地法人「Sanrio, Inc.」を設立し、同年4月からはキャラクターの使用許諾(ライセンス)提携業務を開始しました。当初はニューヨークやサンフランシスコに直営店を構え、日本と同じようにキャラクター商品を直接販売するモデルで米国市場に参入しています。
この海外事業の姿を大きく変えたのが、2008年の鳩山玲人氏の入社でした。それまで直営店中心だった海外事業は、以後5〜6年のあいだに現地企業へキャラクターの使用権を供与するライセンスモデルへと転換が進みます。その結果、欧州単独、あるいは米州単独の売上規模が日本国内を上回る規模にまで拡大しました。現在ではMLB全30球団とのライセンス契約や、Sephora(LVMH系列)・Swarovski・H&M・FOREVER21・Marks & Spencerといった海外の大手ブランドとのコラボレーションも実現しており、海外事業は130カ国・地域に広がっています。2014年にはハローキティ誕生40周年を記念してロサンゼルスで開催された「Hello Kitty Con」に、4日間で2万6,000人が来場するなど、海外でのブランド浸透を象徴する出来事も起きています。
3. 海外事業の規模|地域別売上高と海外売上比率
サンリオの海外展開は、現在どの程度の規模になっているのでしょうか。2026年3月期第3四半期累計の地域別業績を見ると、それぞれの地域で高い伸び率を記録していることがわかります。
| 地域 | 売上高 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 日本 | 852億円 | +34.1% |
| アジア | 288億円 | +57.6% |
| 北米 | 188億円 | +3.2% |
| 欧州 | 79億円 | +128.3% |
| 南米 | 22億円 | +98.5% |
日本以外の地域を合計すると売上高は約580億円に達し、連結売上高全体のおよそ4割を占める計算になります。特に目を引くのは欧州の128.3%増という伸び率です。北米が3.2%増とやや落ち着いている一方で、アジア・欧州・南米が軒並み大きく伸びており、特定の地域に依存しない形で海外事業全体が拡大していることがうかがえます。
4. サンリオの海外進出を支えた3つの戦略
サンリオが直営店モデルから脱却し、海外事業を伸ばしてきた背景には、大きく3つの戦略があります。
戦略1:直営店からライセンス供与への転換
1976年の米国進出当初、サンリオは日本と同じように直営店を構えてキャラクター商品を販売していました。しかし自社で店舗網や在庫を抱えるモデルは、拠点ごとに投資負担が重く、現地の流通や商習慣への対応にも限界があります。2008年以降に進んだのは、商品企画や生産を現地の大手ブランド・メーカーに任せ、サンリオはキャラクターの使用権を許諾してロイヤリティを得るライセンスモデルへの転換でした。
この転換により、サンリオ自身が大きな設備投資をしなくても、現地企業の販売力や店舗網をそのまま活用して商品を展開できるようになりました。Sephora・Swarovski・H&M・FOREVER21・Marks & Spencerといった海外大手ブランドとのコラボレーションや、MLB全30球団とのライセンス契約が実現しているのは、この仕組みがあってこそです。資本をかけずに現地の販路を取り込めるライセンス事業は、海外市場でのリスクを抑えながら展開地域を広げたい企業にとって参考になるモデルといえます。
戦略2:複数キャラクターによるポートフォリオ戦略
サンリオのもう一つの特徴は、ハローキティ一本足打法から脱却し、ポムポムプリンやシナモロールなど複数のキャラクターを並行して育てるポートフォリオ戦略を進めてきたことです。2020年6月の社長就任会見で、辻朋邦社長は「単なるキャラクタービジネスではなく、すべての人に価値を与えられるグローバルエンターテインメント企業に成長させていきたい」と語っており、特定のキャラクターやコンテンツに依存しない事業構造を目指す姿勢を示しています。
特定の人気キャラクターに頼った展開は、流行が去った際に業績が大きく落ち込むリスクを抱えます。複数のキャラクターを育てることで、地域や世代ごとに異なる好みに合わせた展開がしやすくなり、海外の多様な市場・パートナーに対応できる柔軟性が生まれます。これは、単一商品・単一ブランドに依存しがちな中小企業にとっても、海外展開における商品構成の考え方として参考になる視点です。
戦略3:中国など成長市場への適応
直近の業績で特に伸びが大きいのが、アジア市場、なかでも中国です。2026年3月期中間決算では、現地で人気を集める「潮玩(トレンディトイ)」市場の好調を背景に、中国での物販・ライセンス事業の両方が伸長し、海外事業の成長をけん引したとされています。欧米においてもデジタルツールを活用したキャラクター訴求により、コラボレーション商品のカテゴリやラインナップを広げる取り組みが進められています。
成長している市場のトレンドやカルチャーに合わせて商品展開の形を変えていく姿勢は、海外進出後に「どう現地に根づかせるか」を考えるうえで重要な示唆を含んでいます。進出して終わりではなく、現地の消費トレンドを継続的に取り込み続ける仕組みがあるかどうかが、海外事業の持続的な成長を左右します。
5. 2025〜2026年の最新動向|万博コラボと中国市場の伸長
2026年3月期は、国内外ともに好調な業績が続いています。国内では2025年の大阪・関西万博に関連したコラボレーション施策が実施され、物販・テーマパーク事業で客数・客単価の増加に寄与したと報じられています。これにより2026年3月期中間決算では連結売上高876億7,600万円(前年同期比39.6%増)、営業利益391億8,300万円(同66.1%増)という高い伸びを記録しました。
海外では中国市場の伸びが際立っており、第3四半期累計でアジア地域の売上高は288億円と前年同期比57.6%増、欧州も79億円と同128.3%増を記録しています。こうした好調な業績を受けて、通期の業績予想は売上高1,906億円・営業利益751億円へと上方修正されました。国内の一過性のイベント効果だけでなく、海外の各地域で継続的に売上を伸ばしている点が、サンリオの業績拡大を支えている構図です。
6. サンリオの事例から日本企業が学べること
サンリオの海外進出の歩みからは、中堅・中小企業の海外展開にも応用できるいくつかの教訓が見えてきます。
まず、自社ですべてを抱え込まないという発想です。直営店モデルで海外展開を続けていたら、現在のような130カ国・地域への広がりは実現できなかったでしょう。現地企業に商品化・販売を任せ、自社はブランドや知的財産の提供に専念するという役割分担が、投資負担を抑えながら展開地域を広げることを可能にしました。
次に、単一の商品・ブランドに依存しないポートフォリオの考え方です。ハローキティという大きな成功体験があっても、それに安住せず複数のキャラクターを育ててきたことが、特定コンテンツの流行り廃りに左右されにくい事業基盤につながっています。
そして、進出した市場の変化に継続的に対応する姿勢です。中国のトレンディトイ市場や欧米でのデジタル活用など、地域ごとの消費トレンドに合わせて商品展開を更新し続けていることが、進出後の売上の持続的な伸びに結びついています。
最後に、自社の強みを「モノ」ではなく「知的財産」として捉え直す視点です。中小企業であっても、自社ブランドや技術、キャラクターといった無形の資産を、現地パートナーとの提携によって海外で活かす道はあります。サンリオの事例は、資本力に頼らずとも海外市場で存在感を示せることを教えてくれます。
7. よくある質問(FAQ)
Q. サンリオの海外売上比率はどれくらいですか?
2026年3月期第3四半期累計の地域別売上高から計算すると、日本以外の地域合計は約580億円で、連結売上高全体のおよそ4割を占めています。
Q. サンリオはいつから海外進出を始めたのですか?
1974年12月に米国ロサンゼルスへ映画製作・配給子会社を設立したのが最初の海外拠点で、1976年5月には米国サンノゼに現地法人「Sanrio, Inc.」を設立しています。
Q. サンリオの海外事業はどのように変化してきたのですか?
当初は米国に直営店を構えて商品を販売するモデルでしたが、2008年以降は現地企業にキャラクターの使用権を供与するライセンスモデルへと転換が進みました。
Q. サンリオは世界何カ国で事業を展開していますか?
130カ国・地域で海外事業を展開しているとされています。MLB全30球団とのライセンス契約や、海外大手ブランドとのコラボレーションも実現しています。
Q. 直近のサンリオの業績はどうなっていますか?
2026年3月期第3四半期累計の連結売上高は1,431億9,400万円(前年同期比36.7%増)、営業利益は623億9,800万円(同51.8%増)と大幅な増収増益が続いています。
Q. サンリオの海外事業で特に伸びている地域はどこですか?
欧州が前年同期比128.3%増、アジアが同57.6%増と高い伸びを見せています。特にアジアでは中国の「潮玩(トレンディトイ)」市場の好調が成長をけん引しています。
Q. サンリオの事例は中小企業の海外進出にも参考になりますか?
はい。自社で抱え込まずライセンス提携で現地の販路を活用する発想や、単一商品に依存しないポートフォリオ戦略は、企業規模を問わず応用できる考え方です。
8. 優良な海外進出サポート企業をご紹介
今回は「サンリオの海外進出戦略」として、直営店モデルからライセンス事業への転換や、複数キャラクター戦略、中国をはじめとする成長市場への適応という3つの戦略をご紹介しました。
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