訪日外国人向け送迎サービスの集客術|タクシー・ハイヤー事業者が実践すべきマーケティング施策
訪日外国人観光客数は2025年に4,270万人と史上初めて4,000万人を突破し、旅行消費額も9.5兆円で過去最高を更新しました(出典:トラベルボイス、2026年1月発表)。
一方で、内閣府の調査では訪日外国人の6割が滞在中に「移動の足」に困った経験があると回答しており、特に空港やホテルからの二次交通は多くの旅行者の悩みの種になっています。
タクシー・ハイヤー会社、貸切バス事業者、宿泊施設の送迎担当者にとって、この課題はそのまま集客のチャンスです。本記事では、訪日外国人に選ばれる送迎サービスになるための集客チャネル、多言語予約導線の整備ポイント、業態別の実践方法を解説します。
この記事でわかること
- ・訪日外国人の二次交通ニーズの実態と、送迎サービスへの需要シフトの背景
- ・OTA・宿泊施設提携・SNSなど、訪日外国人に届く集客チャネルの選び方
- ・多言語予約フォーム・決済・キャンセルポリシーなど予約導線整備のポイント
- ・タクシー・貸切バス・宿泊施設など業態別に取り組むべき実践ポイント
▼目次
1. なぜ今、訪日外国人向け送迎サービスの需要が高まっているのか
空港・駅からの二次交通ニーズの実態
内閣府規制改革推進室が2026年1月に公表した「移動実態等に関する調査結果(訪日外国人)」によると、滞在中に移動の足に困った経験がある訪日外国人は全体の60.0%にのぼります(出典:内閣府規制改革推進室、2026年1月)。
中でもタクシーの利用では、手配を試みた人の67.2%が「つかまらなかった」「待ち時間が長かった」などを経験しており、困った場所は空港が57.8%で最多でした。具体的には「乗り場に行列ができて乗れなかった」が33.3%、「言語が異なるため電話予約ができなかった」が20.0%と、待ち時間と言語の壁が課題になっています。
同調査では、地下鉄・電車を利用しやすいと回答した人が84.7%だったのに対し、バス・タクシーは69.7%にとどまり、理由としては「日本語がわかりづらい」55.3%、「英語が通じない」27.7%が上位でした。空港・駅という最初の接点こそ、多言語対応と予約のしやすさが求められています。
個人手配から事前予約型への需要シフト
訪日外国人の間では、現地で交通手段を探すより、事前に予約して確実に移動手段を確保したいというニーズが強まっています。前出の内閣府調査では、自国でライドシェアを利用した経験がある訪日外国人のうち81.3%が「日本でも利用したい」と回答し、理由は「利用に慣れているから」62.6%、「事前に金額がわかるから」45.1%でした(出典:内閣府規制改革推進室、2026年1月)。
また、こうした移動手段があれば移動しやすさが改善すると回答した人は62.0%、導入されていればより多くの行動ができたと回答した人は75.0%にのぼり、「駅や空港からより遠い観光地に行けた」62.0%、「より遠い宿泊施設・飲食店に行けた」54.0%という結果でした。
国内でも2024年4月に日本版ライドシェア(自家用車活用事業)の制度が始まり、4つの営業区域から全国12の交通圏へ拡大しています(出典:国土交通省)。事前予約でスムーズに移動できるサービスへの需要シフトが進んでいます。
2. 訪日外国人に選ばれる送迎サービスの集客チャネル
OTA・比較サイトへの掲載
訪日外国人は出発前にOTA(オンライン旅行予約サイト)や比較サイトで、宿泊先やアクティビティとあわせて送迎手段を検索する傾向が強まっています。特にタクシー配車アプリでは、海外の主要アプリと連携し、そのまま国内の配車サービスを呼び出せる仕組みを整える事業者が増えています。国内配車アプリの中には、韓国・東南アジア・中国のアプリと連携し、2022年の連携開始以降で延べ13万人以上に利用された実績を持つケースもあり(出典:GO株式会社プレスリリース、2023年11月)、母国と同じ操作感で予約できることが安心材料になっています。
自社サイトだけでは訪日外国人の目に触れる機会が限られるため、OTAや比較サイトへの掲載は認知獲得の入口として重要です。掲載時は対応言語・対応エリア・料金体系を明示し、写真や口コミを充実させて選ばれやすくしましょう。
宿泊施設・旅行会社との提携
個人客だけでなく、宿泊施設や旅行会社と提携し、送迎サービスをパッケージの一部として組み込んでもらう営業も有効な集客チャネルです。宿泊施設のフロントやサイトから送迎を予約できる導線があれば、旅行者は個別に手配先を探す手間が省け、施設側も「二次交通込みの安心な宿泊先」として訴求できます。
旅行会社に対しては、団体ツアーやFIT向けのオプションとして送迎手配を提案し、繁忙期の車両・ドライバー手配を優先的に確保できる関係を築くことが重要です。対応可能時間帯や予約締切など運用ルールをすり合わせておけば、当日のトラブルも防ぎやすくなります。
SNS・口コミでの認知獲得
訪日外国人の多くは、旅行前の情報収集や旅行後の体験共有にSNSを積極的に活用しています。送迎サービスの利用シーンや車内の様子、多言語対応の様子などを写真・動画で発信することで、実際の利用イメージを事前に伝えられ、予約への不安を減らすことができます。
また、利用後の口コミは次の利用者の判断材料になります。OTAや口コミサイトでの評価に丁寧に返信し、多言語での対応実績や具体的なエピソードを積み重ねていくことで、価格だけでは測れない信頼を獲得できます。SNS上で言語や国籍を問わず好意的な口コミが集まれば、広告費をかけずとも新規の問い合わせにつながる好循環が生まれます。
3. 予約導線・多言語対応の整備ポイント
多言語予約フォーム・決済対応
送迎サービスの予約フォームは、最低限英語に対応させたうえで、主要な訪日国籍の言語(中国語・韓国語など)にも順次対応を広げることが望まれます。内閣府の調査でも、公共交通機関を利用しづらいと感じた理由の1位は「日本語がわかりづらい」(55.3%)、2位は「英語が通じない」(27.7%)であり(出典:内閣府規制改革推進室、2026年1月)、予約段階での言語対応は選ばれるための前提条件になりつつあります。
決済についても、海外発行のクレジットカードやオンライン決済サービスに対応し、事前に確定料金を提示できる仕組みを整えることが重要です。到着後に現地通貨が用意できない、料金体系がわからず不安、といった声を減らせれば、予約完了率の向上にもつながります。
ドライバーの多言語コミュニケーション
すべてのドライバーが流暢な外国語を話せる必要はありませんが、行き先の確認や料金案内など、最低限のやり取りができる体制を整えておくことは欠かせません。内閣府の調査でも、タクシー利用で困った内容として「言語が異なることが理由で、行先や支払い等、ドライバーとの意思疎通が難しかった」との回答が一定数見られました(出典:内閣府規制改革推進室、2026年1月)。
翻訳アプリの活用や、指差しで伝えられる多言語案内カードの用意、よく使うフレーズを記載したマニュアルの整備など、大きな投資をせずに始められる対策は少なくありません。予約時に行き先や特別な要望を事前に多言語で確認しておく仕組みを作ることで、車内でのコミュニケーション負担そのものを減らすこともできます。
キャンセル・変更ポリシーの明確化
訪日外国人にとって、フライトの遅延や予定変更に伴うキャンセル・変更条件がわかりにくいことは、予約をためらう大きな要因になります。キャンセル料が発生するタイミング、変更手続きの方法、フライト遅延時の待機対応の有無などを、予約段階で多言語かつ明確に提示しておきましょう。
特に空港送迎では、フライトの遅延により到着時間が変わることが珍しくありません。フライト番号を事前に登録してもらい、遅延状況を把握できる仕組みを整えておけば、利用者の不安を減らせるだけでなく、事業者側の車両手配の効率化にもつながります。ポリシーを曖昧にしたまま運用すると、当日のトラブルや低評価の口コミにつながりかねないため、事前の明文化が欠かせません。
4. 業態別の実践ポイント
タクシー・ハイヤー事業者
タクシー・ハイヤー事業者にとっては、配車アプリでの多言語対応や海外アプリとの連携、定額制の空港送迎プランの用意が有効な打ち手になります。事前に料金が確定していることは、内閣府の調査でもライドシェアを利用したい理由の上位(45.1%)に挙がっており、安心して予約できる要素です(出典:内閣府規制改革推進室、2026年1月)。
ハイヤーの場合は、空港・駅からホテルまでの送迎に加え、観光地周遊や商談への同行など高付加価値な利用シーンを打ち出すことで、価格競争に巻き込まれにくいポジションを築くこともできます。
貸切バス・団体送迎事業者
貸切バス・団体送迎事業者は、旅行会社やMICE(会議・イベント等)主催者と連携し、団体ツアーやイベント参加者向けの送迎パッケージを提案することが中心的な集客手法になります。多言語対応が可能な添乗員やガイドとの連携体制を整えておくと、団体客からの信頼を得やすくなります。
繁忙期には車両・ドライバーの手配が逼迫しやすいため、旅行会社との早期の情報共有や運行計画の工夫が欠かせません。個人旅行(FIT)化が進む中でも、地方の観光地とセットになった小規模グループ向け送迎商品を用意すれば、新たな需要を取り込める可能性があります。
宿泊施設の送迎サービス
宿泊施設が独自に送迎サービスを提供する場合は、フロントやウェブサイトから直接予約できる導線を整え、宿泊予約とあわせて送迎までワンストップで完結できるようにすることが集客力の向上につながります。特に空港や主要駅からアクセスが不便な立地の施設ほど、送迎の有無が予約の決め手になりやすい傾向があります。
自社で車両・ドライバーを保有しない場合は、地域のタクシー・ハイヤー事業者と提携し、宿泊客専用の割引プランや優先配車の仕組みを設けることも有効です。多言語での送迎案内をチェックイン前のメールや予約確認画面に記載しておけば、到着前の不安を減らし、口コミ評価の向上にもつながります。
5. よくある質問(FAQ)
Q1. なぜ今、訪日外国人向け送迎サービスの需要が高まっているのですか?
2025年の訪日外国人数は4,270万人と過去最高を更新する一方、内閣府の調査では6割が移動の足に困った経験があると回答しています。空港・駅からの二次交通の不便さが、事前予約型サービスへの需要を押し上げています。
Q2. 送迎サービスの集客で最初に取り組むべきことは何ですか?
OTAや比較サイトへの掲載、宿泊施設・旅行会社との提携から着手するのが有効です。あわせて対応言語・料金体系をわかりやすく明示し、比較検討の段階から選ばれる情報発信を整えましょう。
Q3. ドライバーは高い語学力がないと訪日外国人に対応できませんか?
流暢な語学力は必須ではありません。翻訳アプリや多言語案内カード、予約時の事前確認など、大きな投資をせずに始められる対策を組み合わせることで、最低限のコミュニケーションは確保できます。
Q4. 多言語対応はどこまで整備すればよいですか?
まずは英語での予約フォーム・料金案内の整備が最低限の目安です。主要な訪日国籍の言語対応や、フライト遅延時の状況を自動で把握できる仕組みなどを段階的に加えていくとよいでしょう。
Q5. キャンセルポリシーはどのように設定すればよいですか?
キャンセル料の発生タイミングや変更手続き、フライト遅延時の対応を多言語かつ明確に提示することが重要です。曖昧なまま運用するとトラブルや低評価の口コミにつながりかねません。
Q6. 貸切バス・団体送迎事業者が訪日外国人需要を取り込むにはどうすればよいですか?
旅行会社やMICE主催者との連携が中心的な手法です。多言語対応の添乗員体制を整え、繁忙期の車両手配を効率化することで、団体客からの継続的な依頼につなげやすくなります。
6. まとめ
訪日外国人向けの送迎サービスは、2025年に4,270万人と過去最高を更新した訪日客数とともに、確実な需要が見込める領域です(出典:トラベルボイス、2026年1月発表)。一方で、内閣府の調査が示すとおり6割の訪日外国人が移動の足に困った経験を持ち、その多くが空港・駅という二次交通の入口でつまずいています。
OTA・宿泊施設・旅行会社との連携で認知獲得のチャネルを広げ、多言語の予約導線・決済・キャンセルポリシーを整えることが、選ばれる送迎サービスの土台です。業態特性に応じた実践を積み重ね、継続的な問い合わせと口コミ評価の向上につなげていきましょう。
7. 優良な海外進出サポート企業をご紹介
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訪日外国人向け送迎サービスの多言語対応や集客チャネルの整備には、インバウンドマーケティングの専門ノウハウが力になります。訪日外国人向けマーケティングに強い専門企業への相談や、無料相談窓口での情報収集、インバウンド関連セミナーへの参加から、一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
参考文献
・内閣府規制改革推進室「移動実態等に関する調査結果(訪日外国人)」(2026年1月)
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2409_05local/local_material/local_250131_2.pdf
・トラベルボイス「2025年の訪日客が過去最多4270万人に、消費額9.5兆円で記録更新」(2026年1月、原典:観光庁・日本政府観光局)
https://www.travelvoice.jp/20260120-159109
・国土交通省「日本版ライドシェア(自家用車活用事業)関係情報」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr3_000051.html
・GO株式会社「No.1タクシーアプリ『GO』 訪日外客の利用対応を本格的に開始」(2023年11月)
https://goinc.jp/news/pr/2023/11/10/4zow9wentngt9gjmlsebyn/
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