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外資規制の基礎知識 | 日本と海外の外資規制の違い / 外資規制が必要な理由…ほか

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外資規制とは「国内企業の外国企業の投資に対する規制」を指します。

本テキストでは、グローバル時代に知っておきたい「外資規制」について理解を深めていきます。外資規制が必要な理由、日本の外資規制の歴史、海外の外資規制の違いや、アメリカと中国の外資規制についても詳しく解説していきます。

外国企業や外国人が行う国内企業への投資を制限する規制の総称である「外資規制」。

最近だと、国内におけるフジテレビと東北新社の外国人等議決権比率が20%を超えて外資規制に違反していたことが話題となりましたが、アナタが海外進出を画策しているならば、進出国の外資規制を知っておくことは最重要事項のひとつでもあります。

その国の経済政策と深い関わりのある外資規制を知っておかないと、海外事業が停止に追い込まれる可能性も否定できません。本テキストでは、これだけは知っておきたい外資規制の基本をわかりやすく解説していきます。

▼外資規制の基礎知識 | 日本と海外の外資規制の違い / 外資規制が必要な理由…ほか

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1. 外資規制とは?

外資規制とは「国内企業の外国企業の投資に対する規制」のこと

冒頭でも触れたとおり、外資規制とは一言でいうと「外国企業が国内企業に対して行う投資に関する規制」のことです。

日本においては「外国為替及び外国貿易法(通称:外為法)」によって規定されている外資規制。どの国においても外資規制は安全保障や経済政策のための規制であり、これを知らないと投資が中止となるなどして、事業に大きな影響を及ぼす可能性もあります。

2. なぜ外資規制が必要なのか?

外資規制が必要な理由とは?

外資規制は安全保障や経済政策を目的としています。他国に奪われることがないよう、自国の資源や資産などを守るための規制なのです。

グローバル化が進んだ現代において、先進国は対外取引を原則自由としていますが、完全に自由にしてしまうと、お金を積めば他国の資源や資産をすべて手に入れることができる、という事態が起こり得ます。

第4次産業革命時代である現代は、AIの急速な発展やビッグデータの活用などによって産業構造が大きく変わりつつあります。また、アメリカと中国の覇権争いなどもあり、自国の安全と経済を守るために各国は外資規制の見直しを進めている状況です。

とはいえ、規制をあまりにも厳しくしてしまうとグローバル時代の国際競争についていけなくなってしまいます。バランスが難しいところですが、「外資規制」は自国の安全と経済を守ることのできる範囲で健全な対外取引を行うために必要不可欠な規制と言えます。

3. 日本の外資規制の歴史

日本の資本自由化と外資規制について

戦後、日本は経済の復興や自国の産業を育成するために対外取引を厳しく制限していましたが、1964年にOECD(経済協力開発機構)に加盟した以降は資本自由化を進め、1980 年には外国為替及び外国貿易管理法(通称:外為法)改正によって「原則自由」への転換をはかります。

その後1996年には、当時の橋本内閣が提唱した金融制度改革である日本版ビッグバンによって抜本的な金融市場の改革が進められました。

4. 日本の外資規制

日本における外資規制の種類

日本では、安全保障や公の秩序の維持および公衆の安全などを目的として、外国人や外国企業による国内企業への投資が制限されていることはすでに解説してきたとおりです。

日本の外資規制には2種類あり、外国為替及び外国貿易管理法(通称:外為法)によるものと、個別業法によるものに分けられます。

外為法による外資規制

外国為替及び外国貿易管理法(通称:外為法)による外資規制には、事前届出が必要なものと、事後報告でよいものがあります。

■ 事前届出が必要な投資
アフリカや中央アジアの一部といった対内直接投資に関する条約等がない国からの投資は、財務大臣および主務大臣への事前届出が必要です。

また、上記以外の国でも、下記に該当する産業に対する投資は、財務大臣および主務大臣への事前届出が必要です。

航空機、武器、原子力、宇宙開発、エネルギー、上水道、通信、放送、鉄道、路線バス、内航海運、石油、皮革、履物、農業、林業、水産業、警備業など

財務大臣および主務大臣への事前届出が必要な投資は、審査の結果によっては投資内容が変更されたり、投資自体が中止されたりする可能性があります。

2019年11月の臨時国会で、改正外為法が成立しました。これにより、外国人や外国企業が指定企業の株式を取得する際に必要な事前届出の、持ち株比率の基準が変更となっています。この改正により、持ち株比率は「10%以上」から「1%以上」となりました。ただし、海外の金融機関は経営に関与しないといった条件を満たすことで事前届出が免除されます。

外為法の施行にあたり、日本政府は事前審査の対象となる企業のリストを公表しており、518社のコア業種(重点審査の対象となる業種)は全上場企業の14%となっています。コア業種ほど厳格には審査されないものの、事後報告が必要となる指定企業は1584社で、これは上場企業の42%もの数になります。

2020年6月、コア業種に医薬品や人工呼吸器などの高度医療機器が追加されることが発表されました。コロナ禍において、高度医療機器メーカーが海外に買収される事態を防ぐ狙いがあるようです。

■ 事後報告が必要な投資
事前届出が必要なもの以外の投資については事後報告が可能ですが、株式取得を行った日の翌月15日までに事後報告を行うことが必要です。

個別業法による外資規制

外為法だけではなく個別業法による外資規制もあります。下記の法律によって、通信、放送、航空といった産業においては、外国人や外国企業による国内企業への出資規制が設けられています。

・日本電信電話株式会社等に関する法律(通称:NTT法)
・電波法
・放送法
・航空法
・貨物利用運送事業法

5. 海外の外資規制

世界各国によって外資規制は異なる

外資規制は、国の経済戦略や安全保障に深く関わりのある規制です。それぞれの国が自国の貿易促進や安全保障との関係を考慮した上で定めています。そのため、規制内容は各国によって異なります。

例えば、マスメディアや不動産は外資規制の対象になりやすいなどの傾向はあるものの、時代の流れや世界情勢によっても変わるので、投資を考える際には必ず投資先の国の最新の外資規制について調べることが必要です。

上記の記事には、下記のように主要国の「外資規制比較表」なども掲載されているので、理解を深めるためにもぜひご一読ください。

hikakuhyo

6. アメリカと中国の外資規制

国によって外資規制が異なることはすでに説明したとおりですが、ここでは、世界経済の二大国「アメリカ」「中国」の二カ国の外資規制について解説します。

アメリカの外資規制

「自由の国」であるアメリカは、基本的には外国投資家を公正かつ同等に扱う姿勢を取っていますが、もちろんすべてが自由なわけではありません。

例えば、下記の9つの分野は外国からの対米投資に関する連邦規制が適用されることがあります。

航空、通信、海運、発電、銀行、保険、不動産、地下資源、国防

また、アメリカの安全保障上、懸念のある国内資本については「CFIUS(対米外国投資委員会)」が審査します。

この審査によってアメリカの安全保障を害する恐れがあるとみなされると、大統領の判断で案件が拒否されることも。2018年、トランプ大統領によってCFIUSの権限を強化する法案「FIRRMA」が成立。2020年に施行されています。

FIRRMAでは、米国事業が保有している重要な非公開の技術情報へのアクセスなどが審査対象取引として新たに追加されました。また、FIRRMAと同時期に制定された「2018年輸出管理改革法(ECRA)」では、新興技術と基盤技術が新たに規制の対象となっており、新興技術に含まれ得る技術分野としては、AIやバイオテクノロジー、ロボット工学などがあります。

詳しいアメリカの外資規制については、ぜひ下記の記事もご参照ください。

中国の外資規制

中国は、2020年7月23日に施行された「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2020年版)」で制限・禁止業種を指定しています。根拠法は2002年に施行された外商投資方向の指導規定であり、制限業種への投資に関しては、外資100%は原則認められません。

中国は、自国の技術レベルが立ち遅れている産業に対しても外資100%を認めておらず、かなり外資に対して厳しい規制を行っています。

一方で、2020年には資産運用会社や証券会社への出資規制を廃止するなど、規制緩和も近年では進んでいます。これには米中貿易協議においてアメリカからの圧力があったと見られます。

7. 優良な海外進出サポート企業をご紹介

御社にピッタリの海外進出サポート企業をご紹介します

今回は「外資規制の基礎知識」として、外資規制が必要な理由、日本と海外の外資規制の違いや、アメリカと中国の外資規制…などについて解説しました。

各国の安全保障や経済政策のために設けられている外資規制は、国の経済戦略に深くかかわるため、時代や情勢によって内容が変わることも。実際、コロナ禍において日本の外資規制も改正されていますし、インドも外資規制を強化しています。

投資を考える際には、投資先の国の法律についても知る必要があるため、すべて自社で対応しようとするより専門家に相談した方が近道です。

「Digima〜出島〜」には、厳正な審査を通過した優良な海外進出サポート企業が多数登録しています。当然、複数の企業の比較検討も可能です。

「海外に進出する際の外資規制の調査をサポートしてほしい」「海外での事業計画立案のアドバイスがほしい」「海外に進出したいが何から始めていいのかわからない」…といった、多岐に渡る海外進出におけるご質問・ご相談を承っています。

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