海外展開に「補助金が欲しい」と思う社長がやるべき5つの準備
こんにちは。合同会社サウスポイントの山本です。
円安や国内市場の縮小を背景に、「うちもそろそろ海外へ」と検討を始めた経営者の方から、最初によくいただくご相談があります。
「海外に行きたいんだけど、何か使えるいい補助金はない?」
実はこれ、相談で言っちゃいけないNGワードなんです・・・。
お気持ちは大変よく分かります。海外展開にはコストがかかりますから、国や地方自治体の支援を活用したいと考えるのは経営判断として当然です。しかし、数多くの企業の海外進出を支援してきた経験から申し上げますと、「補助金探し」からスタートした企業の成功率は、残念ながらあまり高くありません。 なぜなら、補助金はあくまで海外展開の「手段」であり「加速装置」です。海外事業として向かうべき「目的地」や、目的地までの「地図」がなければ補助金は機能しないからです。
今回は、海外展開を構想し始めたばかりの企業の皆様に向けて、補助金申請の技術的な話の前に、まず取り組むべき「5つのステップ」についてお話しします。これを知っているだけで、後の採択率も、そして事業の成功率も格段に変わってきます。ぜひ最後までお読みください
▼ 海外展開に「補助金が欲しい」と思う社長がやるべき5つの準備
1.まずは海外事業の構想を固める
補助金の申請書を書こうとすると、多くの企業が「どう書けば通るか」と意識を奪われがちです。しかし、審査員が見ているのはもっと本質的な部分です。補助金の審査員は、経営や海外ビジネスに精通した専門家であり、補助金ありきの事業計画は通用しないものと心得てください。
海外展開で補助金が欲しいと思ったら、まずは補助金のことは一旦忘れ、海外展開の構想を。以下のような5W2Hで整理してください。遠回りのようですが、これが最短ルートです。
●どこで(WHERE):どの国・地域に進出するのか?
●誰に(WHO): どんな顧客、ターゲット層に売りたいのか?
●何を(WHAT): 自社のどの製品・サービスを提供するのか?
●なぜ(WHY): その国で、その顧客に、自社のその商品が売れると確信できる理由は?裏付けは?
●いつ(WHEN) : いつ頃、海外進出をしようと思っているのか?
●どうやって(HOW):どんな方法で、その海外事業の目標を達成するのか?
●いくら(HOW MUCH):どれぐらいの予算で、どれぐらいの売上・利益を達成するのか?
補助金は、皆様の「やりたいこと」を実現するための「手段」に過ぎません。
「補助金が出るならやる、出ないならやらない」という程度の事業であれば、厳しい海外市場で生き残ることは難しいでしょう。逆に、「補助金がなくともやる覚悟はあるが、補助金があればそのスピードと売上を2倍にできる」という事業計画こそが、結果として審査員の心を動かします。
2.海外展開で必要な予算案を作成する
構想(ビジョン)が固まったら、次に行うべきは「数字への落とし込み」です。
海外展開には、国内取引とは異なる特有のコストが発生します。
● 海外渡航費(航空券、宿泊費)
● 通訳・翻訳費
● 現地での法的調査・認証取得費
● 展示会出展費・輸送費
● 多言語でのウェブサイト構築費
これらをざっくりと見積もり、トータルでいくら必要なのかを算出してください。
そして重要なのが「収益性」の視点です。
補助金の原資は国民の貴重な納税を財源とした公金です。国や自治体は理由もなく貴重な税金を一企業に配ることはしません。誤解を恐れず、端的に言えば「この企業に投資(補助)すれば、将来大きく成長して、たくさんの外貨を稼ぎ、結果として多くの雇用を生み出し、高い賃上げを実現し、税金を納めてくれるだろう」というリターンが期待されています。
したがって、「赤字の穴埋め」や「足りない費用を補う」ための計画では採択されません。「これだけの補助をいただければ、3年後にはこれだけの利益を生み出すことができる。その結果を従業員に利益を還元、質の高い雇用を生み出すことで、国と地域にも貢献できる。」という、説得力のある投資計画を作りましょう。
3.補助事業で補助されない経費を知っておく
予算を組む際、意外と落とし穴になるのが「補助対象外経費」の存在です。
「海外事業に使うお金なら何でも補助される」わけではありません。繰り返しますが、補助金の原資は国民の貴重な納税を財源とした公金です。だからこそ、補助できる経費は公的なルールに基づき、厳格な線引きがあります。一般的に、以下のような経費は補助の対象外となることが多いです。(が、これに限りません。)
✖ 汎用性のある物品: パソコン、タブレット、事務用デスク、社用車など(他の事業や私用にも使えてしまうため)
✖ 運転資金や人件費: 自社役員や既存社員の給与(※一部の補助金を除く)
✖ 接待交際費: 現地パートナー、取引先との会食費用など
✖ 不動産関連費: 事務所の敷金・礼金、保証金など
✖ 補助事業期間外の経費: 交付決定前に発注・支払した経費
「全部補助金で賄えると思っていたのに、フタを開けてみたら持ち出し(自己負担)が多かった」と後悔しないよう、何が対象で何が対象外なのか、補助金の公募要領等を読み、制度の基本原則を事前に知っておくことが重要です。
4.公的支援機関への相談
「構想」が固まり、「予算」の概算ができたら、ここで初めて外部への相談に行きましょう。
おすすめは、ジェトロ(日本貿易振興機構)、
中小機構(中小企業基盤整備機構)、あるいは各都道府県にある「よろず支援拠点」などの公的支援機関です。
なぜ、相談のタイミングが「構想と予算」をまとめてからなのか?それは、「手ぶらで相談に行っても、一般的な回答しか得られないから」です。
「何かいい補助金ありますか?」とだけ聞けば、パンフレットを渡されて、そこに書いてあるごく一般的な説明だけで終わるでしょう。
しかし、「中国市場に化粧品を売りたい。そのために来年上海の展示会に出たい。予算は全体で300万円くらいかかり、そのうち出展料は80万円、装飾費は50万円・・・」という具体的な材料があれば、窓口の担当者も一気に具体的なアドバイスができるようになります。
「それなら、中小企業庁のあの事業が使えるかもしれません」
「その分野なら、補助金を使わなくても、現地の専門家を紹介できる制度があります」
しっかりとした海外事業の構想を持っていけば、担当者からは、きっとこんな回答が返ってくるようになるでしょう。
公的機関の担当者を味方につけ、質の高い情報を引き出すためには、事前の「宿題(構想と予算)」を済ませておくことがマナーであり、成功の秘訣です。
5.民間の専門家(コンサルタント)の活用
最後に、実際に申請書を作成し、事業を進める段階でのパートナー選びについてです。
海外展開はスピード勝負です。補助金の申請には必ず締切が存在します。不慣れな申請書の作成に何週間も時間を費やし、チャンスを逃すよりは、信頼できる民間の専門家(コンサルタント)を起用し、戦略のブラッシュアップや書類作成の支援を受けることは、時間と労力の節約になります。
ただし、民間の専門家選びには注意が必要です。
近年、補助金申請支援を謳う業者の中には、法外な手数料を要求したり、実態のない事業計画を勧めたりする悪質な業者も一部存在し、問題になっています。
また、コンプライアンスの観点から非常に重要なことがあります。
「有償で、依頼者に代わって申請書類を作成・提出すること(申請代行)」は、法律(行政書士法)により、国家資格者である「行政書士」にしか認められていません。
無資格のコンサルタント会社が「丸投げで代行します」と言う場合、それは違法行為である危険性があります。そのような業者に関わると、最悪の場合、採択が取り消され、補助金の返還を求められる、氏名が公表されるなどのトラブルに巻き込まれかねません。
我々サウスポイントのように、戦略立案はコンサルタントとして伴走しつつ、実際の申請手続きに関しては社内の有資格者が適正に行う(あるいは、企業様ご自身での電子申請を有資格者がサポートする)体制が整っているか。ここを必ず確認するようにしてください。
まとめ:補助金活用は「準備がすべて」
海外展開における補助金活用は、「準備」がすべてです。簡単にまとめると
1.海外事業の構想を固める
2.予算と収益性を計算する
3.ルールを知り、対象外経費を把握する
4.相談できる材料を持って公的機関へ行く
5.信頼できる専門家と組む
このステップを踏んだ企業様は、補助金採択の可能性が高いだけでなく、その後の海外ビジネスにおいても「勝ち筋」が見えています。
「うちはまだ構想段階だけど、大丈夫かな?」
そんな段階でも構いません。むしろ、変な癖がつく前の「真っ白な状態」こそ、正しい計画を作るチャンスです。
海外展開の夢を、夢で終わらせないために。まずはしっかりとした「設計図」作りから始めましょう。
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当社サウスポイントは、この「設計図」作りを得意としています。
最短1日で海外事業戦略を策定するサービスで事業戦略を作成し、補助金事業計画作りとと申請、その後の手続きまで、行政書士・中小企業診断士の有資格者が一気通貫でサポートします。
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