1.海外進出先国を見極めるための調査方法

海外進出を成功させるためには、進出先の市場が自社のビジネスモデルに適しているかどうかを慎重に見極めることが重要です。そのためには、主要な市場の経済動向や市場の成熟度を把握する必要があります。

ここでは「経済成長率」「消費者の購買力」「市場の飽和度」の調査方法について詳しく説明します。

海外市場の経済成長率を調査する方法

市場の経済成長率を知るためには、国際機関のレポート（世界銀行、IMF、OECD）や金融機関のレポート（中央銀行、大手金融機関）、政府機関の公式サイトの統計データなどを活用すると良いでしょう。

これらの情報源を活用することで、市場の経済成長率を把握し、今後の成長見込みを判断することができます。

• 世界銀行（World Bank）
• 国際通貨基金（International Monetary Fund/IMF）
• 経済協力開発機構（OECD）

市場の飽和度を調査する方法

消費者の購買力を知るためには、国内総生産（GDP）や一人当たりの所得などの指標を調査しましょう。GDPは国全体の経済規模を示す指標であり、経済の健康状態を把握するのに役立ちます。

一人当たりの所得は、消費者がどれだけの購買力を持っているかを示す重要な指標であり、市場の魅力度を評価する際に効果的です。

市場の飽和度で調査

市場の飽和度を評価するためには、競合他社の存在や市場シェア、市場の拡大余地を分析します。現地に既に存在する競合他社の数やシェアを調査することで、自社がどの程度の市場シェアを獲得できる可能性があるかを把握できます。

また、市場が今後どの程度成長する余地があるかを評価することで、自社のビジネスモデルがその市場に適合するかどうかを見極めることができるでしょう。

2.目的別の海外進出先国選定ガイド【業界編】

海外展開を成功させるためには、自社のビジネスモデルや進出の目的に合わせて最適な進出先国を選定することが重要です。

それぞれの目的に応じて、選ぶべき国や都市は異なります。そこで、目的に合わせた進出先国の選定方法を業界別に具体例を挙げて解説します。

【製造業】研究開発機能の充実

製造業で研究開発機能を充実させたい場合、選定する国はその分野での歴史やインフラが重要です。ドイツは研究開発の歴史が長く、研究者同士の繋がりが強いです。

ドイツには数多くの研究機関や大学が存在し、先進的な技術開発が行われています。こうした環境は、製品開発のスピードと質を向上させる上で有利になるでしょう。

さらに、ドイツの産業クラスターは企業間の連携を促進し、新しい技術やアイデアの共有を可能にします。

【飲食業】集客力と現地の食材調達

飲食店が海外進出を考える場合、集客力と現地の食材調達が大きなポイントとなります。

ヨーロッパの首都は多くの観光客が訪れるため、一見魅力的に映りますが、家賃が高く競合も多いため、収益を上げるのが難しい場合があります。そのため、第2・第3の都市を選ぶことが有効です。

例えば、スペインのバルセロナやイタリアのミラノは首都ではありませんが、観光地としての集客力が高く、飲食店にとって有利な市場です。

これらの都市では家賃が比較的安く、現地の新鮮な食材を手に入れやすいというメリットがあります。また、競合が少ないため、ユニークな日本食レストランとして差別化しやすい環境となるでしょう。

【IT・情報通信業】グローバル人材の確保

IT・情報通信業がグローバル人材を確保したい場合、英語が広く通じ、ITインフラが整っているシンガポールがおすすめです。シンガポールはアジア市場へのゲートウェイとしての役割も果たします。

【アパレル（ファッション）業】ブランド価値の向上

ファッション業界で高級ブランドやデザイン性を重視する場合、ファッションの中心地であるフランス・パリやイタリア・ミラノが適しています。これらの都市では業界のトレンドに敏感な消費者が多く、ブランド価値を高めることができます。

3.初めての海外進出におすすめの地域3選「東南アジア・北米・ヨーロッパ」

海外進出を考える際、進出先の地域選定は重要です。初めての海外進出に適している「東南アジア」「北米」「ヨーロッパ」の3つの地域について、日本からの距離や時差を交えて解説しています。

【東南アジア市場】急速な経済成長と消費市場の拡大

東南アジアは経済成長が著しく、消費市場の拡大が特徴です。ASEANとして経済圏を形成しており、海外進出後も他の国へのビジネス展開がしやすいでしょう。

また、日本からの距離が比較的近く、時差も2時間程度と少ないです。東南アジアの中でも、タイやベトナム、インドネシアなどは特にこれからも注目される進出国と言われています。

これらの国々は急速な経済成長を遂げており、中間層の拡大により消費市場としてのポテンシャルが高まっています。

【北米市場】高い購買力と市場規模の大きさ

北米は高い購買力と成熟した市場が特徴です。日本からの距離は遠いですが、市場規模の大きさは世界最大級といえます。

アメリカやカナダは、多様な文化背景を持つ消費者が多く、製品やサービスの多様化が求められます。また、ビジネスの規模が大きく、市場競争が激しいため、高い品質や革新的なサービスが求められることがあるので覚えておきましょう。

【ヨーロッパ市場】EU圏内での横展開と人気国の多さ

ヨーロッパはEU圏内の経済圏を形成しており、東南アジアと同様に進出後も他のEU加盟国への横展開がしやすいことは特徴です。

ヨーロッパの中でも、ドイツやフランス、イタリアなどは重要な市場です。これらの国々は、経済規模が大きく、消費者の購買力も高いため、多くの企業にとって人気の高い進出国です。

時差は約7〜9時間で、日本からの距離も中程度に位置しています。

4.自社のビジネスモデルや進出の目的に合わせた最適な国・地域を選定する

自社に最適な進出先国を見極めることは難しいかもしれませんが、適切な市場調査と戦略的な選定を行うことで、初めての海外ビジネスをスムーズに進めることができるでしょう。

進出国先を選定するには、自社での調査以外にも海外ビジネス支援企業・専門家に相談してみることをおすすめします。

海外ビジネス支援企業・専門家の知識や経験に基づいたアドバイスを受けることで、自社では得られない視点や情報を得られ、より精度の高い意思決定が可能になるためです。

ワールドバリューコンサルティングでは、各国の市場動向を詳細に分析し、データに基づいた精度の高い市場予測を提供するとともに、貴社の製品やサービスの特性、ならびに社内の状況を詳しく理解し、それに基づいて最適な進出先国を提案します。

また、多くの企業の海外進出を成功に導いた豊富な実績があり、特に製造業、小売業、IT業界など多岐にわたる業種でのコンサルティング経験を持っています。

さらに、世界各地に広がるネットワークを活用し、現地の最新情報やトレンドを迅速に把握することが可能です。

具体的なデータに基づいた市場分析と実践的なアドバイスを通じて、海外展開をサポートしてくれるでしょう。