TOTOの海外戦略 | ウォシュレットで世界を席巻したブランディング3本の矢とは?

「ウォシュレットトイレ」で世界でその名を知られる「TOTO」の海外事業戦略について解説します。
中国人観光客の〝爆買い商品〟として浸透した「ウォシュレット(温水洗浄便座)」でグローバルな海外展開を進めている「TOTO」。2017年3月決算の売り上げは5,738億円という過去最高額を記録。海外売上高は1,281億円と、海外への事業展開で目覚ましい結果を残しているのです。
その戦略においても、ライバル企業であるLIXILが大規模なM&A戦略をとったのに対し、TOTOは10年単位で市場を耕し、中国市場を中心に「水洗トイレ」および「ウォシュレット」の啓蒙活動を続けるという、対照的な選択をとりました。
いまや中国における高級トイレの代名詞は「TOTO」と言っても過言ではないことは広く知られています。
本テキストでは、TOTOが中国および海外にて事業展開するにあたって、具体的にどのような戦略をとったのかを分析することで、日本企業が海外進出をする際の重要なポイントを探っていきます。
▼ TOTOの海外戦略 | ウォシュレットで世界を席巻したブランディング3本の矢とは?
- 1. TOTOの驚異的な海外売上比率
- 2. TOTOの海外事業は1977年よりスタート
- 3. 「商品」「販売」「サービス」TOTOが掲げたブランディング3本の矢
- 4. 最新のTOTOの海外事情戦略について
▼アナタの海外ビジネスを成功させるために
1. TOTOの驚異的な海外売上比率
海外売上高は1,281億円、海外の売上高構成比率は22%(国内は74%)
中国人観光客の〝爆買い商品〟として知られる「ウォシュレット(温水洗浄便座)」で、驚異的な海外展開を進めている「TOTO」。2017年3月決算の売り上げは、5,738億円という過去最高額を記録。
日本国内に加えて、中国・アジア、アメリカ・ヨーロッパという地域で展開する「グローバル住宅事業」では、全体の5,738億円と比較して、海外売上高は1,281億円、売上高構成比率が22%(日本は74%)となっています。
さらにその海外売上高の内訳としては、TOTO海外事業の牽引役である中国が49%とトップで、アジア、アメリカがともに24%、ヨーロッパが3%となっています。
先述したように、訪日中国人が爆買いすると話題となった「ウォシュレット(温水洗浄便座)」ですが、その海外工場も、マレーシア、中国・上海に続いて、タイ工場が、2020年4月の本格始動を控えており、海外のウォシュレット出荷台数は年200万台以上を目指していると発表しています。
2. TOTOの海外事業は1977年よりスタート
国内では長期的視点からリフォーム事業に投資
TOTOの海外進出は1977年に着手したインドネシア事業からスタートしています。そして現在の海外事業の牽引役とも言えるのが中国市場であり、それは1979年より始まっています。
2014年9月4日の記者会見で喜多村社長が「新築需要に依存しない体質を狙い、リモデル(リフォーム)に取り組んできた」と述べたように、そもそもTOTOは20年以上前からリフォーム事業に取り組んできました。
リフォームという言葉にまだなじみのない時代です。温水洗浄便座「ウォシュレット」などの水回りの製品がリフォームと相性が良い点に着目し、事業拡大に取り組んできました。
こうした取り組みが功を奏し、国内売上高の7割はリフォーム事業から利益を生み出しています。バブルの時代の新築需要に依存せずに、長期的視点からリフォーム事業に投資していたTOTOの先見性は正しかったということでしょう。
3. 「商品」「販売」「サービス」TOTOが掲げたブランディング3本の矢
あらゆるメディア、口コミを通じて、ブランド力を強化
長期的視点で戦略をとっていたのは国内だけではありません。先述のようにTOTO が中国市場に進出したのは 1979年でした。TOTO が一時代を築いた温水洗浄便座『ウォシュレット』を日本 で発売したのが1980年なので、いかに早い段階から中国市場の魅力に気づいていたかが伺えます。TOTO は現在進行中の中期経営計画で、『ウォシュレット』の拡販 を大きな目標に掲げており、あらゆるメディア、口コミを通じて、ブランド力 を強化しています。
TOTOはブランド力を高めるために3つのポイントを重視しています。それは「商品」「販売」「サービス」です。
「商品」では、節水・省エネという性能面での優位性、ハイセンスなデザイン性、そして『ウォシュレット』 の知名度の追求です。中国では現地の好みに合わせて便座の操作パネルの色を金色に変更しました。これが功を奏し、今ではベンツと並ぶほどの人気ブランドで、富裕層が指名買いするほどの認知度となりました。
「販売」はTOTOが最も力を入れた部門の一つです。20年以上かけて自前の販売網を形成し製品を現地化して販売する地道な営業戦略です。ウォシュレットの備わった施設の地図を作り、実際に利用してもらい利用者を増やすという地道な戦略も取っていました。さらに、テレビCMや各種のPRを用いて高級品というイメージ定着を図りました。
「サービス」では、プレサービスやアフターサービスを徹底し、信頼性を勝ち取りました。従来、中国ではアフターサービスは重視されてきませんでした。TOTOはそこに活路を見出したのです。大都市の北京、上海、南京、厦門、広州、深圳、重慶では、営業所がアフターサービスを担当しています。北京、上海では営業所だけではさばき切れないことから、アフターメンテナンスを専門会社にも委託し、顧客からの対応に当たったのです。代理店教育を根気強く続け、顧客の問い合わせや修理依頼に迅速かつ的確に対応できる体制を築き上げてきたことが、TOTOブランド力向上に大きく貢献しました。
4. 最新のTOTOの海外事情戦略について
海外のウォシュレット出荷台数、年間200万台以上を目指す
今後はアジアの新興国で下水道のインフラ整備がさらに進んでいきます。下水道の整備が整えばTOTOの需要はさらに高まっていくでしょう。
現時点でもタイや、インドに工場を新設し販路拡大の土台を作っています。事実、2020年4月の本格始動が発表されているTOTOタイランド第3工場(仮称)の生産は年間45万台を見込んでおり、海外のウォシュレット出荷台数においては、年間200万台以上を目指しています。
2019年3月期の中国事業の営業利益が133億円という、前期と比較して27%減少したことが各メディアで取り沙汰されてはいますが、そもそも中国市場に進出した1979年から約20年以上、その収益は赤字でした。前項でしたしたように、地道な水洗トイレおよびウォシュレットの啓蒙活動によって、TOTOは自社の海外事業を現在の地位まで押し上げた実績があります。
そして、市場の収縮が危ぶまれる国内においても、その成長が見込まれています。住宅だけでなく、観光施設などのリフォームも手掛けているからです。つまりグローバル視点で見ても、リフォーム事業はいまだ成長産業と言えるのです。
5. 優良な海外進出サポート企業をご紹介
御社にピッタリの海外進出サポート企業をご紹介します
今回は「ウォシュレットトイレ」で世界でその名を知られる「TOTO」の海外事業戦略について解説しました。
先見の明を持ち、長期的な視点から計画を立て、地道な努力を積み重ねてきたことがTOTOの海外事業での成功につながっています。安定して海外で顧客を掴むにはやはりブランド力の確立が欠かせません。商品の質だけでなく、販路の独自販路の獲得、アフターサービスの確立まで徹底したことがブランディングの成功に貢献したのです。
『Digima〜出島〜』には、厳選な審査を通過した優良な海外進出サポート企業が多数登録しています。当然、複数の企業の比較検討も可能です。
「海外展開したいがどうすればいいのかわからない」「戦略立案から拠点設立、販路開拓までサポートしてほしい」「海外事業の戦略についてアドバイスしてほしい」…といった、多岐に渡る海外ビジネスに関するご質問・ご相談を承っています。
ご連絡をいただければ、海外進出専門コンシェルジュが、御社にピッタリの海外進出を支援するサポート企業をご紹介いたします。まずはお気軽にご相談ください。
(当コンテンツの情報について)
当コンテンツを掲載するにあたって、その情報および内容には細心の注意を払っておりますが、掲載情報の安全性、合法性、正確性、最新性などについて保証するものではないことをご了承ください。本コンテンツの御利用により、万一ご利用者様および第三者にトラブルや損失・損害が発生したとしても、当社は一切責任を負わないものとさせていただきます。
海外ビジネスに関する情報につきましては、当サイトに掲載の海外進出支援の専門家の方々に直接お問い合わせ頂ければ幸いです。
この記事が役に立つ!と思った方はシェア
海外進出相談数
2,000
件突破!!
最適サポート企業を無料紹介
コンシェルジュに無料相談
この記事をご覧になった方は、こちらの記事も見ています
オススメの海外進出サポート企業
-
YCP Group 
自社事業の海外展開実績を活かしてアジア圏への海外展開を完全代行、調査やM&Aもサポート
マッキンゼー/ボストンコンサルティンググループ/ゴールドマンサックス/P&G出身者を中心とする250人規模の多機能チームが、世界20拠点に構えるグループ現地法人にて事業展開する中で蓄積した成功&失敗体験に基づく「ビジネス結果に直結する」実践的かつ包括的な海外展開サポートを提供します。
YCPでは各拠点にてコンサルティングサービスだけでなく自社事業を展開しています。市場調査フェーズからスキーム構築/定常的なビジネスマネジメントまで、事業主として一人称で取り組んできたからこそ得られた現地市場ノウハウや専門知識を活用し、教科書的な「べき論」に終始せず、ヒト/モノ/カネの観点から海外展開リスクを最小化するためのサービス開発を行っています。
<主要サービスメニュー>
・海外展開完全代行:
事業戦略~実行までの各フェーズにて、全ての業務を完全に代行
・海外調査:
マクロデータに表れない市場特性を探るための徹底的なフィールド調査を踏まえたビジネスに直結するインサイトを提供
・海外M&A:
買収後の統合実務や定常経営実務までを包括的にサポート -
カケモチ株式会社
インドネシア市場に特化して、市場調査、越境ECや会社設立支援などを提供している、インドネシア進出の専門会社です。
インドネシア進出前から進出後に至る業務を多岐に渡って支援。
多国展開はしておらず、インドネシア市場を専門にして、日本語が話せるインドネシア人スタッフを多数採用しています。
■インドネシア進出支援
・市場調査
・越境EC
・会社設立
■インドネシア駐在員様支援
・オンライン秘書サービス
・ビザ申請
■インドネシア人集客支援
・多言語サイト制作
・SEO
・Web広告
・SNS運用
まずはお気軽にご連絡をください。 -
株式会社セカラボ
海外進出をゼロから伴走、包括的にサポート
私たちセカラボの正式名称は「セカイ・マッチ・ラボ」です。
「セカイ」=世界各国での事業活動
「マッチング」=最適なパートナーとの取引
「ラボラトリー」=調査と分析にもとづいた活動
という理念です。
世界各国での事業活動において何よりも重要なのは、
調査と分析に基づいた活動と最適なパートナーとの取引であると考える私たちが「セカイ・マッチ・ラボ」の理念のもと、海外進出企業のサポートをします。
「ミッション=伴走」
海外進出支援の現場では、多くの企業から「何から着手したらよいのか、何が必要不可欠なのか?がわからない」という相談を受けます。
調べても色々な情報があり、どれが自社にマッチしたものなのかも判断できないというのがこれまで多くの企業から聞いている相談の中でもダントツで多いものです。
私たちは、海外進出支援という立場としてどんなサポートが企業にとって意義があるのかを学習していく中で、"伴走する"ということが役割だと結論づけました。
「言ってくれれば手伝いますよ」というスタイルではなく、
「何が必要かを一緒に考えましょう」というスタイルでなければ、本当の支援にはなりづらいため、一緒に考え、一緒に行動するというスタンスを大切に考えています。
「BtoB 進出ソリューション」
私たちがBtoB海外進出・新規事業展開に必要不可欠だと考えるのは下記の3つです。
◇俯瞰を担当するプロジェクトマネジメントの存在
進出企業(主観)でもなく、現地企業(客観)でもない第三者である私たち(俯瞰)がこの立場を担います。
プロジェクトに必要な要素を俯瞰視野でも見ることはとても重要です。
「どうしたいか、したくないか」という当事者の考えとはまた別に「どうすべきか、すべきでないか」という考えにより、プロジェクトのズレ・モレを軽減・解消することができるのもプロジェクトマネジメントならではの役割です。
◇各国各分野の専門家・専門企業の協力
海外進出は、対象とする国を熟知する人・企業や必要となる対応分野におけるプロフェッショナルの存在により、安定した事業推進が実現します。
私たちのGlobal CxO Partnarsにより、専門力と現地対応力の安定した進出計画・事業推進が可能となります。
◇現地取引先企業との連携・協力関係
対象とする国で成功したければ、現地の企業との取引・連携・協力関係が必要です。
特にBtoBは、現地企業との相性・関係がそのまま事業成功に繋がると言っても過言ではありません。
私たちのサポートの根底には、これらの必要不可欠な要素を補うことにあります。
「BtoC 進出ソリューション」
私たちがBtoC海外進出・新規事業展開に必要不可欠だと考えるのは下記の3つです。
◇俯瞰を担当するプロジェクトマネジメントの存在
進出企業(主観)でもなく、現地消費者(客観)でもない第三者である私たち(俯瞰)がこの立場を担います。
プロジェクトに必要な要素を俯瞰視野でも見ることはとても重要です。
「どうしたいか、したくないか」という当事者の考えとはまた別に「どうすべきか、すべきでないか」という考えにより、プロジェクトのズレ・モレを軽減・解消することができるのもプロジェクトマネジメントならではの役割です。
◇各国各分野の専門家・専門企業の協力
海外進出は、対象とする国を熟知する人・企業や必要となる対応分野におけるプロフェッショナルの存在により、安定した事業推進が実現します。
私たちのGlobal CxO Partnarsにより、専門力と現地対応力の安定した進出計画・事業推進が可能となります。
◇現地消費者の行動を理解するためのマーケティング活動
対象とする国で成功したければ、現地の消費者の行動・心理を理解することが必要です。
特にBtoCは、現地のターゲットとするペルソナの行動・心理に対する理解と歩み寄りがそのまま事業成功に繋がると言っても過言ではありません。
私たちのサポートの根底には、これらの必要不可欠な要素を補うことにあります。
■事業内容
◇海外進出総合支援
◇日本進出総合支援
◇新規事業開発支援
◇海外事業再編支援
◇海外ビジネスベンダー選定
◇海外ビジネスマッチング
◇海外販路開拓事業
◇海外ビジネス総合代理
◇その他、上記に付帯する業務 -
MRKS International LLC / マークスインターナショナル合同会社
20年以上の実績をベースに、インドネシアに特化して支援。日本人が実稼働している現地拠点と各分野のプロが、確実に迅速にインドネシア進出をサポートいたします。
インドネシアに特化した進出コンサルティングファームです。東京とインドネシア・ジャカルタに拠点があります。
マッキャンエリクソン / 電通 / J. Walter Thompsonなどで20年以上にわたり、国際マーケティングに従事した代表が、インドネシアにてデジタルマーケティングの会社を設立運営の後、東京とジャカルタにおいてコンサルティング会社を設立し日本企業様のインドネシア進出を多面的に支援しております。
ご提供サービス
【パッケージサービス】
○コンサルティング顧問契約
○戦略策定から事業運営までワンストップ支援
○ご進出プランの資料・提案書作成(フィージビリティスタディ)
【個別サービス】
(進出ご検討段階)
○無料オンライン相談
○市場調査(市場環境、競合環境、規制調査、消費者調査)
○現地視察(訪問先アレンジからアテンドまで)
○テストマーケティング(展示会出展サポートなど)
○現地パートナー探し及びマッチング支援 など
(進出ご決定後)
○各種法務手続き(会社設立や必要な許認可取得、駐在員VISA取得など)
○各種税務・人事労務施策支援
○マーケティング・プロモーション支援
○クリエーティブ開発支援
○営業開拓支援
○FC展開支援 など
弊社の特長は、クライアント企業様の社内(他部門や上層部など)に向けた「資料・企画書」の作成からもサポートを行う点です。また、現地では、信頼ある法務・労務・税務の専門家や、デザインやコピーラインティング(英語・インドネシア語)、動画撮影編集などクリエーターともタッグを組んでおります。 -
GLOBAL ANGLE Pte. Ltd.
70か国/90都市以上での現地に立脚したフィールド調査
GLOBAL ANGLEは海外進出・事業推進に必要な市場・産業調査サービス、デジタルマーケティングサービスを提供しています。70か国90都市以上にローカルリサーチャーを有し、現地の言語で、現地の人により、現地市場を調べることで生きた情報を抽出することを強みとしています。自社オンラインプラットホームで現地調査員管理・プロジェクト管理を行うことでスムーズなプロジェクト進行を実現しています。シンガポール本部プロジェクトマネージメントチームは海外事業コンサルタント/リサーチャーで形成されており、現地から取得した情報を分析・フォーマット化し、事業に活きる情報としてお届けしております。
実績:
東アジア(中国、韓国、台湾、香港等)
東南アジア(マレーシア、インドネシア、ベトナム、タイ等)
南アジア(インド、パキスタン、バングラディッシュ等)
北米(USA、メキシコ、カナダ)、南米(ブラジル、チリ等)
中東(トルコ、サウジアラビア等)
ヨーロッパ(イタリア、ドイツ、フランス、スペイン等)
アフリカ(南アフリカ、ケニア、エジプト、エチオピア、ナイジェリア等)