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PCT国際出願の基礎知識 | PCT特許の申請方法・費用・メリット&デメリット

掲載日:2020年05月27日

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「PCT特許の基礎知識」として、PCT特許の申請方法についてはもちろん、海外に特許出願を行う2つの方法(ルート)について、PC国際特許出願のメリット・デメリット、さらには「PCT国際出願における注意点 および国内移行手続」についても解説します。

PCTとは、「Patent Cooperation Treaty」の略で、日本語では「特許協力条約」となります。

海外などの外国で特許を取得するための出願方法はいくつか存在しますが、代表的なものとしては『 直接各国に出現する方法(パリ条約ルート)』 『 国際出願を経由して各国(約150ヵ国)に出願する方法」(PCTルート)』の2つがあるのです。

本テキストでは、その後者である「PCT国際出願(PCT特許)」を申請するための出願方法について、さらにには必要な費用についても解説します。

1. PCT国際出現制度(PCT特許)の基本情報

PCT特許とは?

PCTとは、「Patent Cooperation Treaty」の略で、日本語では「特許協力条約」となります。

PCT出願は、この特許協力条約(PCT)に基づく国際出願で、これにより特許を取得すること、または取得した特許をPCT特許と呼ぶことがありますが、厳密にはPCT特許という言葉はありません。

本記事ではPCT出願によって特許を取得することを便宜的にPCT特許と呼び、解説を進めていきます。

PCT国際制度出願とは?

申請された発明に対して特許権を付与するかどうかは、国ごとの特許法に基づいて行われており、その基準やルールは国によって異なります。ある国で特許を取得しようと思ったら、その国に対して特許出願をしなければなりません。

複数の国で特許を取得しようとしたなら、手続きは非常に煩雑になってしまいます。

それを解決できるのがPCT特許です。

PCT出願によって日本国特許庁等の指定官庁に国際出願の手続きを行えば、複数の国に特許を出願したのと同じ効果を得ることができます(後述しますが、これは複数の国での特許権を一律に取得できるものではありません)。

出願手続きは、1つの言語で作成した出願書類を提出するだけ。シンプルな手続きですが、このPCT出願だけでは特許権を取得することはできず、出願後は特許権の取得を希望する条約加盟国の国内手続きへ移行し、その国の審査を通過しなければ特許取得とはなりません。国内手続きの移行期限は、条約加盟国によって異なり、優先日から30ヵ月を移行期限とする国が多く存在します。

PCT出願の手続きを行うと、出願した発明と同一・類似の発明が過去に存在していたかどうかを調べる国際調査が行われ、審査官の見解を得ることができます。ここでその見解に基づいて移行の判断や移行国の選別が可能となるのがPCT出願の大きなメリットです。

条約加盟国の国内手続きには移行費用が必要ですが、国内手続きへの移行費用が発生する前に、PCT出願では国際調査の結果や審査官の見解を得ることができるため、余分なコストがかからずに済むのがメリットです。

2. 海外に特許出願を行う際の2つの方法(ルート)とは?

海外で特許を取得するための出願方法はいくつか存在しますが、代表的なものとしては、今回のテーマである「PCT国際出願」と「直接出願(パリ条約を主張した国際出願)」の2つの出願方法(ルート)があります。

これらの出願方法を指して「PCTルート」「パリルート」というのが一般的な呼称となっています。下記よりそれぞれのルートの概要を見ていきましょう。

1. 直接出願ルート(パリルート)

「パリ条約ルート」とはパリ条約に基づいて権利を取得したい国に出願する方法のこと。ここでパリ条約について確認しておきましょう。

1883年に締結された、アメリカおよびヨーロッパの主要国、中国や韓国などの約170ヵ国が加盟する知的財産権に関する国際条約がパリ条約です。日本から外国に対する特許申請手続きの多くに、パリ条約の優先権制度および、特許協力条約による国際出願制度が適用されているのです。

優先権制度とは、自国の特許出願日から1年が経過するまでの期間を優先期間とし、期間内に外国に出願すると、出願先の国の審査において、自国の出願日と同日に出願したのと同じことになる、という制度です。

「パリ条約ルート」では、発明の保護を希望する全ての国に対して、別々の特許出願を同時に、直接提出する必要があります。もちろん各国の出願様式、出願方法に従う必要があるため、出願したい国が多ければ多いほど、手続が煩雑になりがちで、コストもかさんでしまうケースが多々あります。

2. PCT国際出願ルート

PCTに基づき、ひとつの出願書類を自国特許庁に提出することで、PCT加盟国である全ての国に同時に出願できるのがPCT国際出願ルートです。こちらは、各国に対して実際に手続をするまでに優先日から原則30ヵ月の猶予期間を得ることができます。

出願手続きが簡素であるだけでなく、猶予期間が30ヶ月あるので、特許性の判断や市場動向の分析、権利を取得する国の選定を、比較的余裕を持って行うことができます。

複数の国に対して特許を出願するのであれば、断然こちらのルートがおすすめです。次項からはこのPCT特許についてさらに詳しく見ていきましょう。

3. PCT国際特許出願(PCT特許)のメリット・デメリット

PCT国際特許出願のもっとも大きな特徴は、複数の国に対してシンプルに特許出願の手続きができることですが、もちろんメリットだけでなくデメリットもあります。

PCT国際特許出願(PCT特許)のメリット

PCT国際特許出願のメリットは下記の3つです。

・外国への特許出願手続がシンプル
・発明を評価するための調査結果を事前に得ることができる
・原則30ヵ月の猶予期間を得ることができる

■外国への特許出願手続がシンプル
PCT国際特許出願の手続きはとてもシンプルです。国際的に統一された様式で記載されたひとつの文書を自国の特許庁が定める言語で作成し、自国の特許庁に 1 通提出するだけ。

これだけで、すべてのPCT加盟国に対してPCT国際出願と同じ日に各々の国に国内特許出願をしたのと同じ効果を得ることができます。 それぞれの国に対して、それぞれの形式で手続を行う必要がありません。

■発明を評価するための調査結果を事前に得ることができる
PCT国際出願はすべて、出願した発明に関する先行技術があるか否かを国際調査機関が調査する「国際調査」の対象となり、出願人はその調査の結果を入手できるだけでなく、発明の特許性に関する見解を特許審査官から得ることができます。

また、こちらは任意となりますが国際調査の結果を踏まえ、改めてその特許性に関する見解を入手したいときなどに「国際予備審査」を受けることも可能です。

提供された特許性判断のための材料をもとに手続を進めることができるので、特許取得の成功率が上がりますし、もし調査の結果があまり良くなければ、この時点で手続を断念できるので、無駄なコストがかかるということがありません。

■原則30ヵ月の猶予期間を得ることができる
海外で特許を取るとなると、翻訳文の作成や権利取得する国の選定などにどうしても時間がかかってしまいますが、PCT出願なら猶予期間が得られるので、余裕を持って手続きにあたることができます。

PCT国際特許出願(PCT特許)のデメリット

もちろんPCT出願にもデメリットはあります。下記の2つがデメリットとして挙げられます。

・ケースによっては費用が余分にかかることも
・非加盟国には出願できない

■ケースによっては費用が余分にかかることも
例えば出願する国がすでに決定しており、選定する必要がなく、出願をアメリカだけ、中国だけに絞る、というようなケースにおいては、PCT国際出願の方が多くコストがかかります。

■非加盟国には出願できない
当たり前ですが、PCTに加盟していない国へは出願することができません。例えば台湾はPCTには加盟しておらず、PCT国際出願によって出願することができないため、注意が必要です。

4. PCT国際出願における注意点 | 国内移行手続について

PCT国際出願はあくまで「出願手続」であり別途「国内移行手続」が必要

ここでは「PCT国際出願における注意点」について見ていきましょう。

複数の国に一括して出願を行うことができるPCT国際出願ですが、あくまでも「出願手続」であって、最終的に各国で権利を取得できるかどうかは、各国特許庁の実体審査で決まります。

PCT国際出願の手続きが完了したら、それぞれの国において特許出願をし直す「国内移行(各国移行)」の手続きが必要です。これは優先日から原則30ヵ月までに行わなければなりません。

国内移行手続の際は、指定国の官庁に対して出願の内容を各指定国が求める言語に翻訳した翻訳文が必要となります。また、手数料がかかることもあります。

海外で特許を取るまでには、下記の手続きが必要です。

PCT出願 → 国内移行 → 審査請求

本来は、国内移行手続をした上で審査請求という流れですが、国内移行期限と審査請求期限が近いため、手続きは同時期に行うことがほとんどです。

5. PCT国際出願制度を申請する前に検討すべき事項とは…?

これまでの説明を踏まえて、PCT国際特許出願の申請の流れを解説する前に、まずは、「PCT国際出願制度を申請する前に検討すべき事項」について今一度確認していおきましょう。

PCT国際出願制度を申請する前に…

便利に思えるPCT国際出願ですが、デメリットで挙げたとおり、ケースによってはPCT国際出願の方が多くコストがかかってしまうこともあります。 申請する前に下記の4つを踏まえて、パリルートにするかPCTルートにするかをまずは検討してみてください。

① 特許を取得したいと考える国の数を確認する
3ヵ国以上で特許を取得したい場合には、PCT国際出願を選んだ方がいいと言われています。

② いつまでに特許権を取得したいのか?
すぐにでも権利化したい!という場合には、直接出願を選んだ方がいいことも。ただ、PCT国際出願においても、猶予期間の30ヶ月が経つ前に国内移行手続を行うことはできます。

③ 特許出願の準備機関と予算を確認する
PCT国際出願では、30ヶ月の猶予期間をうまく活用して、国内移行にかかる費用を先送りすることができるため、猶予期間中に資金調達などを行いたい、という場合にはPCT国際出願を選んだ方がいいでしょう。

④ 発明にかかる技術の特性(地域性等)を確認する
途上国等における特許審査においては、PCT国際出願について行われた国際調査の結果が参照されているとも言われています。

6. PCT国際特許出願の申請の流れ

では、上記を踏まえて、このセクションでは「PCT国際特許出願の申請の流れ」について解説していきます。

(1) 出願書類を準備して提出する

出願に必要な書類を準備し、オンライン・窓口・郵送・FAXなどで提出します。

オンライン出願を利用すると¥32,700減額されるので、オンラインで手続きを行うことをおすすめします。オンライン出願の場合は特許庁が提供している出願ソフトを事前にダウンロードして使用します。書面の場合はWIPO又はJPOのHPから様式をダウンロードすることができます。

認定要件は下記となります。

① 出願人適格の有無
② 国際出願の作成言語
③ 国際出願をする意思の表示の有無
④ 出願人の氏名(又は名称)の記載の有無
⑤ 明細書であると外見上認められる部分の有無
⑥ 請求の範囲であると外見上認められる部分の有無


要件が満たされていた場合は国際出願受理日を国際出願日として認定。要件が満たされていない場合、受理官庁による補完指令が出され、補完された場合は補完受理日を国際出願日として認定となります。補正されない場合は取り下げとなります。

(2) 出願に対する国際調査の結果を受け取る

国際調査機関は、ISR(国際調査報告)とWOSA(国際調査機関の見解書)を、調査用写しの受領から3ヵ月または優先日か9ヵ月のどちらか遅い日までに作成し、出願人に送付します。

(3) 出願が国際公開される

WIPO国際事務局(IB)が優先日から18ヵ月経過後、出願を公開します。国際公開は毎週木曜日にパテントスコープ上で行われ、WIPO国際事務局のサイト内のパテントスコープから閲覧、入手することができます。

(4) [必要に応じて] 国際予備審査を請求する

国際予備審査は出願者の任意となっています。

請求するメリットとしては、「国際調査機関の見解書を受けて明細書等を補正することができる」「補正後の国際出願の特許性について、改めて判断してもらえる」「審査官との意見交換ができる」といったことが挙げられます。

予備審査請求時には「予備審査手数料」と「取扱手数料」を国際予備審査機関に納付する必要があります。

(5) 国内移行する国を決めて手続を行う

どの国で特許を取得するか決めたら、国内移行の手続きに入ります。国内移行の手続き期限は通常、優先日から30ヵ月以内となっています。下記の3つを行う必要があります。

・翻訳文の提出(外国語特許出願の場合)
・国内手数料14,000円の納付
・国内書面の提出
  – 出願人の氏名又は名称、および住所又は居所
  – 発明者の氏名、および住所又は居所
  – 国際出願番号 など


審査請求期限は国際出願日から3年となっています。

7. PCT国際出願に必要な費用とは?

PCT国際出願に必要な費用の項目

最後のセクションでは「PCT国際出願に必要な費用」について解説します。

PCT国際出願にかかる費用は、おもに下記の7つの項目に分かれています。

結論から言うと、PCT国際出願にかかる費用は、上記の「出願」と「予備審査」にかかる費用の合計となります。

・国際出願手数料
・送付手数料
・調査手数料
・国際調査の追加手数料
・予備審査手数料
・予備審査の取扱手数料
・予備審査の追加手数料


※その他、文献の写しの請求や証明書の交付など一件につき1,400円かかります

syutugan (2)

出典:特許庁ウェブサイト(https://www.jpo.go.jp/system/patent/pct/tesuryo/kokuryo.html

最低減必要な費用とは?

ここでは、上記を踏まえて、実際の出願手続きをシミュレートしてみましょう。出願時に必要な費用の最低減の項目としては…

・国際出願手数料
・送付手数料
・調査手数料


…以上の3つになります。国際出願手数料は枚数によって金額が変動します。またオンラインで出願すると減額があります。

予備審査請求時にかかる費用とは

さらに、予備審査に必要な費用としては…

・予備審査手数料
・予備審査の取扱手数料


…以上の2つになります。これらは予備審査を行わない場合は不要となります。

先述したように、PCT国際出願にかかる費用は、上記の「出願」と「予備審査」にかかる費用の合計となります。

さらに、出願を完了したら、これもまた先述したように、PCT国際出願はあくまで「出願手続」であるため、別途「国内移行手続」が必要となります。次項では、国際出願を含めた上で、実際にかかる費用をシミュレートしてみましょう。

実際にかかる費用をシミュレート

例えば、国際出願日が2020年5月1日で下記の条件だとしましょう。

・日本語で出願し、日本国特許庁が国際調査を行う
・オンラインで出願(出願書類30枚)
・国際予備審査を請求
・日本へ国内移行手続
・出願審査請求(請求項の数12)


それぞれの手順ごとにかかる費用は下記です。

【出願にかかる費用】
・送付手数料:10,000円
・調査手数料:70,000円
・国際出願手数料:110,900円(143,200円−32,300円)
 (30枚までの基本の国際出願手数料とオンライン出願による減額)


出願にかかる費用は190,900円となります。

※出願書類が30枚を超える場合は、用紙1枚につき1,600円かかるので、書類の枚数が増えると、その分費用も増えることとなります

【予備審査請求時にかかる費用】
・予備審査手数料: 26,000円
・取扱手数料: 21,500円


予備審査にかかる費用は47,500円となります。

※国際出願を英語で行う場合は、予備審査手数料は58,000円となります

このケースの場合、PCT国際出願にかかる費用は合計で238,400円となりましたが、軽減申請書を申請時に提出すれば費用が軽減できる制度や、願書又は予備審査請求書が受理された通知書の発送日後、かつ、手数料納付後6ヵ月以内に交付申請書を提出すれば交付金が受けられるという制度もあります。ぜひ活用してみてください。

PCT国際出願が完了したら、次は国内移行の手続きを行います。

【国内移行にかかる費用】
国内移行にかかる費用は国ごとに異なりますが、特許庁が国際調査報告を作成した国際特許出願に係る出願審査請求料は83,000円+請求項数×2,400円となっており、請求項数12の場合は111,800円となります。

参考までに、特許庁以外が国際調査報告を作成した国際特許出願に係る出願審査請求料の場合は124,000円+請求項数×3,600円となっています。

参照:
https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/kaisei/2019_ryoukinkaisei.html

また、それとは別に「国内手数料」(14,000円)の納付も必要となります。

7. 優良な海外進出サポート企業をご紹介

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今回は「PCT国際出願(PCT特許)の基礎知識」について解説しました。

複数の国に特許を出願する際に、シンプルな手続きで出願できるPCT国際出願はとても便利なものですが、手続き自体は簡素でも、そのために用意する書類や翻訳文の作成、出願後の国内移行の手続きなど、必要なものを揃えるには、時間的および金銭的コストが必要です。

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「Digima〜出島〜」編集部

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