LinkedInとは？世界最大級のビジネスSNSの基礎理解

グローバルなプロフェッショナルが集う場

LinkedInは、2003年にアメリカで誕生したビジネス特化型SNSで、現在では世界200以上の国と地域で10億人を超えるユーザーを抱えています。その利用者層の中心はビジネスパーソンであり、エンジニア、マーケター、営業職、経営層に至るまで、多様な職種・業種のプロフェッショナルが日々情報を発信し、相互にネットワーキングを行っています。

特筆すべきは、LinkedInが単なる“履歴書の公開場所”にとどまらず、キャリア形成・企業ブランディング・採用活動・BtoB営業など、幅広い用途で活用されている点です。グローバル企業では、新規商談のきっかけづくりから求職者のスカウト、業界動向の情報収集まで、業務の中にLinkedInを自然に組み込んでいるケースが少なくありません。

日本での認知と活用状況は？

一方、日本においてはLinkedInの活用はまだ発展途上といえます。アカウント登録者数は400万人を超えていますが、アクティブに運用しているユーザーは限定的で、主に外資系企業や海外志向の高い個人、あるいはHR・マーケティング分野に強い企業に集中しているのが現状です。

ただし近年では、国内企業のグローバル展開や外国人材の採用ニーズの高まりを背景に、LinkedInへの関心が急速に広がりつつあります。特に2020年以降のコロナ禍によって対面の採用・営業活動が制限されたことを契機に、「デジタルで信頼を築くツール」としてのLinkedInが再評価されています。

他SNSとの違いと企業にとっての価値

FacebookやX（旧Twitter）、Instagramなどと比較して、LinkedInの最大の特徴は「実名・職業前提のプラットフォーム」である点です。ユーザーは職歴、学歴、スキル、資格などの詳細なプロフィールを公開しており、これに基づいた信頼性の高いつながりや情報のやり取りが可能です。また、投稿内容もキャリア・業界知識・ビジネストレンドといった実務に直結したテーマが中心であり、他SNSに見られるエンタメ・趣味的な要素は限定的です。

企業にとっては、こうした「職業人としての関係構築」が可能な場であることが大きなメリットです。採用ターゲットへのアプローチや企業文化の発信、海外現地企業や見込み顧客への認知拡大といった目的において、LinkedInは極めて高い精度と相性を誇るSNSといえるでしょう。

LinkedInで実現するグローバル人材の採用

外国人材・ハイスキル人材へのリーチ力

LinkedInが企業のグローバル採用において強力なツールである理由のひとつが、その圧倒的なデータベースと検索精度にあります。LinkedIn上では、国籍・居住地・職種・業種・スキル・職務経験年数など、多様な条件で人材を検索・抽出でき、世界中のハイスキル人材にダイレクトにアプローチすることが可能です。特に日本企業が求める「英語対応が可能で、専門性の高い外国籍人材」や「海外にいるが日本で働く意欲がある人材」などは、従来の求人サイトや人材紹介ではリーチが難しいケースが多く、LinkedInの有用性が際立ちます。

また、候補者の詳細な職務経歴、推薦コメント、スキル証明、業界内のつながりなどが可視化されているため、書類上では分からない「信頼の連鎖」も含めて判断できるのが特長です。

採用ブランディングの場としてのLinkedIn

LinkedIn上で企業が採用に成功するためには、「発見されること」だけでなく「共感されること」が不可欠です。そのためには、単に求人票を出すだけでなく、企業文化やビジョン、働き方、社員の声といった「ブランドイメージ」を定期的に発信することが重要です。

LinkedInには企業ページ機能があり、フォロワーに向けて投稿やニュースを発信できます。ここで現場社員による仕事の紹介や、プロジェクト事例、社員インタビューなどを継続的に公開することで、企業の魅力や働くリアルが伝わり、「この会社で働きたい」と感じてもらえる下地ができます。実際、LinkedInで企業情報を事前に確認したうえで応募する候補者は少なくなく、採用のミスマッチを防ぐ意味でも、採用ブランディングは欠かせません。

日本企業がLinkedIn採用を成功させた事例

近年、LinkedInを活用して外国人材の採用に成功している日本企業の事例も増えてきました。たとえば、外資系との競争が激しいIT企業やスタートアップでは、エンジニアやマーケターの採用においてLinkedIn経由でのダイレクトリクルーティングを強化。求職者の属性に合わせて英語と日本語の両方で情報発信し、グローバル人材からの応募数を大きく伸ばした例もあります。

また、大手製造業が、海外在住の日本語スピーカーを対象にLinkedInで採用キャンペーンを展開した結果、現地在住の即戦力人材の確保に成功した事例もあります。こうした取り組みからも、LinkedInが国境を越えて優秀な人材を引き寄せる“採用インフラ”として機能していることがうかがえます。

海外マーケティングにも使えるLinkedInの可能性

BtoB企業の海外向けリード獲得ツールとしての活用

LinkedInは、採用ツールとしての側面が注目されがちですが、BtoB企業にとっては極めて強力な海外マーケティングツールでもあります。特に欧米や東南アジアの企業と新規の取引を始めたい場合、LinkedIn上の企業担当者とつながり、信頼関係を構築しながらリードを獲得するという流れは、実務レベルで広く浸透しつつあります。

検索機能を使えば、ターゲット業界のマーケティングマネージャーや購買責任者、海外支社の経営陣などを直接リストアップでき、企業ページや個人アカウントに対して自社サービスに関する情報を発信することで、関心を引き出すことができます。広告や展示会に頼らずに、継続的なリード育成を実現できる点で、コストパフォーマンスの面でも優れています。

コンテンツ発信で信頼を築く仕組み

LinkedInマーケティングにおいて重要なのは、単なるプロダクト紹介ではなく「信頼される情報発信」を継続的に行うことです。たとえば、自社の強みや技術を解説する記事、導入事例、業界動向に対する見解、あるいは社内イベントの紹介などを通じて、「この企業は何を大切にしているのか」「どのような問題解決ができるのか」を伝えることが求められます。

これにより、接点がなかった海外の企業担当者が投稿をきっかけに企業ページを訪れ、問い合わせや商談へとつながることも珍しくありません。また、過去の投稿はアーカイブとして機能し、新たに接触した相手に対して「実績」や「専門性」を示す材料としても活用できます。結果として、短期的な反応だけでなく、中長期的な関係構築に資することができるのです。

広告機能やインサイトデータを活用したターゲティング戦略

LinkedInには、広告配信機能や詳細なインサイト分析ツールも用意されており、これを活用すればより戦略的な海外マーケティングが可能になります。たとえば、国・業種・職種・役職・会社規模などでセグメントした上で広告配信ができるため、展示会や既存チャネルでは届かない層にもピンポイントでアプローチできます。

さらに、自社ページの訪問者属性や投稿へのエンゲージメントデータを確認することで、「どの市場から注目されているのか」「どのような内容が反応されやすいのか」といった改善指標を得ることができます。こうしたデータドリブンなアプローチにより、感覚的だった海外マーケティングをより実証的・継続的なものへと転換することができるのです。

LinkedIn活用の実務ステップと成功のコツ

アカウント設計と目的の明確化から始める

LinkedInの活用を始めるにあたって最初に重要なのは、「何のために使うのか」を明確にすることです。グローバル人材の採用なのか、海外の見込み顧客への情報発信なのか、あるいは企業の認知拡大なのか。目的によって、運用方針や投稿内容、運営体制が大きく異なります。

たとえば採用目的であれば、社員インタビューや働き方の紹介を中心とした企業文化の発信が重要となります。一方、マーケティング目的であれば、自社の技術やサービスの強み、導入事例、業界見解などのプロフェッショナルな投稿が求められるでしょう。いずれにしても、まずは企業ページの基本情報やビジョンを丁寧に整備し、「この会社はどんな存在か」が一目で伝わるようにすることが出発点となります。

投稿頻度と一貫性のあるコンテンツ運用

LinkedInで成果を上げている企業の多くは、コンテンツを継続的に発信しながら信頼を構築しています。重要なのは「量より質」ではあるものの、数か月に一度の不定期投稿ではアルゴリズム上の露出も低く、見込み層との関係も築きづらくなります。最低でも月2回以上、できれば週1回の頻度での投稿が望ましいといえます。

コンテンツの内容は、現場の声や社内ニュース、海外での活動報告、業界分析など多岐にわたりますが、企業のブランディング軸やトーンに一貫性を持たせることで、読者に「この企業はこういう考え方をしている」と印象づけることができます。また、社員の個人アカウントと企業アカウントを連動させることで、投稿の拡散力が一段と高まり、エンゲージメントの質も向上します。

社員を巻き込む“組織的な運用”が成功の鍵

LinkedInの運用を社内で効果的に進めるには、担当部署だけでなく、広報、採用、営業、さらには現場の社員も巻き込んだ「全社的な取り組み」として進めることが成功の鍵になります。たとえば、社員が自らの専門領域について投稿することで、個人のブランド価値と同時に企業の専門性も伝えることができ、結果として候補者や見込み顧客からの信頼獲得につながります。

投稿アイデアの共有やガイドラインの整備、投稿テンプレートの配布などを通じて、社員が気軽に参加しやすい仕組みを作ることが有効です。また、反応の良かった投稿内容を社内で共有し、次の戦略に反映させるサイクルを作ることで、LinkedInを単なるSNS運用に留めず、採用・営業・ブランディングを支える重要な資産として育てていくことができるでしょう。

まとめ：LinkedInは“つながり”から始まるグローバル戦略の土台

LinkedInは単なるSNSではなく、グローバル人材の採用や海外市場へのアプローチを実現するための「戦略的な接点」を築けるビジネスインフラです。特に日本企業が直面する少子高齢化による人材不足や、国内市場の成熟に対する出口として、LinkedInを通じた“人”と“企業”とのつながりの重要性は年々高まっています。

本記事で紹介したように、LinkedInは世界中のハイスキル人材と出会える採用チャネルであり、同時に海外企業と信頼を築くBtoBマーケティングのプラットフォームでもあります。日本語圏以外の文化や市場と接続するためには、従来のやり方だけでは限界があり、LinkedInのような「グローバル標準の場」を積極的に活用することが求められます。

もちろん、ただアカウントを作るだけでは成果にはつながりません。目的を明確にし、発信内容に一貫性を持たせ、社員を巻き込んだ組織的な運用を行うこと。こうした地道な取り組みが、LinkedInを真に有効なグローバル戦略の起点に変えていきます。

「つながること」から始まり、「信頼を築き」、「価値を届ける」——LinkedInはそのすべてを担える現代のビジネス基盤です。貴社の次なる成長ステージを、LinkedInから始めてみてはいかがでしょうか。

なお、海外ビジネス支援プラットフォーム「Digima～出島～」の運営する「開国エンジン～縁人～」のようなグローバル人材マッチング支援サービスを活用することで、自社に最適な人材やエージェントと出会うことが可能です。是非、お気軽にご相談ください。

本記事を参考に、自社に最適な外国人材の採用戦略を検討してみてはいかがでしょうか。