海外進出におけるフィジビリティスタディ(FS)とは? | FSの進め方・調査項目・実施のタイミング…ほか

FSまたはF/Sとも表記される「フィジビリスタディ」は「実行可能性調査」とも呼ばれるビジネス用語です。具体的には、新規事業などのプロジェクトが実現する可能性を見極めるものであり、実行の可否を決める上で非常に重要なものです。
フィジビリティスタディの調査期間はプロジェクトの規模にもよりますが、数週間から数ヵ月で終わる場合ケースもあれば、それがイノベイティブな技術の開発なども含む際は数年間に及ぶ場合もあります。
その調査範囲も幅広く、企業の理念との一致や、政治、法制、規制、経済、業界の動向、マーケット調査、競合他社の存在、さらには投資効果や採算性…etc.など、非常に多岐に渡ります。
このテキストでは、フィジビリティスタディ(FS)の基礎知識や、FSと混同されがちなPoC(Proof of Concept)との違い、さらには海外進出におけるその意義や、具体的な進め方などを詳しく解説していきます。
▼海外進出におけるフィジビリティスタディ(FS)とは? | FSの進め方・調査項目・実施のタイミング…ほか
- 1. フィジビリティスタディ(FS)とは何か?
- 2. FS(フィジビリティスタディ)とPoC(Proof of Concept)の違いについて
- 3. なぜ海外進出においてフィジビリティスタディ(FS)が重要なのか?
- 4. フィジビリティスタディ(FS)の効果と実施のタイミング
- 5. 海外進出におけるフィジビリティスタディ(FS)の調査項目とは?
- 6. 海外進出におけるフィジビリティスタディ(FS)の進め方
▼アナタの海外ビジネスを成功させるために
1. フィジビリティスタディ(FS)とは何か?
フィジビリティスタディとは新規事業やプロジェクトの実行可能性についての事前調査
フィジビリティスタディ(feasibility study)とは、新規事業やプロジェクトの実行可能性についての事前調査のことです。実行可能性調査、投資調査などと呼ばれることもあります。
調査・検討する内容は多岐にわたり、政治経済、自然環境や社会環境、業界や競合の動向、市場調査や財務面に至るまであらゆる角度から調査を行います。そのため、調査対象であるプロジェクトや事業の規模によっては数年かかることもあります。
もっとも古いフィジビリティスタディの事例は、1933年にフランクリン・ルーズベルト政権下においてアメリカ政府が立ち上げた公共事業体TVA(テネシー川流域開発公社)が国土開発や社会基盤の建設において行った調査だと言われています。
2. FS(フィジビリティスタディ)とPoC(Proof of Concept)の違いについて
PoC(Proof of Concept)とは技術や費用についての実効性を調査すること
PoC(Proof of Concept)とは、概念実証のこと。新技術や製品を導入する前に実効性があるかどうかを確かめるのがPoCです。
一般的にはFSのあとにPoCを行うことが多く、FSは事業やプロジェクトの実現性を調査するのに対し、PoCは技術や費用について実効性を調査します。FSで策定した課題を解決できるかの検証をPoCで行うので、テスト販売などはPoCの段階で実施されます。
3. なぜ海外進出においてフィジビリティスタディ(FS)が重要なのか?
海外進出におけるリスクを明確にしておける事前調査は重要
新規事業やプロジェクトをスタートするにあたって実施されることの多いFSですが、海外進出を考える際にもFSは重要な存在です。
前述したとおり、FSは投資調査とも呼ばれ、投資によって収益を見込めるかどうかを判断する資料でもあります。特に海外進出においては、カントリーリスクなど進出先、取引先の国特有の問題が思わぬトラブルを招くことがあり、海外進出におけるリスクを明確にしておける事前調査はじゅうぶんにしておきたいところです。
海外進出においてFSを行う上で調査対象となる項目は、政治経済、社会情勢といった基礎的な情報から、貿易や投資に関する制度や税制、労働法や知財に関する制度、現地パートナーの有無や各種インフラの状況など、こちらも多岐にわたりますが、こちらは後ほど詳しく解説します。
調査にあたっては時間もコストもかかりますが、助成金制度が使えるケースもあるようなので、利用できるようならぜひ利用してみてください。
4. フィジビリティスタディ(FS)の効果と実施のタイミング
つづいては、そんなフィジビリティスタディ(FS)の効果と実施のタイミングについてそれぞれ見ていきましょう。
フィジビリティスタディ(FS)の効果
FSを実施することで新規事業やプロジェクトの成功率を高めることができます。計画の実現可能性が低い場合でも、調査の結果を踏まえて代替案を考えることもできますし、多くの有益な情報を得ることができます。
つづいては、そんなフィジビリティスタディ(FS)の効果と実施のタイミングについてそれぞれ見ていきましょう。
フィジビリティスタディ(FS)実施のタイミング
新規事業やプロジェクトの実行可能性を知るための調査なので、企画の段階で実施します。企業によってはFS自体をプロジェクトとすることもあります。
5. 海外進出におけるフィジビリティスタディ(FS)の調査項目とは?
このセクションでは海外事業におけるフィジビリティスタディ(FS)の調査項目について、大きく「基本的な情報」「制度や規制」「各種情報」の3つわけて見ていきましょう。
① 基本的な情報
○対象となる国や地域の概況:政治経済、社会、インフラの整備状況など
② 制度や規制
○貿易に関する制度:貿易における輸出・輸入の制限や手続方法、関税、外貨管理制度など
○投資に関する制度:外資規制や優遇政策など
○金融に関する制度:現地での調達手段や外貨借入など
○税制:法人税率や租税協定など
○労働に関する制度・規制:労働法、就業・解雇規制、ビザの取得など
○環境に関する規制
○知的財産権保護に関する制度
③ 各種情報
○対象国・地域における特性
○日系企業の進出状況・経営状況
○現地パートナーの有無
○労働者の質や特性
○人件費の相場
○立地条件:工業団地の有無
○環境に関する規制
○賃料の相場
○各種インフラの状況:事業インフラ、物流インフラ、生活インフラ
6. 海外進出におけるフィジビリティスタディ(FS)の進め方
このセクションでは、海外進出におけるフィジビリティスタディ(FS)の進め方について解説します。
FSは基本的に「課題を洗い出す」「課題を解消するための必要事項をリストアップ」「事業やプロジェクトが実現可能でない場合の代替案を用意する」「事業やプロジェクトの評価」という流れで実施されますが、海外進出の場合はまず国内で予備調査を行い、その後現地調査に入るのが一般的です。この予備調査はプレFSと呼ばれることもあります。
プレFSでの主な調査内容
国内での予備調査では、主に下記のような項目を調査し、海外進出に関する検証を行います。
・政治
・経済状況
・社会情勢
・法規制や税制
・労働に関する法規制
・金融に関する制度
・外資に関する政策
・販売における市場の規模や特性、流通事情
・生産における原材料や部品の調達、各種インフラの整備状況
・労働事情
・賃金
・資金調達
・ビザの問題や住居などの現地環境
・現地パートナーの有無
現地調査(FS)
国内の予備調査を経て、いよいよ現地調査となります。国内での調査結果と現地の実際の状況が相違ないかを確認しつつ、プレFSでは調査しきれなかった詳細を調査します。現地にパートナーやパートナー候補がいる場合は、実際に対面し、コミュニケーションをとっておくことも重要です。
7. 優良な海外進出サポート企業をご紹介
海外進出サポート企業が多数登録
今回は、フィジビリスタディの基礎知識やPoCとの違い、さらには海外進出におけるその意義や、具体的な進め方…などについて解説しました。
海外進出にも重要な存在であるFSですが、実施するにはコストがかかります。前述したとおり、助成金が使えるケースもあるため、助成金や海外進出に詳しい専門家に相談してみるのもいいでしょう。
「Digima〜出島〜」には、厳選な審査を通過した優良な海外進出サポート企業が多数登録しています。当然、複数の企業の比較検討も可能です。
「海外進出の戦略についてサポートしてほしい」「海外での事業計画立案のアドバイスがほしい」「海外に進出したいが何から始めていいのかわからない」…といった、多岐に渡る海外進出におけるご質問・ご相談を承っています。
ご連絡をいただければ、海外進出専門コンシェルジュが、御社にピッタリの海外進出サポート企業をご紹介いたします。まずはお気軽にご相談ください。
(当コンテンツの情報について)
当コンテンツを掲載するにあたって、その情報および内容には細心の注意を払っておりますが、掲載情報の安全性、合法性、正確性、最新性などについて保証するものではないことをご了承ください。本コンテンツの御利用により、万一ご利用者様および第三者にトラブルや損失・損害が発生したとしても、当社は一切責任を負わないものとさせていただきます。
海外ビジネスに関する情報につきましては、当サイトに掲載の海外進出支援の専門家の方々に直接お問い合わせ頂ければ幸いです。
この記事が役に立つ!と思った方はシェア
海外進出相談数
2,000
件突破!!
最適サポート企業を無料紹介
コンシェルジュに無料相談
この記事をご覧になった方は、こちらの記事も見ています
オススメの海外進出サポート企業
-
YCP Group 
自社事業の海外展開実績を活かしてアジア圏への海外展開を完全代行、調査やM&Aもサポート
マッキンゼー/ボストンコンサルティンググループ/ゴールドマンサックス/P&G出身者を中心とする250人規模の多機能チームが、世界20拠点に構えるグループ現地法人にて事業展開する中で蓄積した成功&失敗体験に基づく「ビジネス結果に直結する」実践的かつ包括的な海外展開サポートを提供します。
YCPでは各拠点にてコンサルティングサービスだけでなく自社事業を展開しています。市場調査フェーズからスキーム構築/定常的なビジネスマネジメントまで、事業主として一人称で取り組んできたからこそ得られた現地市場ノウハウや専門知識を活用し、教科書的な「べき論」に終始せず、ヒト/モノ/カネの観点から海外展開リスクを最小化するためのサービス開発を行っています。
<主要サービスメニュー>
・海外展開完全代行:
事業戦略~実行までの各フェーズにて、全ての業務を完全に代行
・海外調査:
マクロデータに表れない市場特性を探るための徹底的なフィールド調査を踏まえたビジネスに直結するインサイトを提供
・海外M&A:
買収後の統合実務や定常経営実務までを包括的にサポート -
サイエスト株式会社
海外ビジネスプロシェッショナルが長年培った人脈・ノウハウをフル活用し、貴社のもう一人の海外事業部長として海外事業を推進します。 
全ての企業と個人のグローバル化を支援するのが、サイエストの使命です。
サイエストは、日本の優れた人材、企業、サービス、文化を世界に幅広く紹介し、より志が開かれた社会を世界中に作り出していくための企業として、2013年5月に設立されました。
近年、日本企業の国内事業環境が厳しい局面を迎える中、アジアを筆頭にした新興国が世界経済で存在感を増しています。
それに伴い、世界中の企業がアジアなどの新興マーケットの開拓を重要な経営戦略のひとつと位置付け、一層注力の度合いを高めています。
サイエストは、創業メンバーが様々な海外展開事業に携わる中で、特に日本企業の製品、サービス、コンテンツには非常に多くの可能性を秘めていると、確信するに至りました。
ただ、海外市場開拓の可能性はあるものの、その実現に苦労している企業も少なくありません。
我々はその課題を
(1)海外事業の担当人材の不足
(2)海外事業の運営ノウハウの不足
(3)海外企業とのネットワーク不足
と捉え、それぞれに本質的なソリューションを提供してまいります。
また、組織を構成する個人のグローバル化も支援し、より優れた人材、企業、そしてサービスや文化を世界中に発信してまいります。
そうして、活発で明るい社会づくりに貢献することで、日本はもちろん、世界から広く必要とされる企業を目指します。
-
ユビーク株式会社
ユビークは、鎌倉と東京を拠点に、海外市場への進出支援と、そのための包括的なコミュニケーションを企画・実行する専門性を兼ね備えた、ユニークな経営コンサルタント・広告代理店です。ユビークは、ブランドが世界に向けて伝えたい内容を正確に、かつ各マーケットの文化に合わせて伝えることで、その成長に寄与します。
ユビーク株式会社とは
1997年、マイケル・フーバーがMDH Consultants KKを設立。日本企業や日本市場へ参入しようとする外国企業にコンサルティングサービスを提供していました。2015年に社名をユビーク株式会社に変更し、創業時から「企業開発のコンサルティング」と「マーケティング支援サービス」を着実に実践し、サービスを提供してきました。また、国内外の経験豊富な専門家と連携して「ブティック」を設立し、彼らの知見や能力を活かして、サービスの拡大を続けています。ユビークの中核は、品質とお客様への情熱、そしてプロフェッショナルなサポートです。
コミュニケーションと新技術
ユビークのコアチームは、日本およびグローバルでコミュニケーションのためのコンテンツを数十年にわたって企画・制作してきた経験を有しています。企業開発のコンサルティングから、翻訳、コピーライティング、ネーミング、ライティングなど幅広いサービスを提供し、それぞれが重要な役割を果たしています。また、出版物やビデオ、雑誌、書籍、広告の制作といった多面的なプロジェクトに領域を拡げ、さらには世界に展開するウェブサイト、SNS、ポータル、コンテンツマネジメントシステムを構築するデジタル領域へと進化してきました。
大手グローバル企業の社内や、広告・マーケティング会社のサプライヤーとして多様な仕事に携わってきたユビークは、コミュニケーションについて確固たる基盤を有しています。クライアント内外の視点からコミュニケーション・プロジェクトに必要な要素に精通しているため、企業と代理店のどちらのパートナーとしても優位性を持っています。
ユビークの専門的なスキルは進化し続けており、エンターテインメント製品や体験、マーケティングプログラム、市場調査、製品開発やテストにおいて大きな可能性を秘めたバーチャルリアリティ(VR)などの新たな技術にも焦点を当てています。テクノロジーやシステムが急速に進化している中、日本国内だけでなくグローバルに、企業のニーズに沿ったモバイルソリューションやソフトウェア開発をブランドに対して提供していきます。その一方で、「コンテンツ・イズ・キング」であり、最高品質のコンテンツが必須であるという事実を見失うことはありません。
マーケティング・インテリジェンス・サービス
最も成功しているマーケターは、消費者が何を求めているのかをより深く理解するために、トレンドやテクノロジーを常に把握しています。リサーチや情報分析はBtoCのマーケティングに活用されてきましたが、BtoBにおいても重要です。ユビークは、双方の分野でトップレベルの研究・分析を行うだけでなく、VRのような新しい技術を製品開発やマーケティングキャンペーンのテスト段階の時間短縮・コスト低減に活用している企業との提携を進めています。
これからのユビーク
ユビークは今後もグローバル企業に直接サービスを提供するとともに、広告代理店と連携したプロジェクトを遂行していきます。この2つの顧客基盤を拡大しながら、リソースやサプライヤーのネットワークを構築することで、個々のプロジェクト課題に最適な人材のマッチングを図ります。同時に、VRをはじめとする新しいビジネスチャンスに挑戦。中長期的には、企業や代理店に最高品質の成果を提供するために、ニッチを開拓します。また、日本のみならず海外のグローバル企業とのコンサルティング関係を構築し、新しい技術を積極的に導入することにより、バーチャル化が進む世界でコミュニケーションを強化していきます。
ユビークはデジタル時代にふさわしいプロセスと統合的なアプローチによって課題を解決する、信頼のおけるパートナーになりたいと考えています。重要なのは、未来に向けた理想のロードマップを戦略的に構築することです。日本から世界へ、世界から日本へ。時と場所を超えたコミュニケーションで人とブランドをつなぎ、ブランドにクリエイティブな力を吹き込む。それがユビークです。
ぜひ、思いを一緒にかなえましょう。
ユビーク株式会社
代表取締役
マイケル・フーバー
-
フェデックスエクスプレス ジャパン
貴社の国際物流を世界最大のネットワークで支えます
世界最大の総合航空貨物輸送会社、FedExは迅速かつ信頼性の高い輸送サービスを世界220以
上の国と地域で提供しています。
人とモノ、サービス、アイディア、テクノロジーとを
繋げ、革新を引き起こし、ビジネスに活力を与える、そして地域社会に貢献するための機会を創出しています。 -
尾崎会計事務所
アメリカ会社設立  アメリカ会計 アメリカ確定申告 アメリカ会計事務所サービス
納税プランニング・サービス:
最適なタックスプランニングで、賢い節税を。
貴社の目的であろう、節税を通してのセービングは、当会計事務所にとっても一番のプライオリティです。
貴社のファイナンシャル状況はとても固有で個性的なものです。どの企業も二つとして同じではありません。ですから一般論的なタックスプランニングをあてはめた場合の、時間の無駄を防ぎます。
貴社独自の状況にあったタックスプランニングをカスタマイズ構築して、最適な節税方法をアドバイスいたします。
そのためには会計年度末に1度話し合うよりも、1年を通して何度も話し合い、賢く何か月も前から、余裕をもってプランニングすることが重要です。
決算期の数ヶ月前から、各クライアント様のデータを前年度の確定申告からピックアップして、お話合いの時間を持てるよう、お願いしています。