海外SNSマーケティングの始め方|国別の媒体選びと手順・費用・失敗しやすい場面
海外SNSマーケティングは、売りたい国で使われている媒体を選び、現地の言葉と感覚に合わせた投稿と広告で、見込み客との接点をつくる取り組みです。日本で伸びているアカウントの投稿を翻訳するだけでは、多くの場合は届きません。国によって使われる媒体が変わるからです。
海外展開を考える企業の担当者に向けて、Digima〜出島〜の『海外進出白書(2025-2026年版)』のデータも交えながら、国別の媒体の選び方、始める手順、費用の目安と体制、失敗しやすい点を解説します。
この記事でわかること
- ・海外SNSマーケティングで期待できることと限界
- ・日本のSNS運用がそのまま通用しない理由
- ・国別に見る媒体の選び方
- ・始める手順と、広告・インフルエンサーの使いどころ
- ・費用の目安と、自社と外注の分け方
▼目次
1. 海外SNSマーケティングで期待できることと限界
SNSが得意なのは、知らない相手に商品を知ってもらい、興味を持った人を次の行動につなげることです。SNSだけで売上まで完結するとは考えないほうが、計画を立てやすくなります。
認知と見込み客を集める入口になる
現地に店舗や営業担当がいない企業にとって、SNSは日本にいながら相手国の人に商品を見せられる手段です。消費者向けの商品なら、使っている様子や作り方の動画で関心を集め、越境ECや現地の販売店へ案内できます。企業向けの商品なら、技術や導入の実績を発信して、問い合わせや展示会での商談につなげます。アカウントがあると、代理店候補や取引先が会社の様子を確かめる場所にもなります。商談の前に相手から調べられることを考えると、売り込みの資料の一部としても働きます。
販路とセットで考える
興味を持った人が買える場所や問い合わせる先がなければ、投稿の反応は売上につながりません。海外進出白書によると、Digima〜出島〜への相談で最も多いのは販路拡大で全体の22.9%です。台湾の相談では、ECモールの出品代行が10%、WEBプロモーションが8%、広告プロモーションが6%で、合わせて24%がデジタルの販路に関する内容でした。SNSを始める前に、越境ECなのか、現地の代理店なのか、問い合わせなのか、案内する先を決めておきます。売り先が決まっていれば、投稿の目的と測る数字も自然に決まります。
2. 海外SNSと日本のSNS運用の違い
日本で成果が出ている企業でも、同じやり方を海外に持ち込むと反応が出ないことがあります。使われている媒体と、投稿の受け取られ方の両方が変わるためです。
使われている媒体が違う
日本で主流のLINEやXが、海外でも主流とは限りません。中国ではFacebook、Instagram、YouTubeなどへのアクセスが制限されており、WeChatやDouyin、REDといった中国独自の媒体を使うことになります。ベトナムではZaloが広く使われ、韓国ではNAVERのブログやカフェが情報収集の場になっています。世界全体のユーザー数は海外SNSランキングの記事にまとめていますが、順位の高い媒体が自社の売りたい国で強いとは限りません。世界の順位より、売りたい国の順位を先に確かめます。
翻訳しただけでは届かない
言葉を置き換えただけの投稿は、不自然な表現が残り、現地の人には広告に見えやすくなります。季節の行事、色やモチーフの受け止め方、宗教に関わる表現も国によって違います。日本では丁寧さとして受け取られる長い説明が、短い動画が中心の媒体では最後まで見られないこともあります。翻訳の前に、誰に何を伝える投稿かを日本語で決め、現地の言葉がわかる人に表現から考えてもらいます。AIの翻訳は下書きに使えますが、公開の前には現地の感覚で確認します。
3. 国別に見る海外SNSの選び方

媒体は、売りたい国と売る相手の組み合わせで選びます。最初に使う媒体は1つか2つに絞ると、少ない人手でも投稿と分析を続けられます。
主要な国の媒体を比べる
次の表は、国ごとに候補になる媒体と、選ぶときに押さえる点をまとめたものです。同じFacebookでも、台湾では信頼を得る場所として、アメリカでは幅広い年代に届ける広告の場として使われるなど、役割は国で変わります。若い層が相手なら動画中心の媒体の優先度が上がります。自社の商品を買う人の年代と性別を決めたうえで、その層が使う媒体を選びます。各国の詳しい事情は、表の中の記事で確かめられます。
| 国 | 候補になる媒体 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 中国 | WeChat・Douyin・RED | 日本で使う海外の媒体は使えない前提で組み立てる |
| 台湾 | Facebook・Instagram・LINE | LINEも生活に定着しており、日本の感覚に近い |
| アメリカ | Facebook・Instagram・YouTube | 媒体が多いので、年代と商品で絞る |
| 韓国 | Instagram・NAVER・KakaoTalk | NAVERのブログとカフェでの検索を前提に考える |
| ベトナム | Zalo・Facebook・TikTok | 国産のZaloを候補から外さない |
企業向けの商品はLinkedInも候補に入れる
製造業の部品や業務用の機器、企業向けのサービスを売るなら、見るべき相手は消費者ではなく企業の担当者です。欧米でのBtoBの情報発信や業界のつながりづくりでは、ビジネス向けのLinkedInが候補に入ります。投稿の内容も、商品の見た目より、解決できる課題、導入の実績、技術の裏付けが中心です。担当者や経営者の個人アカウントと会社のページを組み合わせると、展示会で会った相手とのやり取りも続けやすくなります。アジアでは国によって企業の担当者が使う媒体が変わるので、現地の取引先に聞いて確かめます。
4. 海外SNSマーケティングを始める手順

順番は、目的、国と相手、媒体、投稿、振り返りです。最初に広く手を出さず、3か月ほどの試す期間を決めて小さく回します。
目的と測る数字を決める
最初に決めるのは、SNSから誰をどこへ案内するのかです。越境ECなら商品ページへのクリック数と購入数、企業向けなら問い合わせの数と商談の数が測る数字になります。フォロワー数だけを目標にすると、買わない人が増えても成果に見えてしまいます。測る数字が決まったら、国と相手を絞ります。国の絞り方は海外進出の国の選び方の記事で解説しています。目的と相手を1枚の紙に書いておくと、社内や外注先との認識もそろいます。
投稿を試して反応を見る
媒体を選んだら、同じ商品について切り口を変えた投稿をいくつか作り、どれに反応があるかを確かめます。作り方の裏側、使っている場面、現地の人の感想など、形を変えて比べます。投稿の時間は相手国の生活時間に合わせ、コメントや問い合わせに返事をする担当者も決めておきます。返事が数日遅れると、せっかく関心を持った相手が離れてしまいます。月に1回は数字を見直し、反応のよかった投稿の型を増やし、反応のない型はやめます。
5. 海外SNS広告とインフルエンサーの使いどころ
フォロワーのいないアカウントの投稿は、そのままではほとんど見られません。広告とインフルエンサーは、知らない相手に届けるための手段として組み合わせます。
広告は反応のよかった投稿から
広告を使うと、国、年代、関心を指定して、まだ自社を知らない人に投稿を届けられます。最初から広告専用の素材を作るより、通常の投稿で反応がよかったものを少額で配信すると、無駄が減ります。広告の成果は、クリックされた数だけでなく、案内した先で買われたか、問い合わせがあったかで判断します。そのため、ページの言語や決済、配送の条件を先に整えておきます。中国のように広告の出し方が媒体ごとに大きく違う国では、現地の事情に詳しい支援企業に任せる企業も多くあります。
インフルエンサーは相手との相性で選ぶ
現地のインフルエンサーに紹介してもらうと、広告より自然な形で商品を知ってもらえます。選ぶときはフォロワー数より、フォロワーが自社の売りたい相手と重なるか、過去の投稿にどんなコメントが付いているかを確かめます。フォロワーが少なくても、特定の分野で信頼されている人のほうが購入につながることがあります。国によっては広告であることの表示が求められます。アメリカでは連邦取引委員会(FTC)が、商品の提供や報酬など企業との関係を投稿ではっきり示すよう求めています。依頼する国のルールは、契約の前に確かめます。
出典:Federal Trade Commission「Disclosures 101 for Social Media Influencers」(2026年10月確認)
6. 海外SNS運用の費用と体制
費用は、国と媒体、どこまで外に任せるかで大きく変わります。金額を見るときは、広告費と運用の手間を分けて考えます。
外注するときの費用の目安
海外SNSの運用を外注する場合の目安は月額20万円から80万円で、成果が見えてくるまでに3か月から6か月ほどかかります。中国の場合、SNS広告の運用は中小企業で月額30万円から100万円、中堅のインフルエンサーは1投稿10万円から100万円が目安です。海外進出白書で支援企業のサービスの平均単価を見ると、海外WEBプロモーションは286万円、海外広告・プロモーションは750万円でした。半年は続ける前提で予算を組み、途中でやめる条件も決めておくと、社内の承認も得やすくなります。
自社の仕事と任せる仕事を分ける
商品の強み、発信してよい情報、問い合わせへの判断は、自社にしかできません。一方で、現地の言葉での投稿づくり、広告の配信、現地のインフルエンサーとのやり取りは、経験のある会社に任せたほうが早く進みます。すべてを外注すると、自社にノウハウが残らず、反応の理由もわからなくなります。月に1回は数字の報告を受け、次の投稿の方針を一緒に決める形にします。社内の担当者は語学の堪能さより、海外の仕事に使う時間を確保できる人を選びます。
7. 海外SNSマーケティングで失敗しやすい4つの場面

うまくいかない例の多くは、媒体の選び方より、続け方と測り方に原因があります。始める前に避け方を決めておきます。
広げすぎて続かない
多くの媒体を同時に始めると、投稿の数が足りなくなり、どの媒体でも反応を確かめられません。担当者が他の仕事と兼務しているなら、なおさらです。最初は媒体を1つか2つに絞り、週に何本出せるかを現実的に見積もります。投稿の型が固まり、反応のよい内容がわかってから媒体を増やします。国についても同じで、複数の国に同じ投稿を出すより、1つの国の反応を確かめてから次の国に広げると、言葉や表現の直しも少なくて済みます。
測らずに続けてしまう
投稿を続けることが目的になると、成果が出ているのかどうかがわからないまま費用だけがかかります。逆に、数か月で反応がないと判断してやめると、試した費用が何の学びも残さず終わります。成果が見えるまでには時間がかかるので、最初に試す期間と、期間の終わりに見る数字を決めます。批判的なコメントや炎上への対応も、誰が判断するのかを決めておきます。現地の文化に関わる問題は日本側では気づきにくいので、現地の言葉がわかる人に確認してもらう流れをつくります。
8. よくある質問(FAQ)
Q1. 中小企業でも海外SNSマーケティングはできる?
できます。多くの媒体はアカウントの開設に費用がかからず、少額の広告から試せるので、現地に拠点がない企業でも始められます。人手が限られるなら、国と媒体を1つに絞り、週に数本の投稿から始めます。現地の言葉での投稿づくりだけを外に任せる方法もあります。ただし、案内する先となる越境ECや問い合わせの窓口がないと売上につながらないので、販路と一緒に考えます。中小企業の進め方は中小企業の海外進出の現状と進め方の記事でも解説しています。
Q2. どの媒体から始めればよい?
売りたい国と相手によって変わるので、すべての企業に合う媒体はありません。消費者向けで見た目が伝わる商品ならInstagramや動画中心の媒体、企業向けなら欧米ではLinkedInが候補になります。中国は独自の媒体を選ぶ必要があります。迷ったら、同業他社や現地の競合がどの媒体でどんな投稿をしているかを調べると、反応が集まっている場所がわかります。候補を見つけたら、1つの媒体で3か月ほど試してから次を考えます。
Q3. 成果が出るまでどれくらいかかる?
通常の投稿の運用で成果が見えてくるまでには、3か月から6か月ほどが目安です。広告を組み合わせると反応は早く確かめられますが、広告をやめると届く人も減ります。売上だけで判断すると途中で止めたくなるので、最初の3か月はどの投稿に反応があるか、案内した先まで来る人がいるかを見ます。そのあとで、購入や問い合わせの数を見ていくと判断しやすくなります。
9. 海外SNSの進め方をDigima〜出島〜に相談する
海外SNSマーケティングは、国と商品によって選ぶ媒体も投稿の中身も変わります。現地の言葉や感覚に合った投稿づくり、広告の配信、インフルエンサーとのやり取りを、社内だけで進めるのは簡単ではありません。
「どの国のどの媒体から始めればよいかわからない」「現地向けの投稿づくりを任せたい」「SNSから販路にどうつなげるかを整理したい」といった段階から、Digima〜出島〜にご相談ください。国と業種に合わせて、実績のある海外進出支援企業をご紹介します。
この記事が役に立つ!と思った方はシェア
海外進出相談数
27000
件突破!!
最適サポート企業を無料紹介
コンシェルジュに無料相談



































