Shopify Plusとは? | エンタープライズ版「Shopify」、通常版の違いと導入メリットを解説

Shopifyは世界175か国以上で数百万の店舗に利用されるECプラットフォームとして、スタートアップから大企業まで幅広い事業者に支持されています。直感的な操作性と強力な拡張性を持つこのプラットフォームは、ビジネスの成長に応じてより高度な機能を求める企業にとって理想的な選択肢となります。
ただし、売上規模が拡大し、トラフィックが急増した際には、標準プランでは対応しきれない場面が出てきます。そこで、より高度なカスタマイズ機能とスケーラビリティを備えた「Shopify Plus」が選択肢となります。本記事では、そんなShopify Plusの概要、通常のShopifyとの違い、導入のメリット、適したビジネスモデル、そして成功のポイントについて詳しく解説します。是非、参考にしてみてください。
▼ Shopify Plusとは? | エンタープライズ版「Shopify」、通常版の違いと導入メリットを解説
Shopify Plusとは?
Shopifyの概要
Shopifyは2006年にカナダで設立され、現在では全世界のEC市場で主要なプラットフォームの一つとなっています。特に北米市場においては圧倒的なシェアを誇り、アメリカではEC事業者の約30%がShopifyを利用しているとされています。
このプラットフォームの特徴は、シンプルな管理画面と拡張性の高さにあります。商品管理、注文処理、決済システム、マーケティングツールなどが統合されており、初心者でも簡単にオンラインストアを構築できます。さらに、アプリストアを活用すれば、SEO最適化、分析ツール、SNS連携などの追加機能を自在に導入できます。
そのため、Shopifyは、個人事業主や中小企業にとって理想的なECプラットフォームですが、売上や注文数が急増すると、パフォーマンスの制約が問題となる場合があります。より高度なカスタマイズや高負荷に対応できる環境を求める企業には、「Shopify Plus」の導入が適しています。
Shopify Plusの概要
Shopify Plusは、年間売上が100万ドル以上の企業向けに設計されたエンタープライズ向けプランです。通常のShopifyと比較すると、サーバーパフォーマンス、拡張性、自動化機能などの面で大きな違いがあります。特に、大規模なプロモーションを実施するECサイトや、複数ブランドを展開する企業にとっては、より安定した運用環境を提供する点が強みです。
Shopify Plusを活用すれば、数千件単位の同時注文にも対応できるほか、B2B機能の強化、多通貨対応、APIの拡張性向上などが可能になります。高トラフィックに耐えうるインフラが提供されるため、急成長中のブランドやグローバル展開を目指す企業には最適なソリューションとなるでしょう。
通常のShopifyとの違い
カスタマイズの自由度
Shopify Plusは、通常のShopifyと比べて多くの点で優れた機能を持っています。最大の違いは、拡張性とカスタマイズ性の高さにあります。
通常のShopifyでは、テーマの変更やアプリの追加は可能ですが、プラットフォーム全体の挙動を大きく変えることは難しいです。一方、Shopify Plusでは、専用のスクリプトエディタ「Shopify Scripts」を利用することで、決済画面やカートページのカスタマイズが柔軟に行えます。これにより、会員限定割引や動的な価格変更が可能になり、マーケティング施策の幅が広がります。
複数ブランドの一元管理
また、大規模なEC事業者向けに、複数ブランドの管理機能が強化されている点も特徴です。通常のShopifyでは、1つのアカウントで1つのストアしか運営できませんが、Shopify Plusでは最大9つのストアを一元管理できます。これにより、異なる市場やブランドを展開する企業がより効率的にECサイトを運営できます。
専任サポートとアカウントマネージャー
もう一つの大きな違いは、サポート体制です。通常のShopifyでは、カスタマーサポートは基本的にオンラインチャットやメール対応が中心ですが、Shopify Plusでは専任のアカウントマネージャーが付き、運営に関するアドバイスや戦略サポートを受けることができます。
Shopify Plusの導入メリット
大規模トラフィックへの対応
Shopify Plusの導入による最大のメリットは、スケーラビリティの向上です。通常のShopifyでは、大規模なトラフィックの急増時にサイトのパフォーマンスが低下するリスクがありますが、Shopify Plusではそのような問題が発生しにくくなっています。特に、ブラックフライデーやサイバーマンデーなどの大規模なセール期間には、アクセス集中によるシステムダウンを防ぐための最適化が行われます。
チェックアウトプロセスの最適化
さらに、Shopify Plusでは、チェックアウトプロセスの最適化も可能です。通常のShopifyでは決済画面の変更が制限されていますが、Shopify Plusでは自由度が高く、特定の顧客層に合わせたカスタムUXを設計できます。これにより、コンバージョン率の向上が期待できます。
B2B向け機能の充実
また、B2B向けの機能が充実している点も魅力です。卸売価格の設定、企業間取引の最適化、多通貨対応など、国際市場をターゲットとする企業にとって重要な機能が多数搭載されています。これにより、B2B取引を効率的に管理できるようになります。
Shopify Plusの注意点
導入コストが高い
Shopify Plusは、通常のShopifyと比較してコストが高く、最低でも月額2,000ドル(年間24,000ドル)以上の費用がかかります。これは、個人事業主や中小規模のビジネスにとっては大きな投資となるため、ビジネスモデルや売上規模に応じた適切な判断が求められます。特に、月額費用だけでなく、カスタマイズやアプリの導入、外部ツールとの連携に伴う追加コストも考慮する必要があります。
専門知識が必要になる
Shopify Plusは、通常のShopifyと比較して高度なカスタマイズが可能ですが、その分、運用には専門的な知識が求められます。特に、「Shopify Scripts」や「Flow」などの自動化ツールを活用するには、プログラミングやシステム連携の知識が必要となる場合があります。自社内でこれらのスキルを持つ人材がいない場合は、開発者やShopify専門のエージェンシーに依頼する必要があり、その分の費用も発生します。
カスタマイズによる運用の複雑化
Shopify Plusは、柔軟なカスタマイズが可能ですが、必要以上に設定を複雑化すると、運用が難しくなる可能性があります。特に、決済フローの変更や大規模なB2B向け機能の追加を行う場合、システムの管理やメンテナンスの負担が増加します。そのため、最適なカスタマイズ範囲を見極め、運用がシンプルに維持できるような設計を心がけることが重要です。
Shopify Appの互換性問題
Shopify Plusでは、通常のShopifyと異なり、カスタマイズ性が高い分、一部のShopify Appが正常に動作しない可能性があります。特に、決済や会員機能、在庫管理システムといった高度な連携を必要とするアプリは、事前に動作検証を行う必要があります。そのため、新しいアプリを導入する際には、Shopify Plusとの互換性やカスタマイズの影響を慎重に確認する必要があります。
継続的な最適化が必要
Shopify Plusを最大限に活用するためには、導入後も継続的な最適化が求められます。例えば、マーケティングオートメーションの活用、データ分析による販売戦略の見直し、チェックアウトの改善など、定期的にECサイトの運用を見直すことが成功の鍵となります。特に、大規模なセール期間や新規市場への展開時には、トラフィックの増加に備えたシステム最適化が不可欠です。
Shopify Plusの利用申し込み/サイト開設の流れ
公式サイトでの申し込み
Shopify Plusの利用を開始するには、Shopify公式サイトから申し込みを行います。通常のShopifyプランと異なり、Shopify Plusは直接契約となるため、事前に担当者とのミーティングが必要になります。
企業情報の登録
申し込み後、企業情報の登録を行います。法人名、担当者情報、売上規模などの詳細を入力し、契約条件を確認した上で契約を締結します。
ストア設定とカスタマイズ
契約完了後、ストアのセットアップを行います。テーマの選定、商品登録、決済設定、配送設定などの基本構築を進め、必要に応じてShopify ScriptsやFlowを活用したカスタマイズを行います。
カスタマイズの部分はデザインや専門性が必要な領域になり、実現したいサイトによって大きく工数が変わってきます。自社内の制作部門、もしくは外部の専門家に頼りましょう。
運用開始と最適化
ストアが公開された後も、定期的な分析を行いながら運用を最適化していくことが重要です。アカウントマネージャーと連携し、売上向上のための施策を継続的に実施します。
Shopify Plusで成功するためのポイント
明確な成長戦略の策定
Shopify Plusを導入する際には、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。まず、ECサイトの成長戦略を明確にし、Shopify Plusの強みを最大限に活用することが大切です。特に、カスタマイズ性を活かして、競合との差別化を図ることが重要になります。
外部システムとの連携
また、テクニカル面での対応力も求められます。Shopify Plusは強力なAPIを提供しており、外部システムとの連携が容易ですが、適切に設定しなければそのメリットを活かしきれません。そのため、EC開発の専門家やコンサルタントの協力を得ることで、より効果的な運用が可能になります。
データ分析の活用
最後に、データ分析を活用することが成功の鍵となります。Shopify Plusでは、高度な分析ツールが利用でき、顧客行動や売上動向を詳細に把握することができます。これらのデータを活かし、販売戦略を最適化することで、長期的な成功につなげることができるでしょう。
まとめ
Shopify Plusは、成長企業にとって強力なECプラットフォームですが、その導入には慎重にならなければならない点があります。標準のShopifyと比較して高度なカスタマイズが可能であり、大規模なトラフィックにも耐えられるスケーラビリティを備えています。そのため、グローバル展開を目指すブランドや、多店舗展開を行う企業にとっては最適な選択肢となるでしょう。
一方で、導入コストが高く、運用には専門知識が求められるため、費用対効果を十分に考慮する必要があります。特に、カスタマイズの自由度が高い反面、適切な設計を行わなければ運用が複雑化する可能性があるため、社内のリソースやパートナー企業との連携が重要になります。
EC事業のさらなる成長を目指す企業にとって、Shopify Plusは大きな可能性を秘めたプラットフォームです。本記事で紹介したポイントを踏まえ、自社のビジネス戦略に合った導入計画を立てることをおすすめします。
なお、「Digima~出島~」では、優良なEC販売の専門家が多数登録されています。「海外進出無料相談窓口」では、専門のコンシェルジュが御社の課題をヒアリングし、最適な専門家をご紹介いたします。是非お気軽にご相談ください。
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