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訪日観光ニーズが切り拓く、日本企業の海外展開戦略|インバウンドからアウトバウンドへ繋げる発想とは?

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訪日観光客の増加が続くなか、再び脚光を浴びる日本のインバウンドビジネス市場。コロナ禍で一時的に失われた活況が、ここにきて確かな回復の兆しを見せています。しかし、この動きは単なる観光業の回復にとどまらず、日本企業の海外展開(アウトバウンド)にも大きな影響を与える可能性を秘めています。

観光客を迎え入れるという視点だけでなく、「訪日体験を通じて商品やサービスを知ってもらう」「現地における需要を可視化する」といった、海外展開の布石としてのインバウンドという視点が、今あらためて注目されています。

実際、訪日観光客は日本企業にとって“世界中の顧客が自ら訪れるマーケティングの場”となっており、そこにはECサイトや市場調査だけでは得られない生の声や反応があります。このような顧客接点をどのように資産化し、次の海外戦略に生かすか――これが、これからのグローバルビジネスの鍵となるでしょう。そこで「Digima~出島~」では、6月を通して『訪日観光ニーズが切り拓く、日本企業の海外展開戦略「インバウンドビジネス」特集』と題して、特集を展開していきます。

本記事では、インバウンド市場の現状から企業の対応、そしてそれをいかにアウトバウンド戦略に結び付けるかという視点で、事例と調査結果をもとに解説していきます。訪日観光という「一過性の消費」を、「持続的な海外展開の起点」へと昇華させるヒントをお届けします。

復活するインバウンド市場と企業対応の現状

コロナ禍からの回復で勢いを取り戻す訪日観光

新型コロナウイルスの影響により、かつて隆盛を誇ったインバウンド市場は一時的に大きく縮小しました。しかし、2023年以降、各国での入国制限緩和や円安の追い風を受けて、訪日外国人観光客は急速に回復基調に入りました。観光庁の発表によれば、2024年にはでの訪日観光客数は月間200万人を超える水準に戻りつつあり、アジア圏を中心としたリピーターも増加傾向にあります。

この回復は単なる数の問題ではなく、観光目的の多様化や消費行動の変化も伴っている点が重要です。たとえば“爆買い”が象徴的だった過去のインバウンドとは異なり、現在は「体験」や「文化」への興味が強まり、“知的消費”や“共感消費”といった質的転換も見られるようになりました。

企業のインバウンド対策はまだ限定的:アンケート結果から見る現状

しかし、インバウンド市場の復調とは裏腹に、実際に対応を進めている企業はまだ限られているのが実情です。『海外進出白書』のデータでは、インバウンド対策を「すでに実施している」と回答した企業は海外展開を実施・検討する企業全体のわずか16.2%にとどまり、8割以上の企業が未着手であることが明らかになりました。

コロナ禍による需要減少の記憶や、再投資への不安が背景にあると考えられますが、逆に言えば今は、先手を打って対策を講じた企業が競争優位を確立できるタイミングでもあります。観光客が戻ってきた今こそ、「受け入れ準備」ではなく「市場創造」の姿勢が求められているのです。

データ分析・多言語対応・商品開発など戦略的な取り組みが進みつつある現状

すでに対策を進めている企業の取り組みを見ると、その多くはプロモーションだけでなく、より戦略的な方向へとシフトしています。たとえば「インバウンド市場に関するデータ分析」や「多言語対応のパンフレットやサイト整備」、「訪日外国人向けの商品・サービス開発」など、顧客理解と商品最適化を起点にしたマーケティング活動が増加しています。

これは、単なる“受け身の対応”ではなく、“反応を得て、改善につなげる”というマーケティングの本質に近づいているとも言えます。インバウンド市場は、実は試作品のテスト販売や顧客ニーズの仮説検証に最適な場でもあるのです。

インバウンド消費が“アウトバウンド”の原点になる理由

訪日観光客との接点は「リアルな商品体験」の場

海外展開において最大の課題のひとつは、「現地の消費者にどう自社商品を認知してもらうか」という点にあります。言語、文化、商習慣の壁を越え、まず“知ってもらう”ことがなければ、販路の開拓も購買の促進も始まりません。そうした中、訪日観光客との接点は、日本国内にいながら海外顧客に商品を体験してもらえる貴重なマーケティングチャネルになります。

店舗での購入、施設での体験、宿泊先での利用——これらの実体験を通じて、日本製品やサービスの品質やストーリーが海外消費者に直接届き、SNSやクチコミで拡散されることも少なくありません。現地に販路がなくても、訪日客が“自国への伝道者”となり、自然な形で商品の認知が広がるケースも多く見られています。

海外展開で最大の壁となる“ブランド認知”をインバウンドが突破する

ブランドの海外展開において、ゼロから現地に認知を構築していくには膨大な時間とコストがかかります。しかし、訪日体験を通じてすでに商品に触れたことがある消費者は、既にそのブランドに対する「認知」だけでなく「信頼」の第一段階を持っています。これは、後のアウトバウンド戦略において非常に有利なスタートラインとなります。

たとえば、訪日時に飲んだ日本酒が気に入り、帰国後に現地のECサイトで再購入したいと考える消費者、あるいは旅先で触れた化粧品をSNSで紹介し、現地での関心を高めるような行動。こうした流れが需要を生み、現地パートナー企業にとっても商品導入のハードルを下げる結果につながります。

「買われた」事実が信頼に、“現地ニーズの実感”が展開戦略を支える

訪日観光客に商品が実際に購入され、使われたという“事実”は、企業にとって非常に強力なデータとなります。感覚や予測に頼らず、「この価格帯で、こういう属性の消費者に、どのように買われたか」というリアルな反応は、そのまま海外展開におけるマーケティング・商品開発・販売戦略に活用可能です。

さらに、現場で直接得られる顧客の声やフィードバックは、現地市場のニーズを見極めるための一次情報となります。これは、ネット検索や業界レポートでは得られない、現地の“今”を捉えたマーケティング情報に他なりません。

インバウンド消費は単なる一過性の売上ではなく、海外市場を見据えた“実地テスト”であり、戦略的なフィールドなのです。

海外専門家が語る、現地で高まる日本ニーズの“質的変化”

アジア・欧米それぞれで異なる日本への期待と価値観

訪日観光における人気エリアは、東京・京都・大阪・北海道といった定番都市がいまだ根強い支持を集めています。しかし、『海外進出白書』で実施した海外の現地ビジネス関係者へのヒアリングからは、国や地域ごとに「日本への期待」や「体験に求める価値」が明確に異なることも浮かび上がってきました。

たとえば、東南アジアでは「買い物」や「温泉」といったエンタメ・癒し系体験に価値が置かれる一方、フランスやドイツでは「伝統文化の深掘り」や「ローカルな生活文化への理解」といった、より“本物志向”の期待が見受けられます。つまり、国ごとに「何をもって日本らしさと捉えるか」が異なっているのです。

“観光地”から“文化体験・生活体験”へと移る訪日ニーズ

コロナ禍を経て、訪日観光の動機にも変化が見られるようになりました。従来の「有名スポットを巡る旅行」から、「日本の暮らしを体感する滞在」へと、より深い“文化消費”や“学び”へのニーズが増加しています。

たとえば、京丹後市のような非観光エリアへの関心が高まったり、書道・茶道・着物体験など“ハンズオン”な伝統文化体験の人気が再燃したりと、観光の“質”に対する価値観が変わりつつあるのです。これは、インバウンド消費が「単なる観光収益」ではなく、ブランド認知やカルチャーマーケティングの接点にもなり得ることを意味します。

「商品=文化の体現」としての評価が企業にもたらす可能性

訪日客が関心を寄せる日本製品も、日用品や電化製品のような“利便性重視”から、発酵食品や工芸品、日本酒などの“文化背景を持つプロダクト”へと関心が広がっています。これは、商品そのものに加えて、「どんな物語や思想をもっているか」が評価軸になっている傾向を示しています。

特に欧米やシンガポール、フランスといった文化的多様性のある国々では、「共感」や「ストーリー性」が購買決定に強く影響するため、海外展開を視野に入れる企業にとっては、このような文化価値への訴求が重要なポイントとなります。

すなわち、インバウンドを通じて得られる“商品に対する質的評価”は、単なる商機ではなく、ブランド戦略における信頼の積み上げにも繋がるのです。

アウトバウンドに繋がる3つの視点:インバウンドを資産化するには

1. 「反応」ではなく「検証」の場として捉える

インバウンドを単なる反応の場として捉えるのではなく、仮説検証の場として戦略的に位置づけることが、アウトバウンド展開に繋げる第一歩です。たとえば、ある商品に対してどの国籍の人々がどの価格帯で反応し、何を魅力に感じ、どこに課題を抱いたか。このような実地で得られる“質の高い一次データ”は、マーケティングリサーチとして極めて有益です。

この実証データは、海外進出先の選定、販売戦略の立案、現地パートナーへのアピール材料としても活用できるため、インバウンド=リアルテストマーケティングの場という認識が重要です。

2. 「接点」を持続的に回収・活用する仕組みを構築する

インバウンドをアウトバウンドに活かすには、訪日観光客との一時的な接点を、いかに継続的な関係性へ転換できるかが鍵となります。多言語対応のWebサイト、SNSでのフォローアップ、帰国後も接触できるメールマーケティングなどを通じて、継続的にコミュニケーションを図る仕組みづくりが求められます。

単なる商品購入だけで終わらせるのではなく、「また買いたい」「現地でも取り扱ってほしい」といったニーズを可視化・育成していくことで、アウトバウンド展開時の見込み顧客リストとしても機能します。

3. 「現地感覚での訴求」をあらかじめ検証しておく

インバウンドでは、同じ商品でも国や文化圏によって感じ方が異なることを体感できます。パッケージのデザイン、商品のネーミング、訴求ポイントなど、文化的背景に応じた微調整が求められる場面は少なくありません。

こうした“現地感覚”を訪日観光客の反応から先に掴むことで、アウトバウンド展開時のローカライズや現地対応力が大きく向上します。言い換えれば、インバウンド市場で得た改善の気づきが、グローバル戦略の精度を高める要素になるのです。

今後の海外展開に向けたアクション:インバウンド戦略を起点としたアウトバウンド成功の道筋

「インバウンド→アウトバウンド」への意識転換が第一歩

現在のインバウンド市場の盛り上がりは、決して一過性のブームではありません。それはむしろ、アウトバウンド戦略の起点として活用すべき「消費者接点の宝庫」です。しかし、多くの企業は依然として“観光需要”として捉えるにとどまり、その先にある海外市場への可能性に目を向けていません。

今後は、「国内での観光対応」と「海外での市場開拓」を切り離すのではなく、地続きのマーケティングプロセスとして捉える視点の転換が必要です。訪日客との出会いを、自社商品をグローバル展開するための“プロトタイプ接点”と位置付けることが、競争優位につながります。

アウトバウンド施策としての「販路開拓×顧客理解」の融合

インバウンドで得た接点を資産化するためには、単なる販路の拡大ではなく、“誰にどう刺さったか”という顧客理解の深化が不可欠です。つまり、「どの国のどの層に、どういった価値が響いたのか」を具体的に把握すること。それが次の国選定やプロモーション設計、商談先へのプレゼンに活かされます。

この意味で、インバウンド対応は「新規営業」でもあり「マーケティング」でもあるのです。単なる顧客獲得だけでなく、仮説の検証と改善のサイクルを回す機能を果たせる点が、従来型のアウトバウンド施策とは一線を画します。

専門家との連携によって、戦略的な流れをつくる

インバウンドとアウトバウンドを有機的に結び付けるには、現地市場の理解と情報収集、そして戦略設計が求められます。とくに初めての海外展開では、自社の経験やリソースだけで完結するのは難しく、現地事情に精通した支援パートナーとの連携が不可欠です。

市場調査から販路構築、商談代行、定着支援までを一気通貫でサポートする専門家と組むことで、実効性の高い展開が可能になります。「インバウンドで得た手応えを、どうアウトバウンドで再現するか」という観点から逆算された施策設計こそが、成功を導く鍵となるでしょう。

まとめ|インバウンドから始まる、アウトバウンド成功の新戦略

インバウンド市場の再活性化が進む中、今こそ日本企業は、この動きを「一時的な観光ブーム」として捉えるのではなく、戦略的な海外展開の起点として再構築すべきタイミングにあります。訪日観光客は単なる消費者ではなく、自社商品やサービスを“現地に持ち帰るかもしれない”見込み顧客であり、彼らとの接点はグローバルマーケティングのリアルな第一歩となり得ます。

本記事では、インバウンドをアウトバウンドにどう接続するかという視点から、訪日体験の意味、現地ニーズの変化、そしてインバウンドを資産化する5つの視点について掘り下げてきました。そのすべてに共通するのは、リアルな接点の価値をいかに検証・活用するかという実践的な姿勢です。

今後の海外展開では、もはや「どこに売るか」だけでなく、「誰にどう伝わるか」「なぜ選ばれるか」といった“質の高いマーケティング活動”が重要になります。インバウンドという実地のフィールドで得た反応こそが、海外での成功の確度を高めるデータとして活かされるのです。

まずは、自社が持つ商品のどこが“響いたか”を、訪日客の反応から見つめ直してみてください。そこには、これからのグローバル展開における確かなヒントがあるはずです。

なお、「Digima~出島~」には、優良なインバウンドビジネスの専門家が多数登録されています。「海外進出無料相談窓口」では、専門のコンシェルジュが御社の課題をヒアリングし、最適な専門家をご紹介いたします。是非お気軽にご相談ください。

本記事が、インバウンド対応、そして海外展開を検討される日本企業の皆様にとって、実務の一助となれば幸いです。

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