海外進出の成功企業は何が違う?|3年以上継続企業の現地法人設立率55.4%【海外進出白書2025-2026】
海外に進出したものの、数年のうちに撤退してしまう企業がある一方で、事業を続けている企業もあります。その違いはどこにあるのでしょうか。
『海外進出白書(2025-2026年版)』の調査では、進出企業193社のうち、海外事業を3年以上継続している「成功企業」は38.3%でした。進出形態や人材の使い方、リスク管理の仕組みに、全体平均とははっきりした差が見られます。
本記事では、成功企業74社と全体193社のデータを比べながら、海外進出を続けるために押さえておきたいポイントを解説します。
この記事でわかること
- ・「成功企業」の定義と全体に占める割合
- ・成功企業と全体で違う進出形態・販路づくり
- ・海外拠点での外国人材活用の差
- ・成功企業が実践しているリスク管理と資金調達
- ・支援のプロが見る成否を分ける要因
▼海外進出の成功企業は何が違う?|3年以上継続企業の現地法人設立率55.4%【海外進出白書2025-2026】
1. 海外進出白書(2025-2026年版)の調査概要
『海外進出白書(2025-2026年版)』は、海外ビジネス支援プラットフォーム「Digima〜出島〜」を運営する株式会社Resorzが発行する調査レポートです。
本記事で取り上げる調査は、2025年4月〜5月にインターネットで実施したアンケートで、対象は自社の海外ビジネス展開を検討したことのある企業の担当者193名です。白書では、このうち海外での事業を3年以上継続している74社(全体の38.3%)を「成功企業」と定義し、進出形態・販路・人材・資金調達などの設問で全体の回答と比較しています。
あわせて、海外進出支援に携わる企業・専門家の担当者151名にも、支援する立場から見た「成否を分ける要因」を尋ねています。調査の全体像は、海外進出白書(2025-2026年版)の無料ダウンロードページで確認できます。白書では、ほぼすべての設問で「全体」と「成功企業」を並べたグラフを掲載しています。
2. 「成功企業」の定義|海外事業を3年以上続けている企業は38.3%
白書では、進出企業193社に海外展開の進捗を尋ね、このうち「海外での事業を3年以上継続している」と答えた74社(38.3%)を「成功企業」と定義しています。
事業が軌道に乗るかどうかの分かれ目として、「3年」という期間を区切りにしている点が特徴です。立ち上げ直後のつまずきを乗り越え、一定期間継続できている企業を指しており、必ずしも売上や利益の規模を基準にしているわけではありません。
本記事では、この成功企業74社の回答と、進出企業全体193社の回答を項目ごとに比較し、継続できている企業が何を選び、何を備えているのかを見ていきます。
3. 違い①進出形態と販路|拠点を持たずに始め、続く企業は現地法人を持つ
進出形態を複数選択で尋ねた設問では、全体では「拠点は設けない(パートナー/販売代理店)」が53.4%で最も多く選ばれました。まず拠点を持たずに現地のパートナーと組む形で始める企業が多いことがわかります。
一方、「現地法人設立」は全体では39.4%にとどまるのに対し、成功企業では55.4%まで上がります。逆に「拠点は設けない(越境EC)」は全体23.8%に対し、成功企業では13.5%と低くなっています。事業を続けている企業ほど、越境ECだけに頼らず、現地法人という形のある拠点を持つ傾向が強いといえます。
販路拡大の方法を見ても、同じ傾向が表れています。全体・成功企業とも「販売代理店/パートナーへの委託」が最多で、全体57.5%に対し成功企業では60.8%です。次いで「現地法人・営業拠点の設立」が全体32.6%、成功企業39.2%、「展示会・商談会」が全体26.9%、成功企業29.7%でした。代理店を軸にしながら、現地法人や対面での商談機会も組み合わせている企業ほど、事業を継続できているようです。
これらの数字からは、「まず拠点を持たずに小さく始め、手応えを確かめてから現地法人に切り替える」という進め方が、多くの企業に共通していることが読み取れます。越境ECだけに頼る形では、現地の顧客や取引先との関係が広がりにくく、事業を続ける段階になると見直しが必要になるケースが多いと考えられます。小さく始めた後、どのタイミングで現地法人や対面の商談に踏み出すかが、継続のための一つの判断材料になりそうです。
4. 違い②人材活用|海外拠点での外国人材雇用率に20ポイント近い差
海外拠点で外国人材を雇用しているかを尋ねた設問では、全体では35.8%が「はい」と回答したのに対し、成功企業では55.4%でした。約20ポイントの差があります。
国内で外国人材を活用しているかという設問でも、全体49.7%に対し成功企業は59.5%と、こちらも成功企業のほうが高くなっています。現地の商習慣や言語に通じた人材を、海外拠点だけでなく国内の体制にも取り込んでいる企業ほど、事業を長く続けられている可能性があります。
海外拠点の立ち上げ期は、現地の人材をどこまで活用するかの判断が難しい時期でもあります。早い段階から現地採用やブリッジ人材の活用を選択肢に入れておくことが、その後の事業継続につながっているといえそうです。
日本から駐在員を送るだけでは、現地の商習慣や顧客対応の機微まで把握しきれない場面が出てきます。現地で採用した人材が、言語や文化の橋渡し役を担うことで、取引先との信頼関係づくりや、日々の業務での小さなトラブル対応がスムーズになります。国内側でも外国人材を活用している企業の割合が高いことから、海外拠点と国内本社の双方に、現地の事情をわかる人材を置く体制が、事業を長く続けるための土台になっているとうかがえます。
5. 違い③調査とリスク管理|フィールドリサーチ・競合調査と仕組み化で差がつく
進出前に実施した市場調査を複数選択で尋ねた設問では、「デスク/インターネット調査」が全体47.7%、成功企業50.0%とほぼ横並びでした。一方、「フィールドリサーチ」は全体37.8%に対し成功企業48.6%、「競合調査」は全体41.5%に対し成功企業54.1%と、現地に足を運ぶ調査や競合の分析で差が開いています。
机上の情報収集だけでなく、実際に現地を見て回る調査や、競合の動向を継続的に把握する姿勢が、進出後の軌道修正のしやすさにつながっていると考えられます。
リスク管理についての検討状況を見ると、全体では「導入は考えていない」が42.0%で最も多く、「導入した」はわずか11.4%にとどまります。これに対し成功企業では「導入した」が20.3%まで上がります。事業を続けている企業ほど、カントリーリスクやトラブルへの備えを、進出後の早い段階から仕組みとして整えている様子がうかがえます。
海外ビジネスには、為替変動や現地の法改正、取引先の与信リスクなど、国内事業では想定しにくいリスクがいくつも重なります。立ち上げ期は目の前の売上づくりに意識が向きがちですが、事業が続いている企業ほど、トラブルが起きてから対応するのではなく、起きる前提で仕組みを用意しておく発想に早く切り替えているといえそうです。
6. 違い④資金と専門家活用|自社資金中心で、実務系の業務は専門家に任せる
資金調達方法を尋ねた設問では、「自社資金のみ」が全体83.4%、成功企業86.5%と、どちらも自己資金が中心です。一方、「公的機関からの助成金・補助金」は全体17.1%に対し成功企業では10.8%と、成功企業のほうがやや低くなっています。補助金をきっかけに進出を検討する企業は多いものの、継続できている企業は補助金だけに頼らない資金計画を立てている傾向があるといえます。
専門家にサポートを依頼した業務を見ると、「海外進出コンサルティング」(全体29.5%、成功企業27.0%)や「海外進出総合支援」(全体28.5%、成功企業24.3%)は、成功企業のほうがやや低くなっています。これに対し、「海外税務・会計」は全体24.4%から成功企業29.7%へ、「海外市場調査・マーケティング」は全体28.0%から成功企業33.8%へと上がっています。
戦略の立案そのものは自社で担いながら、税務・会計や市場調査といった実務系の業務を専門家に任せる、という役割分担が、継続できている企業の特徴として見えてきます。海外進出の課題全般については、海外進出の課題ランキング|1位は「現地パートナー探し」57.0%、支援プロ151社の声もでも詳しく解説しています。
7. 支援のプロが見る成否の分かれ目|現地パートナー68.9%
海外進出支援に携わる企業・専門家151名に、「海外進出の成否を分ける要因」を複数回答で尋ねた設問では、「現地パートナー」が68.9%で最も多く挙げられました。次いで「調査・リサーチ」と「現地ニーズの高さ」がともに61.6%、「スピード感」が44.4%、「ローカライズ」と「経営陣のコミット」がともに40.4%と続きます。
進出企業自身の回答で見えてきた「現地法人の設立」「現地調査・競合調査」「外国人材の活用」という特徴は、支援のプロが挙げる要因ともおおむね重なっています。現地のパートナーを見極め、現地の実情を調べ続け、現地に合わせて自社を変えていく。この3つを早い段階から実践できるかどうかが、海外事業を続けられるかどうかの分かれ目になっているといえそうです。
「経営陣のコミット」が40.4%で挙がっている点も見逃せません。現地パートナーの選定や、調査にかける時間・予算の判断は、現場任せにせず経営層が関与してこそ、必要な投資として続けられます。進出を決めた後も、経営陣が現地の状況を定期的に把握し、方針を見直し続ける体制があるかどうかが、長期的な継続を左右しているといえます。
成功企業の資金調達や専門家への依頼業務の全項目は、支援企業151社の回答とあわせて『海外進出白書(2025-2026年版)』に掲載しています。自社の進め方を見直す材料として、『海外進出白書(2025-2026年版)』を無料でダウンロードしてご活用ください。
8. よくある質問(FAQ)
Q. 海外進出の「成功企業」はどのように定義されていますか?
『海外進出白書(2025-2026年版)』では、進出企業193社のうち、海外での事業を3年以上継続している74社(38.3%)を「成功企業」と定義しています。
Q. 成功企業と全体で、進出形態に違いはありますか?
全体では「拠点は設けない(パートナー/販売代理店)」が53.4%で最多ですが、「現地法人設立」は全体39.4%に対し成功企業では55.4%と高くなっています。
Q. 海外拠点での外国人材の活用に差はありますか?
海外拠点で外国人材を雇用している割合は、全体35.8%に対し成功企業は55.4%で、約20ポイントの差があります。国内の活用率も全体49.7%に対し成功企業59.5%です。
Q. 成功企業はどんな調査やリスク管理をしていますか?
フィールドリサーチ(全体37.8%→成功企業48.6%)や競合調査(41.5%→54.1%)で成功企業が上回り、リスク管理を「導入した」割合も11.4%から20.3%に上がります。
Q. 支援のプロは何が成否を分けると考えていますか?
支援企業・専門家151社への調査では、「現地パートナー」が68.9%で最も多く、「調査・リサーチ」「現地ニーズの高さ」がともに61.6%で続きます。
Q. 調査データの詳細はどこで確認できますか?
『海外進出白書(2025-2026年版)』で、進出形態・人材活用・資金調達などの全項目を、成功企業と全体の比較で確認できます。無料ダウンロードページから入手できます。
9. 優良な海外進出サポート企業をご紹介
今回は「海外進出の成功企業の特徴」として、『海外進出白書(2025-2026年版)』のデータから、3年以上事業を続けている企業と全体との違いをご紹介しました。
「Digima〜出島〜」には、厳正な審査を通過した優良な海外進出サポート企業が多数登録しています。
「現地法人を設立すべきか代理店に任せるべきか迷っている」「進出後のリスク管理の仕組みを整えたい」……といった、多岐に渡るご相談を承っています。
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