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外国人ITエンジニアの採用ガイド|技人国の要件・IT告示・採用ルートの実務解説

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外国人ITエンジニアを採用する企業向けの実務ガイド。在留資格「技術・人文知識・国際業務」の4つの要件、学歴がなくても採用できるIT告示の仕組みと対象11カ国、高度専門職1号ロの活用、採用ルートと費用の目安までを公的資料をもとに解説します。

IT人材の不足を背景に、エンジニア採用の対象を海外へ広げる企業が増えています。ただ、いざ進めようとすると「そもそもどの在留資格で雇えるのか」「大学を出ていない人は無理なのか」といった疑問で止まってしまうケースが少なくありません。
実は、外国人ITエンジニアの受け入れにはIT分野だけに用意された特例があります。出入国在留管理庁と経済産業省が示す要件を読むと、大学卒業や10年の実務経験がなくても、指定された情報処理の試験に合格していれば在留資格の基準を満たせます。この仕組みを知っているかどうかで、採用候補の広さが変わります。
この記事では、在留資格の要件、学歴要件を代替できる「IT告示」の中身と対象国、採用ルートと費用の目安、採用後の実務ポイントまでを公的資料をもとに整理します。

この記事でわかること

  • ・外国人ITエンジニアが働ける在留資格と、4つの要件の関係
  • ・学歴がなくても採用できる「IT告示」の仕組みと使いどころ
  • ・IT告示の対象となる11カ国と、対象外の国への注意点
  • ・高度専門職1号ロを選ぶ判断基準と、加点される項目
  • ・採用ルート別の進め方、費用の目安と入社までの期間

1. 外国人ITエンジニアはどの在留資格で働くのか

技術・人文知識・国際業務——4つの要件はいずれか1つでよい

外国人ITエンジニアは、一般的に在留資格「技術・人文知識・国際業務」に該当します。この在留資格は、自然科学または人文科学の分野に属する技術・知識を必要とする業務が対象で、システム開発、プログラミング、インフラ構築などのIT業務が含まれます。
IT人材として働く場合の要件は、次のいずれか1つを満たすことです。ここを「すべて必要」と誤解している企業が少なくありません。
・自然科学または人文科学の分野に属する技術・知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し、またはこれと同等以上の教育を受けたこと
・関連科目を専攻して日本の専修学校の専門課程を修了したこと(専門士・高度専門士の称号を付与された者に限る)
・10年以上の実務経験があること(大学等で関連科目を専攻した期間を含む)
・法務大臣が告示で定める情報処理技術に関する試験に合格、または資格を有していること
そのうえで、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが必要です(出典:出入国在留管理庁・経済産業省「外国人IT人材の在留資格と高度人材ポイント制について」)。
4つ目の選択肢が、次章で扱うIT告示です。

高度専門職1号ロという選択肢

もうひとつの道が「高度専門職1号ロ」です。技術・人文知識・国際業務の要件に加えて、高度人材ポイント制で学歴・職歴・年収等の合計が70点以上になる場合に選べます。永住許可に係る在留歴の要件が緩和されるなど、出入国在留管理上の優遇措置を受けられるため、長期で活躍してほしい人材ほど検討する価値があります。
IT分野には加点の追い風もあります。成長分野(IT等)で所管省庁が関与する先端プロジェクトに従事する人材には10点、トップ大学の卒業者には10点が加算されます。さらに日本語能力試験N1取得で15点、N2取得で10点が加点されるため、日本語ができるエンジニアは70点に届きやすくなります。
出入国在留管理庁が示す例では、外国の大学で修士号(MBA)を取得(25点)し、IT関連で7年の職歴(15点)がある30歳(10点)が、年収600万円(20点)で経営支援ソフトの開発業務に従事するケースが70点に達するとされています。
候補者の経歴を見て70点に届きそうであれば、最初から高度専門職での申請を検討したほうが、本人にとっての魅力も高まります。詳しくは高度人材制度とは?ポイント制の仕組みもご覧ください。

2. 学歴要件を満たさなくても採用できる「IT告示」

IT告示とは何か、どんな場面で効くのか

IT告示とは、正式には「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の技術・人文知識・国際業務の在留資格に係る基準の特例を定める件」(平成25年法務省告示第437号)を指します。情報処理に関する一定の試験に合格している場合、学歴や10年の実務経験がなくても在留資格の基準を満たすものとして扱う特例です。
これがどれほど実務に効くかは、出入国在留管理庁が示している例を見るとわかります。同庁の資料には、技術・人文知識・国際業務の典型例として次のケースが挙げられています。
「外国の高校を卒業後、IT告示で定められている海外のITに関する試験の一つに合格し、日本のIT関連企業との契約に基づき月額20万円の報酬を受けて、システムエンジニアとしてシステムの保守・改善等の業務に従事する者」
つまり、高校卒業でも在留資格を得られることが公式資料で明示されています。実力はあるが大学を出ていない、という理由で候補から外していた層に手が届くようになります。
なお同じ資料には、外国の大学で経済学部(経営学専攻)を卒業した人が月額25万円でシステムエンジニアとして働く例も挙がっています。専攻がITそのものでなくても認められる余地がある点も、あわせて押さえておきたいところです。

対象となる11カ国の試験と、対象外の国への注意

IT告示が対象とするのは、日本国内の情報処理技術者試験等に加えて、情報処理推進機構(IPA)が相互認証を行っている国で実施された試験です。出入国在留管理庁の資料では、次の国が挙げられています。
中国、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、台湾、マレーシア、タイ、モンゴル、バングラデシュ、シンガポール、韓国
IPAはソフトウェア技術と市場のグローバル化を受け、国境を越えた質の高いIT人材の確保と流動化、特にアジア各国との連携強化を目的として相互認証を進めており、その一部が告示の対象として規定されています。
実務上、注意したいのが対象に含まれていない国です。たとえばインドネシアは、IT人材の供給国として存在感を増していますが、上記の国々には含まれていません。対象外の国の人材を採用する場合は、大学卒業や10年以上の実務経験といった他の要件で基準を満たす必要があります。
また、対象となる試験区分は告示で個別に定められており、改正されることもあります。候補者の合格証書を確認する際は、試験名と実施国が現行の告示の対象に含まれているかを、申請前に必ず確認してください。

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3. 採用ルートと費用の目安

国内採用と海外からの呼び寄せ、進め方の違い

採用ルートは大きく2つに分かれ、手続きも期間も変わります。
日本国内にいる人材を採用する場合は、留学生であれば在留資格「留学」から就労資格への在留資格変更許可申請を行います。すでに就労資格を持つ人の転職であれば在留資格はそのまま有効ですが、業務内容が変わる場合は就労資格証明書交付申請で適合性を確認しておくと、次回更新時のリスクを下げられます。
海外から呼び寄せる場合は、企業が代理人となって在留資格認定証明書交付申請を行い、交付後に本人が現地の日本大使館・領事館で査証を取得して来日します。
期間の目安は公的データで確認できます。出入国在留管理庁が公表する在留審査処理期間によると、令和8年6月許可分の技術・人文知識・国際業務は在留資格認定証明書の交付まで平均51.4日、在留資格変更まで平均56.8日でした。海外採用では査証申請と渡航準備が加わるため、内定から入社まで4か月程度を見込んでおくと安全です。

費用の目安と、給与水準の考え方

費用は大きく、人材紹介会社への手数料、在留資格申請の代行費用、渡航・住居などの初期費用に分かれます。人材紹介の手数料は成功報酬型が一般的で、理論年収に対する一定割合で設定されるため、年収水準が高いITエンジニアほど金額も大きくなります。複数社から見積もりを取り、返金規定(早期退職時の返還条件)まで含めて比較してください。
給与水準については、在留資格の要件として日本人が同じ業務に従事する場合と同等額以上であることが求められます。これは「日本人より安く雇える」という発想が制度上成り立たないことを意味します。
参考値として、厚生労働省の令和6年外国人雇用実態調査では、在留資格別の月間きまって支給する現金給与額(一般労働者)は専門的・技術的分野が289.1千円で、外国人労働者全体の274.9千円を上回っています。IT職はこの区分に含まれるため、社内の同等職位の賃金テーブルと照らして、説明できる水準を用意しておく必要があります。

4. 採用後に効いてくる実務ポイント

業務内容の説明資料と、配属先の設計

申請で最も差が出るのが、業務内容を説明する資料です。「システムエンジニア」という職種名だけでは、審査官は在留資格に該当する業務かを判断できません。担当するシステム、使用する言語や環境、上流工程への関与度合いなどを具体的に書き、大学での専攻やIT告示の合格試験との関連が読み取れる形にします。
配属先の設計にも注意が必要です。技術・人文知識・国際業務は専門的・技術的分野の在留資格であり、単純作業が業務の中心になる配属は想定されていません。人手が足りない現場へ一時的に回す、といった運用は在留資格の該当性を揺るがすため避けてください。
また、2026年4月15日以降の申請では、カテゴリー3・4に該当する企業を対象に所属機関の代表者に関する申告書の提出が求められるようになりました。通訳や接客販売など言語能力を用いた対人業務が中心の場合は言語能力を証する資料も必要になります。エンジニア職は通常この対人業務には当たりませんが、技術職と通訳業務を兼務させる設計にしている場合は該当しうるため、職務内容の整理が重要になります。
在留資格ごとの要件は外国人採用に必須の「在留資格」完全ガイドもあわせてご確認ください。

5. よくある質問(FAQ)

Q1. 外国人ITエンジニアはどの在留資格で採用できますか?

一般的には「技術・人文知識・国際業務」に該当します。学歴・職歴・年収等の評価が70点以上になる場合は「高度専門職1号ロ」を選ぶこともでき、永住許可に係る在留歴の要件が緩和されるなどの優遇措置を受けられます。

Q2. 大学を卒業していない外国人エンジニアは採用できませんか?

採用できる場合があります。要件は4つのうちいずれかを満たせばよく、そのひとつが「法務大臣が告示で定める情報処理技術に関する試験に合格または資格を有していること」です。出入国在留管理庁の資料でも、外国の高校を卒業後にIT告示の試験に合格した人がシステムエンジニアとして就労する例が示されています。

Q3. IT告示の対象になる試験はどこの国のものですか?

日本国内の情報処理技術者試験等に加えて、相互認証を受けている中国、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、台湾、マレーシア、タイ、モンゴル、バングラデシュ、シンガポール、韓国で実施された試験等が対象です。告示は改正されることがあるため、申請前に最新の内容を確認してください。

Q4. 外国人エンジニアの給与はどのくらい必要ですか?

在留資格の要件として、日本人が同じ業務に従事する場合に受ける報酬と同等額以上であることが求められます。参考として、令和6年外国人雇用実態調査では専門的・技術的分野の一般労働者の月間きまって支給する現金給与額は289.1千円でした。

Q5. 採用を決めてから入社までどのくらいかかりますか?

技術・人文知識・国際業務の在留審査処理期間は、令和8年6月許可分で在留資格認定証明書の交付まで平均51.4日、在留資格変更まで平均56.8日でした。海外から呼び寄せる場合は査証申請と渡航準備が加わるため、内定から入社まで4か月程度を見込むと安全です。

6. まとめ

外国人ITエンジニアの採用でまず押さえたいのは、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の要件が4つのうちいずれか1つで足りるという点です。大学卒業、日本の専門課程修了、10年以上の実務経験、そしてIT告示で定める試験の合格——このうちどれかを満たせばよく、実務ではIT告示が候補者の幅を大きく広げます。
IT告示の対象は、国内試験に加えて中国・フィリピン・ベトナム・ミャンマー・台湾・マレーシア・タイ・モンゴル・バングラデシュ・シンガポール・韓国で実施された試験です。インドネシアのように対象に含まれない国もあるため、候補者の国籍と保有資格をセットで確認してください。
長期で中核を担ってほしい人材であれば、高度専門職1号(ロ)も選択肢になります。日本語能力試験N1で15点、N2で10点、IT等の成長分野の先端プロジェクト従事で10点が加算されるため、経歴次第では70点に届きます。
手続きの期間は、技術・人文知識・国際業務で認定証明書の交付まで平均51.4日。海外採用なら内定から入社まで4か月程度を見込み、採用計画の段階から申請期間を織り込んでおくことが、入社日を守る最も確実な方法です。

7. 優良な外国人採用サポート企業をご紹介

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参考文献

・出入国在留管理庁・経済産業省商務情報政策局「外国人IT人材の在留資格と高度人材ポイント制について」(令和2年1月改訂)
 https://www.moj.go.jp/isa/content/930003139.pdf
・出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」
 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html
・情報処理推進機構(IPA)「情報処理技術者試験の海外との相互認証」
 https://www.ipa.go.jp/shiken/asia/mutual-recognition/
・厚生労働省「令和6年外国人雇用実態調査の結果」
 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_61317.html

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