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海外旅行博への出展ガイド|インバウンド誘客につなげる選び方・準備・商談のコツ

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海外旅行博への出展でインバウンド誘客を目指す観光事業者・自治体・DMO向けに、一般消費者向けと業界向けの違い、ITF・WTM・ITB Berlinなど主な旅行博の時期、JNTOや日本観光振興協会の共同出展、費用と補助金、出展前後の準備とフォローを解説します。

海外からの誘客を考えたとき、最初の一手として海外旅行博への出展を検討する観光事業者や自治体は少なくありません。一方で、JNTO(日本政府観光局)の調査レポートは、パンフレットの多言語化や海外の旅行博出展は取り掛かりやすく多くの地域が予算を投じているものの、認知度が低く誘客という成果になかなかつながらないケースがあると指摘しています(出典:JNTO「インバウンド事例調査レポート」2019年)。
本記事では、旅行博は「出ること」より「出たあと」で差がつくと考え、海外旅行博の種類と主な開催時期、共同出展の方法と費用、出展前・当日・出展後の動き方を、中小の観光事業者・自治体・DMOの担当者に向けて整理します。

この記事でわかること

  • ・一般消費者向けと旅行業界向けの旅行博の違いと、主な旅行博の開催時期
  • ・JNTOや日本観光振興協会の共同出展の仕組みと費用の目安
  • ・出展費用に使える補助金と確認すべき条件
  • ・出展前・当日・出展後に何をすれば誘客につながるか

1. 海外旅行博とは?訪日誘客での役割

一般消費者向け(BtoC)と旅行業界向け(BtoB)の違い

海外旅行博は、各国の政府観光局や旅行会社などが旅行先の魅力を伝える展示会で、一般消費者向け(BtoC:企業が個人に向けて行う取引)と、旅行業界向け(BtoB:企業同士の取引)の2種類があります。
BtoCの旅行博には海外旅行に関心のある幅広い層が来場し、実際の反応を見ながら情報発信ができます。JNTOがタイやシンガポールで主催する旅行博では、会場で旅行商品の販売も行われます(出典:JNTO「旅行博やイベントの主催・出展」)。
BtoBの旅行博は、旅行会社などの業界関係者が集まり、ツアー商品の造成(旅行会社が旅行を企画して商品にすること)に向けて商談する場です。英国のWTMやドイツのITB Berlinが代表例です。
認知を広げたい、個人旅行者の反応を確かめたいならBtoC、現地の旅行会社にツアーへ組み込んでもらいたいならBtoBが向いています。

主な旅行博と開催時期

JNTOの「主要な観光見本市等スケジュール」をもとに、主な旅行博をまとめました。

旅行博 開催地・時期 主な対象 来場者数
ITF(台湾国際旅行博) 台北。2026年は11月6日〜9日 一般消費者 36.5万人(2025年)
TITF(タイ国際旅行フェア) バンコク。例年1月(2027年1月、日程未定) 一般消費者 約29万人(2025年度)
WTM(World Travel Market) ロンドン。2026年は11月3日〜5日 旅行業界 約4万6,500人(2025年)
FITUR マドリード。2027年は1月20日〜24日 旅行業界・一般消費者 25万5,000人(2026年)
ITB Berlin ベルリン。2027年は3月16日〜18日 旅行業界 約9.7万人(2026年)

出典:JNTO「2026年度主要な観光見本市等スケジュール」(2026年7月1日現在)。ITFは日本観光振興協会、FITUR・ITB Berlinの来場者数は主催者発表。
募集の受付中・終了は時期で変わるため、JNTO「出展・参加者募集」ページで最新を確認しましょう。

2. 出展する方法と費用の考え方

共同出展(JNTO・日本観光振興協会の日本ゾーン)と単独出展

共同出展の代表が、JNTOのビジット・ジャパンブースです。2026年8月17日〜20日(当初予定の5月から延期)のArabian Travel Marketでは、自治体・DMO(観光地域づくり法人)、観光施設、運輸機関、宿泊施設などを対象に8団体を募集し、地域・業種のバランスや具体的な商材等も考慮して決めるとしていました(出典:JNTO「Arabian Travel Market 2026」共同出展募集、同2026年4月17日更新資料)。JNTOの役割は「JNTO(日本政府観光局)とは?」で解説しています。
ITFでは、日本観光振興協会が日本ゾーンの企画・運営を担い、2025年は110団体・207ブースが出展しました。申込から出展まで事務局が日本語で支援します(出典:日本観光振興協会「ITF2026日本ゾーン出展募集要項」)。2026年の募集は6月30日で終了しています。
単独出展は装飾などを自由に決められる反面、手続きや現地手配をすべて自前で行うため、初めてなら共同出展から始めると負担を抑えられます。

費用の内訳(出展料・装飾・渡航・販促物)と補助金の探し方

ITF2026の日本ゾーンは、壁や社名板があらかじめ組まれた3m×3mのシェルブースで1ブース53万2,000円です。JNTOの共同出展の参加費は、WTM2026が70万円、FITUR2027が約58万円、フィンランドのMatka Nordic Travel Fair 2027が約18万円です(いずれも予定、出典:JNTO 2026年4月17日更新資料)。別に渡航・宿泊費や装飾、通訳、資料の制作・翻訳費がかかります。
補助金では、小規模事業者持続化補助金が海外展示会の出展料や通訳料・翻訳料、販路開拓のための旅費を対象にしています。対象は小規模事業者(宿泊業・娯楽業は常時使用する従業員20人以下、商業・サービス業は5人以下)で、一般社団法人・一般財団法人(多くの観光協会・DMO)や自治体は対象外です。通常枠の補助上限は50万円、補助率は3分の2です。第20回は申請受付が2026年11月5日〜12月15日(事業支援計画書〈様式4〉の発行受付締切は12月4日)、採択発表は2027年3月頃の予定、交付決定はその概ね1〜2か月後です。交付決定前に請求・支払いした経費は対象外のため、出展時期と交付決定の時期を必ず照らし合わせましょう(出典:同補助金 第20回公募 公募要領)。
国の補助で出展料の一部が助成される出展も対象外で、JNTOの共同出展は「国以外の機関が国の補助金等で実施する助成」に当たる可能性があります。使えるかどうかや自治体独自の制度の有無は、商工会議所・商工会や、自治体の観光担当・DMOに確認しましょう。申請の流れは「インバウンド補助金の申請方法」で解説しています。

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3. 成果につなげる準備と当日の動き方

出展前:狙う市場・目的・KPIを決め、商談のアポを入れておく

最初に決めるのは狙う市場です。自地域への行きやすさや、旅行者の関心と観光資源の相性から絞り込みます。長野県の木曽おんたけ観光局は、空港から木曽へのルートと各空港の就航先を洗い出し、経済力や観光テーマとの相性も考えて、ドイツ・イギリスなどをターゲットに選びました(出典:JNTO「インバウンド事例調査レポート」2019年)。
次に、出展の目的とKPI(成果を測る指標)を決めます。BtoCなら資料の配布数やSNSのフォロワー増加数、BtoBなら商談件数やファムトリップ(海外の旅行会社を招く視察旅行)の参加社数、その後の商品化件数などが目安です。BtoBの旅行博に出るなら、事務局の案内に沿って、狙う市場の旅行会社に早めに商談を申し込んでおきましょう。

当日:ブースで配る物・伝え方・名刺やリードの回収

配る物と伝え方は、相手に合わせて変えます。BtoCでは、地図や写真で行き方と楽しみ方がひと目でわかる資料が役立ちます。ITF2025の日本ゾーン来場者アンケートでは、訪日歴6回以上が55.7%、複数回の訪日経験者が89.5%でした(出典:日本観光振興協会)。日本をよく知る人には、まだ知られていない過ごし方を示すのが効果的です。
BtoBでは、料金や受け入れ可能な人数、予約方法をまとめた資料が商談の土台です。木曽おんたけ観光局は、ITB Berlinで母語話者の確認(ネイティブチェック)を経た質の高い資料を用意しました。なおJNTOは、できる限り紙のパンフレットを使わない方針を示し、共同出展者にも映像やデジタル資料の活用を勧めています(出典:JNTO「Matka Travel Fair 2026」出展参加者募集)。
名刺やリード(見込み客の連絡先)の回収も欠かせません。BtoCならQRコードでSNSやメール登録へ誘導し、BtoBなら相手の関心と次に送る資料をその場で記録しておくと、出展後のフォローがしやすくなります。

出展後:現地旅行会社へのフォローと、商品化・SNSへのつなぎ方

帰国後は早めに連絡し、商談で約束した資料を送りましょう。
木曽おんたけ観光局は、ITB Berlinで知り合った旅行事業者と、会議で入手した参加者リストをもとに、ファムトリップの半年前にメールで案内を送りました。返信率は低かったものの、応募してきた会社は前向きに関心を持っていると判断して招き、1回あたり平均10社程度を受け入れています(出典:JNTO「インバウンド事例調査レポート」2019年)。
BtoCで得たSNSのフォロワーやメール登録者には、会期後も季節の情報やモデルコースを届け続けます。出展前に決めたKPIは半年後・1年後にも振り返り、次の旅行博や市場選びに生かしましょう。

4. よくある質問(FAQ)

Q1. 海外旅行博にはどのような事業者が出展できますか?

JNTOの共同出展では、自治体・DMOのほか、観光施設、運輸機関、宿泊施設などが対象になった例があります。対象や募集数は旅行博ごとに異なるため、募集案内で確認しましょう。

Q2. 出展費用はどれくらいかかりますか?

ITF2026の日本ゾーンは1ブース53万2,000円、JNTOの共同出展の参加費は約18万円〜70万円(2026年度の予定額)です。これに渡航・宿泊費、装飾、資料の制作・輸送費などが加わります。

Q3. 旅行博の出展に補助金は使えますか?

小規模事業者持続化補助金は海外展示会の出展料や旅費も対象ですが、使えるのは小規模事業者(宿泊業・娯楽業は従業員20人以下、商業・サービス業は5人以下)で、一般社団法人・一般財団法人(多くの観光協会・DMO)や自治体は対象外です。交付決定前の請求・支払いも対象外のため、出展時期と照らし合わせて商工会議所・商工会に確認しましょう。

Q4. 出展後はまず何をすればよいですか?

商談した旅行会社へ早めに連絡し、追加資料を送ります。関心の高い会社はファムトリップに招いて商品化につなげ、一般消費者向けで得たSNSのフォロワーには会期後も情報発信を続けます。

5. まとめ

海外旅行博はBtoCとBtoBの違いを踏まえ、目的に合わせて選ぶことが出発点です。初めてなら、JNTOのビジット・ジャパンブースやITFの日本ゾーンといった共同出展で負担を抑えられます。
出展前に市場とKPIを決め、商談相手をファムトリップや商品化へ、来場者をSNSへつなげる流れまで設計してから出展しましょう。

6. 優良な海外進出サポート企業をご紹介

「Digima〜出島〜」には、厳正な審査を通過した優良な海外進出サポート企業が多数登録しています。

海外旅行博の出展は、狙う市場の選定から多言語の資料づくり、現地旅行会社との商談、出展後のSNS発信までが一続きです。インバウンド領域に実績のある企業に相談することで、自地域に合った市場と出展後の進め方を早い段階で描けます。
「どの旅行博に出るべきか迷っている」「出展後のフォローや現地向けの発信を任せたい」といった段階のご相談でも構いません。無料でご相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください。

参考文献

・日本政府観光局(JNTO)「旅行博やイベントの主催・出展」
 https://www.jnto.go.jp/projects/overseas-promotion/market-projects/fairs-events.html
・日本政府観光局(JNTO)「商談会の主催・旅行見本市の出展」
 https://www.jnto.go.jp/projects/overseas-promotion/market-projects/business-matching.html
・日本政府観光局(JNTO)「2026年度主要な観光見本市等スケジュール」(2026年7月)
 https://www.jnto.go.jp/assets/pdf/statistics/market-info/eventschedule_7.pdf
・日本政府観光局(JNTO)「中東地域市場『Arabian Travel Market 2026』および『JNTO商談会』への共同出展・参加団体(セラー)募集」(2026年2月)
 https://www.jnto.go.jp/news/nf20260206_1.pdf
・日本政府観光局(JNTO)「2026年度欧州・中東地域市場における見本市出展及び商談会・ネットワーキングイベントの実施予定について(更新)」(2026年4月17日)
 https://www.jnto.go.jp/news/nf20260417_2.pdf
・日本政府観光局(JNTO)「フィンランド・ヘルシンキの国際旅行博『Matka Travel Fair 2026』への出展参加者募集」(2025年10月)
 https://www.jnto.go.jp/news/nf20251003_4.pdf
・日本政府観光局(JNTO)「インバウンド事例調査レポート 地域における訪日インバウンドプロモーションの取り組み」(2019年3月)
 https://www.jnto.go.jp/projects/regional-support/images/2019/03/all_inbound_matome0318.pdf
・公益社団法人日本観光振興協会「2026台湾国際旅行博(ITF2026)のご案内」
 https://www.nihon-kankou.or.jp/home/itf/
・公益社団法人日本観光振興協会「2026台湾国際旅行博 日本ゾーン出展募集要項(第1報)」(2026年3月)
 https://www.nihon-kankou.or.jp/home/userfiles/files/autoupload/2026/03/itf2026bosyuu.pdf
・小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉第20回公募 公募要領(商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金事務局、2026年7月)
 https://r6.jizokukahojokin.info/doc/r6_koubover8_ip20.pdf

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