【最新版】成功のためのインバウンド調査 | 訪日観光客向けビジネスに必要な4つの調査とは?

日本に対する関心の高まりや円安の影響などから、コロナ禍で息を潜めた外国人観光客が完全に復活、今や有名な観光地だけではなく、街のあちこちで外国人観光客の姿を目にするようになりました。
実際、SNSでも日本旅行動画が絶えず話題となり、イギリスに在住している筆者の周りの友人からも日本に行ってみたい、という声をここ最近頻繁に耳にするようになりました。
そんな外国からの訪日者を対象にしたビジネス活動であるインバウンドビジネスは、日本経済にとっても重要な役割を担っており、ビジネスの成功のためにはインバウンド観光客の動向や価値観を深く理解する必要があります。
本稿では、そんなインバウンド観光客の理解に不可欠なインバウンド市場調査の4手法について、実例を交えてステップをわかりやすく解説します。
▼ 【最新版】成功のためのインバウンド調査 | 訪日観光客向けビジネスに必要な4つの調査とは?
インバウンドビジネス成功の鍵:市場調査の重要性
(観光庁によるインバウンド消費動向調査より抜粋)
コロナ禍明けの2023年以降、訪日外国人旅行者の数が増加し続けています。中でも昨年2024年度の成長は目覚ましいものがあり、訪日外国人旅行消費額は約8兆円(速報値)に達するほど拡大、増加率も2023年度比53.4%と大きく伸長しました。
この流れは多くの新しい商機を生み出していると言え、購買意欲が高いインバウンド観光客をターゲットにしたい、と思う企業も多いのではないでしょうか。
一口にインバウンド観光客とは括れない、多様な国からの観光客を国ごとに、行動パターンや消費動向把握することは大変重要です。そうすることで、失敗のリスクを下げ、より効果的なマーケティング戦略に繋げることができます。
例えば、お土産ひとつにおいても、台湾人観光客とアメリカ人観光客とでは好まれるパッケージ、主に購入されるお土産の種類、訴求ポイントも全く異なります。潜在顧客は誰なのか、そのターゲットが真に求めているものは何かを正しく把握することが、ビジネス成功の鍵を握るのです。
インバウンドビジネスの拡大は、単に企業の利益を追求するだけでなく、日本の文化や魅力を世界に発信する絶好の機会でもあります。
このように多岐にわたる利点を考慮すると、市場とターゲットへの理解を深め、その機会を最大限に活用することこそが、成功への最短ルートとなるのです。
インバウンド調査の具体的な目的:知っておくべき3つのポイント
そんなインバウンド調査の具体的な目的としては、以下のようなポイントが挙げられます。
- ターゲット層を詳しく知る:インバウンド観光客の詳細なプロファイル—国籍、性別、年齢、消費行動を把握します。例えば、”アメリカ人観光客は体験型のアクティビティを重視する傾向がある”や”中国人観光客は高級ブランド品を好む傾向がある”といった情報を把握することで、ターゲット層に合わせた効果的なマーケティング戦略を立てることができます。
- 商品とサービスの質を高める:インバウンド観光客がどのような商品やサービスを求めているのかを理解することで、商品やサービスの改善に繋げていくことができます。
- 競争力を強化する:外国人観光客のニーズを的確に捉え、商品やサービスに反映していくことで、競合他社に先駆けて競争優位性を確立できます。
上記からも分かるように、インバウンド調査は、企業の成長を加速させるための強力なツールとなります。 調査によって得られたデータは、ビジネスを成功に導くための貴重なインサイトを与えてくれるのです。
インバウンド調査の4手法とステップ
インバウンド調査でよく使用される調査手法として主に以下の4種類に分けられます。
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デスク調査:デスク調査は、観光庁の統計データなど既存の情報を使って、インバウンド観光客のトレンドや消費行動を分析する方法です。初期の市場分析やトレンドの特定に役立ち、その結果をもとに、より具体的な調査設計を立てることが可能です。
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定量調査:一般的にWebアンケートを実施、そこから得られる数値データを用いてインバウンド観光客特性を明らかにする手法です。この調査の最大の利点は、大規模なサンプルから得られるデータを統計的に分析し、客観的かつ具体的な結果を導き出せる点にあります。過去一定の期間に日本にきたことのある人、など、対象者条件を絞って調査が可能です。また、今日本にきている方を対象とする定量調査には、観光地や空港などで観光客に声をかけ、回答していただく方法もあります。
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定性調査:インバウンド観光客の動機、感情、経験を深く掘り下げることに重点を置いています。フォーカスグループインタビュー(一対複数人のインタビュー)やインデプスインタビュー(一対一のインタビュー)、有識者インタビューを通じて生の声を聞き、その背後にある意見や感情を理解します。文化も価値観も全く違うインバウンド観光客のインサイトをいきなり仮説立てるのはかなり難しいと言わざるを得ず、彼らの生の声は貴重なデータとなります。場合によっては街頭インタビューや同行観察も行うことがあります。
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ソーシャルリスニング:SNS(XやInstagram、YouTubeのコメント欄など)やブログなどのソーシャルメディア上の発言を収集・分析することで、インバウンド観光客の興味関心や意見、トレンドなどを把握する手法です。リアルタイムで幅広い層の意見を素早く収集できる点が強みとなります。
上記のような調査のステップとしては以下が一般的な流れとなります。
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調査設計の決定:企業が抱えている課題と状況に応じて上記の中でどの調査を実施するかを決定します。
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対象者の選定:どの国及びどの年代の訪日客を対象として調査を行うのかを決定します。商材、場所、企業の状況によって対象者は変わります。
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データの収集:調査を実施し、データを収集します。
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結果分析:データを分析、得られたインサイトを元にその後のマーケティング戦略に活用します。
適切な調査手法やステップについては企業の抱えている課題、業種、予算、スケジュールによっても左右されますので経験豊富なエキスパートに1度相談するのが好ましいでしょう。
次のセクションでは、具体的な事例を通して、これらのステップをより詳しく解説していきます。
インバウンド調査事例:宿泊施設調査
例として、当社が2024年に実施した、ある都市での宿泊先に関する調査のプロセスと結果をご紹介します。
その調査の目的は、今後建設予定の宿泊施設の方向性を検討するための材料と、ターゲットの特性を把握することです。
まずはデスク調査によって、その都市への国籍別訪問者数が高い国を導き出します。ピンポイントで情報が見当たらない場合は日本全体のランキングやその都市の特徴を元に仮説立てて調査対象国を絞込みます。
今回のケースでは6カ国の男女20歳から60歳を対象としました。
次に調査目的をベースに、調査の要となる設計を行います。 予算やスケジュールも考慮しながら、最適な方法を決定します。
今回は、その都市への宿泊意向や、一般的な宿泊施設に求める付帯施設、価格帯、サービスなどを国別に定量調査(Webアンケート)を通じて調査しました。
その結果を分析した所、その都市への宿泊意向が国別で明確に別れることが判明。更に宿泊意向の高い国での想定予算は宿泊意向が低い国と比較して高いことも分かりました。
求めるサービス及び付帯施設に関しても国や年代ごとに差が見られたため、今後のビジネス戦略を構築していく上で非常に役にたつ示唆が得られる結果となりました。
更に新たなインサイトも多数得られたため、筆者としても改めてインバウンド調査の重要性を認識できた一件となりました。
インバウンドビジネス成功には「インバウンド調査」は必須
今回の記事では訪日外国人観光客の増加によるインバウンド市場の拡大、及び調査の概要と重要性について実例も備えて解説しました。
前述した通り、成功のカギを握るのは、インバウンド観光客のニーズや文化・価値観を深く理解すること。そのためには、事前の徹底したインバウンド調査が不可欠です。
私共、株式会社レインは、世界40カ国以上に渡って現地専門家とのネットワークを構築しています。レイン独自のネットワークは、現地語・日本語を解する多数の専門調査員や、様々な専門領域を持つ大学教授陣、また、現地の内情に精通した各国の調査会社などから構成されています。
インバウンド案件としては、過去にはインバウンド旅行者向け化粧品や、ホテル事業、商業施設へのインバウンド旅行者の呼び込みのための調査など、幅広い支援実績がございます。
初めて調査を行うという企業の方に対しても、調査のプロが調査設計~結果の分析、ビジネス戦略の示唆まで一貫して丁寧にサポートいたします(調査設計までは無料となります)。
訪日外国人旅行者向け製品やサービス展開をご検討の際には、ぜひ当社までご連絡をいただけましたら幸いです。
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