海外進出が加速している業種ランキング 一覧 ~『海外進出白書 2017-2018年版』より~

海外進出が加速している業種一覧について、日系企業2,589社の海外進出動向についてまとめた『海外進出白書2017~2018年度版』より解説します。
海外進出を検討するにあたって、「どの国で、どのような業種が人気なのか?」を知ることは、もっとも重要なポイントです。
本稿では、「海外進出国ランキングTOP3」である「中国・アメリカ・ベトナム」に進出している業種について、それぞれ国別にランキング形式で集計したデータをもとに、各国における業種別の商機について考えていきます。
1. 業種別でみる日系企業の進出先とは?
進出業種は国によって異なるが、全体的な傾向あり

業種によっても進出する国が異なってきますが、全体的な傾向としては、「製造業」と「卸売・小売業」で全体の半分を占めており、「IT・通信業」が全体の1割、さらに「サービス業」「宣伝・広告費」「飲食業」がそれぞれ追う形となっています。本章では、人気進出先TOP3の進出業種について見ていきます。
中国の進出業種の実情

中国では、全体の業種別の割合に比べ、卸売・小売業の割合がさらに大きくなっていることがわかります。割合としては、31%で「卸売・小売業」がトップ、「製造業」が24%で2位、「IT・通信業」が11%で3位となっています。その下には、「コンサルティング業」、「サービス業」、「飲食業」と続きます。
全体の業種と比較すると、「卸売・小売業」、「アパレル業」の割合が高くなっています。これは、日本企業が中国を消費市場として捉えていることがわかります。中国の消費市場は、成長傾向にあり、これからも日本企業の販路拡大としてのニーズが高まっていくと考えられます。
その中で、天猫や京東といった越境ECといったアプローチ方法も登場しており、このサービスをいかに活用していくかが、中国市場攻略のカギとなります。
日本企業が中国に進出する際には、「サービス業」や「飲食業」にビジネスチャンスがあります。これらの業種での進出は現地の商習慣や厳しい規制もあり、進出が難しいですが、その分競合が少なく、成長の余地があります。
また、「サービス業」の中でも教育やメディカルケアといった分野は、中国国内の教育への投資の増加や高齢化により注目が集まっており、進出の余地が大いにあります。
アメリカの進出業種の実情

アメリカの場合、「卸売・小売業」「製造業」が19%でそれぞれ1位になっています。3位以下を見てみると、「IT・通信業」が16%で3位、「サービス業」、「飲食業」、「コンサルティング業」が後に続きます。
注目すべき点は、全体の進出業種の割合と比較して、「卸売・小売業」「製造業」が低くなっている一方で、「IT・通信業」、「サービス業」、「飲食業」の割合が大きくなっています。これは、トランプ政権による保護経済政策によるところが大きいです。
トランプ大統領は、TPP離脱の大統領令署名や製造業の拠点をアメリカに戻すといった発言をしています。このような保護経済政策は、アメリカ国内の製造業に多大な影響を与えます。現在、アメリカに進出している企業は、様子見をしている場合が多いようです。
アメリカは、「IT・通信業」、「サービス業」、「飲食業」の割合が高いですが、これはアメリカの消費市場が非常に大きいことが挙げられます。「飲食業」では、ニューヨークの「健康食ブーム」で日本食が注目されたこと、「IT・通信業」では、FacebookやTwitterなど、アメリカ発のITサービスが多いことから、まずはアメリカ進出を検討する飲食企業・IT企業も増えてきています。
ベトナムの進出業種の実情

ベトナムの進出業種では、「卸売・小売業」が31%でトップ。続く2位が「IT・通信業」と「製造業」で、共に 12%という割合になっています。まず、「製造業」の割合の低さと「IT・通信業」についてで、2014 年までの日系企業のベトナム進出は、製造業の製造拠点としての進出が多くなっていました。
しかし、2015年に順位を上げた際に進出が増えた業種は、製造業ではなく IT・通信業でした。ベトナムの特徴として思い浮かぶのは「安価な労働者」のイメージでしょう。日本に比べ、三分の一ほどのコストであるとされています。そのため、製造業の進出先としても有望です。
しかし、それ以上に「IT・通信業」の進出先として魅力的になっています。「IT・通信業」の主な業態として、他社の開発業務を請け負う「開発会社」があります。彼らは次世代の製造業とも言える存在で、大量のITエンジニアを雇い、ソフトウェアを構築します。
その点、ベトナムはエンジニア育成に国策として取り組んでおり、大量に優秀で安価なエンジニアを確保できる国となりました。日本企業の IT 開発を海外で請け負う「オフショア開発」の中心となっているのが、ベトナムの企業です。
ただし、製造業のベトナム離れに関しては、IT・通信業の活況だけではなく、ベトナム人材の人件費の高騰も理由となっています。そのため、ミャンマーやバングラデシュといったより安価に人材を提供できる国へのシフトが始まっています。その一方で、「卸売・小売業」の割合は高くなっています。この点で、ベトナムはかつての中国のように、「製造拠点」から「消費市場」へとニーズを変えていくことが予期されます。
それを考える上で重要なのが「E コマース市場」です。ベトナムのEコマース事業は、同国の経済において10%の割合を占めていると報じられています。
成長率も年率 25%という伸びを示しており、日本と比較した場合、2.5 倍の速度で成長しています。Eコマース市場が急速に発展した要因としては、若年層の人口が多いこと、 IT教育に力を入れていることが挙げられます。
この2つの要因により、国内店舗の 90%が、インターネットを使用した顧客アプローチを行うという驚異的なオンライン市場の発達が実現しました。今後も同国のEC市場は年率30~50%の成長が予測されています。
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