フェアトレードとは?メリットと問題点、商品・認証ラベル(マーク)を簡単にわかりやすく解説
「フェアトレード(Fair Trade)」とは「公平・公正な貿易」を意味します。
本テキストは「フェアトレードとは?」と銘打って、フェアトレードの対象商品(製品)、フェアトレードが必要な理由、フェアトレードの基準、フェアトレードの認証ラベル(マーク)、フェアトレードのメリットと問題点…などについて解説します。
誤解を恐れずに言えば、フェアトレードの目的には、発展途上国の労働者の生活を向上させるだけでなく、それにともなって、世界の人権問題や環境問題や教育問題を解決し、やがては世界全体を公正かつ持続可能性のあるものにしていくという、いわば地球の未来に繋がっている大きなコンセプトが内包されています。
グローバリズムが浸透した世界に生きる全ての消費者にとって、そしてなによりも海外ビジネスに従事する者・企業にとって、フェアトレードを理解することは非常に重要なのです。
▼フェアトレードとは? | フェアトレード商品・認証ラベル(マーク)・メリット&問題点…など
- 1. フェアトレードとは
- 2. なぜフェアトレードが必要なのか?
- 3. フェアトレードの基準
- 4. フェアトレードのラベル(マーク)について
- 5. フェアトレードの商品
- 6. フェアトレードのメリットと問題点
▼アナタの海外ビジネスを成功させるために
1. フェアトレードとは
フェアトレード=公平・公正な貿易
「フェアトレード(Fair Trade)」とは「公平・公正な貿易」を意味します。具体的には、発展途上国で生産された製品や原料を、適正な価格と対等な関係で継続的に貿易をするという国際的な取り組みを指します。
生産者・労働者に対して正当な対価を支払うフェアトレードを実施することで、発展途上国の人々の生活を改善・向上させることに繋がります。
さらに、フェアトレードの実施によって、途上国の貧困問題の解決はもちろん、それらの国の製品や現状を購入した企業や消費者にも大きなメリットがもたらせられるのです。
以下、その理由を解説していきます。
2. なぜフェアトレードが必要なのか?
フェアトレードが生まれた背景には近代の植民地支配や奴隷制度がある
フェアトレードが生まれた背景には、近代の植民地支配や奴隷制度があります。
近代社会で著しい発展を遂げた西欧諸国は、その勢力を東南アジア諸国まで伸ばし、現地を植民地として開拓および支配してきた歴史があります。
宗主国から長きに渡って不当な支配を受けてきた植民地の国々は、第二次大戦以降に独立していきます。そして、かつて植民地だった国々は、やがて発展途上国と呼ばれるようになりましたが、独立後も、その経済的な立場の弱さから、先進国との不公平かつ不正な貿易を強いられました。
具体的には、自国で生産した原材料・製品が、正当な価格で取引されないことが多々ありました。そのような安い賃金しか受け取れない現地の労働者は、なかなか劣悪な労働環境から逃れることができず、その国の労働市場に長期的な貧困問題を生み出していきます。
やがて、その劣悪な労働環境を背景に、長時間の児童労働、生産効率を上げるための規定値を超えた農薬の使用、開拓のためのむやみな森林伐採など、人権および環境問題が問題視されるようになっていったのです。
フェアトレードの目的とは…?
フェアトレードには、そのような貧困問題に苦しむ発展途上国との「公正かつ公平な貿易」を実現することで、現地の労働者の生活を向上させ、結果的に人権や環境問題も解決していこうという目的があります。
つまりフェアトレードの目的とは…
「途上国との貿易で正当な価格での取引を実現する」
↓
「途上国の労働者に安定した収入がもたらされる」
↓
「途上国の労働環境が改善される」
↓
「途上国に新たな技術発展がうながされ、児童労働を含む労働者の人権も守られ、現地の環境問題も改善する」
↓
「途上国が生産する製品の質が向上する」
↓
「世界の消費者の満足が向上」
↓
「世界中でより公正かつ公平な貿易が活性化する」
…といった一連の好循環を実現することにあるのです。
3. フェアトレードの基準
フェアトレードを掲げる団体は世界中に複数存在する
フェアトレードのコンセプトは、1960年代からヨーロッパを中心に広まっていきました。やがて、国際フェアトレード基準の制定、国際フェアトレード製品の認証や、それらを示すためのラベルの制定・導入、フェアトレードの認証団体が設立されていきました。
このセクションではそんな「フェアトレードの基準」について解説します。
実際にフェアトレードを掲げる組織・団体は世界中に複数存在しています。
フェアトレードの一般的な定義は、「公正・公平な貿易を継続することで、生産者の自立を促し、持続的な生活向上を支える」となります。ただ、フェアトレードには、基準となる国際的な法律などは存在しません。その結果、細かい目的や基準は、各団体によって異なっているのが現状です。
ここでは、「国際フェアトレード基準」と呼ばれる、国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)によって設定されるフェアトレード全般に関する基準と、1989年に誕生した世界的なフェアトレード団体のネットワーク「WFTO(World Fair Trade Organization)」が掲げる10のフェアトレード基準の2つをピックアップします。
「国際フェアトレード基準」
国際フェアトレード基準は、開発途上国の小規模生産者・労働者の持続可能な開発を促進することを目指して設計されています。
それらの基準は、「生産者の対象地域」、「生産者基準」と「トレーダー(輸入・卸・製造組織)基準」、「産品基準」で構成されており、生産者とトレーダーは、適用される基準を守り生産や取引を行う必要があります。
それらの基準は大きく分けて、「経済」「社会」「環境」の3つの柱から成り立っています。
■経済的基準
・フェアトレード最低価格の保証
・フェアトレード・プレミアムの支払い
・長期的な取引の促進
・必要に応じた前払いの保証など
■社会基準
・安全な労働環境
・民主的な運営
・差別の禁止
・児童労働・強制労働の禁止など
■環境的基準
・農薬・薬品の使用削減と適正使用
・有機栽培の奨励
・土壌・水源・生物多様性の保全
・遺伝子組み換え品の禁止など
国際フェアトレード基準の最大の特徴は、生産コストをまかない、かつ経済的・社会的・環境的に持続可能な生産と生活を支える「フェアトレード最低価格」と生産地域の社会発展のための資金「フェアトレード・プレミアム(奨励金)」を生産者に保証している点にあります。
フェアトレード最低価格とプレミアムは、生産地域の物価・経済状況や、買い手側の意見を考慮した綿密な調査と総合的な判断により、産品ごと、生産地域ごとに明確に設定されています。
※参照:
『国際フェアトレード基準』フェアトレード ジャパン公式サイト
WFTO(世界フェアトレード連盟:World Fair Trade Organization)によるフェアトレードの10の指針 (10 Principles of Fair Trade)
WFTOとは、1989年に発足した、発展途上国の生産者・労働者の自立を支援するべく、適正な価格で商品を購入するフェアトレードを推奨する各国の組織の連合体です。
WFTOはフェアトレード団体が順守すべき指針として以下を定めています。
1. 生産者に仕事の機会を提供する
社会的に弱い立場に置かれた小規模の生産者が不安定な収入や貧困から脱し、経済的に自立することを支援します。
2. 事業の透明性を保つ
経営や取引における透明性を保ちます。すべての関係者に対し説明責任を果たし、参加型の意思決定を行います。
3. 公正な取引を実践する
バイヤーと生産者は、連帯と信頼、互いへの思いやりに基づき長期的な取引を行います。小規模生産者が社会的・経済的・環境的に健全な生活ができるよう配慮して取引し、利益を優先することはありません。また要望があれば、バイヤーは生産者に収穫や生産に先だって前払いを行います。
4. 生産者に公正な対価を支払う
生産者に対し、その活動地域の基準で社会的に受け入れられ、生産者自身が公正だと考える価格を支払います。公正な対価とは関係者全員の合意により決定されるものです。男女の同等の労働に対し、平等な対価を支払います。
5. 児童労働および強制労働を排除する
生産過程での強制労働を許さず、国連の「子どもの権利条約」および子どもの雇用に関する国内法や地域法を順守します。生産に子どもが関わる場合はすべて公開・監視の上、子どもの健全な生活や安全、教育、遊びに悪影響を及ぼさないようにします。
6. 差別をせず、男女平等と結社の自由を守る
雇用や賃金、研修の機会などにおいて、人種や社会階級、国籍、宗教、障害、性別や政治的信条など、あらゆる面において一切の差別をしません。男女に平等の機会を提供し、特に女性の参加を推進します。また、結社の自由を尊重します。
7. 安全で健康的な労働条件を守る
生産者が安全で健康的な環境で働くことができるよう、現地の法律やILO(世界労働機関)で定められた条件を守ります。また、生産者団体における健康や安全性についての意識の向上を継続的に行います。
8. 生産者のキャパシティ・ビルディングを支援する
立場の弱い小規模な生産者に、ポジティブな変化をもたらすことができるよう努めます。生産者の技術や生産・管理能力などのキャパシティが向上し、市場へアクセスできるよう支援します。
9. フェアトレードを推進する
フェアトレードの目的や必要性をより多くの人に知ってもらえるよう啓発します。また、消費者に対して販売者や生産者、商品の背景にある情報を提供し、誠実なマーケティングを行います。
10. 環境に配慮する
生産地で持続的に採れるものなど、サステナブルに管理された素材を最大限に活用し、エネルギーの消費と二酸化炭素の排出が少ない生産を心がけます。農業ではできるだけオーガニックや減農薬など環境への負荷の低い方法を用います。梱包にはリサイクル素材や生分解可能な素材を用い、輸送にはできるだけ船便を使います。
※参照:
『フェアトレード 10の指針』ピープルツリー
4. フェアトレードのラベル(マーク)について
フェアトレードの認証ラベル(マーク)にはおもに3つのタイプが存在する
このセクションでは、フェアトレード商品を認証ラベル(マーク)について解説します。
前項で解説したフェアトレードの基準を満たした商品には「認証ラベル」が添付されます。
フェアトレードの認証ラベルにはおもに3つのタイプが存在します。
① 国際フェアトレード(Fairtrade International)認証ラベル
② 世界フェアトレード(WFTO)認証ラベル
③ 各企業・団体独自のフェアトレード認証ラベル
下記よりそれぞれのラベルについて見ていきましょう。
① 国際フェアトレード認証ラベル(Fairtrade International)
前項にて解説した国際フェアトレード基準を遵守していることを証明するラベルです。
このラベルがある製品は、第三者機関による定期監査を受けており、国際フェアトレード基準を満たしていることを示しています。
② 世界フェアトレード認証ラベル(WFTO)
これも前項にて解説したWFTO(World Fairtrade International / 世界フェアトレード機関)によるフェアトレード認証になります。
WFTOは1989年に発足したフェアトレード団体の国際的なネットワーク機関です。WFTOの認証は、その企業の事業活動が100%フェアトレードの基準を満たしている場合に受けることができます。
つまりWFTOに加盟している企業の製品はすべて「フェアトレードの基準を満たしている」と言えます。
実際に加盟団体の商品の全てにラベルが貼られているわけではありませんが(※2013年より、WFTOの指針を守って作られた製品の一部に「製品ラベル」がつけられるようになりました)、WFTOに加盟している=フェアトレードを実施しているということが識別できます。
③ 各企業・団体独自のフェアトレード認証ラベル
先述したようにフェアトレードには基準となる法律がないため、どのような基準でフェアトレードを販売しても規制や罰則を受けることがありません。
したがって、各企業や団体が独自の判断でフェアトレード基準を作成して、生産者との直接取引や支援を実施しています。そのなかには上記の国際フェアトレード基準やWFTOのフェアトレード基準よりも厳しい基準を設定しているケースもあります。
日本では、それらの基準が定まる以前から、現地の生産者たちと直接取引していた企業・団体が多いこともあって、そのような独自のフェアトレード基準を導入している企業が多いとされています。
5. フェアトレードの対象製品について
国際フェアトレード対象産品とは?
フェアトレードの対象となる商品は数多く存在します。このセクションでは「国際フェアトレード対象産品」のリストを掲載します。
国際フェアトレード認証の対象となっているのは、以下の産品となります。
■食品
■食品以外
※参照:
『国際フェアトレード基準』フェアトレード ジャパン公式サイト
6. フェアトレードのメリットと問題点
最後のセクションでは、フェアトレードのメリットと問題点について見ていきましょう。
フェアトレードのメリット
メリット ①
発展途上国の生産者・労働者の生活向上と保全
メリット ②
環境保護の促進
メリット ③
児童労働、強制労働の改善
メリット ④
こどもの教育の促進
メリット ⑤
発展途上国の生産率・製品の品質向上
フェアトレードのメリットには、途上国の経済的な発展をうながすだけでなく、途上国の労働市場を改善することで、児童教育の発展もサポートされ、国民全体への教育が浸透し、結果的にその国の経済的な自立を促進する…という途上国の未来を見据えた大きなサイクルが内包されています。
フェアトレードの問題点
問題点 ①
フェアトレードの基準が曖昧で、基準となる法律が存在しない
問題点 ②
近代化によってその国の伝統的な技術の衰退が懸念されている
問題点 ③
フェアトレードに関する生産者と消費者との価値観の相互がある
問題点 ④
フェアトレード商品の価格が相対的に高めになってしまう
フェアトレードは、各国の団体・組織によって、規定や基準が異なっていることはすでに述べました。法的効力も存在しないので、フェアトレードの基準から外れているにも関わらず、フェアトレードを謳った商品を販売しても罰せられることがありません。
また、大量の商品を効率的に生産することで、その国・地域に伝承させている技術や農法が衰退してしまうことも懸念されています。さらに、現地の生産者にとっては、まずは稼ぐことが大前提であり、環境破壊をうながす農薬の導入や森林伐採などは、そういった厳しい現状を要因として実施されているという背景があります。
7. 優良な海外進出サポート企業をご紹介
御社にピッタリの海外進出サポート企業をご紹介します
今回は「フェアトレードとは?」と銘打って、フェアトレードの対象商品(製品)、フェアトレードが必要な理由、フェアトレードの基準、フェアトレードの認証ラベル(マーク)について、フェアトレードのメリット問題点…などについて解説しました。
それこそ日本には、フェアトレードという概念が浸透する前から、発展途上国の生産者と直接取引を行い、現地の生産技術の向上に貢献してきた企業・組織・団体が存在します。
発展途上国の生産者の生活向上、技術の発展、教育の発展は、環境問題の改善は、地球全体の未来に繋がっていきます。
グローバリズムが浸透した世界に生きる全ての消費者にとって、そしてなによりも海外ビジネスに従事する者・企業にとって、フェアトレードを理解することは非常に重要です。進出国が発展途上国と呼ばれる国であればなおのことです。
「Digima〜出島〜」には、厳選な審査を通過した優良な海外進出サポート企業が多数登録しています。当然、複数の企業の比較検討も可能です。「自社商品を輸出したい」「海外から商材を輸入したい」「通関や輸出入許可の申請をサポートしてほしい」「海外へ進出したいが何から始めていいのかわからない」……といった、多岐に渡る海外進出におけるご質問・ご相談を承っています。
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