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海外展開の戦略の立て方|決める4つの項目と3年以上続く企業の違い

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海外展開の戦略の立て方を、海外進出白書の調査をもとに解説します。誰に、どの国で、どんな形で売るか、誰が担い資金をどうするかの4つの決め方と、3年以上続いている企業と全体の違い、計画に落とす手順までわかります。

海外展開の戦略とは、誰に売るのか、どの国で売るのか、どんな形で売るのか、誰が担い資金をどう用意するのかの4つを決めることです。この4つがつながっていないと、国は決まったのに売り先がない、代理店と契約したのに誰も管理していないといったことが起こります。

Digima〜出島〜の『海外進出白書(2025-2026年版)』の調査をもとに、4つの項目の決め方と、海外事業を3年以上続けている企業と全体との違い、戦略を計画に落とす手順を解説します。

この記事でわかること

  • ・海外展開の戦略で決める4つの項目
  • ・企業が海外展開を考え始めたきっかけ
  • ・売る相手と国、進出の形の決め方
  • ・資金と体制の組み方
  • ・3年以上続いている企業と全体の違い

1. 海外展開の戦略で決める4つの項目

海外展開の戦略で決める4つの項目として、誰に売るのか、どの国で売るのか、どんな形で売るのか、誰が担い資金をどう用意するのか、を並べた図

戦略という言葉は大きく聞こえますが、実際に決めることは4つです。順番に決めていくと、次の項目の判断材料がそろいます。

4つは順番につながっている

最初に決めるのは売る相手です。消費者か企業か、どんな困りごとを持つ人かが決まると、その相手が多くいる国を選べます。国が決まると、規制や商習慣から取れる進出の形が絞られます。形が決まれば、必要な人と資金の大きさが見えてきます。逆に、人気の国や知り合いのいる国から考え始めると、そこに自社の買い手がいるのかを後から確かめることになり、やり直しが増えます。項目ごとに決めた理由を書き残しておくと、前提が変わったときにどこを直せばよいかもわかります。

計画書とは役割が違う

戦略は、どこで戦うかと何をしないかを決めるものです。計画は、それをいつ、いくらで、誰が進めるかに置き換えたものです。戦略が固まらないまま計画書を作ると、売上の見込みや費用の根拠を説明できません。社内の承認の場で「なぜこの国なのか」「なぜ現地法人なのか」と聞かれたときに答えられるかどうかが、戦略が固まっているかの確かめ方になります。計画書の書き方は海外展開の事業計画書の書き方の記事で解説しています。

2. 海外展開の目的をはっきりさせる

同じ国に出る企業でも、理由が違えば取る手が変わります。4つの項目を決める前に、なぜ海外なのかを社内で言葉にします。

きっかけで最も多いのは国内市場の縮小

海外進出白書で海外ビジネスを検討したきっかけを聞くと、国内マーケットの縮小が37.8%で最も多くなりました。取引先からのニーズが28.5%、海外企業からの問い合わせが24.4%と続き、コスト削減の必要は6.2%にとどまります。国内の売上を補うために出るのか、取引先についていくのか、届いた問い合わせに応えるのかで、急ぐ度合いも使える予算も変わります。取引先についていくなら売り先の見込みが立っていますが、新しい市場を開く場合は、買い手を探すところから始めることになります。

自社の強みを海外の買い手の目で見直す

国内で評価されている点が、海外でも選ばれる理由になるとは限りません。品質の高さが強みでも、相手国の買い手がその品質に値段を払わなければ強みになりません。現地の競合と比べて何が違うのか、その違いに誰がいくら払うのかを考えます。取引先や問い合わせをくれた相手に、なぜ自社に声をかけたのかを聞くと、社内では気づかなかった強みがわかることもあります。この答えが、次に決める売る相手と国の土台になります。

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3. ターゲットと進出先の国を決める

売る相手を決めてから国を選びます。市場の大きさだけで決めず、自社の商品が求められているかまで確かめます。

売る相手を具体的にする

企業向けなら業種と規模、担当者の役職まで、消費者向けなら年代や所得、買う場面まで具体的にします。「アジアの富裕層」のような広い言い方のままでは、どの国のどの売り場に置くのかを決められません。相手が具体的になると、調べる統計も、会うべき代理店も絞られます。最初は一番買ってくれそうな1つの層に絞り、そこで売れてから広げます。相手を絞ると機会を逃すように感じますが、少ない人手と予算で成果を確かめるには、そのほうが早く結果が出ます。

国は理由を持って1〜2か国に絞る

白書で進出先の国を決めた理由を聞くと、市場規模の大きさが67.9%で最多でした。自社製品やサービスのニーズがあったからが37.3%、すでに取引先があったからが26.9%と続き、人件費の安さは14.5%、税制優遇は3.6%です。どこで作るかより、どこで売るかで国を選ぶ企業が多くなっています。市場が大きい国は競合も多いので、大きさだけでなく、自社の相手がいるか、規制で参入できるかまで比べます。

4. 進出形態と販路を決める

進出の形は、投資の大きさと現地での動きやすさの兼ね合いで選びます。最初の形と、続いたあとの形は分けて考えます。

入口は拠点を持たない形が多い

白書で進出の形を聞くと、拠点を設けずにパートナーや販売代理店を通じる形が53.4%で最も多く、現地法人の設立は39.4%、越境ECは23.8%でした。販路を広げた方法でも、販売代理店やパートナーへの委託が57.5%で最多です。大きな投資をせずに買い手の反応を確かめられるのが、この形の強みです。一方で、代理店に任せきりにすると、売れない理由が自社に届きません。値段、売り場、買い手の声を報告してもらう約束を、契約の段階で入れておきます。

続いたあとの形まで考えておく

最初の形のまま続けるとは限りません。代理店で売上が立ったら現地法人に切り替える、越境ECで反応を見て現地の販売店を探すなど、次の形に進む条件を先に決めておきます。たとえば「この国の売上が年間いくらを超えたら」「取引先が何社になったら」と数字で置きます。条件がないと、手応えがあっても投資の判断が遅れ、反応がなくてもやめられません。

5. 海外事業の体制と資金を決める

どれほど筋の通った戦略でも、担当者と資金がなければ進みません。社内で担うことと外に任せることを分け、無理のない範囲を決めます。

資金は自社資金で回せる範囲を基準にする

白書で資金の調達方法を聞くと、自社資金のみが83.4%を占め、公的機関の助成金や補助金は17.1%でした。検討段階の予算は100万円未満や未定と答えた企業が多く、進出時と進出後に向けて規模が段階的に大きくなっています。予算を組むときは最初の費用だけでなく、売上が立つまでの運営費も見積もります。補助金は採択の結果や時期が読めないので、なくても回る計画にしたうえで上乗せします。制度の探し方は海外進出で使える補助金・助成金の探し方の記事で解説しています。

社内の責任者を先に決める

海外事業に責任を持つ人を1人決めます。兼務でもかまいませんが、週に使える時間と判断できる範囲をはっきりさせます。実務は外の力を借りられます。白書で専門家に依頼した業務を聞くと、海外進出コンサルティングが29.5%、海外進出総合支援が28.5%、海外市場調査・マーケティングが28.0%でした。戦略の立案、視察、販路の開拓は自社で行う企業も多く見られます。少人数の企業の進め方は中小企業の海外進出の現状と進め方の記事でも解説しています。

6. 海外事業を3年以上続けている企業の違い

回答企業全体と海外事業を3年以上続けている企業の割合を比べた図。現地法人の設立は39.4%に対して55.4%、海外拠点での外国人材の雇用は35.8%に対して55.4%、リスク管理の導入は11.4%に対して20.3%、越境ECでの進出は23.8%に対して13.5%

海外進出白書は、海外事業を3年以上続けている企業を成功企業と定義して全体と比べています。回答の差は因果関係を証明するものではありませんが、戦略を考える手がかりになります。

現地に根を張っている

3年以上続いている企業では、現地法人の設立が55.4%で、全体の39.4%より16ポイント高くなっています。越境ECでの進出は全体の23.8%に対して13.5%です。海外拠点で外国人材を雇用している割合も、全体の35.8%に対して55.4%でした。販路を広げる方法でも現地法人や営業拠点の設立が39.2%と、全体の32.6%を上回ります。拠点を持たない形で始めても、続けるうちに現地の人や拠点を持つ企業が増えていると読めます。戦略の中に、いつ現地に根を張るのかの判断を入れておきます。

備えと外の力を早めに用意している

リスク管理を導入した企業は、全体の11.4%に対して、3年以上続いている企業では20.3%でした。全体では導入は考えていないが42.0%で最多です。専門家への依頼も、すべての業務で全体より割合が高くなっています。商標の登録、海外に詳しい弁護士の手配、保険の加入など、問題が起きてからでは間に合わない備えは、事業が小さいうちに済ませます。一方で、現地パートナー探しを課題に挙げる企業は全体の57.0%に対して63.5%と高く、続いている企業にとっても相手探しは終わらない課題です。

7. 海外展開の戦略を計画に落とす手順

海外展開の戦略を計画に落とす手順として、公開情報で仮の戦略を立てる、現地で確かめる、数字と期限を置く、小さく始めて見直す、を順に並べた図

戦略は一度で完成しません。仮に決めて現地で確かめ、数字を置いて動きながら直していきます。

仮の戦略を現地で確かめる

最初は公開されている統計や規制の情報で、4つの項目を仮に決めます。次に、現地の売り場を見る、代理店候補に商品を見せる、展示会で買い手の反応を聞くといった方法で確かめます。想定していた相手が買わない、値段が合わないとわかれば、この段階で戦略を直します。本格的に調べるなら、事業として成り立つかを確かめるフィージビリティスタディも選択肢です。大きな投資の前に確かめておくと、やり直しの費用を抑えられます。

数字と期限とやめる条件を置く

確かめた結果をもとに、1年目と3年目の売上の目標、使う予算、担当者を決めます。あわせて、いつまでにどの数字に届かなければ形を変えるか、やめるかの条件も置きます。海外展開を始めると、投じた費用が惜しくなって判断が遅れがちです。条件を先に決めておくと、感情ではなく数字で判断できます。半年に1回は4つの項目を見直し、前提が変わっていれば戦略も変えます。立ち上げ期の進め方は海外事業の立ち上げ方の記事で解説しています。

8. よくある質問(FAQ)

Q1. 海外展開の戦略はどこから考える?

売る相手から考えます。誰のどんな困りごとを解決するのかが決まると、その相手がいる国、取れる進出の形、必要な人と資金の順に決めていけます。人気の国から考え始めると、そこに買い手がいるかを後から確かめることになります。取引先や海外から問い合わせがある企業は、その相手を出発点にすると、買い手のいる状態から始められます。迷ったら、現在の取引先がなぜ自社から買っているのかを書き出すところから始めます。

Q2. 中小企業にも戦略は必要?

必要です。人手と資金が限られる企業ほど、何をしないかを決めておかないと、複数の国や媒体に手を広げて中途半端になります。大企業のような分厚い資料は要りません。4つの項目と、次の形に進む条件、やめる条件を1枚にまとめれば、社内で共有できます。Digima〜出島〜に寄せられる相談の56.2%は従業員50名以下の企業で、少人数で検討を始める企業は多くあります。

Q3. 戦略を立てるのにどれくらいかかる?

公開情報で仮の戦略を立てるだけなら数週間でも進められますが、現地で確かめて社内の承認を得るまでにはもっと時間がかかります。白書で支援企業に聞いた結果では、進出を決めるまでの期間は3か月から半年が33.1%で最も多くなっています。急いで決めるより、現地で確かめる時間を最初から予定に入れておくと、進出後のやり直しが減ります。

Q4. 戦略づくりを外に任せてもよい?

調査や分析は任せられますが、判断は自社に残します。白書の調査でも、海外進出コンサルティングや市場調査は専門家に依頼する企業が多い一方で、戦略の立案は自社で行う企業が多く見られます。商品の強みや使える予算、どこまでリスクを取れるかは、社内でしか決められないためです。外の知見で選択肢を広げ、最後に決めるのは自社という分担にすると、進出後も自社で判断を続けられます。

9. 海外展開の戦略をDigima〜出島〜に相談する

海外展開の戦略は、商品、業種、人数、予算によって答えが変わります。社内に経験者がいないと、自社の考えが現地で通用するのかを確かめるだけでも簡単ではありません。

「売る相手と国をどう決めればよいかわからない」「代理店と現地法人のどちらから始めるか迷っている」「作った計画を見てほしい」といった段階から、Digima〜出島〜にご相談ください。国と業種に合わせて、実績のある海外進出支援企業をご紹介します。

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