海外展示会への出展の進め方|選び方・費用・補助金と会期後の商談まで解説
海外展示会への出展は、現地のバイヤーや販売代理店と一度に何十社も会える販路開拓の方法です。一方で、出展料に装飾、輸送、渡航と費用がかさみ、準備は開催の1年ほど前から始まります。
海外展示会が販路開拓のどこで役立つか、出る展示会の選び方、出展までの段取り、費用の内訳と抑え方、会場と会期後に商談を前に進めるコツを図解で解説します。
この記事でわかること
- ・海外の販路開拓で展示会が果たす役割
- ・自社に合う海外展示会の選び方
- ・開催日から逆算した出展の段取りと補助金の注意点
- ・出展にかかる費用の内訳と、費用を抑える方法
▼目次
1. 販路開拓で海外展示会が役立つ場面

海外で販路を広げる方法はいくつもありますが、展示会はそのなかで「取引の相手と出会う場」として使われています。
3社に1社が展示会・商談会を使っている
Digima〜出島〜の『海外進出白書(2024-2025年版)』で、海外展開している企業に販路を広げた方法を聞いたところ、最も多かったのは販売代理店・パートナーへの委託で53.8%でした。展示会・商談会は32.8%で、3社に1社が使っています。海外展開がうまくいっている企業に限ると40.6%に上がり、成果を出している企業ほど展示会を活用していることがわかります。
代理店やバイヤーを探す入口になる
販路開拓で最も多い方法が代理店への委託であることを考えると、展示会の役割は、その代理店や輸入業者と出会う入口にあります。現地の業界の人が一つの会場に集まるため、日本からメールを送るより短い期間で多くの相手と話せます。実物を手に取ってもらえるので、品質や使い方を説明しやすいのも利点です。相手の反応を見ながら、その場で価格や条件の話にも進めます。
向いている商品と向かない商品
展示会が向いているのは、実物を見てもらうと良さが伝わる商品や、取引先が業者に限られるBtoBの商品です。食品、機械や部品、日用品や雑貨などは、業界ごとに大きな展示会があります。一方、消費者に直接売る商品で、価格の安さが一番の売りになる場合は、越境ECのほうが費用を抑えて反応を確かめられることもあります。
2. 出る展示会の選び方
海外の展示会は数が多く、名前の大きさだけで選ぶと、自社の取引先になる来場者がいなかったということが起きます。次の点で比べます。
業界に絞った展示会か総合展か
展示会には、食品や機械など一つの業界に絞ったものと、さまざまな業界が集まる総合展があります。初めての出展なら、自社の業界に絞った展示会のほうが、取引につながる来場者の割合が高くなります。世界の展示会は、ジェトロの見本市データベース「J-messe」で、国や業界、開催時期から探せます。業界団体の情報や、同業他社がどこに出ているかも手がかりになります。
来場者の国と立場を確かめる
同じ国で開かれる展示会でも、来場者の多くが地元の小売店なのか、周りの国から来る輸入業者なのかで、出会える相手が変わります。主催者が公表している来場者の数、出身の国、職種の内訳を確かめます。代理店を探しているなら、輸入業者や卸売業者が多く来る展示会を選びます。過去の出展者の一覧を見て、自社と近い企業が出ているかも確認します。
3. 開催の1年前から始める段取り

人気のある展示会は、出展の申し込みが開催の半年以上前に締め切られます。補助金を使うなら、さらに早く動き始める必要があります。
12か月前から9か月前に決めること
開催の1年ほど前に出る展示会を決め、出展の条件と申し込みの締め切りを調べます。補助金を使う場合は、公募の時期と、交付が決まるまでの期間も確かめます。補助金は、交付が決まる前に申し込んだり契約したりした費用が対象外になるのが一般的です。出展料の支払いが交付決定の後になるよう、日程を組みます。補助金の選び方と申請の時期は海外展開の補助金の記事で解説しています。
3か月前までにそろえるもの
展示品と見本、英語の会社案内、商品の資料と価格表、名刺を用意します。価格表は、日本の工場から出す価格だけでなく、相手の国に届けた場合の価格も示せると商談が進みます。展示品を送る場合は、輸送にかかる日数と、会期後に持ち帰るか現地で処分するかも決めておきます。大型の機械など運ぶのが難しい展示品は、VRで見せる方法もあります。会場の装飾は、主催者が用意する基本の設営に何を足すかを早めに決めます。
4. 出展費用の内訳と抑え方

海外展示会の費用は、国や会場、ブースの広さで大きく変わります。出展料だけで予算を組むと、あとから装飾や輸送の費用が重なって足りなくなります。
出展料のほかにかかる費用
出展料はブースの場所代で、看板や棚、照明などの装飾は別にかかることが多くあります。展示品や見本を送る輸送と通関の費用、担当者の航空券と会期中の宿泊、英語の資料づくりや現地の通訳の費用も見込みます。Digima〜出島〜の調査では、支援企業に出展のサポートを頼んだ場合の費用は平均で約350万円でしたが、内容によって幅があります。
ジャパンパビリオンで出展料を抑える
ジェトロは、海外の主な展示会に日本企業がまとまって出る「ジャパンパビリオン」を設けています。中小企業向けの出展料はスペースの使用料の半分以上を出展者が負担する設定で、たとえばタイの食品展示会「THAIFEX 2027」では、1小間あたり一般が85万円、中小企業等が42万5千円です。装飾が統一され、会場での集客も期待できます。ただし国費を財源とする他の補助金を使う場合は、中小企業等も一般の料金になります。
見本の輸送はATAカルネを検討する
展示品や商品見本を海外へ持ち込み、会期後に持ち帰る場合は、ATAカルネという通関用の手帳を使うと、相手国での関税や消費税を払わずに一時的に持ち込めます。輸入と持ち帰りのたびに税関に提示するだけで手続きが簡単になります。日本では日本商事仲裁協会が発給しており、使える国と物品には決まりがあるため、早めに確認します。
出典:ジェトロ「タイ・バンコク『THAIFEX 2027』ジャパンパビリオン」(2026年10月確認),税関「ATAカルネの輸出入手続」(2026年10月確認)
5. 会場で商談を前に進めるコツ
展示会の会期は数日しかありません。来場者を待つだけでなく、限られた時間で商談を次の段階へ進める工夫が要ります。
会期の前に面談の約束を入れる
出展が決まったら、会う相手の候補を探し、会期中の面談の約束をメールで入れておきます。主催者が来場者と出展者をつなぐ商談の仕組みを用意していることもあります。約束のある相手との商談を軸に、空いた時間で立ち寄った来場者と話すと、会期を無駄なく使えます。現地の言葉で話せる担当者や通訳がいると、立ち寄った相手を引き止めやすくなります。
相手ごとに温度を記録する
名刺を集めるだけでは、帰国後に誰に何を送ればよいかがわかりません。相手の会社の種類、扱っている商品、関心を持った点、次に約束したことを、その場で記録します。すぐに取引の話が進みそうな相手、資料を送れば検討してくれる相手、情報収集だけの相手のように分けておくと、会期後の連絡を優先順位をつけて進められます。
6. 成果が決まる会期後の1か月
展示会の成果は、会期が終わってからの動きで決まります。会場で話した相手は、ほかの出展者とも会っているため、連絡が遅れると忘れられてしまいます。
1週間以内に連絡する
帰国後1週間以内に、会場で話した相手全員にお礼のメールを送ります。取引の話が進みそうな相手には、約束した資料や見積もり、見本の発送の予定を添えます。メールだけで終わらせず、オンラインの面談を提案すると、次の商談の日程が決まりやすくなります。返事が無い相手にも、2〜3週間後にもう一度連絡します。連絡の記録は社内で共有しておきます。
代理店と契約する前に確かめること
展示会で出会った相手と販売代理店の契約を結ぶ前に、相手の会社の実在と実績、扱っている商品、販売の地域を確かめます。独占的に販売する権利を与えるかどうか、売上の目標、契約の期間と解約の条件も決めておきます。展示会で意気投合しても、条件を書面で確かめないまま任せると、売れずに身動きがとれなくなることがあります。
7. よくある質問(FAQ)
Q1. 初めての海外展示会は1社で出るべき?
初めてなら、ジェトロのジャパンパビリオンや、自治体・業界団体がまとめて出るブースに加わる方法がおすすめです。装飾や集客を主催者側が担うため準備の負担が軽く、中小企業向けの出展料で出られることもあります。1社で出る場合に比べて自社らしさは出しにくくなりますが、展示会の雰囲気と来場者の反応を確かめるには十分です。手応えを得てから、単独での出展を考えます。
Q2. 展示会に出ずに来場者として行く意味はある?
あります。出展する前に来場者として展示会を回ると、来場者の層、競合の出展内容、ブースの作り方を自分の目で確かめられます。出展者に話を聞けば、その展示会で商談が生まれているかもわかります。翌年の出展を決める判断材料になり、出展の費用をかけずに市場を知る方法としても使えます。会期中に、目当ての企業との面談を入れることもできます。
Q3. 展示会の補助金は何が使える?
小規模事業者持続化補助金は、海外展示会の出展料や渡航費も対象になります。都道府県や市区町村が、地元の企業向けに出展料の一部を補助する制度を設けていることもあります。どの制度も、交付が決まる前に契約した費用は対象外になるのが一般的で、補助金は後払いです。出展を決めたら、まず使える制度と公募の時期を確かめ、申し込みの順番を組み立てます。
8. 海外展示会への出展を相談するなら
海外展示会は、選ぶ展示会と準備の段取りで成果が大きく変わります。どの国のどの展示会に出るか、補助金をどう組み合わせるか、会期後の商談をどう進めるかは、商品と売り先によって答えが違います。
「自社の商品に合う海外展示会を知りたい」「出展の準備や現地での商談を手伝ってほしい」「展示会で出会った代理店との契約を進めたい」といった段階から、Digima〜出島〜にご相談ください。海外展示会の出展支援や販路開拓に実績のある支援企業をご紹介します。
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