税関事務管理人(ACP)とは?IORとの違いやAmazonのFBAとの関係、リスク・資格・必要書類などを解説
貿易・輸出入ビジネスに関心がある方ならば、日頃「ACP(税関事務管理人)」というワードを目にする機会も多いと思います。そもそも「税関事務管理人(ACP=Attorney for Customs Procedures)」とは、「日本に住所を有しており、本来の輸入者の代理として、税関手続き・納税・各種検査の立ち合い及び還付金の受け取りなどができる人」を意味します。
通常、日本に商品を輸入するには、日本に拠点がある輸入者がいなければなりませんが、今回ご紹介する「税関事務管理人(ACP)サービス」とは、「日本に住所も拠点もない企業(個人)が日本に荷物を輸入したい場合に、自らの代わりに税関事務管理人(ACP)として税関手続きを代行してもらうサービス」を指します。
近年、グローバル化の進展により、海外の製品がぐっと身近な存在になりました。個人輸入なども一般的になり、Amazonなどを利用して海外の商品を簡単に手に入れることができるようになっています。
そして現在、AmazonのFBA(フルフィルメント by Amazon※)人気に伴い、この「税関事務管理人(ACP)サービス」への需要が高まっているのです。
本テキストでは、税関事務管理人(ACP)とは何か、FBAとは何か、ACPとほぼ同じ意味を持つIOR(=Importer Of Recor / 登録輸入者)についておよび両者の違いなど、今知っておくべき税関事務管理人(ACP)サービスについて詳しく解説していきます。税関事務管理人(ACP)について理解を深めれば、アナタの海外ビジネスの見識と可能性はさらに広がります!
※Amazonが、商品の保管・配送・返品対応などを代行してくれるサービス。FBAの詳細は 3. FBA(フルフィルメント by Amazon)によって税関事務管理人(ACP)サービスの需要が増大 にて解説しています
▼FBAで需要増大!話題の「税関事務管理人(ACP)サービス」とは?
- 1. 税関事務管理人(ACP=Attorney for Customs Procedures)とはなにか?
- 2. 税関事務管理人(ACP)サービスとはどんなサービス?
- 3. FBA(フルフィルメント by Amazon)によって税関事務管理人(ACP)サービスの需要が増大
- 4. 税関事務管理人(ACP)とIOR (=Importer Of Record / 登録輸入者・記録輸入者)との違いとは?
▼アナタの海外ビジネスを成功させるために
1. 税関事務管理人(ACP=Attorney for Customs Procedures)とはなにか?
まずはじめに税関事務管理人(ACP)とは何かについて、加えてその具体的な役割について解説します。(※IOR(登録輸入者)やFBA(フルフィルメント by Amazon)については後項で詳述します。ACPというワードを初めて目にする方は、まずはACPについて理解を深めてください)
税関事務管理人(ACP)とは?
税関事務管理人とは、日本に居住しておらず、住所も有しない個人や法人が日本で税関関連の手続きを行う際に、輸入者の代理として各種手続きや納税、還付金の受け取りなどを行う者を指し、ACPとも呼ばれます。
ACPとは「Attorney for Customs Procedures」の略であり、直訳すると「通関手続き代理人」となります。
IOR(Importer Of Record)という言葉をご存知の方であれば、日本版のIORであると理解して差し支えありません。IOR(=Importer Of Record / 登録輸入者)については後ほど詳しく解説します。
税関事務管理人(ACP)の役割とは?
基本的に、日本においては、国内に居住しておらず住所も有しない個人や法人は輸入者となることができません。しかし、税関事務管理人(ACP)を定めることで日本に拠点のない海外の個人や法人も日本に輸出を行うことができるようになります。
例えば委託販売や、日本での輸入時に販売先が決まっていない場合など、輸入者がいないケースにはさまざまな事情があり、こういった場合に税関事務管理人(ACP)が活躍するのです。
税関事務管理人(ACP)が扱えない商品は?
日本に拠点を持たない輸出者にとって非常に便利な存在、税関事務管理人(ACP)ですが、扱うことができない商品もあります。
税関事務管理人(ACP)はあくまでも通関手続きの代理人であり、他の省庁における業務は担当外です。そのため、厚生労働省が扱う食品衛生法に抵触する商品は取り扱いができません。税関事務管理人(ACP)が取り扱うことができない商品には下記のようなものがあります。
・食品
・アルコール飲料
・薬
・化粧品
・キッチン用品
・おもちゃ
口に入るもの、口に入るものに関係のあるものは取り扱うことができません。おもちゃがNGなのは、子どもが口に入れる可能性があるからです。
税関事務管理人(ACP)になるには?
実は、税関事務管理人(ACP)として活動するのに特別な資格は必要ありません。関税法上は日本に拠点を持つ者なら誰でも税関事務管理人(ACP)になることができます。
ただし、全く知識のない人に任せるというのはリスクが高くおすすめしません。手続きがうまくいかないと商品を送り返されてしまうケースも。食品衛生法など法に触れる危険性も考えると、通関業の許可を持つフォーワーダーや通関業者に依頼した方が確実であり、通関業務の代行サービスの一環として「税関事務管理人(ACP)サービス」を提供している海外進出サポート企業も存在します。
※「税関事務管理人(ACP)サービス」にご興味がある方は、海外ビジネスコンシェルジュが課題解決に最適な海外ビジネス支援専門家をご紹介する「Digima〜出島〜 海外ビジネス無料相談」にてお気軽にお問い合わせください
税関事務管理人(ACP)に依頼するときは?
税関事務管理人(ACP)に依頼する際には、税関に届出が必要です。必要な書類は下記のとおりです。
・税関事務管理人届出書(税関様式C7500号)
・委任状
・代理人の公的証明(登記簿など)
・商流を説明した資料
代理人を外注するケースでは通関業者が提供している税関事務管理人(ACP)サービスを利用することも多いでしょう。税関事務管理人(ACP)サービスについては次の項で解説します。
2. 税関事務管理人(ACP)サービスとはどんなサービス?
税関事務管理人(ACP)についての基礎知識を理解したところで、この項では税関事務管理人(ACP)サービスについて解説していきます。
税関事務管理人(ACP)サービスとは?
税関事務管理人(ACP)サービスとは、税関事務管理人(ACP)が行う業務を担当してくれるサービスのことであり、輸出入・貿易・通関業務をサポートする海外進出支援企業がこのようなサービスを提供しています。
ちなみに税関事務管理人(ACP)サービスを利用せず、輸入代行業者を形式的に輸入者とすることで輸入を行うケースもあるようですが、このやり方は輸入申告を行う者が輸入代行業者となるため、消費税が仕入税額控除の対象外となってしまうという大きな問題もあるので注意が必要です。
税関事務管理人(ACP)サービスが必要とされる理由
近年はグローバル化の発展によって、法人個人にかかわらず、国際間の輸出入・貿易取引が活性化しており、非居住者が輸出入するというケースが増えています。
また、最近はAmazonの出品サービス「FBA」を利用して国内での販売を行う海外の事業者が増えており、税関事務管理人(ACP)サービスの需要が高まっています。FBAについては次項で詳しく解説します。
3. FBA(フルフィルメント by Amazon)によって税関事務管理人(ACP)サービスの需要が増大
前項で触れたとおり、Amazonの出品サービス「FBA」の利用者が増えたことによって「税関事務管理人(ACP)サービス」の需要が高まりを見せています。この項ではFBAについて理解を深めていきましょう。
FBA(フルフィルメント by Amazon)とは?
FBAとは「フルフィルメント by Amazon」の略です。
フルフィルメントとは通信販売において、商品の注文からユーザーに届くまでの業務全般を指す言葉であり、FBAはAmazonが商品の保管から配送、返品対応などを代行してくれるサービスです。
業務負担の軽減だけでなく、Amazonプライム対象となりAmazonが発送するため信頼度もアップするというのも嬉しいポイントです。もちろん海外発送にも対応していますが、海外発送の際は税関事務管理人(ACP)が必要となるので注意が必要です。
なぜFBAで「税関事務管理人(ACP)サービス」が必要とされるのか?
FBAは非常に便利なサービスであり、利用者も年々増加していますが、海外からの製品を輸入する際の登録輸入者としてAmazonを登録することはできません。
そのため、日本に拠点のない事業者がAmazonを利用して海外から日本へ商品を販売する際は、税関事務管理人(ACP)を立てる必要が生じます。そのため、税関事務管理人(ACP)サービスへのニーズが近年、急速に高まりを見せているのです。
4. 税関事務管理人(ACP)とIOR (=Importer Of Record / 登録輸入者・記録輸入者)との違いとは?
FBAの盛り上がりから税関事務管理人(ACP)の必要性が生じ、税関事務管理人(ACP)サービスへの需要が高まっていることがおわかりいただけたでしょうか。この項では、最初の項で少し触れたIOR(Importer Of Record / 記録輸入者)について解説します。
IORとACPとの違いとは
前述したとおり、税関事務管理人(ACP)は日本版のIOR(Importer Of Record / 登録輸入者・記録輸入者)であり、どちらもほぼ同じ意味の言葉です。ただし、日本にはIORという制度はなく、IORはアメリカをはじめとした欧米諸国の制度です。また、税金の支払い義務などACPと多少異なる部分もあります。
日本にはIORという制度はありませんが、海外ではIORサービスが浸透しており、ACPを日本版IORとして理解する向きもあるため、IORについても簡単に解説しておきます。
IOR(=Importer Of Record / 登録輸入者・記録輸入者)とは
IOR(登録輸入者・記録輸入者)とは「Importer Of Record」の略であり、記録上の輸入者のことです。海外から輸入された商品の責任者であり、関税や手数料の支払いを行い、製造物責任や税関における規制の遵守に法的責任を負います。
日本での「税関事務管理人(ACP)サービス」とアメリカなどでの「登録輸入者(IOR)サービス」は、ほぼ同内容のサービスを指すと理解するとよいでしょう。
5. 優良な海外進出サポート企業をご紹介
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経済のグローバル化だけでなく、AMAZONが提供するFBAブームに乗って、近年ますますニーズの高まっている税関事務管理人(ACP)ですが、税関事務管理人(ACP)になること自体には特別な資格が必要ないため、知識のない素人が担当することでトラブルが起きるケースも増えています。
そのため、しっかりとした資格を持つ担当者が通関手続きを行ってくれる税関事務管理人(ACP)サービスへの需要が高まりを見せているのです。
税関事務管理人(ACP)サービスを提供している企業も近年増え続けており、どの業者を選んだらいいかわからない、という声も。
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