インバウンド×飲食店の成功事例|訪日外国人に繁盛する店舗の共通点と施策
訪日外国人の旅行支出のうち、飲食費は宿泊費に次いで大きな割合を占めています。観光庁の調査によると飲食費は一人あたり平均5万円を超え、旅行支出全体の約2割に達しました。日本食への関心は年々高まっており、飲食店にとってインバウンド需要の取り込みは大きな成長機会です。
しかし、すべての飲食店が恩恵を受けているわけではありません。成果を上げている店舗には、メニューの工夫やオンライン集客、体験コンテンツの提供など明確な共通点があります。
本記事では、インバウンド集客に成功している飲食店の事例を3パターンに分けて紹介し、繁盛する店舗に共通する施策を解説します。
この記事でわかること
- ・インバウンド飲食市場の最新動向と、国籍別に異なる食の嗜好・消費傾向
- ・多言語メニュー・グルメサイト活用・体験型コンテンツの3パターン別成功事例
- ・訪日外国人に繁盛する飲食店に共通する4つの取り組みポイントと実践方法
▼目次
1. インバウンド飲食市場の現状
1-1. 訪日外国人の飲食支出データと成長トレンド
観光庁の消費動向調査によると、訪日外国人の飲食費は一人あたり平均約5万3,000円で、旅行支出全体の約21%を占める宿泊費に次ぐ第2位の支出項目です。2019年比で約30%増加しており、「食」への消費意欲は高まり続けています。
背景には円安による割安感、ユネスコ無形文化遺産登録以降の和食ブーム、SNSでの情報拡散があります。InstagramやTikTokでは寿司や和牛、抹茶スイーツのコンテンツが高いエンゲージメントを獲得し、来日前から「食べたい店リスト」を作る旅行者も増えています。訪日外国人数が年間3,500万人を超える現在、飲食市場のインバウンド消費規模は1兆8,000億円超と推計されており、この市場を取り込めるかは各店舗の対応力次第です。
1-2. 人気の飲食ジャンルと国籍別の嗜好
訪日外国人全体で最も人気のある飲食ジャンルは寿司で、次いでラーメン、天ぷら、焼肉、居酒屋料理が続きます。ただし国籍によって嗜好は大きく異なり、ターゲットに合わせた対策が求められます。
中国・台湾・香港からの旅行者は和牛や海鮮丼への関心が特に高く、高単価メニューへの支出をいとわない傾向があります。韓国からの旅行者はラーメンや居酒屋の利用率が高く、カジュアルな飲食体験を好みます。欧米豪からの旅行者は食文化体験そのものへの関心が強く、寿司握り体験や日本酒テイスティングなど体験型コンテンツに高い満足度を示しています。
東南アジアでは、ムスリム人口の多いマレーシアやインドネシアからの訪日客にハラール対応の需要があります。フル対応でなくとも、食材表示やアレルゲン情報の明示だけで「入店できる店」として選ばれる確率が上がります。国籍別の嗜好を把握した上でメニューや情報発信を工夫することが、集客力を左右します。
2. 成功事例①:多言語メニュー×ストーリーで客単価アップ
2-1. 写真・動画付きメニューと食材ストーリーの効果
インバウンド集客で成果を出している飲食店の多くが取り組んでいるのが、単なる翻訳にとどまらない「伝わるメニュー」の設計です。ある東京の和食店では、全料理の写真に加え、食材の産地や調理法のストーリーを英語で添えたところ、訪日外国人の客単価が約25%向上しました。
訪日外国人にとって日本語メニューは読めないだけでなく、料理の内容自体が想像しにくいという二重の障壁があります。写真で見た目を伝え、ストーリーで価値を伝えることで、「よくわからないから安い料理を頼む」が「この食材を試したい」に変わるのです。
「築地市場から毎朝直送」「三代続く出汁の製法」「A5ランク黒毛和牛」といった情報は注文の決め手になります。プロ撮影のシズル感ある写真を使った店舗では、メニュー刷新後にSNS投稿数が約2倍に増えた報告もあります。
2-2. タブレット注文・QRメニューの導入事例
多言語対応をさらに効率化する手段として、タブレット注文やQRコードメニューの導入が広がっています。大阪のある焼肉店では、テーブル設置のタブレットで英語・中国語・韓国語・タイ語の4か国語メニューを表示し、そのまま注文できるシステムを導入しました。その結果、注文から提供までの時間が平均15%短縮され、スタッフの言語対応負担も大幅に軽減されました。
QRコードメニューはさらに手軽な選択肢です。テーブルにQRコードを設置するだけで、訪日外国人がスマートフォンから多言語メニューを閲覧でき、紙メニューの印刷コスト削減や季節メニューへのリアルタイム対応も可能になります。
導入コストはタブレット型で月額1〜3万円程度、QRコード型なら無料または月額数千円のサービスが複数あります。注意点は翻訳品質です。機械翻訳をそのまま使うと不自然な表現になりやすいため、ネイティブチェックを入れることで信頼感が大きく変わります。
3. 成功事例②:OTA・グルメサイト活用で予約数倍増
3-1. Google Maps最適化と口コミ戦略
訪日外国人が現地で飲食店を探す際、最も多く利用されているのがGoogle Mapsです。訪日外国人の約70%が飲食店検索にGoogle Mapsを使っており、Googleビジネスプロフィールの最適化はインバウンド飲食店にとって最も費用対効果の高い集客施策です。
京都のある寿司店では、ビジネスプロフィールの情報を英語で充実させ、料理写真を50枚以上掲載し、予約方法を正確に記載したところ、Google Maps経由の来店数が3か月で約2倍に増加しました。特に効果的だったのが口コミへの返信で、英語の口コミに24時間以内に丁寧に返信する運用を始めたところ、口コミ数が約1.5倍に増え、評価スコアも4.2から4.6に向上しています。
口コミ戦略のポイントは、良い口コミを増やすことと、ネガティブな口コミに誠実に対応する両面にあります。会計時にQRコード付きサンクスカードで投稿を促しつつ、低評価には改善策を含めた返信を行うことで信頼性が高まります。
3-2. 海外グルメプラットフォーム(TripAdvisor等)活用
Google Mapsに加えて、海外グルメプラットフォームの活用で集客チャネルを広げた事例も多く見られます。TripAdvisorは訪日外国人の飲食店選びに大きな影響力を持ち、「トラベラーズチョイス」に選出された飲食店は予約数が平均40%以上増加するというデータもあります。
福岡のあるラーメン店では、TripAdvisorの無料ビジネスツールで店舗ページを英語で整備し、さらにTableCheckやOMAKASEなど多言語予約プラットフォームを導入した結果、海外からの事前予約数が約3倍に増加しました。
中国市場を重視する場合は大衆点評(Dianping)や小紅書(RED)も有効です。中国からの旅行者はこれらで飲食店を検索する傾向が強く、ターゲット国籍に応じた選定が重要です。複数チャネルで一貫した情報を発信し、口コミに丁寧に対応する体制が予約数の増加につながります。
4. 成功事例③:体験型コンテンツでSNS拡散
4-1. 寿司握り体験・抹茶体験など食×文化の融合
インバウンド消費は「モノ消費」から「コト消費」へのシフトが加速しており、飲食店でも「体験」を提供する店舗が高い集客力を発揮しています。消費動向調査でも「日本の食文化を体験すること」が訪日目的の上位に挙がっています。
東京の寿司店が提供する「寿司握り体験コース」は代表的な成功事例です。職人が英語で寿司の歴史やネタを説明しながら参加者が握り寿司を作るプログラムで、一人あたり1万5,000円〜2万円の価格帯ながら予約は常に2週間先まで埋まっています。体験した訪日外国人の約80%がSNSに投稿し、その投稿を見た別の旅行者が予約する好循環が生まれています。
抹茶体験を組み合わせた甘味処や日本酒テイスティングを提供する居酒屋も同様の効果を得ています。体験型コンテンツは客単価向上、口コミ促進、リピーター獲得を同時にもたらす有効な手法です。
4-2. 写真映えする空間設計とUGC促進
体験型コンテンツと並んで重要なのが、訪日外国人が自発的にSNSで発信したくなる空間設計です。UGC(ユーザー生成コンテンツ)は広告費をかけずに認知を拡大できる集客手法で、飲食店でもその効果は実証されています。
大阪のある天ぷら専門店では、カウンター席の目の前で職人が調理するオープンキッチンを設け、揚げたてを撮影しやすいよう照明と座席配置を工夫しました。来店した訪日外国人の約60%がInstagramやTikTokに動画を投稿するようになり、SNS経由の来店が全体の約35%を占めるまでに成長しています。
UGC促進にはフォトスポットの設置、店舗オリジナルのハッシュタグ案内、投稿特典の提供などが効果的です。ただし、過度に「映え」を追求して料理品質がおろそかになっては本末転倒です。美味しい料理と丁寧なサービスを土台にし、盛り付けや器の選定、提供時の演出といったおもてなしの延長線上にSNS拡散の仕組みを設計することが大切です。
5. 成功飲食店に共通する取り組みポイント
5-1. 決済・アレルギー対応・接客・口コミ管理の4軸
成功事例を横断的に分析すると、インバウンド集客に成功している飲食店には4つの共通する取り組み軸があります。
1つ目はキャッシュレス決済への対応です。訪日外国人の約85%がクレジットカードまたはモバイル決済を利用しており、現金のみの店舗は選択肢から外れるリスクがあります。Visa・Mastercardに加え、中国のAlipay・WeChat Pay、韓国のKakao Payなどターゲット国の主要決済手段をカバーしましょう。
2つ目はアレルギー・食事制限への対応です。国際ピクトグラムをメニューに導入するだけでも安心感は大きく向上します。ハラールやベジタリアン対応も、完全対応が難しければ「対応可能なメニューがある」と明示するだけで来店のハードルが下がります。
3つ目は多言語での接客品質です。全スタッフが外国語を話す必要はなく、指差しシートや翻訳アプリを活用した接客フローの整備で十分対応できます。外国人対応に特化した接客研修も効果的です。
4つ目はオンライン口コミの管理です。Google MapsやTripAdvisorの口コミを定期的にチェックし迅速に返信する体制を構築しましょう。返信率が高い店舗は評価スコアが上昇する傾向にあり、新規顧客獲得につながります。これら4軸を段階的に整備することが、総合力を高める道筋です。
6. よくある質問(FAQ)
Q1. インバウンド向け飲食店対策で最初に取り組むべきことは何ですか?
まずはGoogle Maps(Googleビジネスプロフィール)の情報を英語・中国語で整備し、写真を充実させることが最優先です。訪日外国人の多くがGoogle Mapsで飲食店を検索するため、ここでの露出がそのまま集客に直結します。
Q2. 多言語メニューは何か国語に対応すべきですか?
英語は必須で、次に中国語(簡体字・繁体字)、韓国語を加えた3〜4か国語が基本です。自店舗の来店データから国籍比率を確認し、上位の言語から優先的に対応すると費用対効果が高まります。
Q3. ハラール対応やベジタリアン対応はどこまで必要ですか?
フルハラール認証の取得は負担が大きいため、まずはメニューに食材情報やアレルギー表示をピクトグラムで明示することから始めるのが現実的です。一部対応でも、選択肢があること自体が集客につながります。
Q4. TripAdvisorの口コミを増やすにはどうすればよいですか?
会計時にTripAdvisorのQRコード付きカードを手渡し、レビュー投稿を自然に促す方法が効果的です。料理の説明や食べ方のガイドなど記憶に残るサービスを提供することが、質の高い口コミの投稿率向上につながります。
Q5. キャッシュレス決済の導入費用はどのくらいですか?
主要なモバイル決済サービスであれば初期費用無料、決済手数料3%前後で導入できるものが多くあります。クレジットカード端末も月額数千円から利用可能で、自治体の補助金を活用できるケースもあります。
Q6. 地方の飲食店でもインバウンド集客は可能ですか?
十分に可能です。地方ならではの郷土料理や食文化体験は都市部にはない独自の魅力です。Google Mapsと海外グルメサイトでの情報発信を強化し、地域の観光施設や宿泊施設と連携することで集客導線を構築できます。
7. まとめ
インバウンド飲食市場は訪日外国人数の増加と食文化への関心を背景に、大きな成長機会となっています。本記事で紹介した成功事例に共通するのは、多言語メニューによるコミュニケーション障壁の解消、Google MapsやTripAdvisorを活用したオンライン集客の強化、体験型コンテンツによる付加価値の創出という3つのアプローチです。さらにキャッシュレス決済やアレルギー対応、口コミ管理の基盤整備を着実に進めることが持続的な集客力向上につながります。すべてを一度に実現する必要はありません。まずはGoogle Mapsの整備と多言語メニューの導入から始め、段階的に取り組みを広げていきましょう。
「Digima〜出島〜」には海外進出サポート企業が多数登録しています。 「飲食店のインバウンド集客を強化したい」「多言語メニューやキャッシュレス決済の導入を支援してほしい」——そのようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ「Digima〜出島〜」をご活用ください。訪日外国人向けマーケティングに精通したサポート企業を無料でご紹介いたします。まずはお気軽にご相談ください。
※本記事の事例は、複数の公開情報をもとに再構成しています。
この記事が役に立つ!と思った方はシェア
海外進出相談数
27000
件突破!!
最適サポート企業を無料紹介
コンシェルジュに無料相談































