海外進出に関わる、あらゆる情報が揃う「海外ビジネス支援プラットフォーム」

メニュー
メニュー

酒蔵ツーリズムで訪日客を呼ぶ方法|受け入れ準備・集客・免税販売までの実践ガイド

掲載日:
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
訪日客を受け入れたい酒蔵・ワイナリーや自治体・DMO向けに、酒蔵ツーリズムの見学・試飲の設計、多言語対応、酒蔵マップ等での集客、酒税の免税制度と2026年11月からのリファンド方式、帰国後の購買づくり、令和8年度の補助金までを解説します。

観光庁の調査では、2025年に日本滞在中に「日本の酒を飲むこと」をした訪日客は48.6%、そのうち満足した人は92.5%にのぼります。2024年12月には日本酒・焼酎・泡盛などの「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録され(出典:文化庁)、2025年の日本産酒類の輸出額は過去最高の1,495億円、うち清酒は約459億円でした(出典:国税庁「最近の日本産酒類の輸出動向について」)。
本記事では、酒蔵と自治体・DMOに向けて、体験の設計から集客、免税販売、帰国後の購買づくりまでを実務の順に整理します。

この記事でわかること

  • ・酒蔵ツーリズムの定義と、国(国税庁・観光庁)の後押し
  • ・見学・試飲の設計、飲酒運転や年齢確認への配慮、多言語対応
  • ・酒蔵での酒税の免税制度と、2026年11月からのリファンド方式
  • ・帰国後の購買づくりと、令和8年度の補助金

1. 酒蔵ツーリズムとは?訪日客に注目される理由

酒蔵ツーリズムの定義と、国(国税庁・観光庁)の後押し

2026年3月に閣議決定された観光立国推進基本計画は、酒蔵ツーリズムを「酒類事業者、観光事業者、交通機関、地方公共団体等が連携して、国内の酒蔵(ワイナリー、ブルワリー等を含む。)や観光資源等を巡って楽しむことのできる周遊・滞在型観光」と位置づけ、推進を掲げています。
国税庁は2017年10月、酒蔵で訪日客に販売する自社の酒について、消費税に加えて酒税も免税にできる「輸出酒類販売場制度」を導入しました(出典:国税庁「輸出酒類販売場制度に関するQ&A(リファンド方式)」、以下「酒類Q&A」)。

訪日客が酒蔵に求める体験(見学・試飲・食との組み合わせ)

酒蔵で喜ばれるのは、飲むことそのものより造り手と話し、背景を知る時間です。国税庁の事例集では、宮崎県都城市の「ミート×酒蔵ツーリズム」の旅行会社向けモニターツアーで「生産者と直接対話できる時間が魅力的だった」という声が多く、対話の時間を長めにとるよう内容を見直しています。一般公開していない場所での見学や、蔵元から勧められる飲み方・おつまみの選び方も好評でした(出典:国税庁「酒類事業者向け補助金を活用した取組事例集」2024年3月)。
体験商品の企画や販路の一般論は「訪日外国人に体験型ビジネスで集客する方法」で解説しています。

2. 訪日客を受け入れる準備

見学・試飲体験の設計(所要時間・料金・予約制・飲酒運転への配慮)

まず、仕事を止めずに案内できる曜日・時間帯と定員を決め、予約制にします。仕込みの時期は見学できる範囲が変わるため、季節ごとの内容も示しておきましょう。
料金は、無料見学と物販で回収する形のほか、試飲や特別な見学を含む有料プランもあります。前述の事例集には、3日間で3つの酒蔵を回るツアーを企画した事業者が見学料を1人5,000円程度とし、有料だからこそ普段見られない現場を案内して満足度を高めている例が載っています。
道路交通法65条3項は、酒気帯び運転をするおそれがある人に酒類を提供したり、飲酒をすすめたりすることを禁じています。予約時に交通手段を確認し、運転する人には試飲の代わりに持ち帰り用の小瓶を渡すなどの運用を決めておきましょう。また、酒類を提供する事業者には20歳未満の飲酒を防ぐための年齢確認などの措置が求められます(二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律)。母国で飲酒できる年齢でも、日本では20歳が基準です。

多言語対応と、案内する人の確保(ガイド・通訳・翻訳ツール)

最初に整えたいのは、予約ページ、料金、所要時間、注意事項を英語などで示すことです。熊本国税局の酒蔵マップは、外国語への対応状況は各蔵へ問い合わせるよう注記しており、訪日客は事前に確かめる手段が限られます(出典:熊本国税局「酒蔵マップ」)。対応言語は自社サイトに明記しましょう。
案内する人は、英語を話せる社員、地域の通訳ガイド、翻訳ツールの組み合わせが現実的です。ただし、都城市の事例では旅行用の翻訳機を使っていたものの、焼酎造りに関する言葉がうまく訳せないことが少なくないとして、多言語でガイドできる体制づくりを課題に挙げています(出典:前掲の事例集)。
麹(こうじ)や蒸留など、よく使う用語と自社の説明文の対訳を先につくり、ガイドや翻訳ツールに渡せるようにしておくと、説明の質がそろいます。

海外進出タイプ診断|10問3分で無料診断

3. 集客と販売のポイント

訪日客に見つけてもらう方法(国税庁の酒蔵マップ・Googleマップ・OTA・旅行会社)

観光庁の2025年の調査では、訪日客が出発前に役立ったとした情報源は「SNS」43.3%、「動画サイト」39.6%、「個人のブログ」23.9%の順で、滞在中に役立った情報は「交通手段」が65.9%で最多でした(出典:観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年年次報告書」)。
公的な入り口として、各国税局は管内の酒蔵の「酒蔵マップ」を公開し、英語版もそろえています(出典:国税庁「酒蔵マップ等」)。
あわせて、Googleマップの店舗情報に英語で営業時間・予約方法・最寄り駅からの行き方を載せ、体験予約サイト(OTA:オンライン旅行会社)にも商品を出しましょう。

酒蔵での免税販売(酒税・消費税の免税制度と、2026年11月の制度変更)

酒蔵が消費税の免税店(輸出物品販売場)の許可に加えて、所轄税務署長から輸出酒類販売場の許可を受けると、訪日客などの免税購入対象者に販売する自社製造の酒について、消費税と酒税の両方を免税にできます。対象は製造免許と同じ品目の自社製造の酒で、他社銘柄は対象外です。同じ人への1日の販売額が税抜5,000円以上であることなどが条件で、消費税の課税事業者でなければ使えません。5,000円の判定には酒以外の商品も合算できるため(前掲の酒類Q&A 問21)、酒器などとのセット商品も組めます。2026年4月1日現在の許可件数は131件です(出典:国税庁「輸出酒類販売場の許可状況」)。
2026年11月1日からは、消費税の免税制度とあわせてリファンド方式に変わります。

項目 2026年10月31日まで 2026年11月1日から
購入時 免税価格で販売 税込価格で販売
免税の成立 販売時 出国時の税関確認後に、蔵が消費税・酒税相当額を返金
消耗品の上限・包装 上限50万円・特殊包装が必要 上限・特殊包装要件は廃止

購入者は購入日から90日以内の出国時に税関の確認を受けます(出典:国税庁「輸出物品販売場制度に関するQ&A(リファンド方式・概要編)」)。確認は手荷物を預ける前に受ける必要があり、蔵は販売時にその旨を説明します(出典:前掲の酒類Q&A 問26)。返金方法や免税店側の準備は「インバウンド免税対策ガイド」をご覧ください。

帰国後も買ってもらう仕組み(海外発送・越境EC・SNS)

輸出酒類販売場では、その場で運送業者に引き渡して海外へ送る直送の方式は廃止され、購入者が出国前に国際郵便などで送る別送の扱いも2025年3月31日で廃止されました。蔵自身が輸出する目的で出荷する場合は、酒税法の輸出免税を使えます(出典:前掲の酒類Q&A)。
海外の消費者に直接売る越境ECは、販売方法によって必要な手続きが変わり、輸出先の国の輸入規制や表示ルールも確かめる必要があります。所轄税務署の酒類指導官や輸出支援機関に早めに相談しましょう。
蔵のSNSのQRコードと、海外で買える店や通販の案内を英語で商品に添え、帰国後の購入につなげます。

4. 使える支援制度

国税庁・観光庁などの補助金と、地域での連携(自治体・DMO)

国税庁の令和8年度「酒類業振興支援事業費補助金」は、海外展開支援枠で「酒蔵の観光化や地域における酒蔵ツーリズムプラン策定の取組」を対象としています。補助率は2分の1、上限は1件1,000万円(下限50万円)です。申請できるのは酒類の製造免許・販売業免許を持つ酒類事業者か、酒類事業者を1者以上含むグループで、自治体やDMOは単独では申請できません。酒類事業者3者を含むグループ申請は上限1,200万円、4者以上は1者ごとに100万円上がり最大1,500万円です。補助事業期間中は、テスト販売を除き、成果物の販売や販売につながる営業行為はできません(出典:国税庁「令和8年度 酒類業振興支援事業費補助金 公募要領」)。免許を持たない協議会なども、酒類事業者を含むグループの代表申請者になれます(出典:同補助金のQ&A Q3)。
令和8年度の第5期は2026年10月7日12時締切、事業期限は2027年2月28日で、申請にはJグランツ(GビズIDプライムが必要)を使います。GビズIDは書類申請だと審査に最大1か月かかります(出典:デジタル庁「GビズID」)。次の公募は国税庁「酒類業の振興に関する主な募集情報」で確認してください。
1つの蔵だけでは周遊や宿泊まで用意しにくいため、自治体やDMO(観光地域づくり法人)、観光協会と組むのが近道です。例として都城市では、市と観光協会などでつくる委員会が「肉と焼酎」の観光を2017年に始め(2023年3月末までに約7万4,000人が利用)、2021〜2022年に市内4つの酒蔵の協力で見学・体験を組み込んだ旅行商品をつくりました(出典:前掲の事例集)。申請の進め方は「インバウンド補助金の申請方法」も参考にしてください。

5. よくある質問(FAQ)

Q1. 小さな酒蔵でも酒税の免税販売はできますか?

製造量などの規模による制限はありません。ただし、消費税の課税事業者であること、消費税の免税店の許可と輸出酒類販売場の許可の両方を受けることが必要です。

Q2. 2026年11月から酒蔵の免税販売はどう変わりますか?

2026年11月1日の販売分から、税込で受け取り、出国時の税関確認後に蔵が消費税と酒税の相当額を返金する方式に変わります。

Q3. 車で来た人に試飲をすすめてもよいですか?

道路交通法は、酒気帯び運転をするおそれがある人への酒類の提供や飲酒をすすめることを禁じています。予約時に交通手段を確かめましょう。

6. まとめ

まずは予約制の見学・試飲と多言語の案内を整え、酒蔵マップやGoogleマップで見つけてもらえる状態をつくりましょう。
帰国後の購買づくりや補助金も活用し、地域と連携しながら一歩ずつ進めてください。

7. 優良な海外進出サポート企業をご紹介

「Digima〜出島〜」には、厳正な審査を通過した優良な海外進出サポート企業が多数登録しています。

酒蔵ツーリズムは、体験の設計から集客、免税販売、帰国後の輸出までが一続きです。インバウンドや酒類の輸出に実績のある企業に相談すれば、自社に合った進め方を描けます。
「何から始めればよいかわからない」という段階のご相談でも構いません。無料でご相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください。

参考文献

・文化庁「『伝統的酒造り』のユネスコ無形文化遺産代表一覧表登録」(2024年12月)
 https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/94142301.html
・国税庁「最近の日本産酒類の輸出動向について」(2026年)
 https://www.nta.go.jp/taxes/sake/yushutsu/pdf/0026004-007.pdf
・観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年年次報告書」
 https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/002020010.pdf
・観光立国推進基本計画(2026年3月27日閣議決定)
 https://www.cas.go.jp/jp/seisakukaigi/kankorikkoku/kettei/shiryo21.pdf
・国税庁「酒類事業者向け補助金を活用した取組事例集」(2024年3月)
 https://www.nta.go.jp/taxes/sake/boshujoho/pdf/0024003-063.pdf
・国税庁「酒蔵マップ等」
 https://www.nta.go.jp/taxes/sake/sakagura/index.htm
・熊本国税局「酒蔵マップ」
 https://www.nta.go.jp/about/organization/kumamoto/sake/sakagura/index.htm
・国税庁「輸出酒類販売場制度に関するQ&A(リファンド方式)」(2025年4月)
 https://www.nta.go.jp/taxes/sake/yushutsu/syuhanjyo/pdf/0025003-104.pdf
・国税庁「輸出酒類販売場の許可状況」(2026年4月1日現在)
 https://www.nta.go.jp/taxes/sake/yushutsu/syuhanjyo/01.htm
・国税庁「輸出物品販売場制度に関するQ&A(リファンド方式・概要編)」(2025年4月)
 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/menzei/201805/pdf/0025003-110_02.pdf
・国税庁「令和8年度 酒類業振興支援事業費補助金(第3・4・5期)公募要領」(2026年7月)
 https://www.nta.go.jp/taxes/sake/boshujoho/pdf/0026005-095b.pdf
・国税庁「酒類業振興支援事業費補助金に関するQ&A」
 https://www.nta.go.jp/taxes/sake/boshujoho/pdf/0026005-095d.pdf
・デジタル庁「GビズID」
 https://gbiz-id.go.jp/top/
・国税庁「酒類業の振興に関する主な募集情報」
 https://www.nta.go.jp/taxes/sake/boshujoho/index.htm
・道路交通法(e-Gov法令検索)
 https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105
・二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律(e-Gov法令検索)
 https://laws.e-gov.go.jp/law/211AC1000000020

この記事が役に立つ!と思った方はシェア

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

海外進出相談数 27000 件突破!!
最適サポート企業を無料紹介

\ 3つの質問に答えて /
コンシェルジュに無料相談

もっと企業を見る

海外進出・海外ビジネスで
課題を抱えていませんか?

Digima~出島~では海外ビジネス進出サポート企業の無料紹介・
視察アレンジ等の進出支援サービスの提供・
海外ビジネス情報の提供により御社の海外進出を徹底サポート致します。

無料相談はこちら

0120-979-938

海外からのお電話:+81-3-6228-1801

電話相談窓口:平日10:00-18:00

海外進出相談数
28,000件
突破