【完全ガイド】越境ECの物流とは? 配送方法・課題・成功事例まで徹底解説
近年、国内市場の成熟化に伴い、多くの企業が海外市場への販路拡大を目指し、越境ECに取り組むようになっています。特にアジア諸国や欧米諸国では「Made in Japan」製品への需要が高く、日本企業にとって大きなビジネスチャンスが広がっています。しかしながら、越境ECにおいて多くの企業が最初に直面する課題が「物流」です。配送ルートの選定、関税対応、返品処理、現地の法規制など、国内ECとは比較にならないほど複雑な要素が絡み合い、参入障壁となっています。
本記事では、「越境EC 物流」というテーマにフォーカスし、これから海外展開を検討する企業担当者の方々に向けて、物流の基本知識から、実際の課題と解決策、具体的な配送手段、代表的な物流サービス、さらには成功事例までを網羅的に解説します。越境ECの物流を正しく理解し、戦略的に構築することは、単なる物理的な配送を超えて、ビジネス成長の鍵を握る重要な要素となります。ぜひ最後までお読みいただき、貴社の越境EC戦略のヒントとしてご活用ください。
▼ 【完全ガイド】越境ECの物流とは? 配送方法・課題・成功事例まで徹底解説
第1章|越境EC物流の基礎知識
越境ECにおける「物流」の役割とは?
越境ECにおいて、物流は単なる「商品を運ぶ手段」にとどまらず、顧客体験や事業成長に直結する重要な要素です。国内ECでは比較的シンプルな配送網で対応できますが、海外に向けて商品を届けるとなると、配送コストの変動、通関手続き、関税対応、現地の配送業者との連携など、複数の要素を同時に考慮しなければなりません。特に海外では日本と違い届かないこと、保管期限切れでの日本返送が良くおきます。確実に届けるために購入者へ追跡番号の送付、到着予測を記載するなどコミュニケーションが大事になります。国によっては税関で荷物が止まり、身分証の提示を求められます。つまり配送後のアクションが顧客満足度につながります。
また、配送スピードや梱包の丁寧さは、そのまま顧客満足度に影響を与えます。たとえ商品が良くても、物流面でトラブルが起きれば顧客の信頼を失い、再購入や口コミによる広がりが期待できなくなってしまいます。つまり、越境ECにおける物流は、単なる裏方業務ではなく、マーケティングやブランディングと同様に戦略的に設計・運用すべき領域なのです。
代表的な物流スキーム3パターン
越境ECの物流には、大きく分けて「直送型」「現地倉庫型」「ECモール一体型」の3つのパターンがあります。まず直送型は、日本国内の自社倉庫から直接海外の顧客へ発送する方式で、初期投資が少ない反面、送料が高く、配送時間も長くなる傾向があります。海外に返送倉庫がないと、お客様に日本まで返送していただくリスクもございます。メリットでいえば同梱物を入れることができるので、ファン作りには「直送型」が最適になります。さらに次に現地倉庫型は、ターゲット市場に在庫をあらかじめ配置しておくことで、現地配送と同様のスピードを実現できますが、現地提携倉庫との在庫管理の手間や倉庫費用が発生します。
最後にECモール一体型は、Amazon FBAなどに代表されるサービスで、商品の保管・配送・カスタマーサポートを一括で提供してくれます。販路と物流を同時に確保できる利便性の高さが魅力ですが、多くの量をFBA納品するため、個別配送よりも税関で止められるリスクが多くございます。さらにAmazon倉庫での意図しない紛失リスク、削除リスクが伴います。この部分のAmazonとのやり取りが英語では伝えたことと違う返答が返って来ることが多く、忍耐強くやり取りを行うことが必要です。さらに現地倉庫から日本まで返送商品を配送してもらうパートナーも必要です。また、手数料が高めである点には注意が必要です。事業フェーズや商品特性に応じて、最適な方式を選ぶことが重要です。
「DDP」と「DDU」の違いと選び方
越境ECの物流設計で欠かせない視点の一つが、「関税や輸入税を誰が負担するか」という点です。この際によく使われるのが「DDP(Delivered Duty Paid)」と「DDU(Delivered Duty Unpaid)」という2つのインコタームズ(国際商取引条件)です。DDPは、売り手が関税や税金をすべて負担し、顧客に追加費用が発生しないようにする方式です。購入者にとってはわかりやすく、カゴ落ちのリスクを下げる効果があります。一方、DDUは顧客が関税を受け取り時に支払う形式で、売り手側の手間やコストは軽減されますが、受取拒否やトラブルにつながることもあります。どちらを採用するかは、ターゲット国の慣習や顧客層、価格帯によって異なりますが、基本的にはDDPの方が顧客満足度を高めやすく、ブランド価値を損なわずに済むケースが多いと言えるでしょう。最近のアメリカの法改正によりDDPで送ることができない事例も発生し、配送される際には注意が必要です。この問題によりアメリカ向けは国際郵便が受付をストップしてます。
第2章|物流でよくある課題とその対策
想定以上にかかる配送コストと納期のズレ
越境ECにおいて最も頻繁に挙げられる課題の一つが、配送コストの想定外の増加です。特に、個別発送を行う場合には、梱包サイズや重量、配送先の地域によって料金が大きく変動するため、計画段階での見積もりが不十分だと、販売利益を圧迫しかねません。また、航空便や国際郵便を利用しても、通関や現地配送の都合により、納期が大幅に遅れることもあります。こうした問題に対処するためには、複数の配送手段の料金比較を行い、できる限り事前に固定費化しておくことが重要です。あわせて、納期に関する顧客への明確な事前説明と、追跡番号の提供も、信頼性を高めるうえで欠かせません。物流は「売って終わり」ではなく、「届けて満足されて完了する」プロセスであるという認識が求められます。
特に送ったあとの追跡状況を日々チェックし、現地配送業者に保管されていれば、再配達の依頼、配送業者に取りに行っていただくなどのアクションが必要です。先ほどにも記載した通り、日本からの個別配送については問題があることが当たり前というマインドでクレームに繋がる配送クレームは返金対応もつきものです。配送問題による返金も必要経費として考えておく必要があります。
関税・通関に関するトラブルとリスク管理
越境物流では、関税や通関の手続きに関するトラブルがしばしば発生します。特に、HSコード(国際的な品目分類番号)の記載ミスや、インボイス情報の不備などがあると、通関が滞り、荷物が保留または返送される可能性があります。こうした事態は、顧客にとっての不安や不満を引き起こし、結果としてブランドイメージの低下につながりかねません。このリスクを回避するには、まず対象国の通関ルールを把握し、自社の商品に適切なHSコードを割り当てる必要があります。また、物流パートナーや通関業者と連携し、輸出書類の作成を正確かつ漏れなく行う体制を整えることが重要です。特に食品、化粧品、医療関連の商品は国ごとに規制が厳しいため、事前の確認が不可欠です。
返品・破損・紛失対応の課題
海外配送では、返品や商品破損、さらには紛失といったトラブルも無視できません。国内ECと異なり、返品時の送料負担や通関手続きが発生するため、企業側のコストが大きくなりがちです。また、長距離輸送や複数業者の介在により、梱包の破損や追跡不能なケースも起こりやすく、顧客からの問い合わせ対応に時間を要することもあります。このようなリスクを軽減するには、まず商品梱包の強化や緩衝材の工夫など、破損防止の工夫が必要です。さらに、追跡可能な配送手段を選択することも安心材料となります。返品については、事前に明確なポリシーを提示し、顧客にわかりやすく伝えることで、信頼関係の構築につながります。万が一に備えた損害補償の仕組みも検討すべき要素です。
第3章|物流手段の選定ポイント4選
コスト・スピード・信頼性をどうバランスさせるか
越境ECにおける物流手段の選定では、コストの安さだけでなく、配送スピードや信頼性とのバランスを見極めることが重要です。たとえば、国際郵便はコスト面では魅力的ですが、追跡精度や納期の安定性に不安が残る場合があります。一方、DHLやFedExのような国際宅配便はスピードとトラッキング機能が優れているものの、費用が高額になりやすく、薄利多売型の商品には不向きです。さらに日本への返送の場合は「輸入扱い」となり、輸入費用が発生します。安定した物流を実現するには、配送地域や商品特性に応じた配送手段を使い分ける「ハイブリッド運用」が有効です。配送トラブルを最小限に抑えるには、スピードだけに目を奪われず、最終的に顧客に安心を届けられるかどうかという観点で物流手段を検討する必要があります。
配送国・商品特性による使い分け方
物流手段を選ぶ際には、配送先の国や地域、そして取り扱う商品の特性を踏まえることが不可欠です。たとえば、東南アジア諸国では通関が比較的スムーズな反面、現地配送網が未整備な場合もあり、最後の1マイルでトラブルが起こることがあります。また、アメリカやEU諸国では規制が厳しい製品(化粧品・医薬品・食品など)の取り扱いには特別な認証やラベリングが求められることがあり、対応可能な物流パートナーを慎重に選ぶ必要があります。さらに、壊れやすい製品や高額品を扱う場合は、補償制度や梱包基準の整った業者を選ぶことも大切です。このように、対象国と商材の組み合わせによって、物流の最適解は大きく異なるため、画一的な選定は避け、柔軟な対応が求められます。
スケーラビリティの視点で物流設計する
越境ECを本格的に事業として成長させるには、初期の段階から将来のスケーラビリティを見据えた物流設計が重要です。たとえば、少量取引の段階では日本からの直送がコスト効率的かもしれませんが、取引量が増えると現地倉庫の利用やフルフィルメントサービスの導入が不可欠になります。急な需要増に対応できる体制が整っていなければ、在庫切れや納期遅延が頻発し、ビジネスの信用を損ねるリスクがあります。ECモールと連携した在庫管理システムや、物流データを可視化するツールの導入も、成長段階では有効です。事業のフェーズごとに物流の形を最適化し続ける柔軟性こそが、長期的に海外市場で競争力を維持する鍵になります。
第4章|主要物流サービス・支援ソリューションまとめ
Amazon FBA・Shopify Fulfillmentの活用法
越境ECの物流手段として、多くの企業が活用しているのがAmazonのFBA(Fulfillment by Amazon)や、Shopifyが提供するFulfillment Networkです。FBAでは、商品をあらかじめAmazonの倉庫に預けておくことで、注文後すぐに現地の倉庫から出荷され、配送スピードや信頼性の面で非常に高い評価を得ています。また、顧客対応や返品処理まで一括で任せられるため、海外展開の負担を大きく軽減できます。Amazon倉庫でのデメリットやリスクもございますので、リスクを必要経費として受け入れ、取り組んでいくことが大事です。
Shopify Fulfillmentも同様に、Shopifyで構築したECサイトと連携し、在庫管理から配送までの業務をアウトソース可能です。特にD2C(Direct to Consumer)ブランドとの相性が良く、スムーズな顧客体験の実現が期待できます。これらのサービスは、物流を単なる業務効率化にとどめず、顧客満足の向上に直結する手段として注目されています。
越境EC物流における現地倉庫活用のメリットと注意点
越境ECにおいて、現地倉庫の活用はビジネスをスケールさせるうえで非常に有効な手段となります。あらかじめ販売対象国や地域に商品在庫を配置しておくことで、配送スピードの向上や関税手続きの簡素化が可能となり、現地ユーザーの満足度を高めることができます。特に、アメリカやEU諸国のように配達時間への要求が高い市場では、「国内配送並みのスピード感」を実現できる現地倉庫の存在が競争力につながります。残念ながら海外倉庫を持ち、現地物流を代行する日本企業は少なく、基本的に現地の会社とのやり取りになります。ご契約される際は、しっかりと契約書に目を通し、大規模に現地倉庫に預ける場合はリーガルチェックを推奨しております。
一方で、現地倉庫の導入には慎重な判断が求められます。在庫の初期配置や補充のタイミング、売れ残りによる保管コストの増大など、在庫管理の難易度は一段と高まります。また、現地での返品処理やローカル配送業者との契約など、オペレーション面での対応範囲が広がることも見逃せません。したがって、一定以上の販売ボリュームが見込まれる段階での導入が理想的です。物流設計の初期段階から、将来的な現地倉庫活用を視野に入れ、システム面・人材面の準備を進めておくと、スムーズな移行が実現しやすくなります。
物流パートナー選定時のチェックポイント
越境ECの物流パートナーを選ぶ際には、価格や納期だけで判断するのではなく、より広い観点での比較検討が必要です。まず注目すべきは「対応国の幅」と「配送手段の多様性」です。事業が成長するにつれて配送先が広がる可能性があるため、柔軟に対応できる体制を持つパートナーが望ましいでしょう。次に「返品対応や補償制度の有無」も重要です。万が一の際のリスク管理体制が整っているかどうかは、顧客満足度を維持する上で大きな影響を与えます。さらに、通関支援や書類作成に関するノウハウがあるか、現地の規制や法令に精通しているかといった点も評価対象となります。単なる価格比較では見えない“安心感”や“伴走力”こそが、信頼できるパートナー選定の鍵になります。弊社ではチャットを使用したコミュニケーションで臨機応変な対応が可能です。さらに倉庫にお預けいただくことで海外発送、国内配送、サイト運営も丸投げ可能です。
第5章|成功事例に学ぶ物流戦略
事例1:中小メーカーがFBA活用で欧米市場開拓
ある日本の家庭用品メーカーは、自社ECサイトでの国内販売に成功した後、欧米市場への進出を視野に入れて越境ECを開始しました。当初は日本からの直送で対応していましたが、配送遅延や高コスト、返品対応の煩雑さが課題となり、Amazon FBAの導入を決断します。FBA倉庫に在庫を預けることで、注文後すぐに現地倉庫から発送され、配送スピードが大幅に改善されました。また、返品対応もAmazonが代行するため、顧客からの信頼度が向上し、リピート率も上昇しました。このように、物流を自社で抱え込まず、プラットフォームの機能を活用することで、限られた人員でも効率的な海外展開を実現できた事例といえます。
事例2:現地倉庫活用で東南アジアに展開
ある健康食品メーカーは、東南アジア市場でのEC展開にあたり、配送の不安定さや通関リードタイムの長さに悩まされていました。そこで、現地のフルフィルメントサービス事業者と提携し、タイ国内の倉庫に主力商品を一定量配置。結果として、注文から2〜3日以内に商品が届く配送体制を整えることができ、現地ユーザーからの評価が飛躍的に向上しました。加えて、関税処理やラベル表示といったローカル対応もアウトソースすることで、社内のリソースを営業やマーケティングに集中できる体制を築くことができました。このように、ターゲット市場におけるロジスティクスの最適化は、現地での信頼構築と売上拡大を後押しする要因になります。
事例3:返品率を下げる配送UXの改善施策
アパレルブランドを展開するある中堅企業は、北米向け越境ECにおいて返品率の高さに悩んでいました。特に「届かない」「破損していた」といった物流由来のクレームが多く、顧客満足度の低下とコスト増加が問題となっていました。同社は対策として、梱包材を商品ごとに見直し、さらに追跡番号付きの配送サービスを標準化。加えて、配送ステータスを自動で通知する機能をECサイトに実装することで、顧客の不安を軽減しました。これにより返品率は20%以上低下し、顧客からの評価も大きく改善。物流体験そのものを「顧客との接点」と捉え、丁寧に設計し直したことで、ブランド価値の向上にもつながった好例です。
まとめ|物流を制するものが越境ECを制す
越境ECの成功には、商品力やマーケティングだけでなく、「物流体制の最適化」が不可欠です。なぜなら、物流は顧客の手元に商品が届くまでの一連の体験を担う、極めて重要な接点だからです。配送が遅れたり、関税トラブルや返品対応に不備があったりすれば、どれほど優れた商品であっても顧客満足度は低下し、リピートにはつながりません。逆に言えば、物流がスムーズで信頼性が高ければ、それだけで顧客の安心感とブランドへの信頼が高まり、継続的な関係構築が可能になります。
本記事では、越境EC物流の基本的な知識から、課題とその対策、具体的な物流手段やサービスの比較、そして成功事例までを幅広くご紹介しました。企業の規模や扱う商材、ターゲット国によって最適な物流設計は異なりますが、共通して言えるのは、「自社にとって何が適切か」を見極める視点と、パートナーとの信頼関係の構築が重要であるという点です。今後、越境ECをさらに発展させていくうえで、物流は避けて通れない戦略要素です。ぜひ本記事を参考に、貴社の越境EC物流体制を見直し、次なる海外展開のステージへとお進みください。
弊社は2013年から海外販売を開始し、12年間の知見があります。今回の海外物流についても、世界への配送について多くの知見があり、海外販売のプロフェッショナル集団です。国内倉庫も完備しておりますので、弊社倉庫に荷物をお送りいただくだけで海外配送が可能です。(国内への個別配送、ケース単位の卸配送もございます) 初期登録から運用まで海外も国内もハイブリッドで一気通貫でEC業務を伴走支援しております。通常であれば複数社と契約が必要な海外販売も弊社1社で完結できます。「日本の海外販売を当たり前に」をスローガンに弊社と一緒に海外販売にチャレンジしていく企業様をお待ちしております。是非、お気軽にご相談ください。
この記事が役に立つ!と思った方はシェア
海外進出相談数
27000
件突破!!
最適サポート企業を無料紹介
コンシェルジュに無料相談






























