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【中国進出の現場から】中国市場で事業を止めないために、日本企業が最初に設計すべき3つのこと

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〜送金・販売構造・現地パートナーを一本の線でつなぐ〜

日本企業から中国進出の相談を受けると、「この商品は中国で売れますか?」「中国に販路はありますか?」「信頼できる現地パートナーを紹介してもらえますか?」という質問をよく受けます。いずれも重要な確認事項ですが、実際に中国・香港で複数の案件を動かしている立場から見ると、商品や販路だけを確認しても中国事業は前に進みません。

本稿では、進行中の実案件をもとに、日本企業が中国進出の初期段階で設計すべき3つのポイントを解説します。それは「取引代金を最後まで日本へ戻せるか」「現地で商品が継続的に売れる構造があるか」「現地パートナーと案件を管理できる仕組みがあるか」の3点です。この3つは独立した問題ではありません。商品が売れても代金を回収できなければ事業にならず、送金ルートを用意しても商品が売れなければ意味がなく、販売者が見つかっても情報共有が止まれば案件は進みません。商品、販売、物流、決済、パートナーを別々に考えるのではなく、すべてを一本の事業として設計することが、中国進出の成否を分けます。

1. 商品より先に「お金の流れ」を設計する

事例:商品評価は高いのに、決済・入金プロセスに時間を要している

筆者は現在、国産ワインを中国本土へ輸出するプロジェクトを進めています。初回数量は約5,000本、中国側からの商品評価は高く、次年度には1万本規模まで拡大したいという話も出ている案件です。商品への需要だけを見れば十分に有望ですが、決済・入金プロセスに時間を要しています。商品に問題があるわけでも、中国側が購入意思を失ったわけでもありません。案件が止まっている理由は、商品の外側にあります。具体的には、次のような項目です。

  • 誰が中国側の輸入主体になるのか
  • 中国本土から直接送金するのか、香港法人を経由するのか
  • 投資家と香港法人の契約をどう整理するのか
  • 通関・倉庫を誰が担当し、物流費や税金を誰が負担するのか
  • 日本側への支払い条件をどう設定するのか
  • 日中関係の影響
  • 関係者間での国際取引経験の差
  • 中国政府のお酒輸入への規制の厳格化

「売れる」「輸入できる」「送金できる」は、それぞれ別問題

国内取引であれば、商談が成立し契約を結んで納品すれば、請求と入金へ進むのが一般的です。しかし中国との取引では、その間に輸入制度、外貨管理、税関、契約、物流、決済といった複数の工程が入り、一つでも整理されていなければ、商品評価が高くても取引は完了しません。

日本企業は商品開発、価格設定、商談、販路開拓に多くの時間を使う一方、「誰が輸入し、誰が代金を支払い、どのルートで日本へ送金するのか」は商談成立後に検討されがちです。しかし本来は逆で、商談を本格化させる前に、最後まで資金が流れるかを確認する必要があります。中国では「売れること」と「輸入できること」は別であり、さらに「輸入できること」と「日本へ送金できること」も別です。この3つを分けて考えることが、中国進出の最初の一歩になります。

2. 「売れる商品」より「売れる構造」を設計する

売れ行きを左右するのは「誰が売るのか」

送金や輸入の仕組みが整っても、現地で商品が売れる構造がなければ事業は続きません。中国市場では、商品の品質や機能だけで売上が決まるわけではないためです。筆者は現在、国産ワイン、健康食品、美容関連商品など複数の案件を進めていますが、業界や価格帯が異なっても、売れる可能性の高い案件には「誰が、誰に、どのように販売するのか」が具体的に決まっているという共通点があります。

日本企業は品質・成分・国内での販売実績など、商品そのものを中心に考える傾向があります。もちろん重要な要素ですが、中国で実際に販売する段階では「誰が売るのか」が大きく影響します。商品をECサイトに掲載しただけで自然に注文が増えるとは限らず、同じ商品でも、販売実績のあるバイヤー、顧客から信頼されている販売者、ライブコマースの運営者、オフラインイベントで説明できる人が扱うことで、結果は大きく変わります。特に健康食品、美容商品、食品、酒類のように、背景や使用方法、体験、ブランドへの信用が購入判断に影響する商品では、販売者の説明力が重要です。

販売者に利益が残る構造まで含めて設計する

現在進めている健康食品の案件では、商品をいきなりECへ掲載するのではなく、現地のバイヤーや販売関係者に商品の特徴や使用方法を理解してもらうことから始め、複数都市でのオフラインイベント開催も検討しています。重要なのは「日本で評価されているから中国でも売れるだろう」と考えず、誰が説明し、誰が信用を補完し、誰が最初の顧客を連れてくるのかという流れを先に設計することです。

あわせて、販売者に十分な利益が残るかも確認が必要です。日本企業は自社の卸価格や利益率を中心に考えがちですが、継続的に販売するためには、中国側の輸入者、卸売業者、小売業者、販売担当者まで含めて利益が残る構造が不可欠です。現地の販売者に利益が残らなければ、最初は扱ってもらえても、優先しては販売してもらえません。中国市場で必要なのは「売れそうな商品」を探すことではなく、商品力、価格、販売者、顧客、物流、規制、決済、マーケティングをつなぎ、商品が継続的に売れる構造を作ることです。

3. 能力だけでなく「報告できる現地パートナー」を選ぶ

能力が高くても、情報が止まれば案件は止まる

中国進出の支援では「信頼できる中国人パートナーを紹介してほしい」という相談もよく受けます。言語、商習慣、行政対応、人脈など、日本側だけでは対応が難しい領域がある以上、現地パートナーの存在は重要です。しかし複数の案件を進める中で実感したのは、パートナー選びで最も重要なのは人脈や営業力ではなく「報告できる人かどうか」だということです。

筆者のパートナーには、中国国内に広いネットワークを持ち、交渉力があり、人柄も誠実で、案件を次々と紹介してくれる人がいます。それでも日本側から見ると「現在、何が進んでいるのか分からない」という状況が何度もありました。本人は送金方法の調整や物流会社への確認、輸入者候補との交渉を確実に進めているのですが、その情報が共有されなければ、日本側からは「何も進んでいない」ように見えてしまいます。原因は悪意や怠慢ではなく、「自分は状況を理解しているから相手も分かっているだろう」「質問されたことには答えるが、されていないことまでは説明しない」という仕事の進め方・情報共有の習慣の違いにあります。

報告項目を具体化する

そこで筆者は「今、どのような状況ですか?」という漠然とした聞き方をやめ、報告項目を次のように具体化しました。

  • 現在の進捗
  • 相手先が行っている作業
  • 次に行うことと、次回の確認予定日
  • 日本側が対応すべきこと
  • 現在の課題と、判断が必要な事項

この項目に沿って共有してもらうことで、案件の見通しは大きく改善しました。どれだけ能力が高くても情報が止まればプロジェクトは管理できません。逆に、多少時間がかかっても現在地と次の行動が共有されていれば、必要な判断を行い案件を前に進められます。これは「中国人だから報告しない」という話ではなく、文化や仕事の進め方が異なる相手と事業を行う以上、個人の感覚に頼らず情報共有の仕組みを作る必要がある、ということです。

4. 資金・商品・情報の3つの流れをつなぐ

中国進出では、良い商品、販路、信頼できるパートナーのどれか一つがあるだけでは不十分です。重要なのは「資金の流れ(誰が代金を支払い、どのルートで日本へ送金し、どこに利益が残るか)」「商品の流れ(誰が輸入し、どこで保管し、誰がどの顧客へ届けるか)」「情報の流れ(進捗・課題・次の行動が日中間で継続的に共有されるか)」の3つが止まらないように設計することです。

商品は売れたが代金を回収できない、輸入はできたが販売方法が決まっていない、パートナーは動いているが状況を把握できない──これらは別々のトラブルに見えて、本質的には海外事業全体を一つのプロジェクトとして設計できていないことが原因です。海外進出は営業活動ではなく、市場調査、輸入制度の確認、販売設計、利益構造の検証、契約、物流、決済、進行管理を一本の線でつなぐプロジェクトマネジメントそのものだと筆者は考えています。

5. 本稿のまとめ

ここまで見てきたとおり、中国市場で事業を止めないために日本企業が最初に設計すべき3つのことは、以下のとおりです。

① お金の流れの設計:「売れる」「輸入できる」「送金できる」は別問題。商談を本格化させる前に、輸入主体・送金ルート・支払い条件まで確認する。

② 売れる構造の設計:品質だけでは売れない。「誰が売るのか」を具体化し、現地の販売者に利益が残る構造まで含めて設計する。

③ パートナーとの仕組み作り:人脈や営業力以上に「報告できるか」が重要。報告項目を具体化し、情報共有の仕組みを作る。

中国市場には、今でも日本の商品やブランドへの信頼があり、日本企業の品質や技術には大きな可能性があります。一方で「日本製だから売れる」「現地に任せれば進む」という考えだけでは事業の継続は困難です。成否を分けるのは商品力だけではなく、商品・資金・情報を止めずに動かす事業設計ができるかどうかです。

株式会社Deilaでは、中国・香港を中心に日本企業の海外進出を支援しています。販路やパートナーの紹介にとどまらず、市場調査、輸入・決済スキーム、販売構造、現地交渉、案件全体の進行管理まで、事業化に必要な工程を整理しながら伴走します。「何から確認すればよいか分からない」「商談は進んでいるが送金の設計に不安がある」「現地パートナーはいるが案件が前に進まない」という企業様は、事業を本格的に動かす前に、一度全体の設計を整理することをおすすめします。

※本シリーズでは、現在進行中の中国・香港での実案件をもとに、現場で得た一次情報と実務上のポイントを発信していきます。

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     沖縄をハブに、台湾・中国・香港・ベトナム・タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシア・オーストラリア・ニュージーランド・イギリス・ドイツ・ブラジル各国にパートナーエージェントを配置し、アメリカ合衆国・インドは提携先を設けていますので、現地でも情報収集、視察等も直接支援可能、幅広く皆様の海外展開とインバウンド事業をサポートしております。

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    実績:
    東アジア(中国、韓国、台湾、香港等)
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    20年近い海外実務の蓄積があり、実績・ノウハウも豊富にございます。

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    知識

     2017年7月日本・沖縄と海外の万国津梁の架け橋を目指して、企業の海外展開支援を目的として沖縄・那覇で設立。アジア・欧州を中心に沖縄県内・沖縄県外企業の海外進出・国際展開のサポートを実施しています。2022年7月には観光産業の伸びの著しい石垣市に八重山事務所を開設しております。
     沖縄をハブに、台湾・中国・香港・ベトナム・タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシア・オーストラリア・ニュージーランド・イギリス・ドイツ・ブラジル各国にパートナーエージェントを配置し、アメリカ合衆国・インドは提携先を設けていますので、現地でも情報収集、視察等も直接支援可能、幅広く皆様の海外展開とインバウンド事業をサポートしております。

  • オススメ

    GLOBAL ANGLE Pte. Ltd.

    70か国/90都市以上での現地に立脚したフィールド調査

    ご利用企業からの評価

    ※ご利用企業から集めた評価をもとに作成

    総合評価
    サポート実績数
    300
    価格
    対応
    スピード
    知識

    GLOBAL ANGLEは海外進出・事業推進に必要な市場・産業調査サービス、デジタルマーケティングサービスを提供しています。70か国90都市以上にローカルリサーチャーを有し、現地の言語で、現地の人により、現地市場を調べることで生きた情報を抽出することを強みとしています。自社オンラインプラットホームで現地調査員管理・プロジェクト管理を行うことでスムーズなプロジェクト進行を実現しています。シンガポール本部プロジェクトマネージメントチームは海外事業コンサルタント/リサーチャーで形成されており、現地から取得した情報を分析・フォーマット化し、事業に活きる情報としてお届けしております。


    実績:
    東アジア(中国、韓国、台湾、香港等)
    東南アジア(マレーシア、インドネシア、ベトナム、タイ等)
    南アジア(インド、パキスタン、バングラディッシュ等)
    北米(USA、メキシコ、カナダ)、南米(ブラジル、チリ等)
    中東(トルコ、サウジアラビア等)
    ヨーロッパ(イタリア、ドイツ、フランス、スペイン等)
    アフリカ(南アフリカ、ケニア、エジプト、エチオピア、ナイジェリア等)

  • オススメ

    株式会社東京コンサルティングファーム

    【26か国34拠点+全世界提携ネットワーク】各国に日本人駐在員とローカルスタッフが常駐。会計事務所を母体に、進出検討から撤退まで一気通貫でサポートいたします。

    ご利用企業からの評価

    ※ご利用企業から集めた評価をもとに作成

    総合評価
    サポート実績数
    1704
    価格
    対応
    スピード
    知識

    弊社は、会計事務所を母体とし、26か国34拠点・グループ従業員357名のグローバルコンサルティングファームです。

    2007年に日本の会計事務所として初めてインドに進出し、翌年ASEAN一帯、中南米等にも展開。
    20年近い海外実務の蓄積があり、実績・ノウハウも豊富にございます。

    また、自社拠点を持たない国についても、現地パートナー・提携専門家とのネットワークを通じて、世界どこでも対応可能な体制を構築しています。

    海外進出のご相談・市場調査から、現地法人設立、海外子会社管理、クロスボーダーM&A、事業戦略再構築、撤退まで、国際ビジネスのすべてのフェーズをワンストップでサポート。

    特に、会計・税務・法務・労務・人事の専門家を各国で内製していることが、他のコンサルティングファームにはない強みです。

    〈主要サービス〉

    ・販路開拓 現地企業マッチング(出島での小規模ニーズに対応)
    海外販路拡大、提携先・代理店のリストアップ、合弁パートナー探しを単発でもお請けします。
    各国の現地拠点・駐在員のネットワークに加え、拠点のない国も提携専門家経由で対応。「まず1〜2社、現地候補と面談したい」というスポットご相談から承ります。

    ・スモールスタート対応(月額8万円〜のGEO/EOR)
    まずは現地法人を作らずに人だけ採用したい、テストマーケティングからはじめたいというお客様向けに、月額8万円〜の雇用代行(GEO/EOR)をご用意。海外進出の最初の一歩を、低リスク・低コストで踏み出していただけます。

    ・海外進出支援(法人設立〜撤退まで)
    進出相談・現地視察アテンドから、登記・各種ライセンス取得、株主税務番号(PAN等)取得、銀行口座開設、進出後の継続サポート、撤退・閉鎖まで一気通貫で対応します。

    ・クロスボーダーM&A(海外M&A)
    海外企業の買収・売却によるスピード進出・スピード撤退をご支援。ターゲット選定、買収戦略立案、デューデリジェンス、バリュエーション、契約、ポストM&Aまでワンストップで対応します。

    ・国際税務・監査・労務
    各国の税務・会計、移転価格、子会社監査、人事労務制度設計、駐在員税務、グローバル税務戦略まで、会計事務所を母体とした専門家ネットワークで網羅します。

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