CEマークとは?取得が必要な国・製品・手順から費用・期間・UKCA対応まで【2025年最新版】
CEマークはEU(欧州連合)をはじめとする欧州市場に製品を輸出・販売するために必要不可欠な適合性マークです。「Conformité Européenne(フランス語で"欧州適合"の意)」の略称であり、製品が欧州の安全・環境・健康基準を満たしていることを示す証です。CEマークのない製品は32の対象国では原則として市場に流通させることができず、違反した場合には販売停止・製品回収・罰則といった厳しい措置が課されます。EU進出を検討する日本の製造業にとって、CEマークの正確な理解と適切な取得プロセスの実行は、欧州ビジネスの最初のハードルとなります。
この記事でわかること
- ・CEマークとCEマーキングの定義と違い
- ・CEマーキングが必要な32か国の一覧と根拠
- ・対象となる製品カテゴリーと適用EU指令・規則
- ・CEマーク取得の7ステップ・費用・期間の目安
- ・Brexit後のUKCA移行の最新状況(2025年版)
- ・違反した場合の法的リスクと罰則
- ・UL・PSE・KC等の他認証との比較
▼CEマーク完全ガイド
1. CEマーク・CEマーキングとは何か
CEマークとは、製品に貼付される「マーク(名詞)」そのものを指し、CEマーキングはそのマークを製品に付ける「行為・手続き(動詞的用法)」を意味します。日常会話では混用されがちですが、EU法令の文脈では「CEマーキング(CE Marking)」が正式な表現として用いられます。本記事ではどちらの表現も状況に応じて使用します。
CEマーキングの本質は「自己宣言(Self-Declaration)」にあります。日本のPSEマークのように第三者機関が認証を付与する制度と異なり、CEマーキングでは原則として製造業者が自ら適用指令への適合性を評価し、「EU適合宣言書(Declaration of Conformity)」を作成した上で製品にマークを貼付します。ただし、リスクレベルの高い製品(医療機器・圧力機器・爆発性雰囲気用機器など)については、EU認定の第三者機関(ノーティファイドボディ:Notified Body)による適合性評価が義務づけられています。
CEマーキングが義務づけられた背景には、EU域内での製品流通を自由化するための「単一市場」の確立という政策目標があります。各加盟国がバラバラに設けていた国内規格・認証制度を統一することで、メーカーは一度CEマーキングを取得すれば全加盟国市場でその製品を販売できるようになりました。日本企業にとっては、EU全域へのワンストップのアクセスが可能になるという大きなメリットがある一方、欧州基準での設計・試験・文書化への対応が求められます。
2. CEマーキングが必要な32か国
CEマーキングの義務が生じるのは、EU加盟27か国とEFTA(欧州自由貿易連合)加盟4か国、およびEU関税同盟に参加するトルコの合計32か国です(Brexit後の英国は除く)。
EU加盟27か国は、フランス・ドイツ・イタリア・スペイン・オランダ・ベルギー・スウェーデン・ポーランド・オーストリア・デンマーク・フィンランド・アイルランド・ポルトガル・ルーマニア・ハンガリー・チェコ・スロバキア・ブルガリア・クロアチア・スロベニア・エストニア・ラトビア・リトアニア・ルクセンブルク・キプロス・マルタ・ギリシャです。EFTA4か国はノルウェー・アイスランド・リヒテンシュタイン・スイスで、これらはEEA(欧州経済領域)協定を通じてEUの製品規制を採用しています。トルコはEU関税同盟に参加しており、同様にCEマーキング規制が適用されています。
英国については2020年1月のBrexit以降、EUのCEマーキング規制の適用外となり、独自のUKCA(UK Conformity Assessed)マークが導入されました。UKCAについては後述のセクション6で詳しく解説します。なお、北アイルランドはBrexit後も一定の条件のもとでEU製品規制が継続適用される特殊な地位にあり、CEマーキングが引き続き有効です。
32か国という広大な市場をカバーできるCEマーキングの取得は、人口約4.5億人のEU市場への参入パスポートとも言えます。欧州向け輸出を計画する日本の製造業にとって、CEマーキングは避けて通れない最初のステップです。
3. CEマーキングが必要な製品カテゴリーと適用指令
CEマーキングの義務はすべての製品に課されているわけではなく、EUが定める特定の製品指令(Directive)または規則(Regulation)の対象となる製品カテゴリーに限られます。対象となる主な製品カテゴリーと適用される主要EU指令・規則を以下に整理します。
産業機械・設備分野では「機械指令(Machinery Directive 2006/42/EC)」が基本となります。2023年には機械規則(EU 2023/1230)として更新が行われており、AIを搭載した機械への対応なども盛り込まれています(2027年1月適用開始予定)。電気・電子機器については「低電圧指令(LVD 2014/35/EU)」と「EMC指令(電磁両立性、2014/30/EU)」が適用されます。無線機器・通信機器には「無線機器指令(RED 2014/53/EU)」が適用され、Bluetooth・Wi-Fi搭載機器はほぼ全てこの指令の対象です。
医療機器は製品のリスククラスに応じて「医療機器規則(MDR:EU 2017/745)」または「体外診断薬規則(IVDR:EU 2017/746)」が適用されます。従来の指令から規則への移行が2021〜2022年に完了しており、ノーティファイドボディによる第三者認証が原則として必要となるため、取得難度・コスト・期間ともに他製品より格段に高い水準になります。
玩具には「玩具安全指令(2009/48/EC)」、個人用保護具(PPE)には「個人用保護具規則(EU 2016/425)」が適用されます。建設製品には「建設製品規則(CPR)」、圧力機器には「圧力機器指令(PED 2014/68/EU)」と、分野ごとに異なる指令・規則が存在します。一つの製品に複数の指令が同時に適用されるケースも珍しくなく、たとえば無線機能を持つ医療機器であれば、REDとMDRの双方への適合が必要となります。
RoHS指令(有害物質使用制限、2011/65/EU)は電気・電子機器における鉛・水銀・カドミウム・六価クロム等の有害物質の使用を制限するものであり、LVDやEMC指令と並行して適用されます。REACH規則(化学物質登録・評価・認可制限)はCEマーキングの直接的な対象ではありませんが、化学物質を含む製品の欧州販売において避けられない規制であるため、CE対応と並行して確認が必要です。
4. CEマーク取得の手順・費用・期間
CEマーキングの取得は、製品に応じた適用指令の特定からはじまる7つのステップで構成されます。
最初のステップは「適用指令の特定」です。自社製品がどのEU指令・規則の対象となるかを特定します。製品の用途・機能・対象ユーザー・使用環境などを踏まえて判断し、複数指令が適用される場合はすべてへの対応が必要です。欧州委員会のガイダンス文書や、欧州規格認証の専門コンサルタントを活用して正確に特定することが重要です。
第2ステップは「整合規格の選定」です。各指令の要求事項を満たすための具体的な技術基準として、欧州標準化機関(CEN・CENELEC・ETSI)が策定した整合規格(EN規格)が活用されます。整合規格に適合することで、対応する指令の必須要求事項を満たしているという「適合推定(Presumption of Conformity)」が得られます。
第3ステップは「適合性評価モジュールの決定」です。各指令では製品のリスクレベルに応じた複数の適合性評価モジュール(A〜H)が規定されており、製造業者はいずれかのルートを選択します。低リスク製品はモジュールA(製造業者の自己評価のみ)が選択可能ですが、高リスク製品はノーティファイドボディが介在するモジュールB+CやモジュールGなどが必要となります。
第4ステップは「適合性評価の実施」です。選択したモジュールに従い、試験・検査を実施します。自社試験室での実施も可能な場合がありますが、公認試験機関(ILAC認定ラボ等)での試験がより確実です。ノーティファイドボディが必要な場合は、EU公認機関に依頼・申請を行います。
第5ステップは「技術文書の作成・保管」です。製品設計の根拠・試験報告書・適用規格のリスト・リスクアセスメント結果・製造プロセス等を網羅した技術文書(Technical File)を作成します。この文書は製品の製造終了後10年間(医療機器は15年間)保管が義務づけられており、市場監視当局から開示を求められた際に速やかに提出できる状態を維持しなければなりません。
第6ステップは「EU適合宣言書(DoC)の作成」です。製造業者が自社名義で、製品が全ての適用指令に適合していることを宣言する法的文書です。EU公用語の一つで作成する必要があり、製品への同梱または顧客への提供が義務となります。
第7ステップは「CEマークの貼付」です。上記すべてが完了した段階で、規定された寸法・比率のCEマークを製品本体または包装・添付文書に貼付します。マークの最小サイズは5mmと規定されており、視認性を確保した形での表示が求められます。
費用と期間の目安については、製品の複雑さ・適用指令の数・試験項目の多さによって大きく異なりますが、一般的な電気製品(LVD+EMC+RED適用)の場合、試験費用・ノーティファイドボディ費用・技術文書作成費用・EU認定代理人報酬などを合計すると、数十万円から数百万円程度が目安となります。期間は試験・文書作成を含めて3か月〜12か月程度を見込む必要があり、医療機器のような高難度製品では1〜3年を要するケースもあります。EU域外に本社を置く日本企業がCEマーキングを取得する場合、EU域内に「EU認定代理人(Authorised Representative)」を置くことが義務づけられており、この費用と管理も考慮する必要があります。
5. 製造業者・輸入業者・販売業者の法的義務
CEマーキングに関する義務はサプライチェーン上の立場によって異なります。製造業者(Manufacturer)が最も包括的な責任を負い、設計・製造段階から適合性確保の主体的な責任を担います。適合性評価の実施・技術文書の作成・DoC(適合宣言書)の署名・CEマークの貼付がすべて製造業者の責務です。EU域外の日本企業が製造業者として欧州市場に製品を投入する場合、EU内に認定代理人を置くことで、製造業者責任を代理させることができます。
輸入業者(Importer)はEU域内に所在し、EU域外から製品を輸入して欧州市場に流通させる事業者です。輸入業者はCEマークが正しく付されているか、技術文書が存在するか、DoC が作成されているかを出荷前に確認する義務があります。不適合が疑われる製品は輸入・流通させてはなりません。また、輸入業者名・連絡先・輸入国を製品に表示することが義務となっています。
販売業者(Distributor)はEU市場で製品を流通させる者で、製品のCEマーク表示・付属文書の存在を確認する義務があります。不適合製品を市場に流通させることは禁じられており、当局から要求された場合には製造業者・輸入業者の情報を提供する義務があります。
技術文書とDoC(EU適合宣言書)は、製品の製造終了後10年間保管することが多くの指令で義務づけられています(医療機器は15年間)。市場監視当局からの調査や消費者からのクレームに対応するためにも、適切なファイリング体制の整備が必要です。日本企業が欧州販売を行う場合、技術文書の管理をEU認定代理人に委ねるケースも多くありますが、文書へのアクセス権限と最終的な責任が製造業者にあることは変わりません。
6. Brexit後のUKCA移行【2025年最新状況】
2020年1月に英国がEUを離脱(Brexit)したことに伴い、英国は独自の適合性マーク「UKCA(UK Conformity Assessed)」を導入しました。UKCAはCEマーキングと制度的な概念は同じですが、英国固有の法令・規格に基づく適合性評価が必要であり、EUのCEマークとは互換性がありません。
英国政府は当初、2022年1月をCEマーク受け入れ終了・UKCA完全移行の期限として設定していました。しかしその後、産業界からの強い要請と準備不足を理由に移行期限が繰り返し延長されてきた経緯があります。2023年には「2024年末まで移行を猶予」とされ、さらに2024年にも延長措置が取られています。2025年時点では、多くの製品カテゴリーについて英国政府の最新ガイダンスを個別に確認することが不可欠な状況となっています。
注意が必要なのは、すべての製品について一律の期限が設定されているわけではなく、製品カテゴリーごとに移行タイムラインが異なる点です。医療機器・建設製品・航空機部品などは独自のスケジュールを持っており、玩具・電気機器などの消費財とは別途確認が必要です。また、英国市場向けには「UKCA認定代理人(UK Responsible Person)」をUK国内に置くことが多くの製品で義務づけられており、この点はEUのEU認定代理人要件と同様です。
北アイルランドは、Brexit後も「ウィンザー合意フレームワーク(旧北アイルランド議定書)」に基づき、一定の製品カテゴリーについてEU単一市場のルールが継続適用されます。このため、北アイルランド市場向け製品にはCEマークが引き続き有効であり、英国本土(グレートブリテン島)とは異なる対応が必要となる場合があります。
実務的な対応として、英国市場と欧州市場を並行して攻略する日本企業は、「CEマーキング+UKCA取得の両立」か「英国市場は英国現地パートナーに任せてEUに集中」かという戦略選択を迫られます。UKCA固有の試験・文書化要件はCEとほぼ同等であるため、CEで整備した技術文書・試験結果を流用できる部分も多く、追加コストはCE取得費用の1〜3割増し程度に抑えられるケースが多いと言われています。いずれにせよ、英国市場を本格的に狙う場合は専門コンサルタントへの早期相談が推奨されます。
7. 違反した場合の罰則とリスク
CEマーキングに違反した場合、または適合性の要件を満たさない製品をEU市場に流通させた場合には、市場監視当局(加盟国ごとに設置)による摘発を受け、段階的な制裁措置が課されます。
最初の措置は「是正措置の要求」です。当局は製造業者・輸入業者に対して、製品の技術文書の提出・不適合箇所の是正・追加試験の実施などを求めます。是正が行われない場合や不適合が重大と判断された場合には、「市場出荷の一時停止・販売禁止」命令が発令されます。さらに深刻な不適合(人命・安全に関わるリスク)の場合は「製品回収(リコール)命令」が発令され、既に市場に流通している製品を消費者から回収することが義務づけられます。
欧州全域の市場監視当局が情報を共有するシステムとして「RAPEX(EU製品安全警告システム)」が機能しており、一か国で問題が発覚すれば他の加盟国でも同製品が監視対象となります。RAPEXに掲載されると企業名・製品名・不適合内容が公開されるため、ブランドへのダメージは甚大です。
加盟国によっては、違反行為に対して刑事罰(担当者の拘禁・罰金)が設けられている場合もあります。罰則の水準は加盟国ごとに異なりますが、欧州市場において信頼性を失うことそのものが最大のリスクといえます。CEマーキングを「形式的な書類手続き」と軽視せず、設計段階からの適合性確保と確実な技術文書整備に取り組むことが、中長期的な欧州ビジネスの基盤となります。
8. UL・PSE・KCなど他認証との比較
EU向けのCEマーキングと並んで、グローバル展開を目指す日本の製造業が把握しておくべき主要な製品認証として、米国のUL認証、日本のPSEマーク、韓国のKCマーク、中国のCCCマークがあります。それぞれの特徴と違いを理解しておくことで、複数市場への展開を効率的に計画できます。
UL(Underwriters Laboratories)認証は米国の製品安全認証の代表格です。UL自体は任意認証であり法的強制力はありませんが、米国市場では事実上の標準として広く要求されています。大手量販店・流通業者がUL認証を仕入れ条件とするケースが多く、実質的には必須となっています。CEマーキングと異なり、製造業者の自己宣言ではなくULが運営する第三者認証スキームであるため、UL専属の試験機関での試験が必要です。
PSEマーク(電気用品安全法)は日本の電気用品安全法に基づく強制認証です。特定電気用品(約115品目)は菱形PSE(第三者機関認証必須)、特定電気用品以外(約338品目)は丸形PSE(製造業者の自主検査で取得可能)に分かれています。日本国内市場向けには必須ですが、海外輸出には不要です。
KCマーク(Korea Certification)は韓国市場向けの強制認証です。電気・電子製品・通信機器・子ども用品など多岐にわたる品目が対象で、韓国認定試験機関での試験が必要です。韓国の認証基準はIEC国際規格との整合が進んでいるため、CE向けの試験データを一部流用できる場合があります。
CCCマーク(中国強制認証)は中国市場向けの強制認証です。電気製品・自動車・玩具・医療機器など19のカテゴリーが対象で、中国当局が認定した国内試験機関での試験と、中国認証機関(CQC等)による工場審査が必要です。取得の煩雑さと時間的コストはCEマーキングより高いと言われており、中国現地パートナーの支援が有効です。
複数市場への同時展開を計画する場合は、各認証の適用規格・試験項目の重複を整理し、一つの試験で複数認証に対応できる「マルチサービス試験」を活用することでコストと期間を圧縮できます。EU・米国・韓国を狙う場合、CE(IEC/EN規格)とKC(KS規格)の重複が多く、CE試験レポートのKCへの流用が一部可能なケースもあります。認証取得の全体戦略は、対象製品・市場・タイムラインを踏まえて専門機関と早期に相談することを強く推奨します。
9. 優良な海外進出サポート企業をご紹介
CEマーキングの取得は、適用指令の特定・試験機関の選定・技術文書の整備・EU認定代理人の手配・Brexit後のUKCA対応など、多岐にわたる専門知識と実務経験が求められます。特に初めて欧州市場に参入する日本の製造業にとって、経験豊富なパートナーの存在は認証取得の成否を左右します。
実際に「Digima〜出島〜」には、製品認証に関する相談が多数寄せられています。たとえば、ある精密機器メーカーでは、顧客の海外工場に自社製品が組み込まれることになり、現地の強制認証(BIS認証等)の取得を顧客から求められたケースがありました。自社が直接海外進出するわけではなくても、サプライチェーンのグローバル化に伴い「間接的な認証対応」が必要になるパターンは増加しています。また、飲料メーカーがタイ・インド・南アフリカの3か国に同時展開を検討した際には、各国の成分規制・ラベル表示要件・必要書類がすべて異なり、「取引先は見つかっているが規制対応がボトルネックになっている」という相談も寄せられました。CEマーキングだけでなく、複数国・複数認証を同時にクリアするための戦略設計も、こうした専門サポート企業の得意分野です。
Digima〜出島〜では、CEマーキング取得支援・欧州規制コンプライアンス・EU認定代理人サービスに精通した専門会社を無料でご紹介しています。製品カテゴリーや対応指令の数にかかわらず、貴社の状況に合った最適なサポート先をマッチングします。「どの指令が適用されるのかわからない」「UKCAとCEを同時に取得したい」「コストを抑えつつ複数市場の認証を揃えたい」といったご相談も歓迎です。まずはお気軽にご相談ください。
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