トランプ関税の影響|日本企業にかかる税率と輸出・米国事業の見直し方
トランプ関税は、2026年に形が大きく変わりました。最高裁の判決で相互関税が無効になり、別の法律による関税に切り替わったからです。日本からの輸出品にかかる税率は、品目によって12.5%の基準が当てはまるものと、50%の高い税率が残るものに分かれます。
アメリカはDigima〜出島〜の『海外進出白書(2025-2026年版)』で5年連続の相談先1位です。ジェトロが2026年8月26日時点でまとめた資料をもとに、関税のいまの仕組み、日本企業への影響、還付の手続き、自社で見直すことを解説します。税率は変更が続くので、取引の前に最新の情報を確かめてください。
▼ トランプ関税の影響|日本企業にかかる税率と輸出・米国事業の見直し方
この記事でわかること
- ・最高裁の判決後にトランプ関税がどう変わったのか
- ・日本からの輸出品にかかる品目別の税率
- ・取引の形によって変わる日本企業への影響
- ・IEEPA関税の還付を受けられる企業と手続き
- ・価格、契約、米国事業で見直すこと
トランプ関税は最高裁の判決で別の関税に切り替わった

2025年に話題になった相互関税は、いま徴収されていません。ただし、関税がなくなったわけではなく、根拠となる法律を変えて続いています。ニュースの情報が古いままだと、税率を誤って見積もることになります。判決の内容、切り替わった関税、日米合意との関係を順に確かめます。
最高裁がIEEPAに基づく関税を無効とした
アメリカの連邦最高裁は2026年2月20日、国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠にした相互関税や国別の関税を、同法に違反すると判断しました。これを受けて、世界各国に課していた10〜41%の関税などの徴収が止まりました。日本に課されていた15%の相互関税も、2月24日に適用が止まっています。一方で、鉄鋼や自動車にかかる通商拡大法232条の関税は別の法律に基づくので、判決の影響を受けずに続いています。
122条の関税から301条の関税に移った
トランプ政権は判決の直後、1974年通商法122条に基づく関税を2月24日から課しました。この関税が失効した7月24日には、強制労働産品の輸入禁止措置に関する通商法301条の関税を新たに発動し、日本を含む60の国と地域に10〜12.5%の追加関税を課しています。相互関税という名前は消えましたが、幅広い品目に関税がかかる状態は続いています。以前の資料の税率をそのまま使わないように注意します。
日米合意を超える関税は課されないと確認された
日米両政府は2025年7月に関税協議で合意し、相互関税率を15%とすることや、自動車と同部品の税率を15%とすることを決めていました。判決のあとも合意の扱いは続いています。赤澤経済産業相は2026年7月24日の会見で、昨年の合意を超える追加関税は日本に課されないことをアメリカと確認したと説明しました。ただし、これは税率の上限についての説明で、個別の品目の税率は制度の変更に合わせて確かめる必要があります。
出典:ジェトロ「米国トランプ政権の関税政策の要旨」(2026年10月確認),ジェトロ「米最高裁がIEEPA関税を無効と判断も還付方法や詳細な関税率は不透明」(2026年10月確認)
日本からの輸出品にかかる税率

日本からの輸出品にかかる税率は、232条の対象になっている品目かどうかで大きく変わります。多くの品目は301条の関税で一般関税率との合計12.5%が基準になり、鉄鋼やアルミなどはそれより高い税率がかかります。ジェトロの2026年8月26日時点の資料をもとに、計算の仕方と品目の確かめ方を説明します。
多くの品目は一般関税率との合計で12.5%
232条の対象でない多くの品目では、一般関税率(MFN税率)が12.5%未満なら、301条の関税を足した合計が12.5%になります。例えば一般関税率が5%の品目なら、追加分は7.5%です。一般関税率がすでに12.5%以上なら、301条の関税はかからず、一般関税率だけを払います。一般関税率が重さなどで決まる品目は、関税評価額で割って税率に換算します。米国内で供給できない原材料など、対象から外れる品目もあります。
鉄鋼とアルミは50%、自動車は15%
232条の関税では、鉄鋼とアルミの製品が50%、銅の製品が25〜50%、鉄鋼とアルミを使った派生品が15〜50%です。自動車と同部品は、一般関税率を含めて15%です。布張りの木材製品やキッチンキャビネットなども、一般関税率を含めて15%とされています。木材と製材は10%です。派生品は品目や用途によって税率が変わるので、輸入者とよく確かめます。
自社の品目はHTSコードで確かめる
税率を確かめるには、まず輸出品がアメリカの関税分類(HTSコード)のどれに当たるのかを確定します。同じ商品でも、分類が違えば一般関税率も追加関税の扱いも変わります。自社で判断しきれない場合は、輸入者の通関業者に確かめます。HTSコードの調べ方と関税負担の減らし方はアメリカへの輸出コストの解説にまとめています。原産国も税率に関わるので、部品の調達先まで整理しておきます。
トランプ関税の影響は取引の形で変わる

関税を払うのはアメリカ側の輸入者ですが、負担はさまざまな形で日本企業にも及びます。同じ税率でも、直接輸出しているのか、部品を納めているのか、現地に拠点があるのかで、出てくる問題が違います。自社がどの形に当たるのかを見て、影響を具体的に確かめます。
直接輸出する企業は価格の交渉で影響を受ける
アメリカの取引先に直接輸出する企業では、関税の分だけ店頭や取引先の仕入れの価格が上がります。そのため、値下げや負担の分担を求められることがあります。関税を誰が払うのかは、インコタームズなどの貿易条件で変わります。関税込みの条件(DDP)で売っている場合は、輸出側が負担します。競合が同じ条件なのか、米国内で作っている競合に対して価格差がどれだけ開くのかを、品目ごとに確かめます。
部品や素材の企業には間接的に影響が届く
自社がアメリカに輸出していなくても、納入先の完成品メーカーが影響を受ければ、発注の減少や値下げの要請という形で届きます。自動車の部品や、鉄鋼とアルミを使う製品のメーカーは特に確かめておきたいところです。取引先の輸出先の比率や、どの国で組み立てているのかを聞いておくと、受注の見通しを立てやすくなります。影響が読めないうちは、1つの取引先や1つの国に頼りすぎていないかも見直します。
アメリカに拠点がある企業は調達が問われる
アメリカに現地法人がある企業は、自社が輸入者として関税を払います。日本や第三国から部品を仕入れている場合、調達の原価が上がります。現地の調達先に切り替えるのか、関税を価格に載せるのかを品目ごとに判断します。また、IEEPA関税を払っていた場合は還付の対象になるので、手続きを確かめます。これからアメリカに進出する企業は、関税だけで判断せず、販売先や人件費も含めて比べます。
IEEPA関税の還付を申請できるのは輸入者
最高裁の判決を受けて、すでに払われたIEEPA関税の還付が進んでいます。ただし、還付を受けられるのは輸入者です。日本の輸出企業が自動的に受け取れるものではありません。手続きの状況と、自社が輸入者でない場合に確かめることを説明します。価格を下げて負担した企業は、契約を読み直す機会にもなります。
還付はCBPのシステムで申請する
米国税関(CBP)は2026年4月20日に還付のシステム(CAPE)の運用を始め、5月12日に支払いを始めました。6月29日からは、最初の段階で対象外だった一部の輸入申告も受け付けています。徴収された1,660億ドルのうち、7月時点で1,218億ドルの還付が承認されました。申請には電子申告システム(ACE)のアカウントと、還付を受ける米国の銀行口座の登録が必要です。最終清算された申告などは、今後の段階で扱う予定とされています。
自社が輸入者かどうかを確かめる
還付金は、輸入者として申告した企業に支払われます。アメリカに現地法人があり、自社の名義で輸入していたなら、通関業者と一緒に対象の申告を確かめます。一方で、日本から輸出して相手が輸入者になっている取引では、還付を受けるのは相手です。関税込みの条件で売っていて、現地の代行業者が輸入者になっていた場合は、資金の流れが複雑になるので、誰が申請するのかを早めに確かめます。
値下げで負担していたら取引先に確かめる
関税の分を値下げや価格の調整で負担していた場合、還付金が相手に入っても、自社に戻る決まりがあるとは限りません。契約に関税の負担や還付の扱いが書かれているかを確かめます。書かれていなければ、取引先と話し合うことになります。今後の契約では、関税が変わったときの価格の見直しや、還付が出たときの分け方を書いておくと、同じことが起きても揉めにくくなります。法的な判断は専門家に確かめます。
出典:ジェトロ「米国トランプ政権の関税政策の要旨」(2026年10月確認),ジェトロ「IEEPA関税還付プロセスの解説」(2026年10月確認)
トランプ関税に備えて企業が見直すこと
2026年だけで関税の根拠は2度変わりました。今後も変わる前提で、税率が動いても事業が止まらない形にしておくことが現実的です。対策として特別なことをするより、品目と原価の把握、契約、販売先の分散といった基本を固めるほうが効果があります。優先して見直したい順に説明します。
品目ごとの関税と原価を一覧にする
最初に、輸出している品目ごとにHTSコード、原産国、一般関税率、追加関税、貿易条件を一覧にします。関税が1%動くと粗利がいくら変わるのかまで計算しておくと、値上げや値下げの交渉で判断が早くなります。税率が変わったときは、この一覧を直すだけで影響を出せます。アメリカ向けの売上が小さい品目と、利益を支えている品目を分けて見ると、先に手を打つべき品目がわかります。
価格の見直しを契約に書いておく
関税が変わるたびに一から交渉するのは負担が大きいので、契約に価格の調整の決まりを入れておきます。誰が関税を払うのか、税率が変わったときにいつから価格を変えるのか、すでに発注した分はどう扱うのかを決めます。貿易条件を変えるだけで負担の所在が変わるので、関税込みの条件で売っている企業は、続けるべきかを検討します。取引先との関係を保つためにも、数字を見せて話し合える準備をしておきます。
アメリカで作るかは関税だけで決めない
関税を避けるためにアメリカでの生産や販売拠点を考える企業もあります。ただ、関税は短い期間で変わるのに対して、工場や現地法人は長く続く投資です。市場の大きさ、販売先、人件費、人材の確保を含めて判断します。一方で、販売網を広げるなら、関税が変わっても意味のある投資になります。アメリカの市場が魅力的であることは変わらないので、関税をきっかけに売り方そのものを見直す企業にとっては、良い機会にもなります。
よくある質問(FAQ)
Q1. トランプ関税はなくなった?
なくなっていません。2026年2月の最高裁の判決で無効になったのはIEEPAに基づく相互関税などです。鉄鋼、アルミ、自動車などの232条の関税は続いていて、ほかの多くの品目には7月24日から通商法301条の関税が課されています。ジェトロの2026年8月26日時点の資料では、日本からの多くの品目は一般関税率との合計で12.5%です。変更が続いているので、取引の前に最新の情報を確かめてください。
Q2. 日本企業はIEEPA関税の還付を受けられる?
還付を受けられるのは、輸入者として申告した企業です。アメリカの現地法人が輸入者なら、対象になります。日本から輸出していて相手が輸入者の場合は、還付は相手に支払われます。申請には電子申告システムのアカウントと米国の銀行口座の登録が必要です。自社の名義で輸入していたかどうかは、通関の書類や通関業者に確かめるとわかります。値下げで負担した分の扱いは、契約と話し合いで決めることになります。
Q3. 中小企業はまず何から始めればよい?
主力の輸出品のHTSコードと現在の税率を確かめ、貿易条件で誰が関税を払っているのかを整理します。間接的に輸出している場合は、取引先に関税の影響を聞きます。これだけでも、値下げの要請に応じるべきかどうかを判断しやすくなります。一覧を作って関税が1%動いたときの粗利の変化を出しておくと、社内の説明にも使えます。手が回らないときは、通関や貿易の実務を支援する企業に相談する方法もあります。
アメリカ向けの関税対応をDigima〜出島〜に相談する
関税の影響は、品目、貿易条件、取引先との関係で企業ごとに変わります。税率を調べるだけでなく、自社の商流に当てはめて判断する必要があります。自社で進める場合と相談する場合には、それぞれ次のような違いがあります。
| 項目 | 自社で進める | Digima〜出島〜に相談する |
|---|---|---|
| メリット | 商流と原価を一番よく知っている | 貿易に詳しいサポート企業を紹介してもらえる |
| 向いている企業 | 通関業者や現地拠点がある | 相談できる先がまだない |
| かかる手間 | 制度の変更を英語で追い続ける | 状況を伝えて候補の企業を比べる |
| 費用 | 調査の人件費がかかる | 相談と紹介は無料 |
Digima〜出島〜に相談するメリット
「自社の品目にどの関税がかかるのか」「このままアメリカ向けの輸出を続けてよいのか」といった、方針が決まる前の段階から相談できます。貿易や通関、アメリカ進出を支援するサポート企業を紹介するので、探す手間を減らせます。関税の確認だけでなく、販路の見直しや現地法人の検討まで同じ窓口で話せます。状況によって合う企業は変わるので、取引の形を伝えていただければ、候補を一緒に整理できます。
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