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日本企業の海外進出国ランキング:2020年度の日本企業の海外進出動向 | 『海外進出白書(2020-2021年版)』より

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海外進出を実践・検討している日本企業4,805社のデータから分析した『海外進出白書2020-2021年度版』(以下、「「海外進出白書」」)より、「2020年度の日本企業の海外進出動向」をご紹介します。

あわせて「2020年度の日本企業の海外進出国ランキング」も発表します!

毎年、海外ビジネス支援プラットフォーム「Digima~出島~」では1年間の進出相談と海外進出企業ならびに、海外進出支援企業を対象に実施したアンケートをもとに「海外進出白書」を作成しています。

海外進出白書」のポイントは以下の2つ。

① 実際に相談いただいた紹介案件4,805件を分析
② 500社超への独自のアンケート調査に基づいた、民間では弊社だけが出せる海外進出企業と進出支援企業の両方が揃ったデータ

本テキストは、「海外進出白書」の中から「2020年度の日本企業の海外進出動向」をピックアップして、「Digima~出島~」へ寄せられた日本企業からの相談をもとに、日系企業の海外進出動向をまとめています。

自社の商品・サービスを海外展開するにあたって、同じ日系企業が、どの国にどれだけ進出しているのかという最新の状況を知ることは、今後の海外進出戦略および事業計画を策定するにあたっての、もっとも有益な情報収集のひとつです。

どのような業種の企業が、どの国に進出し、どのような課題を抱えているかといったことをデータに基づき、分析・考察しております。今年は過去8年間のデータも分析、その移り変わりを考察しています。

▼ 『海外進出白書 2020-2021年版』の無料DLはコチラ
海外進出白書2020-2021


1. コロナ禍を大きく反映「2020年度・進出国別人気ランキング」

進出先の国・⼈気ランキング・過去8年間の進出先国ランキングの推移

下記のグラフは、2020年4月~2021年3月の期間に、海外ビジネス支援プラットフォーム 『Digima~出島~』へ寄せられた海外進出相談の約4000件を、国別に分けて集計した『2020年度進出先の国・人気ランキング』と『過去8年間の進出先国ランキングの推移』となっています。

<進出先の国・⼈気ランキング> 海外進出白書_2020-2021_p01

【1位】 中国
【2位】 アメリカ
【3位】 ベトナム
【4位】 シンガポール
【5位】 マレーシア
【6位】 フィリピン
【7位】 台湾
【8位】 タイ
【9位】 ヨーロッパ
【10位】インドネシア


<過去8年間の進出先国ランキングの推移> 海外進出白書_2020-2021_p02

2020年度の海外ビジネスの傾向

まず、2020年度の大きな傾向として、中国、アメリカといった2大国への進出が増加したことが挙げられます。相対的に減少したのはASEAN各国への進出です。2019年度は、ASEAN各国の割合 を合計すると全体の50%を越えていましたが、2020年度は40%程度に留まっています。

ASEANの それぞれの国に関しても大きな変動があり、昨年1位だったフィリピンは新型コロナウイルスの状 況が大きく影響し後退、シンガポールは急伸し、ベトナム、マレーシアは順位をキープする形となっています。  

その他、台湾も順位を大きく挙げています。この背景には、新型コロナウイルスの抑え込みに成功したことや、同じ文化圏を持った大国・中国への進出が増加したことがあります。

その点で、中国が割合を大きく伸ばした背景にも新型コロナウイルスの影響が伺え、全体的に感染状況が進出 先国選定に影響を与えたことは確かなようです。  

世界各国における日本企業の海外進出トレンドを浮き彫りに

海外ビジネスを考えていく上で、「どの国で行うか」は、非常に重要なファクターです。

そこで、本年度の「海外進出白書」の最初のトピックでは、各国の進出トレンドについて浮き彫りにしていきたいと思います。まずは、「中国」と「アメリカ」への進出ニーズを比較を交えて分析していきます。

また、日本企業の進出先として不動の人気を確立しつつある「ベトナム」、コロナ禍で伸び を見せた「シンガポール・マレーシア・台湾」、逆に落ち込みを見せた「フィリピン・タイ・ヨー ロッパ・インドネシア」について、国ごとの進出トレンドについて考察していきます。  

海外進出検討企業の「業種別割合」・海外進出検討企業の「相談内訳」

さて、そうしたトレンドを考察していく上で切り口としたいのは国ごとの「進出業種」と「相談内容」の割合です。それぞれの国にどういった業種の企業が出ているかを分析することで、日本企業の進出動向、そして各国のビジネスチャンスを浮き彫りにすることができます。

そのため、まず寄せられた海外進出相談全体の「業種別割合」「相談内訳」をご紹介しておきます。 

<海外進出検討企業の「業種別割合」><海外進出検討企業の「業種別割合」>  海外進出白書_2020-2021_p03

上記左のグラフが業種別の割合です。全体的な傾向として、「卸売・小売業」が多く、「製造業」 がそれに続きます。そして、「サービス業」「IT・通信業」が全体の10%、さらに「飲食業」が3%程度となり、以下それぞれの業種が拮抗しながら追う形となっています。

昨年と比べると、「卸 売・小売業」の割合が伸びています(31%→35%)。これには、販路開拓先として海外マーケットへの注目が集まっていることもありますが、新型コロナウイルスの影響を「製造業」や「サービス 業」「飲食業」よりも受けにくい業種であったことも要因となっているでしょう。

このような傾向は相談内容の内訳にも反映されています。まず、海外進出の主な目的がマーケット 開拓となっているため、「販路拡大(営業代行・販売代理店探し)」に関する相談が最も多く寄せられました。ただし、近年と比べると割合が減少しており、その代わりに大きく割合を伸ばしたの が「海外進出コンサルティング」についての相談です。

新型コロナウイルスが猛威をふるい、「先行き不透明な状況の中、自社の海外事業を今後どう進めていけばいいのか…」、そのような問に直面し、コンサルティングを求めている企業が増加傾向にあるようです。  

第1部の最初のトピックでは、この「全体に関するグラフ」と「国ごとの進出業種割合」「国ごとの相談内容の内訳」のデータ、そして前年度のデータを比較し、日本企業の海外進出動向について解説・考察していきます。

2. コロナ禍において更に存在感を増した2つの超⼤国「中国・アメリカ」

中国への日本企業の海外進出動向

さて、まずは「中国」についてです。

<中国へ進出する日本企業の「業種別割合」> 海外進出白書_2020-2021_p04

<中国へ進出する日本企業の「相談内容別割合」> 海外進出白書_2020-2021_p05

大きな特徴として、業種別の割合において全体と比べ「卸売・小売」の割合が 大きくなっています。アメリカや中国といった市場規模の大きい国への進出業種は、例年もこうした傾向があります。

「世界の工場」と呼ばれていたのはもはや遠い昔のことで、いまや「世界の市場」としての地位を確立していることの証左と言えます。

そして、その傾向は、 2020年度にはより顕著となっており、2019年度からも大きく増加しました(36%→42%)。この背景には、先述したように新型コロナウイルスの影響があったと推測できます。いち早く抑え込み に成功した中国に対しては、日本国内での消費の冷え込みを中国市場で挽回しようという動きが 活発になっていました。

2020年度2019年度 相談内容別割合を見てみても、「販売代理店探し」「輸出入・貿易・通関」「ECモール出品代行」「海外アポイント取得代行」などといった、販路拡大にまつわるものが全体の相談内容割合と比べると大きくなっています。中でも、「輸出入・貿易・通関」の割合は大きく増加していることがわかります。

もちろん、日本企業の中国ビジネスが拡大していることもありますが、例えば 「越境EC」などで販路を広げていっても、中国特有の規制の厳しさから輸出入について課題を抱える企業が多いようです。

一方で、「会社設立・登記代行」に関する相談は、全体の相談割合と比して大きく減少しています。新型コロナウイルスの発生源とも目され、米中貿易戦争やその他のカントリーリスクも表出していた中、販路開拓先としては有望であっても拠点を置きたい国ではないと見られていることが伺 える結果となっています。

アメリカへの日本企業の海外進出動向

続いて、中国と並び世界経済の一翼を担う超大国・アメリカについても考察していきましょう。

<アメリカへ進出する日本企業の「業種別割合」> 海外進出白書_2020-2021_p06

<アメリカへ進出する日本企業の「相談内容別割合」> 海外進出白書_2020-2021_p07

アメリカへの進出業種も「卸売・小売業」の割合が大きく、 全体の業種割合と比べても大きくなっています。昨年度と比べても増加していることがわかります(36%→39%)。

一方で、 製造業が大きく減少している点は特筆すべき点でしょう。トランプの政策で製造業の国内回帰が掲げられ、日本企業の進出が 増加していましたが、ここにきてその流れは鈍化したようです。一般的に、生産を伴う製造業の海 外展開は他業種に比べ大きな投資が必要になるケースが多いです。新型コロナウイルスの影響で先 行き不透明な中、大きな投資を伴う海外事業がペンディングになってしまうケースも多かったようです。

また、中国との違いでは「IT業」の割合が高いことが挙げられます。中国においてもITサー ビス市場は急拡大していますが、特に規制が厳しい分野となっており、比較的自由なアメリカ市場 に販路を求めていくことが多いようです。

また、ITサービスに関してはアメリカがユニバーサルスタンダードとなっているケースが多く、裏を返せばアメリカで成功することで、その後のグローバル展開も容易になります。そのため、アメリカのITサービス市場を狙う日本企業も少なくありません。

2019年度も同様の傾向はありましたが、より割合が増加しています。これには、IT業が新型コロナウイルスの影響を受けにくい業種であることも一つの要因となっているでしょう。  

さて、相談内容に関しては、「海外進出コンサルティング」に関する相談が多かったことが特徴でした。先述しましたが、こちらに関しても新型コロナウイルスの影響が大きいと言えます。今後の海外ビジネスをどう進めていくのか、戦略を見直すためのコンサルティングが求められていまし た。

特にアメリカは世界各国の中でも新型コロナウイルスの感染拡大が進んでしまった国でした。 既にアメリカに進出している企業も含め、コンサルティングを必要とする企業が増えたようです。  

また、「海外WEBプロモーション」についての相談が多かったことも挙げておきます。当然ですが、日本でのブランド力が通じないアメリカ市場において、製品の販売やITサービスの進出においては「プロモーション」が求められます。その中で、導入しやすく、かつアメリカが業界の最前線を走っているのが「WEプロモーション」の分野です。

本場のアメリカで国内企業と戦っていくためには、「海外WEBプロモーション」の専門家のサポートを受け、ビジネスを進めていく必要があります。実際には、下記のような相談が多く寄せられていました。

『弊社は、アメリカで9月頃にマッチングアプリをローンチ予定です。それに伴い、アメリカで実績のある広告代理店を探しております。日本での広告運用実績 は自社でもあるのですが、競争の激しいアメリカでのSNS広告、FB広告に知見 のある企業様にPR活動のサポートをお願いしたいと考えています。以下、具体 的なご依頼内容となります。(以下、略)』(IT・通信業・アメリカ)

各国において刺さるプロモーションは変わってきます。その中でも、最先端と見られているアメリカにおいて、「プロモーション支援」のニーズは高まっているようです。  

以上のように、同じ「販路拡大」としてのニーズが大きい「中国・アメリカ」に関しても、その進出業種や抱えている課題が違うことがわかります。

2020年度は新型コロナウイ ルスを含め、社会情勢の変化が著しい年となりました。そのため、そうした業種や課題の 違いがより顕著となったように感じます。広大なマーケットの広がる両国に対し、自社は どちらを重要視していくかを検討していくタイミングになっていると言えるでしょう。  

その点、アメリカの大統領がトランプ氏からバイデン氏に変わったことは、今後影響が大きくなっていくでしょう。アメリカ進出において、カーボンニュートラルやクリーンエネルギーといったキーワードが重要になっていくこともありますが、米中関係が大きく変化することも重要なポイントです。

それぞれ成熟した広大な市場を抱え、比較的自由な経済活動が行える「アメリカ」か、 厳しい規制はありつつも、さらなる伸びしろを秘めた「中国」か……202年度に関して は新型コロナウイルスの影響もあり、中国に軍配が上がりましたが、引き続き注視していきたい2つの超大国への進出ニーズです。

3. 依然として⼈気の「ベトナム」、コロナ対策も評価され、販路拡⼤ニーズは拡⼤

ベトナムへの日本企業の海外進出動向

続いて、近年日本企業の人気を安定して集め続け、進出先としての地位を 確固たるものとしている「ベトナム」について、分析・考察していきます。

<ベトナムへ進出する日本企業の「業種別割合」> 海外進出白書_2020-2021_p08

<ベトナムへ進出する日本企業の「相談内容別割合」> 海外進出白書_2020-2021_p09

昨年こそASEANの中での順位をフィリピンに譲りましたが、安定したニーズにより、2020年度はASEAN一番手に返り咲きました。フィリピンが新型コ ロナウイルス対策に喘ぎ、大きく順位 を落としたのに対し、世界の中でも屈 指の抑え込みに成功したベトナムへの 進出ニーズは増加しました。

ベトナムへの進出業種の割合について、数年前までは、オフショア開発企業を中心にIT業の進出割合が大きかったのですが、マーケットの飽和などもあり、近年は減少傾向にあります。それと変わるように大きくなっていたのが「製造業」でした。その割合は2020年度も維持されています。

一方で、割合として最も大きいのは、ここでも「卸売・小売業」です。また、全体から比較して割合が増加するのは「サービス業」となっており、現地を消費市場として捉えた進出がベトナムにお いても増加傾向にあることがわかります。

近年、日本企業からの注目度がNo.1と言っても良いベトナムに関しては、ここ数年の変化を振 り返ってみましょう。2018年度、ベトナムでは「製造業」の進出割合が急増しました。そもそ も、2014年までの日系企業のベトナム進出は、製造業の製造拠点としての進出が多い傾向にあり ました。しかし、2015年に進出先国ランキングで大きく順位を上げた際に進出が増えた業種は、 「製造業」ではなく「IT・通信業」でした。ベトナム進出のメリットとして挙げられるのは、「安 価で良質な労働者」です。当時そうした恩恵に預かるのは、次世代の製造業と言える「IT開発会社」だったのです。  

というのも、IT開発会社は、大量のITエンジニアを雇い、ソフトウェアやアプリケーションを構築するのが特徴です。

その点、ベトナムはエンジニア育成に国策として取り組んでおり、大量に優秀で安価なエンジニアを確保できる国となっていました。

事実として、日本企業のIT開発を海外で 請け負う「オフショア開発」という手法の中心となっているのが、ベトナムの日系企業であり、そうしたIT企業の進出が急増していたのです。一方、工場での作業などは、ベトナムよりもさらに 労働コストの安い国へのシフトが始まっていました。ベトナムの労働コストは年々上昇傾向にあり、技術的に代替可能なものであれば、ミャンマーやバングラデシュといった国へのニーズが高 まっていたのです。  

しかし、2018年度では製造業の割合が急増し、そうした流れが一変しました。それは、日本の 製造業の工場設立が増えたからではありませんでした。ベトナムの工場の品質レベルが向上したことにより、日本企業から「製造委託」が増加したのです。これまでの「製造委託先」は中国など が主流でしたが、人件費の高騰やカントリーリスクの側面からベトナムシフトが始まったという ことです。  

その傾向は、2019年度も変わらず、むしろ他のASEAN各国へと広がっていきました。しかし、 2020年度に関しては、新型コロナウイルスの影響を受け、製造業の投資がストップしたり、現地での工場操業がままならなくなり、若干の減少傾向となっています。その影で増加したのが、 「卸売・小売業」「サービス業」の進出でした。海外への販路拡大事業が、新型コロナウイルスの影響でペンディングとされていく中、経済活動が正常化したタイミングの早いベトナムへの注目が集まりました。  

新型コロナウイルスの抑え込みが成功した背景には、「勤勉な国民性」、そして「社会主義国としての強い政府」が挙げられると思います。国家として政策をリードしていける国であることは、 進出先を選定する上でも重要です。その点、今後も日本企業のベトナム進出は増加傾向になってい くと推測できるでしょう。

4. 急増するシンガポール・台湾の背景にコロナあり。マレーシアは設⽴ニーズが急増

シンガポールへの日本企業の海外進出動向

続いて、進出が急増したシンガポールと、引き続き高いニーズをキープしたマレーシアについて 考察していきます。併せて、順位を伸ばした台湾についても見ていきたいと思います。

<シンガポールへ進出する日本企業の「業種別割合」「相談内容別割合」> 海外進出白書_2020-2021_p10

まず、上記のグラフがシンガポールに関して寄せられた相談の業種別、相談内容別割合です。シ ンガポールへの進出業種の割合を見ていくと、「IT・通信業」の割合の高さが目立ちます。

過去の傾向としては「飲食業」の進出の割合が全体と比べて多い国だったのですが、新型コロ ナウイルスの影響か2020年度は割合が減少しています。また、相談内容を見てみると、全体の相 談内容割合と比べ、税務会計や法務といった会社運営に関連する相談が若干増加しています。

もちろん、販路拡大に関する相談も多く寄せられているのですが、ASEANのハブとして金融面でも発展するシンガポールにおいて、ヘッドクォーターを設立し、グローバル展開の礎にしていこうという流れはまだまだ続いているようです。特にITサービスを運営するような若い会社が、そのような 取り組みを開始していました。

シンガポールへの進出が増加した背景には、ここでも新型コロナウイルスが影響しています。シ ンガポールは、新型コロナウイルス対策として、ベトナム同様に政府が強いリーダーシップを発揮 しました。2020年3月というかなり初期の段階で「接触追跡アプリ」を世界で初めて配布した国で もあります。その結果として、大きな感染拡大を防ぎ、市場の回復が早かったと言えます。

マレーシアへの日本企業の海外進出動向

さて、続いてマレーシアです。

<マレーシアへ進出する日本企業の「業種別割合」「相談内容別割合」> 海外進出白書_2020-2021_p11

全体の割合と比べ、傾向として顕著なのは「サービス業」の割合 の大きさ、そして「卸・小売業」の割合の小ささです。相談内訳としても、「海外会社設立・登記 代行」が大きく割合を増やしており、かなり特徴的な進出先国と言えそうです。「海外税務・会計」に関する相談も多いことから、これまでの「販路拡大」をニーズとした進出とは若干異なった進出があることがわかります。

マレーシアは国家として外資優遇措置を進め、外国投資を獲得しようという意図が強い国です。 例えば、クアラルンプールの郊外にある「サイバージャヤ」というエリアを、ASEANのシリコン バレーにしようと、優遇措置などを充実させています。

また、ジョホールバルというシンガポールと隣接するエリアで、シンガポールのベッドタウンとして、そしてアウトソーシングの受け先とし て、多くの労働力を抱えています。また、日本人が知らないアジアのタックスヘイブンとして近年 注目されているラブアン島などもあります。

このような点から、日本企業がマレーシアで法人を設立し事業を進めていくことにはメリットがあります。そうしたメリットを享受するための相談が 増加傾向にあるようです。

一方で、やはり人口の少なさは否めず、市場規模の大きさと伸びしろから、小売業の進出先と しての軍配は「ベトナム」にあがります。これは、イスラム圏であることも影響していると推測で きます。イスラム教徒に物やサービスを提供するためには「ハラール」であることが重要です。

「ハラール」とは、イスラム教の言葉で「合法」という意味を表します。一方で、「ハラム」が「非 合法」の意味を表します。イスラム教においては、日常生活で口にするもの、身に着けるものなどが「イスラム法」により規定されています。

例えば、豚やアルコールが「ハラム」です。豚はイスラム法において不浄なものとされており、アルコールは心を失わせるもの、体に良くないものとされているため「ハラム」になっています。また、女性は顔と手以外を隠し、近親者以外には目立たないようにしなければならないとされています。

そのため、イスラム教徒のために「ハラール認証」を取得しなくてはならないといったビジネ ス上の課題があります。そうしたことも「卸売・小売業」の割合がやや小さいことに影響を与えているでしょう。  

台湾の日本企業の海外進出動向

続いて、台湾について見ていきましょう。

<台湾へ進出する日本企業の「業種別割合」「相談内容別割合」> 海外進出白書_2020-2021_p12

台湾は、以前より中国市場のテストマーケティングの 場としての進出が多く、高いニーズを維持していました。文化圏を共にしつつ、親日であり、規模的にもそれなりの台湾で成功することは、中国進出の足がかりになります。

その中で、2018年度には、米中関係の悪化を背景に大きく順位を伸ばしました。「中国に進出するのは今ではないけれど、ゆくゆくは見据えていかなくてはいけないため、今のうちに台湾でテストマーケティングし ておこう」というニーズが増大しました。

そうした傾向は2019年度には落ち着きを見せ順位を下げていましたが、2020年度は再び急浮上しています。

この背景には、またもや新型コロナウイルスの抑え込みに成功したことが挙げられるでしょう。新型コロナウイルス対策の成功例として、台湾デジタル担当大臣のオードリー・タン氏が注目されたことも記憶に新しいのではないでしょうか。

業種別割合や相談内容の割合は全体と の差異がそれほどなく、バランスが取れたグラフとなっています。 以上、進出ニーズが好調だった国々には以上のようなことが推測できます。進出先を検討していく上で、是非参考にしてください。

5. それぞれ課題を抱え、解決を待つ「フィリピン・タイ・ヨーロッパ・インドネシア」

さて、国ごとの比較の最後のセクションとして、進出の割合が減少した「フィリピン」「タイ」 「ヨーロッパ」「インドネシア」といった国々に関しても見ていきましょう。

フィリピンへの日本企業の海外進出動向

まずは2019年度に最も相談が寄せられ、非常に注目されたフィリピンについてですが、2020年度は進出ニーズが落ち着きを見せてしまいました。新型コロナウイルス感染症の流行に際し、ドゥテルテ大統領の強いリーダーシップのもと対策が進められていきました。

<フィリピンへ進出する日本企業の「業種別割合」「相談内容別割合」> 海外進出白書_2020-2021_p13

出入国規制や都 市のロックダウンに関してもいち早く取り組み、感染拡大をどうにか抑え込もうとしていました。その効果は決して低いものではなかったのですが、その反面、経済に大きな影響を及ぼして しまった印象があります。結果として回復しつつあった財政を圧迫し、国としての成長に少しブ レーキが掛かってしまっています。

業種としては、全体の割合に比べ、「卸・小売業」「製造業」の割合が少なくなっており、「建 設・インフラ」の割合が増加傾向にあります。大規模な都市開発が進むフィリピンにおいて、大きなチャンスを感じている企業が多いようです。一方で、2019年度に増加していた「サービス業」 「飲食業」なども、減少傾向にあります。先述したコロナの影響で、消費市場としての魅力は後退 してしまったようです。

ただし、フィリピンはASEANの中でも特に伸びしろの大きい国です。平均年齢はベトナムよりも7歳も若く、人口も1億人超と多いです。また、購買活動の指標となる一人あたりの名目GDP も、生活に余裕が出て嗜好品や家電が売れるようになる3000ドルに迫っている状況です。他の ASEAN諸国よりも人口ボーナス期が長く続き、ASEAN屈指の成長を遂げることが期待されます。

コロナ禍が落ち着いたタイミングで、再度注目したい国と言えるでしょう。

タイへの日本企業の海外進出動向

続いて、タイについてです。

<タイへ進出する日本企業の「業種別割合」「相談内容別割合」> 海外進出白書_2020-2021_p14

かつて、ASEANにおける日本企業の進出先として、まっさきに挙げられていたのはタイでした。しかし、近年はその順位が低迷しています。インドシナ半島の西側に位置し、マレーシア、カンボジア、ラオス、ミャンマーの4ヵ国との国境を持つタイは、「東南 アジア諸国全体のハブ」としての機能も期待できます。ただし、現在、急成長しているベトナム、 フィリピンなどは国境をともにしておらず、海路・空路を通じてのハブとしての座をシンガポール に譲ってしまっている状況です。

また、タイに関しては、2014年の軍事クーデターの影響が後を引いています。8年間の推移をご覧いただければわかりますが、2014年を境に順位が低下傾向にあります。

2016年にプミポン国王が逝去したことも国家としての成長に影を落としています。加えて、高齢化も進んでおり、 ASEANの中での立ち位置を模索していかなければならない状況と言えるでしょう。地理的なメ リットや消費市場としても、ポテンシャルが高い国であることは間違いないため、今後の再浮上 のカギとして、まずは政情を安定させていく必要があるかもしれません。  

ヨーロッパへの日本企業の海外進出動向

続いては、ヨーロッパについて見ていきましょう。

<ヨーロッパへ進出する日本企業の「業種別割合」「相談内容別割合」> 海外進出白書_2020-2021_p15

グラフをご覧いただければ分かる通り業種別・相談内容別割合については、特に全体との差異が著しい地域となりました。

まず、業種別割合に関してですが、「卸・小売業」、そして「製造業」の割合が全体と比べて大きくなっています。 特に「製造業」の割合増が顕著です。相談内容に関しても「海外進出コンサルティング」が多くなっ ており、『新型コロナウイルスの影響を受け、進出済みの製造業が今後の事業を再検討している』 様子が伺えます。  

そもそも、ヨーロッパに関しては、アメリカや中国と同様に、市場規模が大きく、かつ成熟して いるため、販路開拓先として注目されていました。特に、近年では、インバウンドニーズが大きく、それを起点としたアウトバウンドの流れが加速していました。インバウンドで商品を知ってもらい、それがアウトバウンド(海外展開)に繋がるという流れです。それが新型コロナウイルスの 影響で大打撃を受け、中国・アメリカ・ASEAN各国に押されている状況と言えます。

とは言え、アニメをはじめとした「ジャパンコンテンツ」への大きなニーズがあり、購買力もあるエリアなので、フィリピン同様、アフターコロナでの動きに注目していくべきでしょう。

インドネシアへの日本企業の海外進出動向

続いてインドネシアへの日本企業の海外進出トレンドについて見ていきましょう。

<インドネシアへ進出する日本企業の「業種別割合」「相談内容別割合」> 海外進出白書_2020-2021_p16

上記がインドネシア進出に関する相談の「業種別割合」「相談内容内訳」です。業種として「製造業」の割合が大きいことがわかります。また、相談内容の内訳を見てみると、全体の割合や他のASEANの国の割合と比べても、とりわけ「販路拡大」に関するニーズが大きいことがわかります。

人口2億6000万人抱えるインドネシアは「一人あたりのGDP」も4,000ドルに迫っており、市場規模がASEANで最も大きいと言えます。マレーシア同様、イスラム国家であること、また島嶼国家であり物流関連の課題があるなど、解決すべきことが少なくないため、ベトナムやフィリピン、 タイといったASEANの中の人気国の後塵を拝してきましたが、ここにきて市場の可能性が再注目されています。

新型コロナウイルス対策で、一旦棚上げにはなっていますが、2024年にはジャカルタからカリマンタン島への首都移転が控えています。島嶼国家であるがゆえのジャカルタへの負担集中を軽減するためのものですが、その首都移転を成功させられるかどうかは、今後の日本企業の進出に大 きな影響を与えます。いずれにしろ、今後の動向に注視が必要と言えるでしょう。

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